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第30回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」

日本フラメンコ協会第21回新人公演「選考委員講評」

選考委員(名前から各講評へリンク)

三澤勝弘(会長、ギタリスト)[G,C]

コロナ禍の中での第30回フラメンコ・ルネサンス「新人公演」。その開催に関しては様々なご意見ご批判があったこと、理解しております。そのような状況下で開催決定へと導いてくれたのは、私どもの想定を遥かに越える参加希望者の存在でした。1日のみの公演も視野に含みながらも、しかし結果は、出演組数の減少があったとはいえ、3日間の公演(無観客・配信ではありましたが)を可能とし、そして無事に終えることができました。心より感謝申し上げます。
次に私の担当したカンテとギター部門を中心に全体を眺めてみます。

<カンテ部門>
(奨励賞)吉田光一さん:とても丁寧で細やかな歌い口とその声が魅力的でした。
(準奨励賞)土井康子さん:長年カンテに携わってきた歌いっぷりには、その存在の重さがありました。
次に印象に残った方たち。その前に、全体を通して気になったことを。それは喉をしめすぎてはいなかったかということ。個人的な見方かもしれませんが、もう少し、ほんの少し、楽にしてあげたほうが良かったではないか。しめすぎは声の個性や、時としては情感起伏の乏しさを招きかねないか、と危惧しています。また、音程については、更なる研鑽を求めたいと思います。そもそも歌自体の成立(旋法)や言語(発音からくる困難さ)の、日本との違い、文化に起因する違いを克服することが決して易しいことではないこと、よく承知しております。我々の共有する問題のひとつです。それらのことを踏まえて…。
遠藤郷子さん:アイレも良く、次は歌い回しを更に。
中里眞央さん:弱く歌っているところの質を保って。
中山えみ子さん:内なるエネルギーを外へ向けて。
岡村佳代子さん:音程と歌い回しの更なる向上を。
近藤リナさん:前半の発声が少し気になりましたが、後半はそれがなくなりました。聴き応えがありました。
田村めぐみさん:とても良く研究されていると思います。更にきめ細かさを。

これ以外の方たちにも、その差の紙一重という方たちが多く、今後にとても期待しております。課題は皆さん上記の方たちと同じです。また、情感の及び達する範囲が、狭く小さく感じられ、より広く遠くへ飛ばすことの望まれることも…。三枝さん吉田さんなど。スタイル的にそうなのでしょうが、意識を変えるだけで飛んで行くと思います。

<ギター部門>
(奨励賞)YŪNAさん:曲というよりは楽曲とでも形容すべき、今まで耳にしたことのない、遥かなるシギリージャに取り組んでの演奏。シギリージャ本来の味わいとは別世界の感がありましたが、ひとつの方向としては興味あるもの。また、演奏も大きな破綻もなく、良い演奏でした。
富名腰健多さん:思いもよらぬ曲のまとめ方で少し戸惑いを覚えたのも事実でした。印象としては、演奏が雰囲気的なものに偏り過ぎてはいなかっただろうか。ソロとしては、根太く骨太の部分も求められるかと思います。
おふたりはまだ若く、今の段階で、1975年頃以前のギターソロ(カンテ伴奏も含め)に、少し触れてみてもよいと思います。機会を逃すとなかなか手が回らないと思います。

次に群舞とバイレソロですが専門的なことは担当の委員にお願いして、少しばかり述べてみたいと思います。
群舞は2組、賞には届きませんでしたが、それなりの評価はありました。バイレソロは例年のように高い水準での競演となりました。その講評は各担当の委員にお任せし、それ以外で印象に残った方たちのお名前を列記したいと思います。鶴幸子さん、大塚淳子さん、細川由香さん、榎本遥菜さん、吉田智宏さん、林由美子さん、中村太香子さん、青木千鶴子さんなどです。そのほかにも素晴らしく演じられた方たちが多く、選び述べること、私の手に余る…というのが本音です。
出演された皆様、伴奏で支えておられた方たち…皆様のご活躍をお祈りしつつ、またこの場でお目にかかれること、楽しみにしております。

小島章司(理事長、舞踊家)[Bs,Bg,G,C]

<カンテ部門>
8.三枝雄輔:ギター伴奏のエンリケ坂井との二人の空気感、aireとcompásを生み出す。
9.吉田光一:時間の積み重ねが伝わって来た。カンテの“流れ”を生み出した。
11.細野勝:声質がカンテに向いているように思った。Letraの一つ一つを普通に何度も繰り返し読んでみると良い。語るように。話すように。

<ギター部門>
17.富名腰健多:確かなギター・テクニックに裏打ちされた演奏は安定し、実力の程は実証された。
18.YŪNA:シギリージャを演奏していると言うよりは、宇宙より降って来るオーケストレーションによって組み立てられたような〈音楽としての不偏性〉を示した。フラメンコの一つの概念、-PESO-については時が導いてくれるだろう。

<バイレ・群舞部門>
19.ともだち列車たからもの号withかーちゃんず:今あるものを自在に扱っている、動かしている……という感じが好感を持てた。

<バイレ・ソロ部門>
【28日】
1.持田賀津子:踊りの幅と深さ…身体づくりをもっと徹底してトライしてみてください。
2.近藤朔:ゴヤの絵の1シーンを想起させた。美しさと残酷さの入り混じった世界観を見た。
3.大津絵里香:身体のコアな部分をもっと鍛錬してください。振りに込める内なる力を求めて下さい。
4.平田かつら:もっともっと踊り込んでください。回転の美しさと精緻さを追求して下さい。
5.畑中美里:よくまとまり、踊り込んだあとが見てとれる。もっとフラメンコの深みに入り込み、自分の心の奥を開示できるように。
6.齋藤朋之:Farrucaへの敬愛が見受けられトラディショナルを尊崇する姿が素晴らしい。時に上半身が大きく鳥の羽根が広がったような感覚があると良いなと思った。
7.鶴幸子:作品全体のバランス良かった。もう少し尖った所が有っても良いのでは…。とても味わい深い踊りだった。
8.小西千絵:pasoの一つ一つに“感じるもの”が顕れるように。〈集中力〉。
9.中原千惠:フラメンコを感じる〈こころ〉を培って行こう。もっともっと練習を積み重ねて下さい。
10.大塚淳子:身体の使い方。BRAZEOの大・小使い分けの工夫考えてみてください。
11.細川由香:踊り全体の序破急とてもうまくシンクロしていた。
12.伊藤美恵:作品全体は佳作。後半口が開いているのが少し気になった。
13.岩崎沙彌香:身体の軸をもっと鍛えよう。そうすることで踊り全体の有機性が生まれると思う。
14.森永泉美:振付、構成、踊る力のバランスが光った。
15.榎本遥菜:Compasによく乗って、そののりを上手く生かし、爽快感に溢れた踊り。
16.三宅由起:多くの思いを秘めた作舞。最後のMachoの部分、歯を食い絞り口元をしめて欲しかった。
17.片野佳加:所作とエネルギーがどっちに流れているかを再考してみてください。
18.尾場心彩:身体全体が弾んでいてバランス、コンパス感素晴らしい。Buleríaの〈軽快さとのり〉はほど良かった。
19.辻陽満里:踊りの機微を表現するにはもう少しの熟成が必要。沢山稽古して下さい。
20.鰐部恭江:身体の切れが良く、シャープで歯切れが良く“小気味よい”Baileでした。
21.常盤直生:振付に拮抗する肉体を作る作業をしてみたら…。BrazosのちょっとしたTernuraも必要なこと。
22.千葉真優美:オーソドックスなcoreografíaがあなたの表現にとてもマッチしていた。どっしりした造形が好印象。
23.川﨑晃子:踊る喜びを身体全体で伝えてくれました。

【29日】
1.小河あや:bata de colaのmanejoが充分発揮できていなかった。Colaを持ってずっとescobillaを続けるのも一考してみてください。
2.中里眞央:〈動き回っている〉ような感じを受けました。自分でも味わい、その味わいを客席と共有する。
3.後藤春美:身体全体の機軸が統率出来ていないように思いました。基礎の部分もしっかり励んで下さい。
4.富沢良子:escobillaに重きをおいているが、踊りの中ではもっと多様性やその他の要素も含まれるべき。
5.飯島由貴:もっともっと練習を積み重ねて下さい。一歩ずつ前進。
6.上野尚子:上半身、下半身のバランスを今一度一考してみて下さい。
7.山口麻里子:慈しみやフラメンコへの敬愛の念が伝わって来た。丁寧な運びが好感をうむ。
8.二村広美:machoのletraに耐える力、肉体と精神のせめぎ合いを感じさせ踊りを成功に導いた。何度か見せて頂きましたが、今回とても感動が伝わりました。
9.鈴木旗江:踊りをもっとステージ一杯に展開してほしい。スペースの配分を考えてみて下さい。
10.林亜矢子:少し心肺機能を鍛えて、ブレスの配分を考えて下さい。踊る身体づくりをはかってみて下さい。
11.吉田智宏:大渕博光さんのカンテの力に誘発されてシギリージャの宇宙感を現出させ、魅力を発揮。
13.本多清見:踊りの最終部の音楽、間の捉え方が美を生み出した。
14.林由美子:長い手足の描き出すラインの美しさが際立った。
15.小林由佳:予期せぬ〈想定外のものをみせられた〉ような印象を受け、嬉しかった。
16.仙場なお美:もっともっと鍛錬を積み重ねて下さい。
17.中西美津奈:大げさではない中に、美しさやフラメンコの良さをアピールしていた。
18.松木晶乃:“muy flamenca”とても可能性を秘めて……。
19.中村太香子:全体の構成は素晴らしい。Contratiempoの単音のmarcarがぴったり入らない所を気をつけて。
20.町井直美:Zorongoという曲について良く考えて見て下さい。Mantónの使い方ももう少し工夫出来ると良いですね。
21.大森田鶴:前半ゆったりした部分、身体全体の有機性を高め肩、股関節等の広がりを模索してみてください。
22.中山みのり:Taranto→Tangoへの気分の切り換えが絶妙。〈tiene mucha gracia〉
23.青木千鶴子:何度もあなたの踊りを見せて頂きましたね。今回はその蓄積を見せて頂きました。Mantón最初から最後まで熟考の跡が示されました。

小林伴子(副会長、舞踊家)[Bs,Bg]

今回はコロナ禍の拡大の時期と重なり、間際に無観客開催となってしまいました。大変残念に思っていたのですが、舞台上の出演者の熱量は何時もの新人公演と変わらず、3日間の熱演が繰り広げられました。配信で観客の皆様にお届けすると言う今までに無い形式に、どんな感じになるのか心配しつつの開催ではありましたが、世界に繋がるであろう撮影機材が中央に据えられた会場に冷たい空気感は無く、立ち会った少人数の幸せな関係者は、皆さんの緊張感のある迫力の熱演を一足お先に見せて頂きました。
この熱演をカメラの向こう側で何時も以上に大勢の人が観てくれると思うと、この特殊な状況下でも新人公演が無事開催出来た事はとても意義ある事だったと感じています。

私はバイレ郡舞部門とソロ部門の選考に参加させて頂きました。コロナ禍の人が集まり辛い不利な環境を押して参加した、2組のチームの仲間の絆とフラメンコを楽しむ姿勢は素晴らしいことです。ただ当日の舞台では2組ともに緊張が解けず1人1人がそれぞれ一生懸命になってしまいました。共に舞台上に居る仲間との何時もそうであったであろう空気感が外に出なかったのが残念でした。

<バイレ・群舞部門>
NO.19:「ともだち列車たからもの号withかーちゃんず」との命名から、何時も皆んなで楽しんで、良い感じでお稽古して居る事が一番表現したい事だったのでは?と、勝手な個人的想像をしました。
NO.20:「カラコレス」も構成がお互いを意識して踊る様に出来ていて、踊った皆さんもしっかりと踊っていました。でも緊張からか今回の舞台では、見合ったりサパテアードの掛け合いが「形」だけになってしまった様に、私には見えてしまいました。
ソロ部門の舞台を見た後でふと、群舞は無観客に適さないのかも、と思いました。もし劇場に満員の観客だったら、いっぱい応援する身内や友人達が来ていたら、違う演技と結果が見られたかも知れませんね。
と言うのはソロ部門で私の投票した方達を、後から振り返るとシリアスなヌメロを踊った方ばかりになって居るのに気づきました。今回の無観客と言う状況はバックのmusicosの熱量を受け劇場の大きな空間に向かって1人で立つと言う緊張感を生み出して、ソレアやシギリージヤの緊迫感を増幅し、明るいヌメロを踊った方達には不利に働いたのかも知れませんね。今この後記を書きながら表現と環境の関係を考えています…。もちろん、置かれた環境を味方につけたり、悪条件をものともせず!も実力が有ればこそですが…。

奨励賞は出演組数の1割程度と言う規定が有り、今回のソロ部門は選考委員各自5名を推薦する投票形式で行われました。新人公演はヌメロもスタイルも自由ですから「比べる」事が大変難しく、選考委員は皆人数を絞るため苦渋の決断をしなければなりません。広く大きなフラメンコの価値観の中で投票する側の基準も皆それぞれですが、協会では敢えて記名投票のみとして技術点芸術点などで計らず、順位を決める審査はしていません。今回の選考委員は15名ですから、当然大勢の方の名前が上がり1割程度と言う規定に、何票の方まで奨励賞に決定するのかも苦しい線引きです。

私が投票した方の中にも惜しくも奨励賞を逃した方がいらしたので一言。
28日NO.22:千葉真優美さん:出だしのどっしりとした静の動きと足音がとても印象に残っています、深い表現が私にとってはとても好みの一押しのソレアでした。
29日NO.11:吉田智宏さん、高速サパテアードと力強い男性的な表現は迫力満点でした。

満員の観客と一体となって益々熱く盛り上がる何時もの新人公演を希求しつつ、次回、その熱気をより多くの方に伝える為に、今回の無観客配信は未来への大きな一歩となったのでは無いかと思いました。

今田 央(ギタリスト)[G]

今年は参加2名と少数でしたが若いながらも両名とも例年に負けず劣らずの濃密なギターソロの世界を構築してくださいました。

<ギター部門>
富名腰健多
自作かどうかはわかりませんがイントロの音使いや間の取り方は良かったです。全編を通してフラメンコギターとして良い音でした。
イントロの期待感に比べて本編は割と普通というかトラディショナルな音使いでした。イントロを弾かずに本編を膨らませたほうがよかったと思います。もしくはイントロを膨らませて別のパロに仕立てるとか、これはちょっと聴いてみたいです。
本編はロングトーンを生かしたファルセータが多かったのですがソレア・ポル・ブレリアである以上もう少しコンパスを出したほうがいいと思いました。所々コンパスが微妙な箇所がありました。ぜひ再挑戦してください。

YŪNA
今回奨励賞に推しました。5分という限られた時間で最大限自分をアピールしていました。自作ではないようですが物語性のある曲を最後まで緊張感を保ったまま弾きこなす表現力、テクニックは過去の受賞者と比べても何等の遜色もなく、参加者一人でも奨励賞に推していたと思います。

岡本倫子(舞踊家)[Bs]

<バイレ・ソロ部門>
【28日】
持田賀津子さん:良く踊っていましたが、振りに追われているように感じました。また、クラシコ風の衣裳と光もののアクセサリーの多用はタラントらしさを半減させていたように思います。
近藤朔さん:ドラマチックな雰囲気の構成に感心しましたが、詩の朗読は踊りを説明的にしてしまったようで残念でした。
大津絵里香さん:身体のラインがフラメンコらしく素敵でしたが後半は頭とマノを動かしすぎたせいかバランスの乱れが気になりました。
平田かつらさん:安定感と存在感のある素敵なソレアでした。
畑中美里さん:脱力したような独特な身体使いとブラソの動きで踊る姿が不思議に魅力的で以前から気になっていた踊り手さんですが、今回もタラントで魅せてくれました。
齋藤朋之さん:フラメンコに真摯に取り組んでいる姿に毎回感動です。
鶴幸子さん:照明のあたったステージ上では衣裳のブルーグレーの部分、光りすぎるアクセサリー類、顔の表情などが踊りそのものよりも目立ってしまって踊っている姿が見づらかったのが残念でした。
小西千絵さん:しっかり踊っているのに「大きい舞台を全て使おう」と思ったのか動きまわりすぎになってしまったようですね。大きい舞台でも一人で踊る時は稼働スペースを絞ったほうが観る側が集中できると思います。
中原千惠さん:振りはしっかり踊っていましたが、表情が全く変わらなかったのでフラメンコ人形のようでした。振付を忠実に踊ることから一歩進んで踊りこむことをお勧めします。
大塚淳子さん:振りを大切に踊っていて好感が持てます。硬さがとれるまで踊りこんでいただくと素敵なソレアになると思います。
細川由香さん:お上手です。口を動かしすぎなことと常に怒りの表情で踊っているのが気になりました。
伊藤美恵さん:肩に力が入りすぎるので止まる時にぐらつきがでますね。また、口をゆがめて踊らないようにしたほうが良いと思います。
岩崎沙彌香さん:身体の上下の動きが多すぎるように思いました。ブラソの使い方ももう少し抑えるとバランスがとりやすくなると思います。
森永泉美さん:振りを丁寧にそして大事に踊っていてとてもいいソレアでした。
榎本遥菜さん:華のあるステージ姿が素敵でした。確かなテクニックも併せ持っていてこれからがとても楽しみです。
三宅由起さん:細い身体でありながらペソを感じさせる良い踊りでしたが、黒ワンピースのファルダ部分のシンプルで軽い動きがそれを半減させてしまっていたようでした。もう少し重さを感じさせるものをと思いました。
片野佳加さん:振りの激しい感じには女性らしすぎる表情と大きな花・イヤリングはちぐはぐな感じがします。
尾場心彩さん:「オーレ!ムイ・フラメンキータ」でした。
辻陽満里さん:ひとつひとつのポーズはとても美しいのですが動き出すと足の開き方、あげ方、ファルダのさばき方がデマシアード(やりすぎ)で大あばれになってしまいフラメンコからは程遠いものになってしまったように思います。
鰐部恭江さん:フラメンコ的な強さとエレガンシアに溢れた素敵なソレアに感動しました。
常盤直生さん:とても上手いと思いますが、エレガントな衣裳・アクセサリーとマニッシュな踊り方に違和感を覚えました。また、顔の表情も表出過多な気がしました。
千葉真優美さん:良く踊っていたと思いますが、爪先の方向をもっと意識して動くと重心のずれによるぐらつきがなくなると思います。
川﨑晃子さん:上手いかたですが、顔で踊っている感が否めないのが残念です。

【29日】
小河あやさん:踊りはお上手です。口の動きと顔での表現が多すぎると思います。
中里眞央さん:テクニックは素晴らしいと思います。衣裳の金色部分が照明で反射して観客席からは視界が遮断されるのでステージでの着用にはご一考をと思いました。
後藤春美さん:バタ・デ・コーラとマントンは良く捌いていたと思いますが、その動きに終始していたようでソレアを感じることができなかったのが残念です。
富沢良子さん:外連味のない集中したシギリージャに納得です。ありがとうございました。
飯島由貴さん:体幹を鍛えて肩の上がりとぐらつきがなくなるとよいですね。衣裳と沢山すぎるヘア・アクセサリーがタンゴ・デ・マラガの曲調にはそぐわないような気がします。
上野尚子さん:フラメンコの身体の使い方とテクニックを身につけてください。口と頭の動きでリズムをとるのはやめましょう。
山口麻里子さん:クラシカルかつエレガントな衣裳でマニッシュに踊るのは違和感があります。ご自分のエスティロを生かすための衣裳選びをお勧めします。
二村広美さん:黒い衣裳と抑えた色あいの髪飾りでゆっくりと動きだした姿には風格さえ感じました。その後も安定した動きで素晴らしかったのですが、エスコビージャに入ったあたりから様子が一変。ファルダの裾幅又は捌き方は振りの大切な要素のひとつとして認識していただきたかったと思います。あそこまで下半身が丸見えになるファルダの扱いはフラメンコ的な美的感覚から逸脱しているのではないかと残念に思った次第です。
鈴木旗江さん:踊りはとても安定していましたが、前のめりの体勢で動くことが少なくなると踊りにもっと説得力がでてくると思います。
林亜矢子さん:メタリックな生地を多用した衣裳は照明で反射することが多くなりフラメンコのステージには不向きと思います。また、前のめりの姿勢ではバランスがくずれる箇所が多くとても気になりました。
吉田智宏さん:足首が見える細身のズボンの長さと凝りすぎデザインの靴の組み合わせはとてもちぐはぐな印象を受けました。次回はステージに立つ前にご一考を。
山形志穂さん:肩の上がりが多いのとブラソとマノを常にひらひらと動かしているのがとても気になりました。
本多清見さん:上手い踊り手さんですのであまり演じようとしないで自然体で踊った方が素敵になると思います。
林由美子さん:また、一段と実力がついてきた踊りっぷりに感心させられましたが、衣裳と髪型はもっとシンプルにした方が林さんのエスティロにあうように思います。
小林由佳さん:一曲全てをハイテンションすぎる顔の表情で見せられると観ているのに疲れる気がします。押しつけがましい表現にならないように減り張りをつけるとよいのではないでしょうか。
仙場なお美さん:演じようとしすぎず、先ずはぐらつきを防ぐために体幹を鍛えて踊ることに専念できるようにしてください。
中西美津奈さん:素直に踊ることに集中してそれを楽しんでいる様子が素敵でした。
松木晶乃さん:すばらしい集中力であなたのソレアを踊り切った姿に感動しました。これからの成長を楽しみにしています。
中村太香子さん:シャープな動きでのシギリージャ、とても良かったと思います。でも、最初から髪周辺のゆるい整え方がとても気になっていましたが危惧していたことが起こってしまいましたね。出演前には最後の点検を忘れずにです。
町井直美さん:マントンをとても上手く使いこなしていましたが町井さんには少しサイズが大きかったように思います。また、赤い花も大きすぎて身体とのバランスが取れていなかったのが残念でした。
大森田鶴さん:動きの詰まった振りではなく長い手足を生かしたゆったりした振り付けで踊られることをお薦めします。
中山みのりさん:安定感のある踊りが素晴らしかったです。
青木千鶴子さん:マントンをよく扱っていると感心していましたがマントンの動きが多すぎたため後半はマントンにしか目がいかなくなってしまいカーニャであることも忘れていたのが残念です。

片桐勝彦(ギタリスト)[G]

今回は2名だけの出演でしたがレベルが高い演奏だったので、奨励賞が出て良かったです。曲作りや奏法上の点で気が付いたことを、一言ずつ述べさせていただきます。

<ギター部門>
富名腰健多:印象的なEmからのイントロで始まり、メジャーセブンスやオギュメントなどのモダンなテンションコードと伝統的なフレーズを織り交ぜた構成で、センスの良い曲に仕上がっていると思いました。
強いて言えば、メロディーラインがはっきり聞こえてくるのはアンティグアなフレーズの中だけで、ファルセータと言うよりは1コンパスで解決するプエンテのつながりが多かったと思います。
しかし、ポル・アリーバで弾くソレア・ポル・ブレリアは古い雰囲気に陥りがちであるにもかかわらず、裏拍の多用やラスゲアードのリズムパターンなど、現代的なアプローチで、何度も聴きたくなる演奏でした。
右手の奏法としては、親指のプルガールを使ったアポヤンド、アルペジオ、ラスゲアードが全体を占めていて、短いアルサプーアの他は速いピカードやトレモロも無かったのですが、落ち着いて丁寧に弾いていて、ミスタッチもほとんど無い好演奏でした。
リズムも速すぎず遅すぎずでちょうど良い速さのソレア・ポル・ブレリアで、クリック音やメトロノームで演奏しているほどリズムが正確でした。しかしコントラや複雑なリズムのフレーズは、強弱(音量)や間(呼吸)、音色(感情)などをさらに強調して演奏しないとコンパス感が伝わりにくくなってしまいます。
終始一定のミドルテンポのソレア・ポル・ブレリアという曲種はコンパスのセンティードを出すことが難しいですね。
パルマやカホンなどが入っていれば問題ないのですが、ギターだけの演奏なのでフレーズの塊(かたまり)感を出して休符まで演奏する感覚が大切だと思います。
今回と同じテンポでも、むしろソレアのクレジットの方が表現しやすかったかもしれないですね。また良い曲を作って聴かせてください。楽しみにしております。

YŪNA:奨励賞受賞おめでとうございます。
6弦をDに下げての変則チューニングが終始効果的に響いていて、スケールの大きい安定感のある好演奏で、自分も一票入れさせてもらいました。
リズムや音量、音色、技術ともに安定していて、途中何度か出てくるポルメディオでのペドロ・シエラのフレーズも無理なく弾きこなせていて、曲の完成度も高かったです。
左手が柔らかくしっかり開くので、人差し指で押さえる低音弦やスラーなどの音も丁寧に弾いたことが好感を持つ演奏につながったと思います。
さらにシギリージャにつきものの強いプルガールのフレーズもしっかり音が出ていて、下降進行のピカードなど、フィナーレに向かうまでの曲の構成も効果的で盛り上げ方も絶妙だったので、トレモロや長いアルサプーアのフレーズなどが無くても充分な演奏でした。
i指・m指・a指のアポヤンド奏法はビセンテ・アミーゴのような音色と力強さで、ラスゲアードやプルガール奏法とのコンビネーションも良かったので、アルペジオの細かい音使いの箇所までさらに丁寧に弾ききることを心がけてください。今後も期待しています!!

加部 洋(プロデューサー)[G,C]

<ギター部門>
今年は出場が2人という少なさだったが、例年よりレベルは高く、現代を反映する新鮮な演奏だった。
富名腰健多君●安定したテクニックやその正確さで、ギターソロ曲として纏めるのが難しいソレア・ポル・ブレリアに挑んでいた。音の輪郭、味などフラメンコだったが、足りないところがあるとすれば、それはコンパス感だった。渋くて味わい深いソレ・ポルのコンパスをもっと前面に出て欲しかった。
YŪNAさん●壮大なシギリージャだった。まるでオーケストラのようでもあった。そのタッチ、音色もスペインの香りが横溢しており、素晴らしかった。シギリージャには盛り込みにくい音楽的展開が成功し、極めて完成度の高い壮大なシギリージャになっていた。

<カンテ部門>
このコロナ禍にあってもカンテ部門が、それ以前と同様に隆盛であることに安堵ができた。しかし全体の印象として、声を張り上げること、朗々と歌うことを勝負所と考えている出場者が多かったように思う。フラメンコにはコンパスがある。コンパス感で勝負する人がもっと出てきてほしい。気にとまった出演者を書きます。
遠藤郷子さん●経験と真摯な学習の結晶とも言える、堂々たる安定感のソレア。遠藤さんの魅力あるカンテを過去にも聴いたことがあるが、このソレアでは自分のものになりきっていない未完成な部分を感じた。
中里眞央さん●声量があり、音程も良く、ペテネーラのメロディを正確に辿っていた。ただ、もう少しテンポを上げて軽めに歌って欲しかった。
中山えみ子さん●極めて個性的な特徴ある発声の持ち主。よく聴くと、細かい節回しまで神経が行き届いており、味わいあるピニーニのカンティーニャだった。後半の盛り上げも上手かった。
齊藤綾子さん●単調になりがちのバンベーラを緊張感をもって歌い上げた。少し音程がフラットになったり、節が回り切きらなかったりしたのが残念だった。
三枝雄輔君●ブレリアの真骨頂である軽妙さ、楽しさ、面白さを引き出した歌い口に感心した。フェステーロを目指してください。
吉田光一君●彼のフラメンコ人生が投影された味なアレグリアだった。節回しに何とも言えない魅力があり、発音も良かった。最後は大熱演だった。
細野勝君●今回の出場者の中で、最もフラメンコ的な声の持ち主。これから長丁場磨きに磨きをかけてください。
深谷恵子さん●確実に上手くなっている深谷さんを聴いた。発音も良くなっているし、いつも良い節回しに磨きがかかっていた。最後のひと節は感動的で素晴らしかった。
岡村佳代子さん●少年のようなボーイッシュな声が魅力的な岡村さん。そこに年輪が加わり更に良くなっていた。ティエント部分に若干の声のうわずりがあったが、タンゴになってストレートに声が出ていた。
土井康子さん●チャコンのグラナイーナがその味わいをしっかり伝える形で表現されていて、確かな進歩が感じられた。最後の盛り上げで若干節回しに揺れがあったのが惜しかった。
近藤リナさん●難しいタランタを音程良く、強弱も、節回しも忠実に再現されていて好感が持てた。研鑽を積めば更に上手くなる可能性を感じた。
田村めぐみさん●ハスキーな中音域の声がフラメンコに向いている。音程も良く、マラゲーニャのアイレが伝わってきた。節回しに磨きをかけてほしい。

鈴木敬子(舞踊家)[Bs]

<バイレ・ソロ部門>
(印象に残った方々)
近藤朔さん:毎回とても楽しみです。今回は物語がありとても個性的だった。作品を創ることにじっくりと時間をかけてきたことを感じ、衣装も工夫されていた。踊るときの身体のブレが少し目立った。
大津絵里香さん:身体の動き方が美しい。もう少しフラメンコ的な重さが欲しい。少し硬さが残るので今後は多くの本番の経験を重ねて頑張って欲しい。
平田かつらさん:安定したバイレ。ペソもありブラッソもマノも丁寧に使われていた。無観客ではあるものの会場の空気を熱くした。
畑中美里さん:とても踊り慣れている。時々ブラッソの気が抜けてみえる感じが気になったが、全体的に良かった。
齋藤朋之さん:バックの伴奏者との音楽構成が良く創られていた。もう少し踊りにキレが欲しいが、オレ!と言うところがたくさんあった。何度も新人公演に挑戦されていることが素晴らしい。
大塚淳子さん:重みがあるバイレ。もう少し自由に身体を動かし力のコントロールが出来てくれば更に良くなると思う。
細川由香さん:大きいバイレ。サパテアードがリンピオで、全体的に丁寧に踊られていて好感が持てた。
森永泉美さん:前半は硬かったが後半とても良かった。身体の使い方が良くとても上手い。
榎本遥菜さん:華のあるバイレ。しなやかな動きのなかにも切れ味も良く、強く大胆な動きも良かった。彼女のこれからがとても楽しみです。
尾場心彩さん:フラメンカ!パンチがあり目を引き付けるバイレ。時々ブラッソや上半身の気が抜けてみえるところが気になるが、これからたくさん経験を積んで行って欲しい。
辻陽満里さん:大きなバイレ。柔らかい動きが魅力的。サパテアードも良く練習されている。少し線が細いので、重みのある動きが加われば更に良くなると思う。
鰐部恭江さん:丁寧なバイレ。フラメンコ的なペソがある。サパテアードも気持ちよくとても良かった。
常盤直生さん:エネルギーのあるバイレ。とても安定していて後半が特に良かった。
千葉真優美さん:出だしカンテ・ソロの中での雰囲気がムイ・フラメンコだった。ペソのあるバイレ。後半の盛り上がりがもう少し欲しかった。
川崎晃子さん:パワーがあるバイレ。強さとキレがあり、踊りの軸が安定していてとても良かった。
中里眞央さん:サパテアードがリンピオで気持ち良い。メリハリのあるバイレ。衣装がフラメンコらしさや振付を発揮しにくくさせて見えた。
後藤春美さん:迫力があって力強い踊り。マントンも上手く使っていた。
二村広美さん:安定感のある丁寧な踊り。サパテアードのコントロールも良く、新人公演に挑戦するごとにとても良くなっている。
吉田智宏さん:時々ブラッソの使い方にハッとする瞬間があった。曲の後半が更に熱くなりとても感動した。ぜひまた観たいので挑戦を続けて欲しい。
林由美子さん:踊りのラインがとても美しい。安定した良い踊り。もう少しペソが出て切れ味も増したら更に良くなると思う。
小林由佳さん:元気が良く楽しみながら踊っているのが伝わった。もう少し動きや顔の表情を抑えたら更に良くなると思う。
松木晶乃さん:フラメンカなバイレ。内に秘めた静かな強さを感じる。身体が力に負けてブレるところが少し気になったが、これからが本当に楽しみです。
青木千鶴子さん:マントンを上手く使ったバイレ。練習量の多さが想像できます。新人公演に挑戦するごとにとても良くなっていく姿を見て感動した。

鈴木英夫(ギタリスト)[G,C]

コロナ禍の中で無観客で開催された今回の新人公演でしたが、沢山の応募者の方々のお陰で何とか開催できました。しかし私個人としてはギターの参加者が2名しかいなかったのが寂しかったです。今回は初めてカンテの選考もさせて頂きましたが、そちらは伴奏者の視点から感じた事を書かせて頂きます。

<ギター部門>
まず2名しか参加なされなかったギターの方々ですが、お二方共々技術的な面で言えばとても素晴らしく、聞き応えのある演奏を聞かせて頂きました。ソレア・ポル・ブレリアの富名腰さん、個人的見解としてはもう少しソレア・ポル・ブレリアらしさが欲しかったです。ソレア・ポル・ブレリアの持つソレアでもなくブレリアでもない独特なファルセータ、リズム、コンパス感が、今ひとつ感じられませんでした。でもギターのテクニックはとても良かったのでもう少し研究して弾き込めば素晴らしい作品になると思います。
YŪNAさん、ギターテクニックもリズム感もとてもしっかりしていて安心して聞いていました。舞台では緊張していて、早いフレーズが少し荒かった感がありましたが、全体的に見てかなりしっかりと弾ききっていました。数少ない女性フラメンコギタリストとして今後がとても楽しみです。

<カンテ部門>
カンテに関しては私自身は歌わないので細かいことは言えませんが、それぞれ皆さん個性豊かなカンテで楽しませて頂きました。昔、あるスペイン人のカンタオールが「カンテフラメンコはスペイン人、それもアンダルシアの人間でなくては歌えない。たとえスペイン人でも北部の人間やスペイン語圏の南米でもダメだ」と言っていた事がありましたが、まさか全くの異国である日本でこんなにカンテフラメンコを歌う人が出てくるとはその人には想像出来なかった事でしょう。それだけカンテフラメンコは難しいのですが、その難しいカンテを良くぞここまでやったと感心しています。以前はカンテと言うとスペイン人歌手の真似をしてか、無理に声を作って歌う感がありましたが全体的に見てほとんどが自声で無理なく歌われていたのはとても良かったと思います。カンテは音程、リズム感がとても大切で、リブレの歌であってもそこにそれぞれの曲のもつコンパスを感じさせなければならないのですが、皆さん良く勉強されていると思いました。フラメンコの根本はカンテです。これからも益々日本人によるカンテフラメンコが増えて来ると信じています。個人的に感想は申し上げませんが、今後が楽しみな方々がたくさんいらっしゃったのは嬉しい限りです。

鈴木眞澄(舞踊家)[Bs,Bg]

大きな舞台の真ん中に立って、ただ片腕を上げただけで全身鳥肌が立ちました。何十年も前に私が観たフラメンコの原点です。到底届きはしないのですが、向かっていく先の揺るぎない目標です。それは、どうしてなのか未だにわかりませんし、一生かけてどこまで行けるのかも全く自信はないのですが、向かう先にある変わらぬ願いです。
そんな私のフラメンコ観を持って、新人公演を観るたびにフラメンコとは何なのかを問い直します。私が思ったことを書き出してみますので、すべてのみなさんがもう一度考えてみて 新しい発見や見直しのきっかけになれば嬉しいです。

○選曲…なぜこの曲なのか?
その唄の意味するもの、根底にあるもの、組み合わせ等。
○ギターやカンテをどなたにお願いするか…文字通り三位一体となったら素晴らしいです。舞台上で心のやりとりが見えるのです。
○構成や演出…シンプルでオーソドックスな構成にするか、何か演出的なものを考えるか?演出するならば何を伝えたいか?さまざまな演出や変わった振付は面白くはありますが、シンプルなフラメンコが見たいとも思います。
○衣裳…自分に似合ってるか?曲や振付にあっているか?優雅な衣裳に土臭い振付は似合わないと思いますし、逆のパターンもあるかと思います。
○小物や椅子の意味…なぜ椅子が必要だったか?なぜ小物を使いたかったか?
小物はすべて自分の一部になって表現をより広げると思います。粋な踊りに帽子をかぶったらもっと素敵に、おおらかな振りにマントンを持ったらよりダイナミックになるように。
○根が張る事が基礎ならば、
そこから真っ直ぐに幹が伸びて枝が張り、それでこそ素晴らしい花が咲くと思うので、まずは基礎ですね。
花だけ派手に咲かせようとする方が多いと感じました。
見た目もその瞬間もインパクトはあるので目を引きますが、心に残りまた観たいと思えないのでとても残念です。基礎は具体的に言えば、ぐらつくのは体幹と 重心が安定していないのが原因かと思います。根と幹ですね。根は存在感にもつながってきます。地面を掴んでいないと軽い感じがしてフラメンコらしくなくなってしまいます。
上半身の動きは、キレのあるところか流れを重んじるところか、緩急や強弱があってこそ全体的にメリハリのある一つの物語のような曲が出来上がるのかと思います。
○何が心に響くのか?
大きな課題ですが、腕一本あげるのにもそこに込める意味や曲を構成しているすべての人の感情があると思います。
○私がよく落ちる大きな穴があります。
「私ってどお?いい線いってるでしょう?」言葉にすると恥ずかしいですが、こんな感じかと思います。こんな風に舞台に立ったらどうでしょう。

精一杯、一生懸命、全身全霊。自分のすべてをかけて向かう姿勢が人の心を打つのかと…。でも、どこか冷静に客観視する自分もいないと、ただの一人よがりになってしまいます。まだ答えの見つからない私などの意見ですが、少しでもお役に立てれば幸いです。もし、ご希望がありましたら一緒にフラメンコのこと考えましょう。

曽我辺靖子(舞踊家)[Bs]

<バイレ・ソロ部門>
【28日】
近藤朔さん:心に秘めた想い‥挑戦し続ける姿にオレ!
平田かつらさん:タメがあり、緩急あり、バックとの三位一体も素晴らしい。深い味わいを感じました。今回の一推しです。
畑中美里さん:サパテアードのリズムを楽しみながら心地よく踊っている姿に拍手。
齋藤朋之さん:ファルーカの曲を大切に誠実に向かい合っている姿に好感が持てました。
鶴幸子さん:上体からブラッソの流れが美しく、実に良く踊り込んでいる。
森永泉美さん:安定感あり。パワー溢れる大人のソレアでした。
榎本遥菜さん:身体も良く動き、サパテアードもしっかりしています。今後が楽しみな踊り手さん。
尾場心彩さん:4年前、群舞で踊っていた少女がここまで成長しましたか!パワー溢れる踊りにびっくりです。若年にもかかわらず自分なりのフラメンコを感じ表現している姿に脱帽。
辻陽満里さん:身体のしなやかさを十分に生かした踊りが魅力でした。
鰐部恭江さん:カンテを良く聞き、緩急の表現が良い。サパテアードもリンピオ。
川崎晃子さん:キレ味が良く、強さみなぎるソレアでした。

【29日】
小河あやさん:エレガンテで華やかさのあるカンティーニャスでした。
中里眞央さん:身体が良く動き、まとまり良く踊っている。
後藤春美さん:始めのマントンさばきは圧巻で印象的でした。
富沢良子さん:フラメンコの雰囲気が漂ってくる踊り手さんです。
二村広美さん:心地よいサパテアード、体幹もあり貫禄を感じるシギリージャでした。
吉田智宏さん:難度の高いサパテアードに挑戦し、非常に頑張っている姿に、練習を積んだ成果がよく出ています。
山形志穂さん:美しく流れのあるアレグリアスでした。
林由美子さん:後半の集中力が素晴らしい。
小林由佳さん:衣裳、振付、雰囲気すべてが個性的で楽しいアレグリアスでした。
仙場なお美さん:後半はノリ良く、コケティッシュな雰囲気が出ていました。
中西美津奈さん:マノが美しい。動き過ぎず抑え気味の感じが素晴らしい。
中山みのりさん:タンゴがとても良く印象的でした。
青木千鶴子さん:マントンを身体の一部として表現し、最後まで離さず踊り切った姿に拍手。

高橋英子(舞踊家)[Bs]

<バイレ・ソロ部門>
【28日】
持田賀津子(タラント)
サパテアードなど良く練習なさっていて、踊る喜びが表情に出ていて微笑ましかったです。まだ身体が使いきれていないのでちょっとフワフワしてしまいました。頑張ってください。
近藤朔(カミナンドエンソリタリオ)
詩の朗読、パーカッションを効果的に使って構成したシギリージャ。衣装のセンスも冴えていて、自分の人生や踊ることへの思い入れを感じとれました。フィナーレの演出も素敵、可能な限りの力を注ぎこんだ演技の中に独特の表現も盛り込み大熱演、好感度更にアップでした。
大津絵里香(タラント)
しなやかな上体、ブラッソで感情の豊かさが伝わってきました。安定した技術でまとまった演技で健闘しましたがあと一つ押しのある力強さや味付けが不足気味、今後の課題ですね。
平田かつら(ソレア)
大きな体の隅々にまで気が入っていて重みある踊りでとても良かったです。全体的にブラッソや動きに硬さを感じ、それが取れると表現に幅が広がるように思いました。
畑中美里(タラント)
しっかり自分のスタイル、フラメンコ感を掴んでいるところがいい、強いですね。確実なテクニックに加えて自分の表現方法、味付けが独特なムードを醸し出している。その求心的な演技がフラメンコでとても良かったです。
齋藤朋之(ファルーカ)
帽子がダンディ。歌無しで叙情的なバイオリン響きの中で伝統的なスタイルのファルーカを熱演、帽子の演出も効いてなかなか洒落たファルーカとなり、十分楽しめる踊りでした。正統的な確実さを追求していてセンスの良さを感じました。
鶴幸子(ソレア)
青系の素敵な衣装とモダンな感じのブラッソ表現で足さばきのテクニックも効いていました。気の入った動きの中での不安定感はありましたが全体的にフラメンコ性を追求したいい踊りだったと思います。
小西千絵(シギリージャ)
舞台を大きく使って振りもダイナミックで男性的、心を込めてしっかり踊っていたと思います。まだ技術的に甘い部分や、それなりの繊細な上体のブラッソ表現などを研究してこれからも頑張ってください。
中原千惠(ガロティン)
粋な衣装で軽やかなガロティンのリズムで明るく始まりしっかり踊りました。容姿もかわいい、振り付けもいいですね。表情がないのは緊張していたからでしょうか、今後に期待しますね。
大塚淳子(ソレア)
イメージ通りのどっしりした踊り、しっかりしたサパテアード、男性的な振りを自分なりに熟していて悪くはなかったと思います。ただ、表情がなく、温かみが薄れてしまいちょっと残念でした。
細川由香(タラント)
上体をしなやかに持っていく振りの数々は空間に映え、フラメンコを感じながらシャープに決めていく流れが美しくて良かったです。あとは粘りある身のこなしを研究していくとよいかなと思いました。
伊藤美恵(シギリージャ)
気力にセーブが利かなかった部分が目立ちましたが、シャープな動きはそれなりの表現で綺麗です。ブラッソを活かして細部の表現をもっと豊かにフラメンカにできたらいいなと思いました。
岩崎沙彌香(アレグリアス)
時々見せる笑顔が可愛く明るさを大切にしていて良かったです。もっと勉強できることが沢山あって楽しみです。単なるブラッソのマルカールでも大切にアイロッソに、等々。頑張ってください。
森永泉美(ソレア)
ちょっと日本人離れした顔が目を引き汚れなく一途なイメージで迫り、それなりの雰囲気を作り出していました。振りの仕上げの歪みが気になる部分もありましたが、フラメンカなアクションが時々決まっていて良かったです。
榎本遥菜(ソレア)
全体に清楚なイメージの中に芯のある求心的で真摯なフラメンコ性を感じました。見る人はその踊りに自然に引込まれてしまうという華があって、今後もっとフラメンコらしい要素を身に付け大きく伸びていく資質は十分にあると思いました。頑張ってください。
三宅由起(シギリージャ・イ・マルティネーテ)
全体的に地味なムードの中でも健闘し、気を入れての演技で曲のイメージを大切に踊っていたと思います。気が付いたことは手の指の硬さとバラツキが目立ってしまうことで、とても目立ちますので研究してみるといいのではないかと思いました。
片野佳加(ソレア・ポル・ブレリア)
舞台映えする容姿がソレア・ポル・ブレリアのコンパスに乗ってフラメンカなムードを醸し出し、技術的乱れはありましたが、ほぼ安定した演技でした。何なのかわかりませんが視線にばらつきがあって集中度が低いイメージになってしまう、そんな感じが惜しかったです。
尾場心彩(ソレア・ポル・ブレリア)
何とも愛くるしい生き物っていう感じで、細かいこと抜きに、ただただ楽しませて頂きました。振付が全くの現代フラメンコのノリで面白いし、視線が凄い。先生が教えるフラメンコをしっかりものにしているって感じです。
辻陽満里(ソロンゴ)
テアトロ風な構成・演出で振付した曲をそつなく踊り切り見応えある演技でした。技術的にはこれからもっと修正できるところも残っていて今後に期待がかかります。
鰐部恭江(ソレア)
歌振りの表現よし、正統的な流れのエスコビージャよし、ため込みよし等全体にフラメンコが漂う演技が人々を魅了しました。何をやっても上手く決まる技量、なかなか上品で高尚な世界を築いていて素敵でした。
常盤直生(ソレア)
キリッとした目の辺りがEstrella Morenteを彷彿させ、時々見せるちょっと姉御風な顔の表情などフラメンカで印象的です。みなぎるエネルギーが炸裂した男性的な振りの数々で圧倒、それなりに楽しめる豪快な演技で悪くはなかったと思います。
千葉真優美(ソレア)
なかなか太い芯を感じさせます。大人っぽい雰囲気で品も有り堂々とした踊りは見る人に安心感を与える。技術的にもフラメンカに決まるところが多い踊りで重量感ありじっくり楽しめとても良かったです。
川﨑晃子(ソレア)
非常に気合が入り、顔面にそれが表れる。数々の振りやレマーテをダイナミックにこなし、エネルギッシュで凄味がありました。ファルセータの部分ではオーソドックスなマルカールでしっとりと、後半のブレリアもはちきれる笑顔で全体的に余裕ある演技で良かったです。

【29日】
小河あや(カンティーニャス)
衣装も表情もパッと明るく、丁寧に踊っていたのが印象的でした。特に大胆な振りやバタさばき等もないシンプルな趣で良かったです。頑張ってください。
中里眞央(ソレア・ポル・ブレリア)
黒の袖なしワンピースにゴールドのラインが洒落た現代的イメージの衣装で登場、伝統的なカンテに身を預けてモダンな雰囲気で子気味よく、それでいて心が籠められている踊りで良かったです。
後藤春美(ソレア)
バタ・デ・コーラとマントンをさばきながら堂々としっかり踊られていて良かったです。ただバタを持ち上げたり振り回す時や、フィナーレの引っ込みなどに荒っぽさを感じてちょっと残念な気がしました。
富沢良子(シギリージャ)
ちょっとコロコロした容姿が舞台に映えて、個性的でフラメンカな趣きがありました。シンプルな振り付けに芯のある凝縮したパワーが違和感なく加わり貫禄ある演技でとても良かったです。
飯島由貴(タンゴ・デ・マラガ)
まだ経験の浅さから緊張などが全体に漂ってはいましたが、椅子と絡む演出のある振付を頑張って踊り、好感が持てました。これからもレッスンに励んで頑張ってください。
上野尚子(アレグリアス)
マントンを振り回して元気いっぱいのアレグリアス、楽しそうな笑顔でしっかりマントンが良かったです。私的には、ブレリアの部分でグラシオッサなパタイータが一つでもあったら嬉しかったです。
山口麻里子(ソレア)
バイオリンの響きとともにしっとりとしたイメージで始まり、なかなかしっかりした演技でよかったです。ですが、全体的にブラッソが地味で印象が薄く、硬いイメージがつきまとっていた感がありちょっと残念でした。
二村広美(シギリージャ)
黒のフラメンカな衣装に身を包み、自分の世界を追求しました。全身にバネの利いたコンパス感、バランスの崩れをしぶとく次に持っていくところ等に実力のほどが伺われ、なかなか肝のある踊りでたのもしかったです。
鈴木旗江(シギリージャ)
サパテアードもしっかりしていてベテラン風の落ち着いた雰囲気が良かったです。ですが、振りでアピールするものがうまく押し出せていない感があり、平坦なイメージが付きまとってしまったようでちょっと残念でした。
林亜矢子(シギリージャ)
舞台映えする容姿で、時々綺麗な後ろ姿が印象的です。でも勿体ないのは、表現する段階で上体やブラッソの技術が追い付きません。軽いイメージにならないように是非とも体の使い方等を改善できるよう頑張ってみてください。
吉田智宏(シギリージャ)
シルバーグレーの成熟した魅力、自分の世界を颯爽と飄々と表現していて良かったです。力の籠ったサパテアードも男らしくて強くなかなか熱の入った演技でたのもしかったです。もう少し大胆な演出があっても良かったような気はしました。
山形志穂(アレグリアス)
可愛い容姿で上体などのエレガントなイメージで伸び伸びと踊っていたのが印象的です。小さなレマーテをもっと粘りとかをもって決めていくといいと思いました。
本多清見(シギリージャ)
重い曲の世界に浸ろう、入ろうと気を入れていたと思います。もっと上体のマルカールでブラッソが利いた振りを取り入れると本人のイメージに合った無理のない仕上がりになるのではないかと思いました。
林由美子(ソレア)
なかなか個性的なアイレを持ち、自分の世界にしっかり集中しているところがいいです。技術的にも安心して見られ、歌振りは上体も美しくフラメンカ、全体的に躍動的に大きく踊っていて良かったです。
小林由佳(アレグリアス)
いきなりブレリアで始まり、短いファルダで愛嬌たっぷりに楽しいアレグリアス。終始表情豊かで自分でも本当に楽しんで踊っている感じが観ていて嬉しくなります。音楽構成も振付も違和感なく楽しめました。ファルダにもう少しボリュームあってもよかったような???
仙場なお美(ガロティン)
衣装のシンプルな色遣いそのままのうるさくない踊りで良かったです。振付に可愛らしさがあり、まだあどけなさがある柔らかい踊りですが楽しく拝見しました。頑張ってください。
中西美津奈(ソレア・ポル・ブレリア)
キリッとしてしっかり踊っていて良かったです。もっとマルカールに粘りのあるコンパス感を身に付け表現力が増すともっと良くなると思いました。頑張ってください。
松木晶乃(ソレア)
舞台映えする容姿、熱唱のソレアde Trianaに気持ちを込めての踊りで良かったです。振りの一つ一つをもっと練習し腰を据えて踊れるようにこれからも頑張ってください。
中村太香子(シギリージャ)
スラっとした細身の身体でシャープな踊り。全体的に身体の硬さが抜けて、どっしりと味を出せるようマルカールを勉強するといいのではないかと思いました。頑張ってください。
町井直美(ソロンゴ)
マントンを使って印象的に始まるソロンゴを熱演して良かったです。マントン無しの部分のマルカールにもっと丸みと粘りが付くといいなと思いました。
大森田鶴(タラント)
身体の線が細くて華奢なイメージですが、時々素敵なポーズも見せました。まだ振りをこなすだけのテクニックが伴っていないので無理があったように思います。頑張ってください。
中山みのり(タラント)
出だしで顔つき雰囲気がFernanda Romeroを彷彿させフラメンカなイメージが漂い、踊りも私としてはオリジナルなアイレを出していたと思います。タンゴで表現しきれない振りなどを今後アイロッソに仕上げていけるといいと思います。
青木千鶴子(カーニャ)
自分のフラメンコをマントンに託したカーニャ。スリルあるマントンさばきをしっかり練習なさっていて堂々としていて、存在感満ちた演技でとても良かったです。終始マントンを振り回し力の入った白熱の演技に見入ってしまいました。

手塚真智子(舞踊家)[Bs]

<バイレ・ソロ部門>
持田賀津子さん:振り付けを追うことに懸命で曲の解釈やご自身の考えが見えなかった。
近藤朔さん:人生の物語、ドラマを観ているようでしたが、伝えたいものを受け取れずに残念に思いました。
大津絵里香さん:ブエルタや止まりで目線が決まっていました。
平田かつらさん:大人の踊りになったなぁ!と感じました。“意気込み”が強すぎたように感じましたが、見応えのある舞台姿でした。
畑中美里さん:プログラム写真よりずっとguapaでした。足音がきれいで、ペジスコもありました。
齋藤朋之さん:フラメンコに対する誠実な姿勢がとても良く伝わり、気品のあるファルーカでした。
鶴幸子さん:練習を積んできたのだと思いました。
小西千絵さん:振り付けとご自分の思いや考えが繋がっていないように思いました。
中原千惠さん:基本的な身体作りを行い、表現力につなげて欲しいです。
大塚淳子さん:タメが足らず、ブラッソがソレアのシメになっていなかったのが残念でした。
岩崎沙彌香さん:体幹、身体の芯が出てくると動きのバランスが良くなるのでは?
森永泉美さん:ソレアの曲調とご自分なりの掴み、メリハリ、表情も豊かでした。
榎本遥菜さん:表現力に富み、将来その力をどのように花開かせるのかが楽しみです。
三宅由起さん:とても良く踊り込んでいると思いました。足の打ち方が浮いて見えたのが気になりました。
尾場心彩さん:凄い目力です!今のご自身と本当に合っている表現だったのかな?と考えてしまいました。
辻陽満里さん:振り付けとご自分のギャップを感じてしまいました。もう少ししなやかさを出せる曲目の踊りも見たかった。
千葉真優美さん:ソレアの重みを感じました。ブエルタの首のキレに欠けていたのが残念。
川﨑晃子さん:ブラッソののびやかさ、キレがありました。
小河あやさん:止まりでブラッソとコンパスのズレが気になりました。
後藤春美さん:バタの捌き方きれいでした。
富沢良子さん:重厚さを感じ、引き込まれました。呼吸法が上手なのでは?
飯島由貴さん:緊張が伝わり私までドキドキしました。後半に笑顔が見られて良かった!身体作り、歩き方、背中への意識を!!
上野尚子さん、元気のあるアレグリアスで好印象でした。ブラッソのしなやかさが欲しかったです。
山口麻里子さん:爆発力?が足らないのか表現したいものが伝わらず残念でした。
鈴木旗江さん:空間の使い方は計算してのことでしょうか。その意図が分かりませんでした。
吉田智宏さん:力強いシギリージャでした。
山形志穂さん:身体のしなやかさを活かしたアレグリアスでした。
本多清見さん:丁寧に踊っていましたが、全体的にはメリハリを感じられませんでした。
仙場なお美さん:構成の良さを感じました。また衣裳もおしゃれでした。
松木晶乃さん:将来が楽しみです。ペソが出てくると良いです。
中村太香子さん:¡Baila bien!
町井直美さん:熱演でした!マントンも大切に扱っているのが好印象でした。
大森田鶴さん:おしゃれな衣裳が良く似合っていました。手の使い方、手のひらが妙に目立ちました。
中山みのりさん:安定感と迫力のある踊りでした。
青木千鶴子さん:重いマントンを大変良くさばいていましたが、動かしすぎのように思いました。

本間牧子(舞踊家)[Bs]

フラメンコは「魂の叫び」とよく言われます。自分自身としっかり向き合い、その一瞬一瞬にすべての力を注ぎ込み踊りきる。この大きな舞台で緊張しない人はいないと思います…。ただ他人との競争ではなく、自分の心と体をひとつに集中させ乗り越え輝いていくことだと思います。大地にしっかり立ち生きるという証「魂」を込めて!言うのは安し…ですね…すみません。

<バイレ・ソロ部門>
心に残った方々
【28日】
近藤朔さん:カエルの詩…生と死、苦悩悲しみ、絵本を見ているようで…後半の盛り上げが素晴らしく泣けてきました。
平田かつらさん:微動だにしない軸と芯と集中力、力強さと迫力の中にゆったり見せるブラソ、マノ、重心移動の間。素晴らしいソレアでした!
齋藤朋之さん:ファルーカのひとつひとつの振りを大切に思いを込めながら踊られていて、とても嬉しく心に染みました。
鶴幸子さん:しっかりとした軸、前半のレトラ、しなやかなブラソの間に心打たれました。森永泉美さん:メリハリ躍動感がありアイレいっぱいのフラメンコ!ムイ ビエン。
尾場心彩さん:自然体フラメンコ!おもいっきり自由でありながら自分の意志をしっかり持ったかっこ良さがあり、楽しく見入ってしまいました。
鰐部恭江さん:シンプルな中にしっかりとした重量感とアイレ、内に秘めた迫力を感じさせてくれました。
常磐直生さん:怒りとも思える強さと迫力、強烈なソレアで壮快でした。

【29日】
二村広美さん:軸がしっかり落ち着いたプーロフラメンコ、アイレを感じました。
吉田智宏さん:静と動のコントラスト迫力またそこから生まれる間、静止の素晴らしさ集中力…感動しました。
中村太香子さん:力強さ、メリハリがありアイレが伝わってきました!構成も良くマチョ素敵でした。
青木千鶴子さん:マントン使い、一体感があり素晴らしかったです!自由に空を飛ぶ鳥のようで…舞台に溢れた世界観がとても魅力的でした♪

出演されたすべての皆さまの活躍、躍動をこれからも楽しみにしています。

渡邊薫(舞踊家)[Bs,Bg]

2年ぶりに開催された第30回新人公演。コロナ感染拡大でぎりぎりに決定された無観客開催、そして初の配信。それにも関わらず、意欲的に出演してくださった皆様に感謝いたします。
★は奨励賞に推薦した組、方たち(敬称は略させて頂きました)

<バイレ・群舞部門>
★・ともだち列車たからもの号withかーちゃんず
フォーメーションの工夫が各所になされ、場面ごとに変化があり、ドラマティコな構成。各踊り子の中にフラメンコのアイレが感じられた。全員の気持ちの一体感がすばらしかった。
・中尾真澄フラメンコスタジオ
3人の美しい動き、アバニコ使いにも工夫がされていた。ただ構成、フォーメーションにもう一工夫あれば、作品としての完成度が高くなると。

<バイレ・ソロ部門>
【28日】
・近藤朔:朔太郎の詩に、そして練り上げられた構成で独自の世界観を表現された。今までで最高の作品。
★・平田かつら:存在感があり、しっかりと自分の想いを持続し、なおかつリズムの持っていき方がドラマティコで素晴らしい。
・齋藤朋之:以前よりサパテアードは安定している。ファルーカのジャマーダの重要性を意識して。少し詰め込みすぎ感あり。
・鶴幸子:よくまとめ上げて踊られた。今まで出演された中で一番良かった。
・大塚淳子:サパテアードがリンピオ。上体の表現をもっと豊かにしなやかにすると良くなると思います。
・細川由香:とても印象に残る踊り手。来年に期待!
・森永泉美:エスコビージャの出だしが印象的。ペソ不足が残念。
★・榎本遥菜:空間のとらえ方が上手く、自分のものとして踊り込んでいたのが良かった。
・三宅由起:よくまとめられた構成。後半のグラつきが気になった。期待しています。
★・尾場心彩:思わずole!が出ました。すばらしい集中力、アイレもあり良かった。少し荒けずりの面もあったが今後も大いに期待しています。
★・鰐部恭江:大人の踊り。メリハリが効いていて、ブラソの美しさも際立っていた。
千葉真優美:マルカーヘが良く、ブラソが表現豊か。来年に大いに期待。
・川﨑晃子:抑揚の効いた踊りで自分のものとしていた。次の高い目標を目指して!

【29日】
・中里眞央:踊りを詰め込みすぎた感があった。それ故(⁉)か力みが見えてしまった。
・富沢良子:ペソを感じるマルカーヘが良い。フラメンカの雰囲気がありとても好感を持てた踊り手。次回に大いに期待!
・山口麻里子:のびやかなブラソが表現豊かでした。内なる想いとの対話を大切に。
・二村広美:新境地を開いた(⁉)、もっと動きを抑えた方が良くなるかと。ファルダの扱いに注意を。
・吉田智宏:久々に観せて頂きました。本人の強い想いが伝わってきたシギリージャでした。サパテアードもリンピオ。パンツの短さが気になったが、それは意図的⁉
・山形志穂:確かなテクニックに裏付けされた踊り。でも何故かこちら側に伝わってくるものが感じられなかった。この点に向かい合ってください。
・本多清見:マルカーヘにもっとペソをもって踊ってください。
・小林由佳:短いファルダなので足先への意識は行き届いていて良かったが、全部同じカラーでちょっと平坦に感じた。
・中西美津奈:魅力ある躍り手、後半の盛り上がりが良かった。首の前傾に注意を。
・松木晶乃:溜めがあり素晴らしい唄振り。もっと自信を持ち思い切り良く。アイレもたっぷり。今回惜しい1人です。
★・中村太香子:サリーダのテンションの高さで圧倒!自分の踊りとしてよくまとめ上げ素晴らしかった。
・中山みのり:躍り込んでいて彼女のアイレを上手く引き出していた。タンゴが良かった。
・青木千鶴子:上手なマントンさばきではあるが、終始せわしなく扱ったのはマイナス(!?)だったのでは。十分に経験のある踊り手なので、引き算の構成を考えてみてはどうでしょう。

市川惠子(舞踊家)[Bs,Bg]

このコロナの困難な時期、自分を奮い立たせ頑張って来られた皆様、出演して下さったことで勇気と希望を頂きました。今年も個性豊かで振付もそれぞれ工夫され技術もしっかり、上手な方が多く、5人だけに絞るのは本当に大変でした。

<バイレ・ソロ部門>
私が奨励賞に推薦した方々は、
★平田かつら:始まりからずっと見入ってしまった。身体もぐっと締まり、重みも増し凛とした存在感。溜め、含み、絞りもあり、唄との兼ね合いもよい。回転がまだ甘いのでフラメンコ的に回る工夫を。静かだが力強い心を打つ見応えのある重厚なソレアに感動。
★鰐部恭江:安定した実力を感じさせる完成度の高い踊り。素晴らしい身体能力、ブラソ、マノも美しく腰が据わっている。優雅だが、するどさも気迫もあり、静と動のバランスが良く魅力的。豊かな表現力で惹きつけたが、もっと剝きだしの激情も見てみたい。
★榎本遥菜:エレガンテ。落ち着きがあってしなやかだが力強い。空間の切り方が良い。足が鋭く、エスコビージャの切り替えも気持ちよく、全体に見ていて心地よい。好感が持て素直に心に残った。内から滲み出るフラメンコ独特の表現をさらに深く追求して行ってほしい。将来が楽しみ!
★尾場心彩:子供ながらすごい。抜けも素晴らしく、強い意志を感じた。フラメンコ性も高く、コンパス力もあり、その個性的な踊りに魅せられた。強烈に訴えかけてくるものに目が離せなかった。オレ!見栄を切るばかりでなく、静かなより深い表現力を大切にしてほしい。
★中村太香子:細いが溜める力があり、マノもブエルタも美しく繊細でしなやかだが切れ味も良い。コンパス力もある。舞台の使い方、構成も良い。真摯な情熱に胸打たれ、空気感が一時も緩まない、そのひたむきな踊りに魅せられた。さらに深み・重みを増した踊りに期待。
次点として推薦したのは、
★吉田智宏:渋い!また観られて嬉しい!踊り続けていたのですね!込める力があり見てしまう。足もしっかり!独特の個性で面白い。内から絞り出すような感情表現に引き込まれ、味のあるその踊りがなぜか心に沁みる。

特に印象に残った方々は、
✩畑中美里:フラメンコをよく知っている。ブレの無い身体。さりげないがすごく上手い。唄の合間に入る足も心地よく、細かい足も事も無げに打つ。ジャマーダも強くキメの瞬発力もある。タンゴの入口も粋。味のある独特な個性のある踊りに魅せられたが、唄の重み、強烈なものを発するところがほしい。
✩常盤直生:個性的、気迫に満ちインパクト大。足もしっかりしている。振りが大胆なので少し荒々しく見えたが全体の流れも良くフラメンコの熱さをを感じ心惹かれた。どこか繊細なところがあると激しいところももっと生きる。
✩二村広美:堂々たる風格。素敵な始まり。身体が締まってきて雰囲気も良い。足の音もきれい、タパオも良い。落ち着いた静かな重みを感じさせコントラストもハッキリしていて良い。全体にしっとりと心に沁みてよかったが、もっと強烈に行き着くところがほしい。
✩林由美子:フラメンコ性もあり、込める力、含みもある。内に秘めたものを何か感じるが、ジャマーダはもっと強く!唄の始まりが動きすぎ。ブレリアからは素晴らしかった。しっとりと込めたもの、もっと強烈なものが欲しい。ファルダを持つ肘に気を付けて!

次に印象に残った方々は、
◎大津絵里香:身体能力に優れ、しなやかだが生命力に溢れた踊り。まとまりも良く、魅力的な緩急のあるダイナミックな踊りに惹かれた。タンゴからのノリもよい。欲をいうと重みが欲しい。
◎鶴幸子:個性が光り良い。身体のラインで見せ、しなやかで美しく印象的。バランスよく整っていて心地良い。独特な感性を感じさせるが振りがモダンなのでフラメンコとしてもっと強烈に訴えかけてくるものが要る。ブレリアの前にもっと行き着いて欲しかった。
◎細川由香:印象的な始まり。身体も出来ていて含みもある。柔軟な身体使いで、全体の流れも良く魅力的なのだが、まだどこかに緩さがある。もっと熱さ・激しさ、どこかドンとしたところがほしい。
◎伊藤美恵:自分の意思が強く感じられ、身体の切れも良い。エスコビージャも奏でていて全体のバランスが良い。腰の落ち着ついた気迫のある踊りに惹きつけられ、熱い気持ちが伝わってきた。
◎森永泉美:以前に比べドシッとしてきた。コンパス力もあり、ジャマーダも強く気迫もある。込める力、溜めも出てきた。フラメンコの活気を感じる印象的な踊り。より深い感情表現を期待する。
◎片野佳加:しなやかで伸びやか。コンパス力もありジャマーダも強い。頑張りを感じたが表情が不自然。感情から湧き出るフラメンコとしての自然な顔の向き表情は大切。深みと重みが出るとさらに良い。
◎千葉真優美:ブラソだけで見せる振りもドーンとしていて良かった。足も良く、大切にしているものがじわじわと伝わって来たがまだ心をとらえる何かが足りない。もっと深さ、激しさ、鋭さも欲しい。
◎川﨑晃子:フラメンコへの心意気を感じる、込める力もあり小粒でピリリ。コンパス力もあり気迫も感じられるのだが、気合が入りすぎていたのか、ずっと力んだ表情なのが気になった。
◎小河あや:カンティーニャスらしく晴れやかでノリは良いが、パルマが強すぎて足の音があまり聞こえなかった。バタのさばきが少し中途半端。表情豊かでフラメンカな所もあるが、決め手にかけた。
◎鈴木旗江:落ち着きがあり静けさの中に秘めたもの感じる。色々しているのに印象があまりかわらないのが残念。もう少し空間の使い方を考えて。内に込めるだけでなくどこか行き着くところがほしい。
◎中山みのり:足がフォルテで印象に残る。無駄なものがそぎ落とされ、ずいぶんと良くなったが、ブラソが時に曖昧。ポーズの前にもうひとひねりほしい。切り替えがドラマチック。パワフルでカラッとしていて見ていてスカッとするが、タンゴはもっとノリで踊れるはず。
◎青木千鶴子:すごい!精進を感じる。作品として立派だと思う。マントンさばきも素晴らしいが、肘とマノに注意。そぎ落とされた凛とした佇まいに練習に裏付けされた自信を感じるが、体にもっと奥行きがほしい。フラメンコとしての独特の感情表現について考えて。

今後に期待したい方々は、
●三宅由起:前半は少し固く感じ、足を打つたびに身体が動くのが気になったが、気迫もあり込めたものを感じ伝わってくるものがある。じわじわと盛り上がりを見せ特に後半は良かった。
●辻陽満里:美しいのだが、もっと重々しく踊ってほしい。いちいち大げさで気になった。タパオの足は綺麗で印象に残った。もう少しフラメンコ独特の動きを自然に取り入れてみては。
●中里眞央:キメのポーズが多すぎ。ジャマーダが強く切れ味は良い、上手いのだが大げさすぎて慌しく感じ、かえってフラメンコ性が薄れているのでは。背中を使うともう少し踊りに奥行きが出る。
●後藤春美:印象的な始まりで素敵。まとまりもよく、打ち出しは強いが少し荒っぽい。マノと足の時にコーラを持つ位置に注意。泥臭いがフラメンカ。良いものを持っているので、更に丁寧に精進して。
●富沢良子:込める力、溜めもある力強い踊りだが、次への切り替えはハッキリと。足さばきは良いのだがもう少し変化が欲しい、後半にもっと強烈に訴え掛けるものが欲しい。
●山口麻里子:しなやかで清潔感がある。丁寧に踊っていて唄の締めも良い。頑張りも気合も感じるが、ブレリアの抜けが弱い。裏打ちの時のブラソは考えて。ブレリアから動き過ぎがマイナスに。
●山形志穂:初めの足が少し弱い。エスコビージャの時の身体の浮き沈みが気になった。ファルダを扱うと、足の動きが見えて効果的。エレガンテだが何かフラメンコとして訴えかけてくるものがほしい。
●本多清見:カンテのサリーダが印象的な始まり。静かだが心に染み入るところもあるが、手が甘い。ブエルタがフラメンコ的でない。良いのだが抑え気味なのでどこか強烈なところが要る。
●小林由佳:フラメンカなブレリアからの始まり。元気いっぱいでアレグリアスの活気がある。大げさな表情と奇をてらう衣裳がマイナス。せっかくノリもあるのだからもっと自然なほうが生きる。
●中西美津奈:身体が整っていて静かな良さがある。腰が落ち着いていて込める力もある。少しおとなしいが丁寧に踊っていて好感が持てる。が、もっと強烈に印象づける所、深い感情表現もほしい。
●松木晶乃:子供ながらに堂々としたソレア。自分の意志を感じて引き込まれたが、パルマの振りはもっとしっかり。マノとブラソはもっと学んで。将来が楽しみ。

今後の課題を頑張ってほしい方々は、
⦿持田賀津子:癖が取れて身体も整ってきた。女性らしくしっとりと落ち着いた踊りを見せた。ブエルタは練習が必要。ジャマーダも少し弱いが頑張りを感じる。更なる精進を期待する。
⦿近藤朔:作品として面白いがモダンダンスのよう。独特の表現力で枯れた魅力で仙人のよう。独自の世界観で魅入ってしまった。
⦿齋藤朋之:丁寧に踊っていて込める力がある。回転は練習が必要。バックの演奏がドラマチック。面白い構成と個性的な踊りでみせた。
⦿町井直美:大胆に生き生きと踊っているが、時にブラソに無駄な動きがあるので注意。もっとマントンを効果的に。振りは起承転結をはっきりすると良いのでは。
⦿林亜矢子:独特な雰囲気があり 激しい感情的なものは感じるのだが、気持ちが先行しすぎ。肘、マノをしっかり使って。足も色々しているが少し流れ気味。次の展開の前にもっと身体を締めて。
⦿大塚淳子:伸びやかで大胆な踊り、頑張りは感じるのだがソレアとしての身体の力、ブラソ・マノがまだ粗いので中途半端に見える。感情表現を大切に。
⦿大森田鶴:独特の雰囲気、感情表現もあるが、時に手が泳ぐので、手の納めに注意。ファルダの持ち方や足に入る間に気を付けて。
〇小西千絵:一生懸命さは伝わってきたが、まだ体幹が出来ていない。すべての合図が弱い。肘・マノをしっかり使って手の軌道に注意。基礎を大切に頑張って。
〇中原千惠:色々帽子のテクニックも使っているのだが、持ち方にも気をつけて。もう少し自分が楽しんで表情豊かに踊るとなお良い。まずは身体の軸作り。
〇岩崎沙彌香:拙いが楽しそうで良い。元気で晴れやか。身体の軸が曲がっている。基礎からしっかり頑張って。
〇飯島由貴:ちゃんと踊っているのだが、1本調子に見えるので強弱を考えて。肩があがって見えるので姿勢とファルダの肘に注意。まだ、身体が全部一緒に動くので基本を大切に。
〇上野尚子:新人らしく初々しい。可愛いがまだ拙い。肘の位置に注意。マルカールが流れ気味。タパオは身体で感じて、足のたびに上体が動くので注意。色々して頑張っているが全体的に締まりがほしい。
〇仙場なお美:少し寂しい始まり。はんなり、初々しく一生懸命踊っているが、ブラソもマノも足もまだ弱い。始まりからずっと印象が同じなので、ジャマーダは強く最後の唄の元気と晴れやかさがほしい。

<バイレ・群舞部門>
レベルは決して高いものではなかったが、この大変な時に一丸となって取り組んできた気持ちは伝わり、奨励賞を推薦した。
★ともだち列車たからもの号withかーちゃんず:印象的な始まり、フラメンコの活気を感じるシンプルな振り。何か熱いものを感じ、目が離せなかった。まだ拙い人も居たが、目力のある決め、抜け、気合、それぞれの個性を生かし、フラメンコの心意気が伝わってきた。身体に落ち着きが出てくるとなお良い。
✩中尾真澄フラメンコスタジオ:舞踊的にちゃんと基礎を学んでいるが、まだ身体と手と足が一緒に動いてしまう。構成も振りも色々工夫があり一生懸命な笑顔が可愛らしく好感が持て、気持ちが伝わってきたが、もっとフラメンコとしての力強さが要る。

皆様のひたむきに踊る姿に感動致しました。技術や振りだけにとらわれず自分の内から湧き出る感情を自分の身体を駆使してどれだけ表現できるのかが大切。自由に表現したいからこその身体作り、基礎を大切に。普段から唄と親しみ、そして何より好きな気持ちを大切にフラメンコならではの感動を胸にあなただけの踊りを追求して行って下さるよう願っています。

絵留歩火 岡崎(舞踊家)[Bs,Bg]

<バイレ・群舞部門>
「ともだち列車たからもの号withかーちゃんず」では、4年前の小さかった子どもたちが立派に成長していて、頼もしかったです。ここまで育ててきた指導者に心から敬意を表します!

<バイレ・ソロ部門>
持田賀津子さん、トップバッターのプレッシャーも、物ともせず見事に美しく踊り切りました。ラストが特に光りました。
鶴幸子さん、無音とゴルペの差が際立っていました。パソに気が入っていたし、ベテランの味も十分に感じられました。
細川由香さん、バックの良いメンバーにも恵まれ、それ以上に貴女の踊りが素敵でした。
榎本遥菜さん、衣裳のセンスも良く、ゴルペを上手に使っていました。
尾場心彩さん、小さいのに頑張っていましたね!気が入っているし、踊りは間違いなく上手になるはずです。ガンバレー!
鰐部泰江さん、実力は文句無し。サパテもしっかりしていて踊れる人です。
川﨑晃子さん、表情が良く気も入っていて、その上踊りにキレがありました。
鈴木旗江さん、音の間の取り方、静と動の取り方どちらも見事でした。
山形志穂さん、白い衣裳を美しく着こなしていたし、また、手先も女性らしく、スター性に満ちた踊りでした。

また、ここに書ききれなかった出演された全ての皆様、積み上げた努力は必ず報われます。この先もお互い頑張りましょう!

ロシオ・ロメロ(舞踊家)[Bs,C]

はじめに、コロナ禍にもかかわらず新人公演を開催してくれたANIFと、この困難な時期に努力をされた参加者全員に、感謝申し上げます。
<カンテ部門>
特筆すべきは、吉田光一さんが歌ったアレグリアスです。彼は、カディスの伝統的なスタイルを選び、豊かなアイレと知識をもって、実によく解釈していました。奨励賞の受賞、おめでとうございます。
三枝雄輔さんが歌ったブレリアスも、特記しておかねばなりません。(このパロで、新人公演に挑戦する人はほとんどいませんね。) 彼が選んだManolito de Maríaの歌詞、これはスピードと早口言葉という観点から非常に難しいのですが、エンリケ坂井さんの素晴らしい伴奏に乗って、コンパス感たっぷりかつ実に自然に歌っていました。よい声と可能性を持った女性の歌い手も沢山いらっしゃいました。私は彼女たち全員に励ましを送ると共に、以下の助言を差し上げたいと思います。それは、勉強を続けること、発音を大切によく気を配ること、常に良き先生を選ぶこと、そして、カンテに対する愛情を決して失うことなく、戦い続けること。

<バイレ・ソロ部門>
例外もありますが、全体的にレベルが下がっているように感じます。新型コロナの影響で、稽古や踊るための準備が以前より困難になっているのではないでしょうか。そこで、私がこれまで見てきた中で最もよくある失敗について話し、踊り手たちがそれに取り組み、改善できるようにできたらと思います。
まず、limpieza =きれいに整えることが、欠如していますね。técnica=技術とは、難しいパソを踏むことではなく、そのパソをきれいに整えることです。また、足をきれいに整えるだけでなく、多くが蔑ろにしているクエルポ(身体)、ブラソ(腕)、マノ(手)、それからペソの利かせ方、回転 (汚い3回転よりも、美しく整った1回のほうがよほどよい) 、レマーテ、シエレ、そうしたすべてを美しく整えることです。
また、とりわけ、解釈が足りていません。ある形式を他の形式と同じように踊ることはできません。それぞれの形式に独自のコードがあります。ソレアと同じことが、シギリージャやアレグリアスにも、あてはまるわけではないのです。それぞれのヌメロ(曲)で伝えたいこと(強さ、優雅さ、静けさ等…)に注意しなければなりません。そのため、どのパロを踊るかによって、ブラソやマノの動かし方、身振り、ステップや歩き方などに、細心の注意を払わなければなりません。
エンディングにも気をつけてください。エンディングが下手だと、これまでやってきたことがすべて台無しになってしまいますから。大急ぎで終わらせたい感じが満載で終わりにしたり、そそくさと走り去ったりするのはやめましょう。そのためにも、ステージで歩くことをよく学んでください。
少しずつ学び、練習していかなければならないことがたくさんあるので、常にあなたを導いてくれる良き先生、あなたによき伴奏をしてくれる良き音楽家を選んでください。

最後に、勉強を続けることをお勧めします。学びは、私たちが得ることのできる最高の賞だからです。全てのみなさんに感謝します。
(翻訳:瀬戸雅美/監訳:森田志保)

菊地裕子(評論ライター)[Bs,Bg]

総じて非常に見ごたえがあり、またフラメンコの多様性をも感じた3日間だった。バイレの全演目にコメントを書く。フィジカル面はプロの皆様が書かれると思うので、主に舞台表現、フラメンコとして求められるいくつかの要素に的を絞る。
以下、私が評価をした基準(あくまで私見)について、簡単に。
バイレとは、音楽やリズムに乗って舞うものとは違い、カンテやギターと同じように、伝統に根付いた、フラメンコでしか成し得ないやり方で、他の2者と向かい合い、共鳴し、触発し合って生まれる、やむにやまれぬ身体表現だと考える。また、新人公演が大きな舞台で行われる以上、広い空間をどう自分のものにし、観客の目を釘付けにできるかも、舞台に立つ者として必要な要素だ。
ソロであれ群舞であれ、舞踊技術や舞踊スタイルがどうであれ、最も重要な点は、その振付や構成を踊り手自身が消化できているか、フラメンコ表現として感性に訴えるものがあるかということ。そして願わくば、気高くあってほしい。高い精神性と感性と品格を持ったものであってほしい。
(★=奨励賞に推薦、☆=次点に推薦、◎=高評価、〇=評価、△=今後に期待)

<バイレ・群舞部門>
☆ともだち列車たからもの号withかーちゃんず/子供たちと「かーちゃん」たちの気合の入ったエンターテインメント。個々の舞踊技術より、終始、勇気と根性と、よく考えられたフォーメーションの変化で楽しませてくれた。やや乱暴な点もご愛敬。何より、出演者が皆、自分たちのやっていることを大好きだということが伝わってくるのがいい。ただただ、ずっと楽しかった!
△中尾真澄フラメンコスタジオ/3人によるカラコレス。よく練習されていることが伝わる丁寧な群舞。残念なのは、3人が3人にしか見えないこと。3人が5人にも10人にも感じられるだけの大きな空気感がほしかった。そのためにも、体の芯から動けるようになってほしい。アバニコも大きいものを自在に扱えるようになってから小さいものを使ったほうが、表現力に幅が出るのでは。

<バイレ・ソロ部門>
【28日】
△持田賀津子/しっかり踊れているように見えて、まだ振付をなぞっている印象。メリハリが足りず、自主性が感じられない。もう少し踊り込んで自分のものにしたら、その振付の持つニュアンスも深さもわかるようになるはず。
◎近藤朔/朔太郎の詩の朗誦と組み合わせたユニークな作品。カンテの最中、ギターが異化効果のような音色を出すのは、本来私は好きではないが、これは面白かった。舞踊というより、舞台作品としてのこだわりが感じられ、詩のフレーズと相俟って覚悟のようなものを感じたラストには感銘を受けた。オレ!
◎大津絵里香/身体の使い方が非常に美しい。ただ、タラントとしてもう一歩踏み込んで、切実に強く光るものが見たい。踊り手として良いものを感じるだけに、結果的に漫然とした印象を残してしまうのは、いかにも惜しい!
★平田かつら/出だしから強い印象がgood ! 凛として自分を持っている。動きの一つ一つにソレアの空気感が息づく。引き込まれる。そうそう、こういう説得力のある、しっかりした世界観を持った踊りが見たかったのだ。花開くとはこういうことか。2年は無駄じゃなかったなあ。感無量(涙)。
〇畑中美里/独特のモダンな振付がハマっているが、問題は構成か。小刻みなエスコビージャが多い印象で、大きな舞台でこじんまりしてしまった。もう少しクエルポの表現が豊かにできるようになると、もっと緩急がついて、自分の得意科目も生きてくるはず。
△齋藤朋之/好きなこと、やりたいことが決まっているのはひとつの強み。ただ、これだけシンプルな振付だと、よほど丁寧に弱点を潰しておかないとアラが見える。回転のバランス、キレのためにできることをもっと。
〇鶴幸子/踊りは達者で美しい。だが、単なるダンスに感じてしまう。踊りのスタイルがどうであれ、フラメンコは内なる感情をベースに踊るものではないかしら。踊りがたきを踊る、踊らざるを得ない「わたし」を探って欲しい。
△小西千絵/まだ振付をこなすので精一杯かも。でも、まずはここから。考えなくても踊れるぐらい、何度でも踊ってください。そしていつか、その振付が自然にあなたの生き生きとした感情を呼び起こすようになったらしめたもの!
△中原千惠/振付通り、ちゃんと踊れている。かもしれないが、「次はこう」と思う間に0.1秒遅れるため、全体に間延びした印象に。間違えちゃってもいいから、メリハリがつけられるようになるまで沢山踊って、自分の中にワクワクが広がるよう頑張る!
△大塚淳子/よく踊れているけれども、ソレアを踊るには「ゆるぎなさ」が足りない。それは意志であったり、愛情深さであったり、暗い情念であったりするかもしれない。どんなふうに踊っても良いのです。思いの深さを見せてください。
★細川由香/見る人を引き込む力を持っている踊り。自分の世界を描いている印象を持った。おそらく自身のイメージを形にできる人なのだろう。なんだか幻惑されたような感じ。面白い資質だ。表現者として、これからが楽しみ!
◎伊藤美恵/技量を感じさせる。内なるドラマみたいなものが伝わった。あともう少しゆるぎない身体の使い方を目指してメリハリに磨きをかけ、作品としてのステップアップを目指してほしい。きっと人を感動させることができる踊り手になるはず。
△岩崎沙彌香/まだ色々これからかな。見ていて緊張が伝わってきた。私も緊張症なのでよくわかる。ともあれ真っ先にやるべきことは、しっかりとした身体の芯を作ること。でないとどんなに美しいブラソも振り回しているだけに見えちゃいます。
★森永泉美/強さがあり、内なるエネルギーの埋蔵量が多く、それが迸る際のゾクゾクがたまらない。ステージを自らの支配下におき、リードし、自由に踊っていたように見えた。これ以上、何も足す必要がない。やっぱりソレアって良いなあと思わせてくれたうちの1曲。
◎榎本遥菜/伸びやかで気持ち良い踊り。振付に新味はあるものの、踊り手の感情は素直に伝わってくる。大きな踊りができる逸材だ。あとは、もっと深彫りして、曲のイメージの輪郭を太くしていけるといいな。
◎三宅由起/何しろキレが良い。個性的で、全く誰かの真似のように見えない。面白いなあ。瞬発力に裏打ちされた独自の魅力を生かすためにも、あと柔らかさを会得したら、表現の幅がさらに広がるかと。
△片野佳加/とりあえず振付はちゃんと踊れているが、まだ自主性を持って踊れてはいない。その振付で自分がどう感じるのか、感じたら動きはどう変わるのか、考えてみて。やりたいようにやろうと思った時、自分に足りないものが何か、自ずとわかるはず。
◎尾場心彩/まだ少女なのに、大劇場で真っ直ぐに客席と対峙し、ひるまないどころか、ヒターナ張りに「どうだ見たか!」と言わんばかりの気迫。驚くべき勇気だ。自主性はまだこれから。さらにコンパスにも舞踊性にも磨きがかかるはず。もう楽しみでしかない。
△辻陽満里/舞踊的に訓練された身体。だが、形がいくら美しくても動機が見えないので、お人形的な印象が拭えない。動機とは、例えばあなたがカンテ、ギター、振付から感じる何ものか。感じている者だけが感じさせることができると、私は思います。
◎鰐部恭江/かなり勉強しているのがわかる、とてもよくできたソレア。けれども、どこか演出家が演技するみたいに、自ら予定調和を招いて面白味が削られている印象。もっと大胆にやる部分を作って、全体の彫りを深くすること。熱を込めて。頭を捨てて、心を取れ。埋もれてはいけない。
〇常盤直生/力強い。それは美点だけれども、それ一辺倒だと見ていて疲れる。表現も硬くなるので感情が伝わりにくい。バイレの魅力的な要素のひとつに「落差」がある。観客の予想を裏切って、リズムや動きをわざと外すとか。それをやるにも柔軟さが不可欠。まずは、フラメンコ的ニュートラルな状態から力を入れると抜くの感覚を身につけて!
〇千葉真優美/筋の良さは感じる。ペソもある。だがまだ自主性が足りないし、こう踊りたいというイメージの輪郭がはっきりしない。自分の好きなフラメンコをもっと突き詰めてみては。
◎川﨑晃子/緩急があり、ソレアの世界をよく表現できている。だけど、あと少しばかり深みが足りない。あなたのソレアは母なのか、大地なのか、愛なのか、孤独なのか、心の奥底にある暗黒なのか。後半、思い切り息を吐いた瞬間があった。気持ちはわかるが、見ている方は冷めるので、我慢我慢。

【29日】
〇小河あや/全体に小さくまとまってしまい、可も不可もない印象に。大きな舞台で踊るには、動きの一つ一つを、その意味というか感覚から探って、丁寧に膨らませていくことが大事。なぜそこでそう踊るのかといえば、「面白いから」「恰好いいから」で良いのです。そう思って振付を見つめなおして。
◎中里眞央/非常にスタイリッシュな踊り。動きに無駄がなく、美意識を感じる。また、それを表現できる身体を作ってきていることが凄い。ただそれがなかなかフラメンコの感興を呼び起こさない。フラメンコの根底には「人間の感情のいびつさ」があるのでは。
◎後藤春美/力強く、迫力を感じた。大きな舞台だからこそのマントンだったのか、扱いはおおむね良くできていると思ったが、残念ながら美しいと思うには至らなかった。踊る身体ができていれば、マントンやアバニコ等の小物は圧倒的に練習量がモノをいう。頑張れ!
△富沢良子/ちゃんと振付通りではあるのだと思うが、まだ漫然と踊っている感じ。表現としてのエネルギーが足りないので、踊りが小さく見えるし、何がやりたいのか、伝わってこない。まずは踊る動機を探りながら、沢山踊ること。
△飯島由貴/まだ振付でいっぱいかな。背中が素(す)になっているし、時々軸がゆらぐので、振付もさることながら、身体作りをしっかりやってほしい。上半身もブラソも足も。鍛錬は嘘をつきません。
◎上野尚子/マントン捌きが何とも可愛らしいアレグリアス。終始、微笑みながら見てしまった。ブラソも美しいし、洒落っ気のある足捌きも楽しい。ただ、マントンに関して私は可愛らしいと受け止めたが、扱い方に問題なしとはしない人が多いかも。あなたらしい踊りにさらに磨きをかけて。
◎山口麻里子/独特の質感を持った踊り。顔や手先でもコンパスって表現できるのね。独自のスタイルで、面白いと感じた。この方向性を追求して共感を得るのは、かなり難しいかもしれないが、好きなことならとことんやってほしい。
★二村広美/非常に密度の濃いシギリージャ。今回の新人公演で最も心を掴まれた踊りのひとつ。緩急の緩はゆるむという字だが、フラメンコの緩は動きがゆっくりになっても身体のどこも緩んでいない。それが濃い密度を作り出す。その説得力。良い踊りに出逢えたことに感謝!
〇鈴木旗江/シギリージャだが、衣装や振付の感じから、ソレア・ポル・ブレリア的な印象。難しいことを丁寧に踊っているのは好感が持てるものの、手数というか足数が多く、空気はキュッと詰まっていても、エネルギーの総量が小さい感じ。もったいないな。誰か大きな舞台の経験者に見てもらって。
△林亜矢子/まだ振付を追っている段階。自分から発していく意識が足りないので、やりたいことがわからない。まずは動きを着実に自分のものにして、顎が上がる癖を改めないと、踊りに説得力が生まれません。
◎吉田智宏/数年ぶりの出場か。自分のスタイルを貫き、どんどん進めている感じで、終始、飽きさせないで見せたのは流石。凄みさえ感じた。エスコビージャも見事。こういう個性的な踊り手さん、もっともっと出て来てほしい。
△山形志穂/柔らかいブラソが魅力的。しかし残念ながら、例えば唄振り等で同じような動きが多く、飽きてしまう。身体の使い方は上手いのだが、全般的にフラメンコらしさが感じられない。沢山見て、研究してください。
〇本多清見/良く踊れているし、技術もある。ただそれが、こちらに何かを感じさせるということにはならない。むしろ、この力強いスタイルには、どこか無理がある。鎧のように感じてしまう。これはあなたらしい踊りなのか、あなたが踊りたいのはこういう踊りなのかと、聞きたい気持ちでいっぱい。
◎林由美子/ソレアの世界観が良く表現できている。振付に目新しいところは特にないものの、個性を覗かせた。良き踊り手だと感じる。このまま真っ直ぐに稽古を積み上げていって、自分自身の輝きを身に着けていってほしい。
◎小林由佳/コミカルな風味のアレグリアス。やや表情を作りすぎかと感じたが、好きでやっている感じが伝わったので黙る。面白味のある振付が平板な印象になって残念。軽妙なところと重さを感じさせるところの使い分けを練習して、踊りのポイントポイントをもう少し丁寧に。
△仙場なお美/緊張していたのか、全体に踊りが硬い印象。その割には上半身や腕が時折り緩んでいるのが気になる。フラメンコ舞踊としてのバランスの取れた身体の使い方をもう少し勉強してみては。
〇中西美津奈/やりたいことが沢山あるんだなあ。気持ちはわかるが、全体に力の入り方が均一で、何をどう見せたいのかが伝わりにくかった。この振付が好きなら、もっと踊り込んで自分自身の「推し」の部分を際立たせること。あと体幹を今の倍は鍛えないと、イメージを形にするのが難しくなるからね。
〇松木晶乃/高校生、これからの人。実に堂々としていて気持ちが良い。素直なソレアで空気感もある。ここからさらに自分自身の踊りを見つけていってほしい。フラメンコは勉強することが舞踊以外にも沢山あるけど、どうかめげずに、いっぱい踊って、真っ直ぐに育って!
☆中村太香子/シギリージャを自分のものとして踊っている。バックと協調したパートが素敵で見惚れた。ただ、ややパソを詰め込みすぎてせわしない印象になった部分もあり。そのあたりを整理して、静と動の静の部分をもう少し濃くしてみたら、もっと刺さる踊りになるかと。
△町井直美/振付通りに正しく動けているようだが、踊りに息遣いが感じられず、どこか作られた感じが拭えない。上半身も時々ブレる。振付はある意味、振付家の思想だ。踊り込んで覚えるだけでは足りない。その意図を理解し、自分に取り込んで、自分のこととして表現できるようになることを目指してほしい。
△大森田鶴/普段は衣装についてあまり触れないが、この細身のワンピースは損だ。ファルダ部分を前で持ち上げる時の見栄えが良くない。あと、二の腕が緩んでいて、ブラソが時々流れてしまうのが気になった。舞台は総合芸術。衣装もあなたの踊りの一部として考えて。
◎中山みのり/タラントを自分のものとして踊っている。今回、何人かいたが、もったいないのは詰め込みすぎ。かえってやりたいことが分かりにくくなる。もう少し緩急を考えて、見る人を揺さぶるような工夫をしてほしい。できるはず!
★青木千鶴子/驚くほど体幹がしっかりして、広い舞台で大きなマントンを上手に扱った。今回、マントンを使った人の中では最上級の見事さだったうえに、マントンを一度も床に置かなかったことにも感銘を受けた。後は柔らかさをどう追求し、加味していくか。ともあれ、あなたの精進には頭が下がる。あっぱれ!

井上恵美子(一般社団法人現代舞踊協会)[Bs,Bg]

<バイレ・群舞部門>
練習が大変だったと思いますが、やはり群舞は面白いです。
●19 ともだち列車たからもの号withかーちゃんず
若い一人の男性を中心にエネルギー溢れる演技が終始続き、舞台の熱気を感じました。感情表現が豊かでダンサー間にドラマ性もあり楽しめましたが、群舞の場合は舞台空間の構成が大きな効果を発揮します。うねりのある構成でより洗練された舞台を目指してください。
●20 中尾真澄フラメンコスタジオ
ピンク・クリーム・オレンジの衣装に扇の色が調和して、しなやかで女性らしい動きが素敵でした。前半は3人の踊りに温度差があり少しぎこちなさを感じましたが、後半は動きにスピードが増し、扇の演出が効果的で華やかな踊りを堪能しました。

<バイレ・ソロ部門>
奨励賞に推薦した方を中心に印象に残った作品です。
【28日】
●2 近藤朔:これまで拝見した中では一番好きな作品です。テーマとして常に孤独・孤高を一貫して追及しているのを感じます。心身を柔軟に保ち、益々の深みと味わいを期待しています。
●15 榎本遥菜:ナチュラルメイクが清楚な印象として残りました。光沢のあるブルーのドレスよく似合っていますが、背中にも注意してください。フリルが窮屈にみえて残念。華があり、将来性を感じました。
●18 尾場心彩:かなり若いダンサーとお見受けしました。大きな空間に動じることなくのびのびと演じ、スピード感あふれる移動は怖さ知らずのスケボー競技を見ているような気分でした。将来が楽しみです。
●21 常盤直生:ダイナミックな一連の動きから次に入る時の深い呼吸が心地よく、引き込まれました。サパテアート踏むすねの見せ方が難しいですね。持ち上げるスカートとのバランスでしょうか。

【29日】
●2 中里眞央:シンプルな白いドレスに金色のアクセントが個性的。動きの切れ味がよく、音楽と対話しながら客席とも一体となり、すべてにおいて潔く体が謳っていました。
●11 吉田智宏:黒っぽいスーツで挑んだ自然体。ピルエット、サパテアート、スムーズな移動と無理のない静止。剛と柔、時にはスリルがあり、男の孤独を楽しんでいる余裕さえ見えました。
●12 山形志穂:白いドレスでしなやかな動きが印象的でした。場の切り替えが上手く、ポーズも美しい。清潔感あふれる女性の輝きに満ち溢れ、舞台空間の雰囲気ががらりと変わりました。
●19 中村太香子:渾身込めた踊りが圧巻。髪飾りが飛びそうになるほど終始ダイナミックな動きに目を離せませんでした。

(追記)私の専門はスペイン舞踊ではありませんが、この度の公演でダンスの楽しさ、奥深さを堪能させて頂きました。ダンスが人と人を繋ぐ力のあることを改めて感じています。今回挑戦された皆様に拍手を送り、今後の益々のご活躍を期待いたします。

福久龍哉(東京フラメンコ倶楽部)[C]

今回アフィシオナード代表として選考させていただきました。私の選考基準はフラメンコらしさをどれだけ感じられるかでした。そんな私の心に残ったのは奨励賞の吉田光一さん、準奨励賞の土井康子さん、それと三枝雄輔さんでした。
吉田さんはペリコン・デ・カディスを彷彿とさせるスタイルで懐かしい気分になりました。静かに歌うところではグラシアが、声を張り上げた時は圧力が欲しいと思いました。土井さんは気合の入ったサリーダからの前半が特によかったです。スペイン語の発音の問題や歌い方の癖はあるのですが、グラナイーナスらしい歌でした。ただ二つ目の歌詞は張った声の乱れに引きずられて全体が乱れてしまったのが残念です。声を張った時にも輝く歌をもう一度聴かせてほしいと思います。三枝さんは田舎のおっちゃんが歌っているような感じのブレリアスで楽しかったです。音響の関係か少しこじんまり聞こえてしまいました。
他の方たちもフラメンコらしいスタイルを勉強されていてすごく良いなと思いました。一方で気になったところがあったのも事実です。その一つはスペイン語に日本語風の平坦さが出て節が流れてしまった方が多かったことです。自由リズムの曲含めゆっくり目にテンポをとる方や日本人がフラメンコらしく歌うのに一番難しい曲種の一つであるペテネーラスを選んだ方が多かったのもこれに拍車をかけていました。もう一つは伴奏についてです。いろいろな条件で伴奏者を選ばれたと思うのですが、観客が最初に触れるのは(一般に)ギターのファルセータです。曲の雰囲気に合わなかったら必ず合わせてもらってください。今回も伴奏があっていないなと感じた方が何人かいらっしゃいました。
最後に皆さんがその曲が、節が、詩が、フラメンコが好きという気持ちで歌い続けた歌を別の機会で聴けることを楽しみにしています。

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