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第27回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」受賞者コメント・講評

2018.10.10

第27回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」の受賞者コメントと講評をUP致しました。

→受賞者コメントはこちら

→選考委員による講評はこちら


第27回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」

2018.10.09

選考委員(名前から各講評へリンク)

濱田滋郎(評論家・会長)[G,C]

「フラメンコ・ルネサンス21/新人公演」今年度第27回を無事につつがなく終えることができました。催しの統括責任者としましては、このことに関し、たずさわられた皆様-出演者、舞台関係をはじめすべての裏方さんがた、そして来会者の皆様-のご協力に深い感謝を捧げねばなりません。思えばこれまで、大きな問題は何ひとつなく、ANIFにとって大切な「新人公演」を続けて来られたのも、皆様がこの催しを「自分たちのもの」と認識し、愛情と責任感をもって臨んでくださっているからだと思います。心より嬉しく、有難く存じます。

今回もこの公演は、全体として、日本のフラメンコが達するに至った高い水準を保つものであったと思います。バイレに関しては私個人は選考委員はつとめておりませんが、3日間ともつぶさに観させて頂きました。ソロ部門で奨励賞を受けられた6人の方がたを初め、精一杯に己を示されたすべての出演者がたに敬意を表します。ただ敢えてひとつ申し上げたいのは、すべてによく行き届いた踊りが多かった反面、本来フラメンコには最も必要なはずの、個性的な魅力をきわ立てた踊りは、今年も少なかったと感じることです。舞踊の技術的な細かい点は私には解らないわけですが、奨励賞に選ばれなかった方がたの中にも、個性的な魅力、味わいといった点で強い印象を残した人たちはいらっしゃいました。敢えて挙げさせて頂けば、25日13番の諸藤ふみさん。この人には、たとえばヘレスあたりの横町に住む、プロにはならないけれど近所では踊りの名人として親しまれている小母さん(失礼!)のような味がありました。また、大ベテランの25日15番、草野干夫さん。この方のなにか昔懐かしい趣のファルーカは、ずいぶん以前にも拝見したような気がしますが、三木さんのヴァイオリンと共に踊られた今回のそれも、印象に残るものでした。

ギターは今回5人のみと、これまでで最も少ない出演者数だったのは、少々残念です。ただ、演奏は皆さん、聴き応えのあるものでした。カンテの出演者は逆に17名と多く、フラメンコにおける歌の重要性を思えば、嬉しいことです。このジャンルも水準はずいぶん高まりましたが、バイレのところでも触れたように、にじみ出る個性的な味ということでは、どうでしょうか。中で斎藤克己さんあたりは、さすがに“フラメンコ人”としての年季の味でしたが。準奨励賞を得られたお2人はそれぞれに立派でしたが、とりわけ、九州の地で研鑽を積んでおいでの占部智恵さんのファンダンゴスには心打たれました。奨励賞まではほんの一歩で、この人ならきっと越えられる、と私は思っています。

長くなるのでこれ以上は控えますが、改めて、フラメンコを愛し日常の糧にしていらっしゃる日本のあちこちの皆様に、心よりの親愛の情をお伝えしたいと願います。皆様の上に喜びと幸せとが在りますように!

山田恵子(舞踊家)[Bg]

「群舞のすばらしさ」

今年は参加作品が5団体と少なかったのですが、それぞれユニークでした。ソロとは違って何人かで1つのテーマを踊るすばらしさ。構成・振付をする作者はオーケストラで言えば指揮者であり、表現者であるダンサーは楽器です。思う存分各パートの良さを発揮して欲しいものです。

それぞれの作品について。
①斎藤克己フラメンコ アカデミー札幌(グラナダ狂詩曲)
5人の板付から始まって3人、2人、ソロ等と変化していくのですが、時間が限られているので、出入りを抑えてその分ダンサー同士の対比を考えてみると重みが出てくると思いますが、如何ですか。あと、ダンサー全員の心の調和が弱いので、喜怒哀楽をはっきり踊れば最後のポーズの静かさが生きたと思います。

②Estudio El Patio(シギリージャ)
シギリージャはソロでも難しい曲ですが、群舞としてよくまとめましたね。6人が椅子に座ったところから始まった構成が生きています。構成・振付が大変良く、ダンサー達も作者の意図を理解しのびのび踊っているのでその気持ちが伝わりました。私も昔椅子を使用して創作し賞を頂きました。シギリージャのオリジナル曲で。

③島崎リノフラメンコスタジオDaiDai(ロマンセ)
白の衣装で上、下よりパルマでの登場は良かったのですが、構成をもう少し考えてください。空間の美しさが欲しかったです。群舞は全員揃うところから始まりますので、細かいところに注意してください。ブラソがきちんとしていない人が目立ち、中途半端な手の動きにはびっくりが何か所かありました。ブラソに気を使ってください。表現が豊かになります。

④“Hermicanas”~姉妹~大塚友美フラメンコスタジオ浜松(タンギージョ デ カディス)
2人がほとんど同じ振りでした。個性の違いが出たらもっと面白くなったのではと思います。それとブラソをもっときれいにマスターしてください。女性のダンサーはブラソが命だと私は思います。指の先までしっとりと踊る事と、あと2人の踊りの会話が観たかったです。

⑤Las Niñas de Belen(ソレア)
黒の衣裳で上、下に2人ずつポーズ、パルマのリズムで始まりました。ギターが入ってきてテーマへと流れていくのですが、4人のダンサーのハーモニーが欲しかったです。あと一歩考えてみてください。

私の群舞の考え方は①構成・振付②テーマのすぐれた展開③感性あふれる表現力④テーマに合った群舞のハーモニーです。①~④までの中で1つでも理解して頂けたら、良い作品になると思います。来年また良い作品にお目にかかれる事を期待しております。

三澤勝弘(ギタリスト)[G]

参加者5名ということでありましたが、とても今後が楽しみな演奏者たちでした。全体に気付いたことは、音が潰れてしまう場面が多く見られたこと。その原因理由は様々かと思いますが、例えば左右のタイミングのズレ。右手の動きに任せた弾き方ではなく、流れ(歩み)を感じつつ繋ぎ・連絡・渡ってゆくこと。簡単なようでとても難しいことです。その移りゆくさまに“意味(情の世界)”を与えてゆく。ただの丁寧さとは違います。質・密度の変化(音量・空間・音程・音色その他あらゆる移ろい)を感じながら進む。これも難しいことですが、それが無ければ、やはり伝わらない。

・磯谷氏:音の潰れが目立ち、とても残念に思いました。コマ数の多いスローモーションのような練習、そしてその中へ必要な要素を織り込んでゆく。そんなことも大切か。
・大場氏:表現の振れ幅が小さいと感じました。ブレリアといえども懐の深いところも必要かと思います。空間の連結性が少し弱く、表情が前に飛んでこない場面が多かったと思いました。また、低音の動きが少し見えづらく聞こえづらかったのは、装飾的な高音とのバランスに問題があったのか。
・鈴木氏:演奏の物理性に明瞭さを欠いてしまいました、結果的に。表そうとしてはおりましたが、上手く処理ができないようでした。個人的に氏の指の健康状態を知っているがゆえに心苦しさは感じるのですが、演奏に対しての印象としては、やはり、音が前に出てこない感がありました。もっと音数を減らし、“情”のスペースを作っては、と思いました。次の機会には内面に焦点を絞っては…と思いました。ところで気持ちが浮いた状態でのエンディングは……?
・福嶋氏:フラメンコらしい魅力は十分に出ていました。とくに中盤からは更に良かったと思いました。ソロ芸術には不可欠である、ある種の“孤立性”も感じられました。今後は、ソレア、シギリージャやティエントなどでの境地を聴いてみたいと思います。
・内山氏:とても優しく佳い演奏でした。音の潰れもなく、奇麗に聴くことができました。また、好く歌わせておりましたが、私にはその表情が少し多様性に欠け、1つのパターンの繰り返しのように思えました。音の響く領域をもっと広くイメージし、ホール全体に飛ばすという心で演奏に当たるのもよいかと。

出場された方々には、それぞれの可能性がありました。ひとつ、音の飛んでゆく方向とその道筋を考えてみてはどうでしょうか。

小林伴子(舞踊家)[Bs,Bg]

今年も熱い見応え聞き応え充分な3日間!体力、集中力、きつく感じながらも皆さんの熱唱熱演に触れるのは私にとって毎回楽しみな事です。今回は群舞とバイレ・ソロの選考に参加しました。
記憶力の限界を感じつつ3日間のメモを頼りにこの講評をかきます。選考、投票した立場から書くので上から目線を感じたら、ゴメンナサイ!個人的見解です。

<バイレ・群舞部門>
今年の群舞は参加チームも多く、作品はそれぞれ個性的で楽しんで拝見しました。以下各チームの感想です。◎は実際の奨励賞にかかわらず私が奨励賞に投票した、チーム、個人、です。

21.斎藤克己フラメンコアカデミー札幌「グラナダ狂詩曲~Rhapsody~」
チンチーネスの響きと手首がキラキラ光る演出の幻想的始まりとエンディングが素敵でした。
22.◎Estudio El Patio「シギリージャ」
椅子を効果的に使い、踊り手達の揃った動きの確実さがシギリージャの空気感を的確に表現して見ごたえありました。
23.島崎リノフラメンコスタジオDai Dai「ロマンセ」
ノリノリで皆が楽しんで踊っているのが伝わって、好感度大。
24.Hermicanas~姉妹~大塚友美フラメンコスタジオ浜松「タンギージョデカディス」
観ている私達が思わず微笑んでしまう!生き生きと楽しい作品でした。
25.Las Niñas de Belen「ソレア」
ゆっくりな音楽のリズムや動きを、皆で揃って踊る、というとても難しい事に挑戦しました!

<バイレ・ソロ部門>
以下私のメモから気になった方へ一言、「個人的見解」です。初日は記憶が希薄になりやすいので、24日は全員を、2日目、3日目はピックアップして書きました。

【24日】
1.宮崎美香「シギリージャ」トップバッターで緊張したと思いますが、表現したい事への意欲と気持ちを込めて踊っているのが伝わりました。
2.◎平川亜紀「バンベーラ」粘りのあるどっしりとした動きでした!後半少し疲れたか?
3.大里尚子「アレグリアス」手助けと言う言葉が有ります。フラメンコのブラッソの動きも単なる振り付けではなく、身体の動きを助けてより表現しやすくしてくれる物としてとらえてみて下さい。
4.橋田佳奈「カーニャ」身体能力が高く良く動ける方だと思います。フラメンコへの挑戦、続けて下さい!
5.畑中美里「ソレア」決め所がかっこよかったです。その反面全体の流れが途切れ途切れになったのが残念!
6.◎林由美子「ソレア」抑制の効いた渋い動きで素敵でした。私は1票を投じましたが、メモに平川さん同様後半疲れたか?とあり、後一歩だったかも。
7.川田久美子「アレグリアス」膝丈ファルダとエプロンでカッコよく堂々と踊りすごく雰囲気がありました。ただアバニコを使って踊った時、良く踊れる分何時もの空気感?になったのが残念。
8.脇川愛「タンゴデマラガ」丁寧にしっかりと踊っていました。準奨励賞の方は後一歩ぬければ…と言う所でした。
9.谷口祐子「アレグリアス」鮮やかなバタデコーラさばきが素晴らしかったが、私には、それが目的になっている様に見えてしまったのですが…。
10.寺嶋いずみ「カンティーニャデピニーニ」素敵な振り付けなので、フラメンコ力もアップしながら身体に馴染むまで沢山稽古して下さい!
11.持田賀津子「グアヒーラ」始まりのポーズ凄く美しかった!マルカールと苦手な所の表情の差が激しかった。正直な方ですね。是非苦手な部分を克服して下さい。
12.波田多真紀「アレグリアス」バイオリンが参加する意欲的な取り組みでした。素晴らしい音楽を感じながら踊れたら幸せですね!
13.蓮真佐江「ソレアポルブレリア」緊張感を保ちながら最後まで丁寧に踊った。そのぶんメリハリが付き辛くなったのは残念。
14.中溝直美「ティエント」どっしりと、自分の好きなスタイルを貫いて堂々踊り素敵でした。
15.◎渡辺なおみ「シギリージャ」気迫充実して最後まで貴女の世界に引き込まれました。
16.大津絵里香「アレグリアス」私のメモには、若さハツラツ爽やかで可愛い!これからが楽しみ、とあります。実際のお年を知りませんので、的外れだったら御免なさい!
17.川端淳子「ソレア」皆さんの熱い声援を受けて、堂々と踊りました。フレーズの頭が強くなり終わりが弱くなるのが残念。
18.流石泰美「ソレアポルブレリア」カッコ良く始まりましたが姿勢が残念でした。コアなフラメンコを目指すのでなければ、基本姿勢が猫背になるのはもったいないです。
19.鈴木旗江「ソレア」メモでは高いレベルだとあり高得点がついています。後半に疲れが出て姿勢が崩れた、とありました。
20.沖山美環「アレグリアス」不自然な所が全く無くのびのびと、フラメンコ黄金期のスペインの踊り手の雰囲気でした。これからが楽しみです!

【25日】
10.池田理恵「アレグリアス」動きの緩急が心地よく素晴らしかった!昨年に続いてタイムオーバーで投票出来なかったのは残念です。
13.諸藤ふみ「ソレア」好きな踊りのスタイルです。体型を活かして、堂々とどっしりとして素晴らしかった。
14.灘辺佳代子「グアヒーラ」カッコ良い振り付けとステキな照明で印象に残っています。コロンビアーナへの変化がオシャレでした。
24.有田ゆうき「ソレア」ギター無しで歌から始まった演出良かった!ずっと怒っている表情だったのは意図的?
25.◎野上裕美「ソレア」美しい身体条件を活かして、堂々とした演技が印象に残りました。
33.◎齋藤朋之「ソレアポルブレリア」体型や風格から年配の方かと思いました。前回も音楽的感性が素晴らしいと感じ印象に残りましたが。今回はグレードアップしての出演、エンディングの無音の中での佇まいがカッコ良かったです。

【26日】
22.佐藤陽美「ブレリアイシギリージャ」パワフルな演技。細密で強いサパテアードで実力を印象付けました。
28.◎岩丸綾子「ソレア」力強くも抑制の効いた表現が良かった!
31.沖真悠子「シギリージャ」柔らかい肩のブラッソが美しい実力派です!…フラメンコは衣装とパロは関係無いと言う意見も多い様です。実際存在その物が、フラメンコのヒターナの踊り手達は色も形も何でも有りOKです。でも私には貴女の踊りがその路線を目指しているようには見えなかったので、素敵でしたが、衣装の柔らかな雰囲気に凄く違和感を感じてしまいました。
33.◎藤本ゆかり「マルティネーテ」グラマラスな体型を活かしてどっしりと迫力のマルティネーテでした。
34.石田久乃「アレグリアス」始まりの後ろすがたがスペイン人形の様でした。もちろん踊りもとても自然で素晴らしく、アンダルシアの空気を感じました。将来楽しみです。
37. ◎大塚歩「アレグリアス」トリの出演が実力派には、プレッシャーよりパワーになる!不動の安定感で、3日間を心地よくエキサイティングに締めてくれました!

飯ヶ谷守康(ギタリスト)[G,C]

<ギター部門>
奨励賞を受賞された福嶋隆児さん、おめでとうございます。ただ辛口に言いますと、音がブツ切れの時が多かったこと、全体に1本調子に感じられたこと、そして何よりもリズム感・コンパス感に多少なりとも問題が垣間見れてしまいました。今回は出演者も少なく、運が味方した感もありますが、今後の更なる精進を期待したいと思います。

私的には、1番最初に演奏してくれた磯谷徳志さん、しっとりとしたコルドバ風のソレアと、勝手に感じてしまいました。素晴らしい感性をお持ちかも、と思います。また、最後にアレグリアスを演奏してくれた内山友樹さん、ファルセータ群に、これも勝手に粋なセビージャの空気を感じてしまいました。とても洒落た曲作りで、良い意味で日本人離れしていたと思います。ただ、もう少しテンポが欲しかったと思います。

ただ、残念なことは、お2人共に、全体に音が細くて弱かったように感じました。別に力任せの大きな音は必要ないのですが、音の際立ちがあったら、と思います。このあたりのことを多少なりとも意識して今後の練習時に採り入れいただければ、と思います。今後の進化を期待していますので、ぜひ丁寧な練習を積み重ねてください。

<カンテ部門>
今回は出演者が17名と、驚くばかりの人数の参加でした。しかし、残念ながら奨励賞ではなく、準奨励賞の受賞者が2名、という結果になりました。

まず私の耳とフラメンコ心を刺激してくれたのは、小林カルメンさんでした。発音も発声も、パルマの打ち方も音程も…すべて、フラメンコのカンテとして普通に聴けました。素晴らしいと思います。そして、ファンダンゴを唄ってくれた占部智恵さん、かなり本格的なカンテを聴かせてくれました。

ただ、今回も音程が不安定な方、スペイン語の発音に問題がある方、発声がフラメンコ的ではない方、そしてカンテの詩の理解に問題がある方、更に不必要に“がなる”傾向の方が多く見受けられてしまいました。残念でなりません。もちろん、好みで分かれるところでもあると思いますが…!?

勘違いだったらゴメンナサイなのですが、喉に力が入り過ぎの発声をしている方が多かったように感じました。これでは喉が詰まり気味になり、身体全体の共振が不可能になってしまい、説得力の無い、ただ大きいだけの声になってしまう危険がある、と聞いたことがあります。そして、コントロール不能に陥り、リズムと音程に影響を与えてしまう…というような感じを受けてしまいました。ぜひ今後の練習時に気にしていただけたら幸いです。

今田 央(ギタリスト)[G]

磯谷徳志
トラディショナルなソレアで今更ケチのつけようがない程の王道のファルセータばかりでしたね。数多のギタリストが弾いたであろうこの手のソレアは、余程の個性とテクニックがないとなかなか人に振り向いてもらえません。
1コンパス目の③と⑥のアクセントがかなり引っ張っていましたが、あの表現はよかったです。ただその後は割合淡々とした表現になってしまいました。1コンパス目のような意思を随所で出せれば濃密な時間を造れたと思います。
中間部のファルセータでコンパス感が曖昧な箇所がありました。技術的にはP単体の音は良いと思いますが、アルペジオ、ピカードは明瞭ではなかったようです。トレモロはキレイでした。アルサプーアは要研究ですね。せっかく最後に持ってきたのにメロディーが浮かない→リズムが出ない→テンション下がるでそれまで築き上げてきた流れを受け止めるには役不足でした。P単音とアルサプーアの両立は爪の形も含め難しいです。

大場洋平
P指によるファルセータが大部分を占めていましたが、肝心のPのタッチが弱いのかメロディーが浮いてきません。対照的にラスゲアードの部分はちょっとうるさく聞こえました。アクセントだけ急に強くなる癖も気になります。アルペジオも織り交ぜていたのでしょうがこちらも明瞭ではなかったようです。全体にファルセータは突っ込み気味ですね。いわゆる頭ノリですが冒頭のタパーダを聴く限りではコンパス感はお持ちのようです。まず技術面の問題を解決してください。

鈴木敏司
音はよかったのですが全体的に練習不足の感じを受けました。個々のファルセータがちゃんと弾ききれてないですね。単なる緊張からそうなっただけなのかもしれませんが。
このソレアには副題が付いていますが、コピー曲か自作かはわかりません。いずれにしても1曲勝負なら構成がちょっと地味ですね。同じテンションのファルセータが多く、使われているテクニックも限られています。何より、曲の終わりを殆どの方はわからなかったのではないでしょうか?
奏法でひとつ気になったのですが、プルガールを右肘全体を使って弾いているように見受けられました。文章だと説明しづらいのですが、もっと手首のスナップを使って弾くほうが速く、かつ安定した音が出せると思います。

福嶋隆児
今回奨励賞に推しました。パリージャのファルセータでまとめてきましたね。前半で不安定な個所がありましたが曲が進むにつれて心地よい疾走感を感じられました。パリージャのファルセータが持つ強力な個性に頼ることなく自分の技術と解釈でブレリアの世界を構築できていると思いました。アルペジオ、ピカード、プルガール、全てクリアでバランスがよくラスゲアードの個所も音の塊ではなくリズムが聞こえてきました。今去年のソレアを弾いたら全然違って聞こえるのでしょうね。

内山友樹
今回も自作の曲でしょうか。毎回趣向を凝らしたソロを披露されていますが、今回も受賞にはいたらず残念です。個々のテクニックは十分なものをお持ちなのですが、一言で言うと演奏の線が細いに尽きると思います。1つの原因は音ですかね。きれいなのですが輪郭が若干ぼやけています。あのリバーブの中では音が干渉しあってせっかくのファルセータがよく聞き取れなかったりします。毎回感じられるのでお使いのギターの特性かもしれませんが。
とは言えアレグリアスはギターソロでやるのは難しいです。最難関であろうピカードを最後に持って来て弾ききったのですからお見事です。

岡本倫子(舞踊家)[Bs,Bg]

<バイレ・ソロ部門>
【24日】
・林由美子さん:きちんと踊っていて好感が持てました。もっとご自分の個性がでてくると素敵になると思います。
・川田久美子さん:衣裳は冒険でしたね。踊り方とちぐはぐな感じを受けましたし足の捌きを研いてからまた挑戦してみてほしいと思いました。
・脇川愛さん:身体の動きがとてもすばらしかったです。タンゴになってからの表現が挑戦的になってしまいタンゴらしさが感じられなかったのが残念です。
・谷口祐子さん:バタ・デ・コーラとマントンの捌きに磨きがかかったという印象を受けました。ただ、そのせいかバタ・デ・コーラとマントンの巧みな動きにばかり目がいってしまい、谷口さん自身が見えてこないアレグリアスだったように思います。
・寺嶋いずみさん:寺嶋さんのアイレが衣裳とマッチしていてとても可愛らしいアレグリアスでした。振りのメリハリとマノの使い方をもっと身に付けるとよいと思います。
・蓮真佐江さん:スタイルとバランス感覚の良さをいかした振りになっていてとても素敵でした。
・中溝直美さん:安定感がありタンゴ系の振りの雰囲気が伝わってきました。ただ大きなステージではもう少し身体での表現を大きくすることをおすすめします。
・渡辺なおみさん:個性的で重いシギリージャ。黒い衣裳もとてもお似合いでした。ファルダの捌き方のせいか足が見えすぎるのが少し気になりました。
・川端淳子さん:雰囲気、衣裳の着こなしなどにスペインらしいエレガントさがあり素敵でした。
・沖山美環さん:容姿抜群でフラメンコ人形のようでした。踊り姿も美しいのですが、ブラソそして上体の動きをもっと使った振りを期待します。

【25日】
・牛田裕衣さん:昨年同様とてもフラメンコ性の強い存在感を放っていらっしゃいましたがブラソの動きがとても大雑把になってしまった印象を受けたのが残念でした。
・大井昌子さん:とても集中力のある踊りで引き込まれました。
・池田理恵さん:リズム感あふれる身体の動きで魅せてくれたアレグリアスでしたが、昨年同様に時間オーバーがとても悔やまれます。
・伊藤千紘さん:集中力のある切れのいい踊りがとても素敵でした。
・諸藤ふみさん:Muy Flamencaな存在感のある踊りが圧巻でした。
・灘辺佳代子さん:巧みな踊りでしたが後半のブレリア部分にもっとグァヒーラ色が出るとよかったと思います。
・青木千鶴子さん:シンプルながらゴージャス感あふれる衣裳と動きで大人のソレアを魅せていただきました。
・菊原まりさん:ペソのある見応えのあるタラントでしたが、衣裳や飾りに光りものが多すぎて踊りにそぐわない印象を受けました。
・小川千尋さん:丁寧に大切に踊り込んでいるタラントが素敵でした。
・有田ゆうきさん:最初の立ち姿に存在感がありMuy Flamencaな踊りにも貫禄が出てきたように思います。
・野上裕美さん:体幹がしっかりしているので動きの多い振りにもぶれることなく、素晴らしいソレアでした。かなり硬質で力強い印象を受けましたが、エレガントさも併せ持った踊りで感動しました。ファルダ捌きのせいかエスコビージャの際にかなり足が見えすぎていたのは唯一気になったところです。
・本多清見さん:ペソのある落ち着いたソレアで見応えがありました。
・宗形公恵さん:グラシアたっぷりの楽しいアレグリアスでした。
・岡田知子さん:安定感と集中力のあるとてもいい踊りを見せていただきました。
・齋藤朋之さん:つい見入ってしまう味のあるフラメンコでした。
・石田祐子さん:とてもキレのある踊りっぷりが素敵でしたが男性振りっぽい振付でのファルダ捌きには違和感を覚えました。

【26日】
・古迫うららさん:ペソのあるタラント。特にタンゴに入ってからは魅せてくれました。
・鶴幸子さん:スタイリッシュな振付がシンプルな衣裳と相まって、個性的で美しいティエントスになっていました。
・佐藤陽美さん:ステキ!かっこいい!という言葉がぴったり。もう少し安定感が出ると最強だと思います。
・阿部和子さん:貫禄がありグラシアにあふれた素敵で楽しいアレグリアスでした。
・稲垣栄子さん:ソレアらしいソレアで安定感ある踊りでした。
・岩丸綾子さん:振り、衣裳ともにシンプルでしたが、踊りの緩急が絶妙でとても重さを感じさせてくれるソレアでした。
・沖真悠子さん:無駄な動きが一切ない密度の濃いシギリージャで最初から最後まで見入ってしまいました。
・水町祐子さん:やはり動きに無駄がない切れのあるシギリージャで巧さに感動しましたが、衣裳、長いフレコ、大きすぎる花などの赤い色の分量が多すぎて、見た目に注意散漫になってしまったのが残念でした。
・藤本ゆかりさん:安定した動きと見事なステージ使いで存在感抜群でした。
・石田久乃さん:とても素敵なアレグリアスでした。そのまま成長してください。
・橋本佳津枝さん:動きの多い振りをシャープに巧みにこなしていらっしゃいましたが、衣裳がエレガントで女性的なので振りにそぐわない印象を受けました。
・大塚歩さん:これぞアレグリアスという踊りっぷりでした。身体の動きひとつひとつからもリズムが感じられ魅了されました。

<バイレ・群舞部門>
・斎藤克己フラメンコアカデミー札幌
皆さんの立ち姿と動きの美しさが際立っていました。
・Estudio El Patio
1人1人がしっかり踊っていて且つ群舞としての構成もよく考えられていて見応えあるものになっていました。
・島崎リノフラメンコスタジオDaiDai
7人のMuy Flamencasたちの踊りが素敵でしたが、群舞でなく1人1人で踊られるのを見たい気がしました。
・“Hermicanas”~姉妹~大塚友美フラメンコスタジオ浜松
とても楽しんで踊っている姿にこちらもわくわくさせていただきました。
・Las Niñas de Belen
振りを丁寧に踊っていて好印象でしたが、それぞれの個性がもっと発揮できればよかったと思います。

片桐勝彦(ギタリスト)[G]

磯谷徳志:まさにソレアらしいソレアを聴かせてもらいました。時折強すぎると感じるタッチもあったのですが、全体的にしっかりとフラメンコの音が聞こえていました。アルペジオとピカードのコンビネーションも良かったと思いますが、細かい音使いの箇所までさらに丁寧に弾ききることを心がけてください。ソレアのコンパスのきざみ方は特に気持ちが良く、ラスゲアードやトレモロのima指の音も粒が揃っていました。テンポの上げ方も絶妙でしたが、音数が少ない部分をさらに丁寧に弾くことと、全体的にもう少し間を多く、呼吸を深くとってください。冒頭にも書いた通り典型的なソレアで良かったので、いつか全く違う切り口でオリジナルのソレアも聴いてみたいです。

大場洋平:アリーバでのブレリアを軽やかに弾ききったというのが全体の印象です。タッチも強すぎず弱すぎず、そして何箇所かのプルガール奏法では音の強弱もしっかり表現できていて良かったです。タパオから始まる曲の構成だったので、リズムも速すぎず遅すぎずでちょうど良い速さのブレリアだったのですが、高音弦でのファルセータ時にリズムの乱れが少し気になりました。しかし細かい音使いの部分でしたので、パルマが入るかソレアなどでしたら表現しやすいですね。新旧織り交ぜたブレリアのファルセータでしたが、1曲にまとまっていて良い曲構成だったと思います。親指のアポヤンドと人差し指の返しのバランスなども良かったのですが、全体的にラスゲアードの音量に比べてはメロディーが小さい印象を持ちました。後半のアルサプア、ゴルペなど技術的な面も安定していましたので、今後も楽しみにしています。

鈴木敏司:オーソドックスですが骨太で重いソレアで良かったです。強いて言えば、カポタストを使わずにアルアイレだったので、さらにフレットの高音部を使ったファルセータがあっても良かったかと思いました。アルアイレでのアリーバはEのコードが頻繁に出てくるので、ボイッシングを変えることや弾く弦を減らすなどしてモゴモゴする和音の解消法を研究してみてください。もしくは単純にカポタストを使用するのも良いと思います。曲の構成も良かったのですが、最後の終わり方をさらに工夫すると終わった感じがもっと出せたと思います。

福嶋隆児:奨励賞受賞おめでとうございます。全体的に落ち着いていて安定感のある好演奏で、自分も1票入れさせてもらいました。昨年は迫力が勝っていて、ラスゲアードの音色やゴルペの音量などが少し気になったのですが、今回は何箇所かコンパスの揺れなどがあったものの、リズム、音色、音量、技術ともに安定していて、ソロギターの風格を感じられる演奏だったと思います。足でコンパスをきざみながらの演奏は効果的な部分とそうでない部分があります。パルマなしでブレリアのコンパスを出すのは非常に難しいことですが、永遠のテーマとして追求してみてください。

内山友樹:Aメジャーのアレグリアス。出演者全員の中で一番技巧的で難しいフレーズをよく弾きこなしていました。曲の作り方も良かったので奨励賞候補として私自身最後まで迷ったほどの好演奏でしたが、全体的に音が細いのが一番気になりました。細かいフレーズが多かったので致し方ない部分もあるのですが、やはり音色は大事だと思います。途中のピカードも最後のピカードも最後まで弾ききって音が出ていたのは圧巻でした。素晴らしかったです。去年のブレリアも今年のアレグリアスも作曲・編曲ともにバッチリで、演奏技術も素晴らしかったので、音色などの細かい事だけを注意しながらこのままのやり方で突き進んでいってください。

加部 洋(プロデューサー)[G,C]

<ギター部門>
例年一定の人数とレベルを保ってきたギター部門であったが、今年は出場が5人という少なさで、寂しかった。

磯谷徳志君●ニーニョ・リカルドのスタイルを含め、伝統にしっかり乗っかったソレアで、非常に好感を持った。ラスゲアードやゴルペも良く、ノリも良かった。ただ、ピカードが回り切らないところや、細かい難しいフレーズにミスが目立ったのが惜しかった。大場洋平君●2拍で足を踏みながらのブレリア。その点には好感が持てたが、肝心の演奏では全体的にフレージングが曖昧で、リズムのノリが前に出て来なかった。モロンスタイルのフレーズは面白かった。鈴木敏司君●伝統的なソレアで、深い音が出ていた。しかし、フレーズの抜けが時々あり、気になった。ご自身が出したい音まで届かず、練習不足を感じた。福嶋隆児君●むしろレアかもしれないクラシカルなブレリア。前半は緊張のためかノリがいまいちだったが、後半はぐっと良くなり、奨励賞にふさわしい演奏になった。内山友樹君●イントロから何かを感じさせる味の良さがあった。ラスゲアードのリズムも良く、モダンなフレージングも板に付いていた。強弱・緩急も上手く、アレグリアスの魅力に溢れていた。ただ一点、タッチが弱かった。

<カンテ部門>
カンテ部門でかつてない17人という最大の出場者だった。レベルもそこそこ保っていた。ただ、飛び向けて上手い歌い手がいなかったのが残念だった。気にとまった出演者を書きます。

山田裕子さん●一瞬ニーニャ・デ・ロス・ペイネスを彷彿させるところがあった。そこが光っていた。近藤リナさん●サリーダ良し。歌い方に強弱緩急、タメもあり、シギリージャらしかった。熱唱で好感が持てた。斎藤克己さん●味のあるアレグリア。いろいろな人生経験が盛り込まれたアレグリアなのだろう。じいさんが歌っているような老成した味わいがいい。山本淳子さん●声質が魅力的だ。低い声の歌い方も上手い。力の出し入れもいい。3歌で盛り上がったが、もうひとつ決めて欲しかった。小松美保さん●節回しを忠実に取っていて好感が持てた。日本人にありがちなマラゲーニャの間延びもなく、良かった。アバンドラオになってからもうひとつ盛り上げて欲しかった。西奈津子さん●サリーダが面白い。強弱緩急もある。面白い声質を持っていて、得している。節回しの処理に良くない部分があるので、訓練で改善して欲しい。土井康子さん●ファンダンゴの起承転結の輪郭が余り見えなかった。3歌になって味が出て来た。熊谷善博さん●無伴奏の部分が良かった。熊さんの進境が著しい。いつもより高音域で歌っていたためか、迫力と緊張感があった。

鈴木敬子(舞踊家)[Bs,Bg]

<バイレ・ソロ部門>
橋田佳奈さん マントンの使い方が丁寧で良かった。表情や踊りが少し硬いのでもう少し技術以外のことにも気を配ったら良くなると思う。/林由美子さん 安定した踊りでとても良かった。/脇川愛さん 強く正確なサパテアードで気持ち良かった。シャープな踊りに加え曲の構成も面白かった。また別の曲を踊っているところも観てみたい。/谷口祐子さん 身体の使い方が美しくバタ・デ・コーラのテクニックも良い。フラメンコを楽しんで踊っているのを感じた。/蓮真佐江さん 安定した技術で好感の持てる踊りだった。/中溝直美さん フラメンコ的なペソと柔らかさを持った踊り。/渡辺なおみさん 貫禄があり踊り慣れている。最後までパワーがあり観ている人を引き付けた。/鈴木旗江さん 安定感のある踊り。後半で身体がブレたりして疲れがみえた。/沖山美環さん 空間を上手く使っていた。アレグリアスを楽しんでいるのが伝わった。最後に爆発がもう1つあればもっと印象に残ると思うが、さわやかな良い感覚が残った。/牛田裕衣さん 踊り慣れている。もう少し踊りに柔らかさや抜け感が加わり表情が付けばさらに良くなると思う。アルティスタのパワーが強すぎて踊りが少し前に出れなかったように感じた。/大井昌子さん 安定感のあるダイナミックな踊り。気が前に出ていた。/池田理恵さん 踊り慣れていて安定感がある。踊りがとても上手いがアレグリアスを踊っているのでもう少し楽しんで欲しい。/伊藤千紘さん 踊りの体のライン、ブラッソ、マノが美しい。上品でとても好感が持てるバイレ。しっかり彼女らしさを出していた。/諸藤ふみさん 個性を生かしペソがありとても迫力があった。後半特に盛り上がり会場を熱くした。また是非彼女のソロを観てみたい。/灘辺佳代子さん チャーミングなグァヒーラ。楽しさが伝わった。/草野干夫さん 多少ブレ等あるが、新人公演に挑戦したことが素晴らしい。とても魅力があり人生を感じた。/青木千鶴子さん 以前よりテクニカが上がっている。安定感が出てきて今回とても良かった。/菊原まりさん ペソと安定感のある踊り。後半のタンゴからさらに良くなった。/有田ゆうきさん 全体的にパワーがあった。特に後半エネルギーがアップして会場の拍手も多かった。/野上裕美さん すみずみまで丁寧な踊り。最初から最後まで集中力が途切れず、観ている人を引き付けた。パワーが前に出ていた。/平田かつらさん 大きい踊り。サパテアードに重みがあり心地良かった。ブエルタ等でブレる時があり少し気になった。/宗形公恵さん 明るくパワーのある踊り。グラシアがあり表現力もとても良かった。清々しい気持ちにさせてくれた。/齋藤朋之さん 以前より踊りのキレが増した。努力が感じられる。姿勢とブレが気になるが、独特の個性が良い。心に響くものがあった。/古迫うららさん 踊り慣れていて安定感がある。曲の後半でパワーが上がり更に良くなった。/佐藤陽美さん 若くエネルギッシュな踊り。サパテアードの技術がある。/阿部和子さん 貫禄があり静かな個性が人生を語っているようだった。踊りの技術ではないところでとても伝わり感動した。/池野美結さん 女性らしいしなやかな動きが上手い。全体に動きすぎ感があるので、要らないものをそぎ落とし重量感を増せば更に良くなると思う。/岩丸綾子さん 無駄な動きが少なく軸がしっかりしている。サパテアードも良い。ブレリアで盛り上がりが欲しかった。/沖真悠子さん スタイルが良く恵まれている。キレが良く踊りも大きく見えた。/藤本ゆかりさん 最後まで緊張感があり観ている人を引き付けた。一つひとつのパソをじっくり考えて練習してきた成果が見えた。今回の出演者の中でも、とても印象に残った人のひとり。/石田久乃さん まだ15歳ということを聞いて驚いた。パルマやサパテアードの技術もあり、明るい雰囲気も好感が持てた。これからとても楽しみです。/大塚歩さん 安定感があり貫禄が出ていた。たくさんのパソを詰め込み過ぎな気もしたが、今回の多くの曲の最後に相応しいとても良い踊りだった。

<バイレ・群舞部門>
Estudio El Patio 同時にそれぞれが違う動きをしながらも統一感のあるバイレ構成。飽きないフォーメーション展開が良かった。とにかく踊り手たちがたくさん努力したことが伝わった。/島崎リノフラメンコスタジオ DaiDai 一人ひとりフラメンカ。エネルギッシュでとても良かった。/Hermicanas~姉妹~ 踊っている時の表情がとても良く、明るく楽しく爽やかな気分にさせてくれた。若い2人のパワーで会場の空気を変えた。今後すごく楽しみです。

鈴木英夫(ギタリスト)[G]

今回はギター部門への出場者が少なく寂しかったですが、出場された皆さんそれぞれ一生懸命頑張って聞かせてくれました。それぞれの方々に私が感じた事を書かせていただきます。

●磯谷さん
演奏が力強いのは良かったのですが、力みすぎたのか演奏が荒くなってしまいました。もう少しソレアらしい抑揚が欲しかったです。

●大場さん
ブレリアはとてもリズムが大事なヌメロですが、今一リズムが甘く歯切れ良さが欠けていた気がしましました。またいろいろとやってはいるのですが、肝心なメロディーが聞こえてきません。

●鈴木さん
オーソドックスな感じのソレアで良かったのですが、ファルセータにメリハリがなく折角のバリエーションがあまりはっきりと聞こえませんでした。

●福嶋さん
奨励賞おめでとうございます。コンパスもメロディーもとてもしっかりとしていて聞き応えのあるブレリアでした。益々の精進を期待します。

●内山さん
中々面白いアレグリアスで、テクニックはあるようですが、目一杯に感じて少し雑になってしまったようです。その技術をもう少し押さえて完璧に演奏すればずっと良くなると思います。

鈴木眞澄(舞踊家)[Bs]

45年取り組んでもまだ届かないフラメンコですが、私の大事にしている視点から 感想とアドバイスを書かせていただきます。それが少しでも皆さんのお役に立てばうれしいです。

【24日】
宮崎さん…お腹に力を入れると動きにもっと重みやスピードが出ると思います。
平川さん…よく踊り込んでいますが芯が時々揺らぐのが残念でした。
大里さん…似たパターンの動きが多いので違う味わいの部分も入れては?
橋田さん…カーニャ独特の雰囲気をもっと考えてみては?
畑中さん…空間の操り方が素晴らしいので、時々揺らぐ体の芯が気になりました。
林さん…引き込まれて拝見していたので後半の疲れが残念でした。
川田さん…素直な表現が素敵でした。大地をつかまえて腰の安定感を考えてみたら良いと思います。
脇川さん…内に込めることが多く、時には解放することがあってもいいのでは?
谷口さん…流れる優雅な振りが多かったので、時には力強さも欲しいです。
寺嶋さん…個性的でチャーミングなところが曲とマッチしていました。
持田さん…個性が光っていました。上半身をもっと使うと表現がより豊かになります。
波田さん…おおらかな表現が楽しかったです。
蓮さん…腕だけでなく身体全体を使って踊ってみてください。
中溝さん…個性的なフラメンコらしさがありました。首の芯が揺らぐのを気をつけてみてください。
渡辺さん…熱いものが感じられて素晴らしかったです。
大津さん…純真な心はそのままに技術を磨いてください。楽しみにしています。
川端さん…シンプルなことに積み重ねが見え、熱さもあって素晴らしかったです。
流石さん…お腹の芯を要に動くことを考えてみてください。
鈴木さん…小さな振りにとらわれず、空間を動かすことを忘れないでください。
沖山さん…重心を落とすと安定感が出ると思います。

【25日】
牛田さん…全体に振りをもう少しシンプルにしたらより自分が表現できるのでは?
櫻井さん…真摯に向き合ったソレアは素晴らしかったです。これからも頑張ってください。
市村さん…構成にもっとメリハリをつけたら良いかと思います。
大井さん…唄とギターをもっと心に取り込むようにしては?
池田さん…よく踊っているのに後ろとの一体感が見えないのは何故でしょう?
岡村さん…振りに流れを持たせるために上半身を使っては?
伊藤さん…踊りは上手なのに訴えてくるものがなくて残念でした。
諸藤さん…素晴らしい体格をよく使ってフラメンコらしく踊っているのにご自身の心が見えなかったのが残念でした。
灘辺さん…曲の構成がよく唄やギターとの一体感もあって素敵なグアヒーラでした。
草野さん…立ち姿に雰囲気があり、バイオリンもお似合いで感動しました!
青木さん…カンテを聴くということは、自分の感情の同じような部分を重ねるという事でしょうか?心で聴くということを考えてみてください。
山形さん…振りにもう少し流れがあったらよいと思います。
坂本さん…体の芯にもっと力を入れて、殻を破ってみてください。
菊原さん…タンゴの面白みはもっと出せる実力があると感じました。
小川さん…大地をつかまえるようなつもりで足をついてみてください。そして上半身は空間を動かすように。
森永さん…回転や振り向く時の首のキレについて考えてみてください。
佐藤直美さん…自分の表現はなさっていますが、それは唄やギターの方々と一緒でしたか?
下山さん…唄と共に踊りを考えてみてください。動きすぎのように感じました。
有田さん…唄やギターとの一体感もあり、熱いフラメンコでした。
野上さん…よく踊っていらしたのですが、唄との関わりがあまり感じられず残念でした。
伊藤さん…独自の雰囲気をお持ちなので、動きはもう少しシンプルで良いかと思います。
本多さん…体はよく動かれているので、メリハリをつけたら良いのでは?
平田さん…ご自分をさらけ出す勇気を持ってください。
川口さん…曲想が変わっても気持ちが伴っていないように感じました。
宗形さん…芯があると小気味よい表現もより生かされます。楽しそうでしたが媚びすぎているように感じました。
細川さん…唄から受け取るものがもっと欲しかったです。
岡田さん…表現力があるのでもう一息の熱さが欲しかったです。
齋藤さん…小手先の振りではなく独自の個性だけで勝負して欲しかったです。
石田祐子さん…冷たい感じがするのはどうしてかな?と思いました。
後藤さん…曲想や踊りと衣裳が合ってないように思いました。着たいものか似合うものか、衣裳の選択は難しいですね。どんな風に踊りたいのかが見えず残念でした。

【26日】
桒村さん…今の踊る事の楽しさを忘れずに、体の使い方をより学んでください。
古迫さん…踊りのうまさを生かしながら、ガン!って精一杯の部分が欲しかったです。
鶴さん…きれいに踊る事の殻を破ってみたらいかがでしょうか?
森さん…同じテンションの振りが多いように感じたので、メリハリを持たせたらより魅せられます。
佐藤陽美さん…心があまり見えてこなかったのが残念でした。
藪内さん…腕だけでなく上半身全体を使ったらより表現が豊かになると思います。
小野さん…フラメンコの動きは曲に合わせて踊るのではなく、痛めつけられて耐えてそれを爆発させるような感じがするのですが。
阿部さん…唄とギターとともにご自分の踊りを踊っていらして、ためもあって素晴らしかったです。
池野さん…後半に見えた強さが嬉しかったです。首のぶれに気をつけて。
稲垣さん…感情がこもっているのに後ろとの一体感が感じられないのは何故でしょう?音に合わせて動いているという感じがして残念でした。
岩丸さん…唄い手が痛みを持って唄っている時にただ歩いていたのが残念でなりませんでした。
稲沢さん…マントンを使うことがご自分の表現したかった事かを考えてみてください。
小山さん…唄やギターとマッチした振りでよかったです。芯がぶれるのが残念でした。
沖さん…フラメンコらしい動きだったのに心に響いてこないのは何故でしょう?
水町さん…力の入れ方に強弱をつけたら良いと思います。
藤本さん…全体の構成はよかったのですが一体感が欲しかったです。
石田久乃さん…楽しむ事を忘れずに体の使い方を学んでいってくれたら嬉しいです。
清水さん…真摯に向かう姿勢と熱さがありました。
橋本さん…一体感があって素敵でした。
大塚さん…作り込んであるのにそれを自然に踊り、こちらの心も踊りました。

最後に、3日間拝見して感じたのは、心がこもっていると技術の未熟さはあまり目立たない。唄やギターとの一体感は何がそうさせるのか?曲に合わせてでもなく、数合わせでもなく、これはフラメンコにおいて大きな課題だと思います。これからも一緒に考えていきたいです。

曽我辺靖子(舞踊家)[Bs,Bg]

【24日】
畑中美里さん:バックとの一体感を保ちながら曲を謳歌していました。
林由美子さん:リズム感良くサパテアードもリンピオ。気持ちの入ったソレアでした。
脇川愛さん:メリハリのある動きの中に緩急のあるサパテアード。とても印象に残りました。
谷口祐子さん:バタデコーラとマントンのさばきが見事でした。表現力が加わるとさらに魅力が増すでしょう。
寺嶋いずみさん:個性的な衣装に熱さが感じられました。ラストがとても印象的でした。
蓮真佐江さん:丁寧に踊っています。重心の安定と心の強さを望みます。
中溝直美さん:素敵なティエント。タンゴから益々ノリが加わりました。
渡辺なおみさん:カンテを深く理解した表現力と強さのあるサパテアードとのコントラストに引き込まれました。
川端淳子さん:心の流れの一貫性を感じました。
流石泰美さん:体が良く動く長所を生かしながらセーブする力を意識するとさらに良いでしょう。

斎藤克己フラメンコアカデミー札幌:一筋の中からの動き出し、一人一人の鮮明な動きに魅了されました。
Estudio El Patio:見事な構成力に息もぴったり合い一体感のある作品でした。
島崎リノフラメンコスタジオDai Dai:それぞれの衣装と共に各自の輝きが感じられました。ソロであったらうまく対応できるものでも群舞だと難しいですね。
“Hermicanas”~姉妹~大塚友美フラメンコスタジオ浜松:タンギージョの陽気な曲調が若さ溢れるお2人にピッタリでした。
Las Niñas de Belen:4人の頑張りが熱のこもったソレアに生きていました。

【25日】
櫻井美砂子さん:踊り続けることも才能だと思います。ラストまで途切れることなく踊り切った姿に感激です。
大井昌子さん:無音の始まりからラストまで空気を感じたシギリージャ。足音もリンピオでした。
池田理恵さん:パソのつなぎが滑らかで切り替えが上手。グラシアがあり引きつけられたアレグリアスでしたが、タイム内で表現するのも大切なこと。昨年に続きとても残念です。
伊藤千紘さん:ラストまで途切れることなく続くパワーは見事でした。
諸藤ふみさん:表現力豊かな彼女に、昨年の群舞に引き続き今年もオレ!
青木千鶴子さん:技術面の進歩を感じます。表現力をさらにもう一歩。
山形志穂さん:足が強くブラッソも綺麗です。上半身の使い方に一工夫を。
佐藤直美さん:メリハリ良く華のあるアレグリアスでした。
有田ゆうきさん:昨年より数段上達しましたね。感じる心と安定感。楽しみな人です。
野上裕美さん:体がよく動き表現力も素晴らしい。バックを引っ張っていくパワーに拍手。
伊藤真由美さん:てらわないシンプルなソレアが印象的でした。
平田かつらさん:重く深みのあるシギリージャでした。カンテの表現も良くグラデーションのように流れる足音が心に残りました。芯の弱さが少々気になりました。
宗形公恵さん:茶目っ気たっぷりな雰囲気のアレグリアスでした。
齋藤朋之さん:好感度良く特にラストはおしゃれでした。

【26日】
鶴幸子さん:印象的な始まりのティエントでした。個性的で実力のある人だけにもっと心の爆発を観せて欲しかったです。
佐藤陽美さん:リズム感のある男性的なサパテアードが途切れることなくラストまで素晴らしかった。
阿部和子さん:個性的な味に加え、バックと織りなすハーモニーに魅了されました。
岩丸綾子さん:重心深く一貫性のあるソレアでした。
沖真悠子さん:ベソがありスケールの大きさとメリハリを感じました。三位一体感も素晴らしい。
藤本ゆかりさん:無音からの空気感…ドラマを感じ客席を引きつけましたね。バックとの一体感が抜群!
石田久乃さん:丁寧に踊っている姿に将来が期待されます。
清水和美さん:周りに流されず一生懸命踊っている姿に微笑ましさを感じました。
大塚歩さん:パワー溢れるアレグリアスを惜しみなく披露してくれました。お見事!

高橋英子(舞踊家)[Bg,G,C]

<バイレ・群舞部門>
G‐1:袖先がラメでキラキラ光る黒の衣装、エレガントな5ムヘーレスが織りなす神秘的な世界。出だしやラストの静寂に鈴の微音が効果的。音楽的には地味でしたが、「ソロンゴ」の妖艶なムードの中で舞踊手一人一人を浮き出す振付、演出など舞踊構成の繊細さが感じられたのは良かったと思います。
G‐2:出だしやラストに鍛治場のマルティージョでコンパスを刻むことにより一層シギリージャの荘厳な世界を引き立て、6ムヘーレスは青いマンティージャをまとったお揃いの黒衣装で締まったイメージ。群舞ならではのダイナミックさと唄振りで見せた各人の細かい感情表現など、意気込みや息吹が伝わってきました。
G‐3:純白の塊がコンパスに乗って渦巻くようなゴージャスなサリーダ。気が付くと白ではなく藤色に変わって赤いバラがフラメンカに浮き上がる効果的な照明、独創的な色彩。7ムヘーレスがリズミカルな音楽の中でハレアールする、トレアールするという演出などで連帯感が湧き出る。曲風に合った躍動感ある群舞でした。
G‐4:赤青調の花柄?に黄色のフリルが華やかな衣装に粋なソンブレロ。短いセリフで始まる軽やかなリズムに乗った小さな姉妹の織りなすタンギージョの世界は何をとってもただただ「可愛い」の一言に尽きる。しっとりとした場面も加え、後半でパニュエロを振り回したりの演出、音楽も考えられた飽きない構成で楽しめました。
G‐5:胸元に青を使ってアクセントを付けた黒い衣装の4ムヘーレス。それなりの群舞的な動きや照明が生かされたまとまった構成で、レベル的に各人とも似通っていたのが小迫力を出していたと思います。それぞれがソレアの世界に没入していて、フラメンコの魅力がダイレクトに伝わってきました。

<ギター部門>
磯谷徳志さんのソレアは雰囲気ありましたが、ちょっと粗い感じがしました。テクニック的に不十分さを感じつつも何かを期待させましたが、時間切れとなったので残念でした。
大場洋平さんはさりげなく白地に大きめの赤い水玉模様のシャツで登場。ほのかな意気込みを感じました。音作りの工夫で雰囲気を出している感じはありましたが、心躍らせる何かブレリアらしいノリや展開がもう少しあったら良かったと思いました。
鈴木敏司さんはまだ楽譜に倣って弾いているようなイメージの演奏ですが、丁寧に弾かれていて好感が持てました。気のせいか?かなり短かったように思います。
福嶋隆児さんは、安定したテクニックと地味ではありますがフラメンコ的なアイレを持ち、ブレリアを弾くための正統的な流れを掴んで無難にまとめ、その演奏は自然に聞こえてきました。もう少しブレリアらしい火花的なノリがあると映えました。
内山友樹さんの弾き方はもろ現代風で軽やか。細く流れるように展開するアレグリアス。テクニックもあり、音楽性もあってそれなりに良かったのですが、どうも音に芯がないというか、耳に響き、心に刻まれるようなコンパス感を感じられなかったのがちょっと残念でした。(出演順)

<カンテ部門>
山田裕子さんのアレグリアス。ちょっと甲高い声が不思議なムードを作りだしました。ポピュラーな歌詞を明るく元気に歌われていました。くちゅくちゅっと早口になるところとかがあって面白い、愛嬌でしょうか。
渡橋美穂さんのグラナイーナ。出だしの歌詞がステキに響きました。正統的なアイレを大切にしながら綺麗に、そして丁寧に歌いあげました。技術的な甘さを今後改善していくともっと良くなる可能性があると思います。
近藤リナさんのシギリージャ。細かな技術をちゃんと勉強なさっているのが窺われました。なにかデンとした芯のある強さは感じませんでしたが、頑張りが利いて、感情が籠る歌いっぷりはとても好感が持てました。
斎藤克己さんのアレグリアス。変わった歌詞で始まり、興味を引きました。細い声で全体的に華奢な感じの歌い方。一つ一つ見栄を切りながら決めて、それなりのアイレを求めている雰囲気が頼もしかったです。
渡辺都美さんのソレア。この方はシブい!淡々とつぶやくように、アイレを内に発しての演唱はとても印象的、心に残りました。カンテの幅広く、奥深い世界に改めて引き込まれます。
小林カルメンさんのアレグリアス。なかなかキレのいいリンダな高い声が愛くるしい。まだ青くささも感じましたが、後半の歌いっぷりは流石にサングレを感じさせるノリとなり、将来が楽しみです。
山本淳子さんのアレグリアス。流暢にそつなく歌っていて、違和感なくすんなり耳に入って来ました。愛嬌あるポーズを見せ、そんな余裕もフラメンカでよかったです。
松岡恭子さんのカーニャ。ちょっとか細い声で生気がない感じでしたが、頑張って歌ってらっしゃいました。曲のアイレが失われないように力の配分も考えながら、更なる練習を期待します。頑張ってください。
竹内恵理子さんのシギリージャ。何か無理があったように思いました。全体を覆うか弱さからか、突っ切れた感じで余韻が残りませんでした。女らしい綺麗な声が、深く重厚なシギリージャには合わないのかとも思いましたがそんなことはないと思います。とにかく、もう少し歌唱力を付け、豊かな表現を目指して頑張ってください。
小松美保さんのマラゲーニャ。歌詞の雰囲気を壊さず、味わい深く歌われていてよかったです。歌唱力も有り、抵抗なくすんなり耳に入ってきました。いい感じで始まったアバンドラーオでしたが、後半の表現がちょっと今一難しかったのかもしれません。
西奈津子さんのタランタとカルタヘネーラ。しっかり声は出ていましたが、流されてしまい、感情の籠め方などで物足りなさを感じました。ちょっと残念、もう少し歌い込んで頑張ってください。
永井正由美さんのシギリージャ。どちらかというと細い感じの声だったと思いますし、小柄?でも、どこからあんな力強さが出て来るのかと思うくらいスカッとするバリエンテな演技でよかったです。特に後半は力の入った盛り上がりをみせ、凄かったですね。
土井康子さんのファンダンゴ。立っているとPaqueraのようでムードありますね。声はしっかり出ていてパワフル、ちょっと聞き取りにくいファンダンゴでしたが、堂々と歌われまして好感が持てました。頑張ってください。
大西保孝さんのファンダンゴ。この方は惜しい!声もしっかり出ていて男らしく、大らかで朗々と流れるような演唱は気持ちよく響きますが、ちょっと薄味のファンダンゴで、説得力に乏しいように思いました。何か一つフラメンコなアイレが加わればもっと頼もしく聞こえてきそうです。
熊谷義博さんのマルティネーテとシギリージャ。きっとこの方はかなり研究なさっていると思います。歌詞もスタイルもちょっと一般的に耳にするものとは違っていて、興味深いです。歌い方は少し一本調子に聞こえてしまう感がありますが、さりげない歌いっぷりで異色です。
占部智恵さんのファンダンゴ。最初のサリーダからして典型的なファンダンゴの響きで印象的。出だしの歌詞もプーロ。素直に歌い、歌のエッセンスを失わないアイレを掴んでいてとても良かったです。ですから最後の表現にもっと大胆さがあってもよかったかなと思いました。
白鳥光良さんのカーニャ。よく練習なさっています。正統的アイレで丁寧にきちっと歌うように努めているのが窺われ好感が持てました。今後に期待したいと思います。(出演順)

手塚真智子(舞踊家)[Bs]

●林由美子さん:前々回に比べて格段の進歩でした。
●牛田裕衣さん:良い構成でしたが、動きすぎの感じを受けました。
●櫻井美砂子さん:もっと表情を豊かに。
●大井昌子さん:目力が出て、踊り切った!シージョが綺麗でした。
●岡村志帆さん:引っ込みのブエルタの芯がずれたのが残念でした。
●伊藤千紘さん:身のこなしが軽やかで、コンパス感が良かった。
●諸藤ふみさん:迫力あるソレアでしたが、ご自身らしさを出すと良いと思います。
●灘辺佳代子さん:曲調をよく捉えて素敵でした。
●草野干夫さん:フラメンコに対する尊敬の念を感じるファルーカでした。
●青木千鶴子さん:毎年挑戦する姿勢とその上達に感服です。
●菊原まりさん:安定感のあるタラント。ブラッソの使い方の研究を!
●佐藤直美さん:解放感を感じるよいアレグリアスでした。
●野上裕美さん:気迫のソレア!
●伊藤真由美さん:パソの詰め込み過ぎなのか、表現したいことが見えませんでした。
●本多清美さん:本当に丁寧な踊り。
●宗形公恵さん:笑顔が魅力的。
●桒村洋子さん:長いブラッソを活かすと良い。
●古迫うららさん:時々重心のブレが気になったが、身体をよく使えていた。
●佐藤陽美さん:力み過ぎでしたが、オーレ!
●阿部和子さん:ファルダの持ち方が綺麗で、パニュエロでの引っ込み素敵でした。
●岩丸綾子さん:メリハリの利いた力強いソレアでした。
●沖真悠子さん:ブラッソが綺麗でした。
●清水和美さん:心がこもったソレアでした。顔の表情、目を開けてほしかった。
●大塚歩さん:瞬発力があり最後まで気持ちが途切れずに踊りきった姿がオーレ!

花岡陽子(舞踊家)[Bs,Bg]

新人公演おつかれさまでした。出演者の方全員に心からの拍手を送ります。

<バイレ・ソロ部門>
【24日】
宮崎さん/しなやかに踊っていますが、もっと踊り込んでください。
平川さん/将来性を感じる素晴らしいバイレでした。
大里さん/アレグリアスらしく明るく、テニクニックもあります。
橋田さん/マントンさばきステキです。パソが少し多いかも。
畑中さん/魅力いっぱいのパソ。これからが楽しみです。
林さん/フラメンコアイレを感じます。ギター、カンテと一体となっていました。
川田さん/表現豊かです。衣裳も工夫があり、面白味があります。
脇川さん/体全体にバランスが取れていてみとれました。
谷口さん/コーラのさばきも美しく、マントンも美しくさばいていました。
寺嶋さん/これからもたくさん踊ってまた挑戦してください。
持田さん/美しく踊っていましたが、強さが欲しいです。
波田さん/表情が良かったです。踊り続けてください。
蓮さん/ブラソもエスコビージャもよく踊っています。
中溝さん/パソの中に重厚感があります。
渡辺さん/ムイフラメンコを見せてくれました。
大津さん/初々しいです。これから肉付けしていってください。
川端さん/ソレアの物哀しさがよく表れています。
流石さん/ティエンポが正確です。少しバランスがくずれます。
鈴木さん/気持ちが入ったソレア。足も強いです。
沖山さん/大柄の体を生かした美しいフラメンコでした。

【25日】
牛田さん/曲想によく乗っています。ヒターナフラメンコを楽しみました。
櫻井さん/パソが少し単調かも。たくさん踊ってください。
市村さん/表現力があります。サパテアードお見事。
大井さん/恵まれたお身体で伸び伸びと踊っています。
池田さん/オリジナリティがあり、舞踊性もあります。
岡村さん/ボリュームのある踊り。カンテもギターもボリュームです。
伊藤さん/アイレもコンパスも良く、ご自分のフラメンコにしています。
諸藤さん/フラメンコが身体に入って、まさに踊りたい!が表れています。
灘辺さん/グアヒーラの華やかさ、明るさがよく出ています。
草野さん/ご自分の人生がファルーカに乗せて、味わいがあります。
青木さん/なめらかで美しいソレアを踊り切りました。
山形さん/テアトロフラメンコでした。ステキなソレアでした。
坂本さん/静と動が見事に表現されていました。
菊原さん/ねばり、ため込み、よく表現されています。
小川さん/ブラソが美しいです。いつもの力が出なかったかも。
森永さん/グラジオラスのような優雅さです。力強さが欲しい。
佐藤さん/ステージをよく使い、気持ちよく拝見しました。
下山さん/寂しさ、つらさの表現、難しいですが頑張って!
有田さん/あふれるばかりのエネルギッシュ、良かったです。
野上さん/上半身、下半身よくきたえて、力強く美しいです。
伊藤さん/どうぞ更に上をめざして頑張って!貴女には出来ます。
本多さん/ねばり強く、カンテによく乗って良かったです。
平田さん/ひとつひとつのパソが見事でした。
川口さん/笑顔が素敵。舞台をよく使って、楽しませてくれました。
宗形さん/軽妙さが出て、サパテアードが見事です。
細川さん/細いお体で力強さが出ていました。
岡田さん/女性らしい大人っぽい動きが印象的です。
齋藤さん/重厚感があり、練習の成果ですね。鈴が素敵!
石田さん/ティエンポ素晴らしいです。ブラソを少し研究して。
後藤さん/全体に欠点はありません。あともう少しです。

【26日】
桒村さん/楽しく踊られています。たくさん踊っていってください。
古迫さん/後半に素晴らしく、踊っています。時々乱れました。
鶴さん/味のあるおしゃれなティエント。長年の成果ですね。
森さん/曲によく乗っています。パソにもう少し工夫を。
佐藤さん/強い足で気持ちよく踊っていました。再度挑戦しましたね!
藪内さん/難しいフラメンコにこれからも踊り続けてください。
小野さん/ソロンゴの物哀しさがもう少し欲しいです。
阿部さん/重厚感のあるアレグリアス。よかったです。
池野さん/強弱をきちんと出して、練習の成果ですね。
稲垣さん/内面からの情熱をよく表していました。
岩丸さん/多種多様なサパテアード、素晴らしいです。
稲沢さん/ご自分のソレアにしています。将来が楽しみです。
小山さん/踊り込んでいらっしゃる、欠点がありません。
沖さん/アイレを感じます。全体にバランスが良いです。
水町さん/小柄な体にエネルギッシュな動き、よかったです。
藤本さん/オリジナル性があり、観客に語りかけ、心が燃えていました。
石田さん/未来への可能性、期待の星。
清水さん/これから勉強していってください。頑張って!
橋本さん/あなたの人柄が踊りに出て、後半が良いです。
大塚さん/指の先、足先まで行き届いた素敵なアレグリアス。

<バイレ・群舞部門>
斎藤克己フラメンコ アカデミー札幌/5人がフォーメーションを変えて面白いエンティングでした。
Estudio El Patio/6人のエネルギッシュな動き、サパテアードが心地よく、全体的に心地良いです。
島崎リノ フラメンコスタジオ DaiDai/華やかな7人がブレリア。オレーフィエスタ!
“Hermicanas”~姉妹~大塚友美フラメンコスタジオ浜松/可愛らしいタンギージョ。ジュニアの方たちに人気が出たのでは。
Las Niñas de Belen/4人の群舞。迫力があります。息がよく合っていて素敵です。

本間牧子(舞踊家)[Bs]

この度ほど決められた人数を選出するということの難しさを感じたことはありません。受賞された方々以外に、私的に奨励賞をさしあげたかった方、心に残った方々を書かせていただきました。

24-6 林由美子さん…軸がしっかりして安定感があり媚びずに振りを大切に踊られていました。自己コントロールされたクエルポ、ブラソ、マノ、体の隅々まで伝わっていく間合いが素晴らしかったです。
24-8脇川愛さん…安定感と力強さメリハリがあり構成も良く、ブラソ、マノが美しく絶妙な間とスピード感がすごかったです!
24-9谷口祐子さん…コーラ、マントンそしてクエルポとの一体感のある踊り、しなやかなブラソとアイレと華!輝いていました。
25-13諸藤ふみさん…理屈抜きでドカーンと来ました。言葉はいりませんね!素晴らしい直球フラメンコ、しっかり受けとりました。
25-24有田ゆうきさん…重々しさと気迫!間合いの作り方、歌との会話感、メリハリのつけ方に引き寄せられました。
25-33齋藤朋之さん…ひとつひとつの事を大切にする思い、立ち方、歩き方、すべてに心のこもった踊り、フラメンコに真摯に向き合う姿に感動しました。
26-20鶴幸子さん…弧を描き、うねりエネルギーを発するブラソ。まるで海の底から渦をまき、沸き上がる波のよう!美しいです。構成も素晴らしく物語を感じさせてくれました。
26-32水町祐子さん…気合いと隙のなさ、レマーテも良かったです。魂の怒りとも思えるアイレを感じました。

他にも素晴らしい方々がいらっしゃいました!あとひと息、あと一息…それは何なのか。自分の踊りに迷いが生じた時、わからなくなった時…フラメンコの原点に返ると何かがきっと見えてきます。昔私もある人にそう言われて気がついた事がありました。技術の面で自分の得意なところは何か、好きなところはどこか、どのように踊りたいのか。誰かと競べるのではなく自分を信じ、体、五感、すべてを研ぎ澄まし集中させる…自ずとするべき事が見つかるのではないでしょうか。強い意志を持つことが大切です。強い意志と自信を持って自分の感じたフラメンコを踊ることです!「心の隙、迷いは体にもすぐ現れる」「しっかり大地に立つ」「力みは大敵」。私の大切にしている事です。

渡邊 薫(舞踊家)[Bs,Bg]

第27回新人公演、各部門出演者の皆様、本当に熱く充実した舞台をありがとう。そしてお疲れ様でした。稀にみる厳暑の中、本番当日にベストなコンディションで臨むのは大変だったと思います。

<バイレ・ソロ部門>
今回奨励賞として推したのは以下7名の方達です。(敬称略)
蓮真佐江:アセントもしっかりあり、切れも良く全体的にバランスの取れた踊り。
伊藤千紘:鍛えられた身体。振りを自分のものとし、サパテアードもリンピオでよくコントロールされた踊り。
古迫うらら:特にタラントパートが、内に秘めた思いを感じた。タンゴもメリハリがあり良かった。
佐藤陽美:ブレリアからシギリージャへの転換が上手く、構成も良かった。リンピオな踊り。
沖真悠子:前回より大きく上達。溜めもありすごく良かった。
藤本ゆかり:ギター無し!カンテ・パルマ・カホンで構成されたシギリージャ。この大胆な(!?)構成をこなし生かされた振付を踊り切った。
大塚歩:自然な流れの踊りで、サパテアードもリンピオ。コケティッシュさも加わり、観ていて気持ち良く引き込まれました。

次点でどうしても推したかったのが以下の方です。準奨励賞おめでとう!
阿部和子:以前にも増して、フラメンコのアイレたっぷりに自分のアレグリアスを踊っていたのが素晴らしい!また来年に期待しています。

【24日】
平川亜紀:独自のアイレがある。止まる時など重心の位置に注意。
脇川愛:準奨励賞おめでとう!良くコントロールされた踊りですが、あなたが何を伝えたいかもっと明確になると前進出来るのでは…。
谷口祐子:バタ・デ・コーラとマントンの扱いが美しい。ベジスコ不足が惜しい。
沖山美環:長身を生かしたのびやかな踊り。自分の中にあるものをもっと見つめ出してください。さらなる挑戦に期待!

【25日】
平田かつら:最後までテンションを保ち、静かな炎が感じられた。
川口美郁菜:踊り手としての資質豊かなので、それを生かし、ヌメロ(今回グアヒーラ)の持つ特徴をもっと表現して。
岡田知子:抑えの効いたフラメンカな踊り。
齋藤朋之:この1年のめざましい成長、上達を観させてもらった。立ち方、ブラソなどへの注意を。
牛田裕衣:丁寧な踊り、上体の固さ、身のふりが気になった。
大井昌子:無音での動きが印象的。2唄のレマーテが私にはちょっと不自然で流れを止めた様に感じた。
諸藤ふみ:フラメンコ大好きが伝わってきた。サパテアードもリンピオ。
草野干夫:キャリアを感じる踊り。マルカーヘの安定、ジャマーダに入る時の間をもっと大切に!
青木千鶴子:マルカーヘが素晴らしい。たゆまぬフラメンコへのレスペートを感じた。今回が今まで観た中で1番良かった。来年期待しています!

【26日】
石田久乃:素直な踊りで魅力的。体幹をもっと意識して。来年楽しみにしています。

<バイレ・群舞部門>
5組各々が異なった趣向、方向性で選考するのが難しかった。
斎藤克己フラメンコ アカデミー札幌:ソロンゴ・ヒターノからソレアへ。全体の構成は良かった。6人が各々、内にあるエネルギー、想いをもっと発して欲しかった。
Estudio El Patio:工夫がみられた構成、奨励賞おめでとう!踊り手のレベルが揃っていてバランスが取れた群舞。全員の気持ちの一体感があり良かった。
島崎リノフラメンコスタジオDaiDai:出だしに勢いがあり期待しました。フラメンカな振付を踊り手達が感じて踊っていた。後半ためらって踊っていたのが残念(カンテが長かった!?)。
“Hermicanas”~姉妹~大塚友美フラメンコスタジオ浜松:若い時にしか持っていない清々しさ!テニクニック的にも、しっかりして良い雰囲気。パニュエロを使った振りは、私には懐かしかった。今ではかえって新鮮で最後まで大いに楽しませてもらいました。
Las Niñas de Belen:群舞としてのレベルは揃っていて高かった。フォーメーションにもう一工夫すれば、もっと良い作品になると。再挑戦してください!

今回全体の舞台(特にバイレ・ソロ)を観て感じたこと。
・全体のテクニック的レベルが高くなっているのは、ここ数年以上間違いない事です。私が大事に思っている事、心がけている事は、全体のバランスです。カンテを感じながらのマルカーヘ、リンピオなエスコビージャ、そしてリズム・テンポの転換、最後までテンションをキープする事です。これらの事を考えると、本当にフラメンコは奥深く、大変なことですね。
・今回かなりの出演者に、首の前傾、いわゆる「ストレートネック」「スマホ首」の方が多いのに驚きでした。それは今の流行なのでしょうか?
・ヌメロ、振付に合った衣裳選びをして、ファルダの扱い、マントンなど小物の使い方にもっと細心の注意をはらって欲しいと思いました。
・数年前から地方の出演者が増えてきました。彼ら達はカンテ、ギターとの合わせ等、色々大変だと思いますが、来年も期待しています。

市川惠子(舞踊家)[Bs,Bg]

<バイレ・ソロ部門>
全体的なレベルは上がっていると思うが、技術、表現力、個性においても突出した方が少なくなかなか感動するまでには至らなかった。ある程度上手な方が多く、いいなと思う方は15人位いらしたので絞り込むのがとても難しかった。色々と考えた末に次の7人を選出した。

私が奨励賞に推薦したのは、
★渡辺なおみ:唄振りは静かで良いのだがもっと感じられるはず。アセントをもっと掴んで。エスコビージャからのテンション、マッチョの気迫は凄く良い。内から発するものに思わず引き込まれ目が離せなかった。
★野上裕美:奇をてらうところもなく、自然体の中で重みも気迫も感じられた。足もリンピオでマノも綺麗。込める力もうねりもあるフラメンコらしい良い踊り。思わずずっと見入っていた。素晴らしい成長に感動。
★岡田知子:身体もコンパスもしっかりしている。さり気ないが芯がある。抜けも素晴らしい。力んでいないがフラメンカ!スカッとしていて自然体だが上手い!バランスの取れた質感の良い踊り。
★佐藤陽美:身体は締まっていて足は凄い。繊細でモダンな難しい振りを良く踊り込んでいる。もう少し上体やブラソ、マノにうねり含みがあるともっと深みが増す。自然体の踊りからスカッとした大人の踊りに大変身。
★沖真悠子:登場から凄い!空気が一時もたるまない!2つ目の唄の始まりとても面白かった。女性としてのしなやかさもあり、込める力もある。足もリンピオ。洗練されて切れ味も良い素晴らしい踊り。
★藤本ゆかり:重みも増しアイレもあるが、足の時に上体が動くのが気になる。無音の振りも存在感で見せ、唄も静かに動かず凄く良い。長く挑戦し続けてきたその気迫に圧倒され、胸が詰まった。
★大塚歩:凄く上手い!振付がすっかり自分のものになっていて、全てがこなれている完成度の高い踊り。会場がどよめく存在感。ノリがよく、アイレもあり魅力的。終始目が離せなかった。

次点として推薦したのは、
★脇川愛:始まりからピシッと決まって印象的。切れ味も良く、パワフルで足もリンピオ。切り替えも良く、リズムも心地良い。タパオも素敵。全体的に表情もあって魅力的。最後も洒落ている。

時間オーバーで惜しかったのは、
※池田理恵:少し複雑だが素敵な振付を即興的に自由自在に踊りこなしている。上体も素晴らしく目が離せない。凄く上手いのだから、時間内でおさめて。

特に印象に残った方々は、
☆林由美子:意志を感じる表現力のある凛とした踊り。間合い、次への展開も良い。切れ味もあり空気感もある。少し押さえ気味のところも良く、最後も綺麗。
☆牛田裕衣:今までと違う印象、とてもしなやかで女性らしく美しい。いつもパワフル大なだけに少し物足りなくも感じたがピエもクリアでテンションも良く、タンゴからラストにかけて本領発揮で魅力的。
☆諸藤ふみ:凄く頑張っている。気迫に満ちたその踊りに目を見張った。オレ!個性を活かしていてとても良い。どこまで自分のものに出来るのか今後が楽しみ。
☆宗形公恵:こなれていて余裕がある踊り。面白い個性で見ていて楽しい。パワーも感じられ、コンパスも足もしっかりしているのだが、どこかピリッとした良い緊張感も欲しい。
☆古迫うらら:押さえ気味だがノリがあり、重みのあるアイレもある。身体も締まっていて込める力もコンパスの締めもあって良い踊りなのだが、今回は少しインパクトに欠けた。
☆鶴幸子:モダンでエレガンテで作品的な印象。奏でて始まる足も素敵。繊細だが切れ味も込める力もあり魅力的。引き込まれる。止めは強く。
☆稲垣栄子:思わず見てしまう良い踊りで好感が持てる。表情良く、唄ぶりもソレアらしく心に沁みた。勢いまかせでなく自然な流れで良かった。
☆岩丸綾子:良い唄に応えていた。込めた力がある。メリハリがあり、足の音もリンピオ、エスコビージャ後半にかけて特に良かった。少し肩に力が入っていたのか。でも熱いものを感じずっと見てしまう。
☆水町祐子:小柄な身体から発する全身から溢れるエネルギー、パワーが凄い!ピリッとした踊りで気合気迫を感じる。激しい思いは伝わるが、どこか溜めて。

次に印象に残った方々は、
◎畑中美里:個性的で不思議な魅力がある、時々面白い表現で印象に残る。動かない良さもありジャマーダは良いのだが足の音が聞こえにくく残念。
◎川田久美子:個性的な出で立ちで印象的だが始まりで膝が丸見えになるのが気になった。足も奏でていて切り替えも小気味良い。切れ味の良い、意志を感じられる踊り。
◎蓮真佐江:パワフルな始まり。肢体を活かした、テンションの高い踊り。身体は出来ている。エスコビージャが印象的だが抜けの表情も欲しい。
◎中溝直美:不思議なブラソで個性的。小柄だが存在感、気合も込める力もある。表情が険し過ぎるのが気になったがタンゴに何か良い味がある。
◎川端淳子:プーロな素敵な振り。女性らしく重みのある踊りで感じが良い。ギターと足の音もよく合っていたがブレリアの抜けをもっと強く。
◎沖山美環:シンプルな振りをクラシカルな衣裳で踊り好印象。少し単調に感じるのでもっとメリハリをつけて。ジャマーダは強く。今後に期待。
◎大井昌子:上手い。振りも良く、無音の印象的な始まりから唄も良い。マノも綺麗。身体も利いてアセントもある。足を打つ時肘を上げて。
◎伊藤千紘:切れ味あり空気が一時も揺るまない。マノブラソもゆったり、凄く良いのだがずっと同じ印象なのでもっと緩急をつけて。
◎青木千鶴子:年々フラメンコらしくなってきた。味も空気感も出てきた。美しいがソレアとしてのもう少し重みが欲しい。
◎菊原まり:身体も出来ていて込める力もある。始まりの足も強く、唄も良いし上手い。タンゴにうねりもあって良いのだが、足が多過ぎ。
◎有田ゆうき:ピリッとした緊張感と気合、熱さもあって上手い。身体が出来ていて振付も良い。音の取り方も良いが行きつくところが欲しい。
◎本多清見:静けさの中に込めた力があり、何か魅力的。唄の締めに足が入るのが気になった。ブレリアのマルカールが流れている。
◎平田かつら:品があり凛としたところのある踊り。整っていて、重量感もあるが後半バテたのか、マッチョにもっと惹き付ける何か頑張りがいる。
◎川口美郁菜:身体はよく利き力強い。バイオリンで作りこんであって可愛いく良い感じ。ブレリアに抜けるテクニック好き。
◎石田祐子:足は凄い。フラメンコとしての気迫もあって良いが、ブラソ、マノをもっと使って。足を打つ前に身体を整えて。上半身でも魅せて。
◎後藤悦子:モダンでフォルマの振りを良く踊っていて雰囲気もあるが、少し構成考えすぎでは?フラメンコとして惹き付けるもっと何かがいる。
◎阿部和子:コンパス力があり味がある。面白く楽しい。タパオから良い。アイレもあるが調子が一緒。止まりはもっと強く!でも応援したくなる。
◎石田久乃:素直で気持ちの良いアレグリアス、華がある。姿勢も良く足もリンピオ。子供ながら自分の意志で踊っている。抜けも良く素晴らしい。
◎橋本佳津枝:新人らしく、伸びやかで華やか。スカッと感じの良い踊り。優雅だが、足多過ぎるので静かなところも欲しい。もっとアセント捉えて。

今後に期待したい方々は、
●平川亜紀:アイレもありリズムも良く好感が持てる。ちゃんと踊っているが少し弱い。もっとメリハリを付けて。さり気ないところがあると良い。
●大里尚子:印象的な始まり。アレグリアスらしい雰囲気で明るく笑顔がかわいい。2つ目の唄はもっとパワフルに。エスコビージャにもう一工夫。
●谷口祐子:リブレの時のバタ、マントンは綺麗で良い。軽やかだが、バタを手で扱う所が多いのが気になる。本来のバタさばきをもっと見せて。
●持田賀津子:一生懸命さが伝わり、年々良くなって来た。立ち姿は綺麗で始まりも素敵。上体が動き過ぎで、タコンの音を出せるよう頑張って。
●大津絵里香:新人らしくかわいらしい。派手で艶やかな振付を楽しそうに伸びやかに踊るが大きく動き過ぎ。バタはもっと腰を入れて。肘も注意。
●鈴木旗江:とてもシックでエレガンテで全体的に良いのだが、身体を使いきれてないように感じる。最後は背中を使ってもっとそった方が良い。
●市村美穂:激しくて良い振りだが踊りこなすには難しそう。唄はもっと重みを。肘、足を打つ時の姿を意識して。ブレリアの入口の足は良かった。
●岡村志帆:印象的な始まり。2つ目の唄は応える気持ちと身体がいる。頑張っているが、どこか心に響くどーんとしたところがいる。絞りも大切。
●灘辺佳代子:絵画のような始まり。グアヒーラらしく明るくてにぎやか元気一杯で楽しそう。もう少し胸を上げて。
●山形志穂:よく頑張っているが振りが大げさで動き過ぎ。足はしっかり打っているが硬い踊り。もっと緩急をつけ強さが出せるように。
●坂本恵美:ちゃんと踊っているがもっと感情表現が必要。カーニャらしさとはをもっと考えて。唄も感じてラストをしっとりと。どこかに強さも。
●森永泉美:良く頑張って踊っていたが、全体的に寂しい感じ。振りの意味を考えて唄の終わりは締めて、アセントをしっかり、抜けも大切に。
●佐藤直美:メリハリのある振りを自分の意志で踊っている。楽しそうで晴れやか。初々しいアレグリアスらしい踊りで良かった。
●下山明子:バックととてもよく合っていて大人らしいソレアで良かった。身体の軸をしっかり、体重がどちらに乗っているのかを常に考えて。
●伊藤真由美:振りが懲りすぎ。もっと削ぎ落として。足はよく動いているのでぶれない上体を意識して。フラメンコとしての身体作りを頑張って。
●細川由香:しっかり踊っているがまだ身体の強さが足りず、軽く見える。唄は頑張っているが硬さもあり、気持ちを伝え切れていなくて残念。
●齋藤朋之:何か心に感じるものがある。味もあって個性的で面白いが、今回は動き過ぎ。肘が抜けている、足元も注意。姿勢ももっと意識して。
●池野美結:ブラソはやわらかくて良いが、振りが自分のものになっていない感が。作り過ぎで勢いがない。タンゴからは表情も出てきて良かった。
●稲沢静:一生懸命さは伝わるが全体の流れがつながっていない。肩に力が入り過ぎ。マントンはまだ拙い。肘と身体使いに注意。感情表現は大切。
●小山理絵:姿勢が気になったがしんみりとした良さもある。身体の芯がまだ出来ていない。盛り上がりに欠けるのでどこかに強さが欲しい。

今後の課題を頑張って欲しい方々は、
○宮崎美香:動かないのならそれなりの何かがいる。色々頑張っているのだが、バックとの一体感もしたいことが伝わってこなくて残念。
○橋田佳奈:必死なのは伝わるが、慌しく見え、マントン振りは色々しているが、感情が伝えられるようもっと唄を感じて。足の時の姿勢に注意。
○寺嶋いずみ:可愛いのでホッとする面も。唄を良く聴き、腰を入れて踊り、作り過ぎず流れをもっとわかりやすくすると良いのでは。
○波田多真紀:多少のずれも気にせずとても楽しそう。バイオリン付きのメロディをもっと感じて。エスコビージャの出だしは大切。
○流石泰美:フォルマの振りの形は感じるがもっと自分の意思が大切。色々がんばっているが、下を向いていると気弱に見え損。自分が楽しんで。
○櫻井美砂子:静かに踊るが、唄ぶり、抜けも良い。姿勢も良くむしろまじめ過ぎるので、もっと流れを感じて。訴えかけるものが何かいる。
○草野干夫:フラメンコとして大切にしているものを何か感じた。雰囲気がある。上の手をもっと高くあげて。今後は表現する為の身体作りを。
○小川千尋:気合は感じるが身体が上下しないよう腰を据えて。軸をしっかり。胸にも力を入れて、ブラソマノも使って。上体にねじりが欲しい。
○桒村洋子:一生懸命だが全てが流れて見える。姿勢に気をつけて。ブエルタは目線をつけ全ての振りにコンパスを感じ、マノもブラソも頑張って。
○森加寿子:ちゃんと踊っているが硬く見えるのでうねりねばりが欲しい。マノもブエルタも頑張っているがジャマーダは強く、足はしっかりと。
○藪内恵利子:優雅さもあるが不確か。色々な振りをしているが、マルカールが流れ気味。説得力に欠けるので身体作りを。ブラソマノを使って。
○小野栄子:最後はスカッとしていたが振りが多すぎて効果的でない。唄も足もアセントを掴んで。マルカールはノリが大切。ブラソは頑張って。
○清水和美:時々良い表情をする。何か味はあるが、まだ身体が全然使えていない。マノブラソ肘が抜けているが、抜けに気合があった。

<バイレ・群舞部門>
それぞれのグループに個性を感じ、一丸となって取り組んできた気持ちが凄く伝わったが、これという決め手に欠けたので奨励賞の選出を控えました。

●斎藤克己フラメンコ・アカデミー札幌:女性ならではの美しさを知った上での振付。何とも品があってドラマチックで最後も美しい。綺麗に揃っていたが、1人ずつのところがあまり効果的ではなかった。
●Estudio El Patio:椅子の上での振りもシンプルで良かった。素晴らしく揃っていて、1人ずつのところも面白く見ていて飽きなかったが、もう少し重みうねりが欲しい。
●島崎リノフラメンコスタジオDaiDai:1人1人がフラメンカ。表情も良く、熱いものが伝わってきて、見ていて面白かった。途中、唄でバラバラとなってしまったのは、本当に残念!
●Hermicanas~姉妹~:元気いっぱいで子供らしさ全開のパワーで、表情も踊りもとても可愛く好感が持てたが、マノ、ブラソも頑張って欲しい。
●Las Niñas de Belen:振りも良くソレアらしい踊り。少し懲り過ぎ動き過ぎだが構成も凄い。踊りはまだ拙いところもあるが皆の気持ちが一丸となって何か伝わってきた。(期待を込め次点として推薦した)

本当に人を感動させるのは難しい。年々振りも複雑になってきているが思いを伝える為にもフラメンコとしての身体作りは重要。やはり自分の感情を一番大切に。もっとフラメンコとして迫ってくるもの、心に響く感じさせるもの、何か熱いものをもっと見せて欲しい。そして女性らしい情感を大切に。マノブラソの美しさをもっと表現して欲しい、と今年も思った。フラメンコに近道はありません。時間の掛かるもの。自分の信じるフラメンコといつも真摯な気持ちで向き合い自分だけの踊りを見つけていってください。

EL・POKA岡崎(舞踊家)[Bs,Bg]

今年も一生懸命観させて頂きました。皆さん、お疲れ様!

藤本ゆかりさん、見事でした。坂本恵美さん、バックとの一体感が素晴らしかった。沖真悠子さん、全てを身につけている、身体能力の高い人。谷口祐子さん、踊りを自分の物にして、楽しんでいるところに惹かれました。川口美郁菜さん、クラシックが体に入っていて、その上、フラメンコを楽しんでいるところ、好きです。山形志穂さん、流石に隙無し、楽しく鑑賞しました。鈴木旗江さん、実力を身につけていて、自分の踊りにしていました。すごい!野上裕美さん、キレがあり、気力もあり、バックとも融合していました。牛田裕衣さん、ブエルタの切れが気になりましたが、この次を楽しみに待っています。脇川愛さん、しっかりと勉強していて、度胸もあり、気迫も充分、唄とのからみも良く、シンギターラを楽しんでいる姿にも、心を打たれました。ありがとう!細川由香さん、リズム感もよく、臆することなく、ソレアになっていました。拍手!佐藤陽美さん、度胸があり、動から静、急止等うまく踊っていましたね!岩丸綾子さん、全体的にバランス良く勉強されている、楽しみな方です。水町祐子さん、リズム感もあり、気力も充分!身体作りにも努力してください。楽しみに待っています。石田祐子さん、出が少し軽すぎたかな?リズム感も抜群だし、また能力に合わせた振付がとても気持ちよく感じました。

中溝直美さん、菊原まりさん、有田ゆうきさん、齋藤朋之さん、諸藤ふみさん、皆さんに共通して感じることは、フラメンコを深く愛し、楽しんでいる大人の踊り、サパテもしっかりしているし、気力も充分!バックともかみ合っていて、観ていて気分が良かった。

最後に灘辺佳代子さん、持田賀津子さん、君達は確実に成長しています。道は近くて遠いけど、必ず登り切って、幸せを掴みきってください!待っています!

追伸:ここに掲載出来なかった出場者の方々の資料も残してあるので、もし少しでもお役に立つのなら、遠慮なくお知らせください!必ず返信致します。

東仲一矩(舞踊家)[Bs,C]

<バイレ・ソロ部門>
出演者の皆様、御苦労様でした。奨励賞を受賞された方から順に私見を記します。

「渡辺なおみ」さん
完成度の高い踊りで、それでもなお踊り込んでいると思われ、何より安定感が素晴らしいものでした。
「野上裕美」さん
素晴らしいソレアでした。テクニックもしかり、舞曲の中に肉体を同調させながら自己の色、においをかもしだされていました。
「佐藤陽美」さん
シギリージャをブレリア取りする傾向がある中で、その違いを表現されました。
「沖真悠子」さん
完成度高く、ピエのペソ、ブラソ等を通して自己の踊りにしてなおかつ、この舞曲の内面までを表現されていたと思います。
「藤本ゆかり」さん
創作作品として完成されたものでした。テクニックと身体表現のアンサンブルは見事でした。
「大塚歩」さん
素晴らしいアレグリアスでした。自身に裏付けされた感じを久々にもらえました。舞曲の持つ意味を自分のものとして表現されていました。

残念ながら賞にもれた方々で私の気になった人を列記します。
「谷口祐子」さん、「沖山美環」さん、「古迫うらら」さん、「鶴幸子」さん、「阿部和子」さん、「諸藤ふみ」さん、以上の方々に感動をいただけました。

<カンテ部門>
「小林カルメン」さん
ネイティブなスペイン語で自然に聞こえました。
「占部智恵」さん
ファンダンゴは私は一番難しいものと思っています。心地良く聞けました。

惜しくも入選されなかった方の中で頑張ってほしい方は、「渡橋美穂」さん、「近藤リナ」さん、「永井正由美」さん、「大西保孝」さん。今後に期待しています。

ロシオ・ロメロ(舞踊家)[C]

今年は何人かの出演者に驚かされました。かなり進歩していたし、とてもよく勉強を積んでいるのが明らかだったからです。私がいつも言いつづけていることですが、カンテを深く知っている良い師を選ぶことが大切です。奨励賞は出ませんでしたが、準奨励賞を受賞された方々を祝福したいと思います。渡辺都美さんのソレア・デ・トリアーナ/アルファレーラ/アポラーには本当に驚かされました。そして小林カルメンさんは、そのアレグリアスのアイレでホールをいっぱいにしました。彼女には大いなる未来があります。皆さんのアフィシオンに心から感謝します。

ディエゴ・ゴメス(カンタオール)[C]

今年も「フラメンコ・ルネサンス21」全参加者の皆さんに、ありがとうと言いたいです。受賞された小林カルメンさん、占部智恵さん、おめでとう。その他3人の方(渡辺都美さん、斎藤克己さん、山本淳子さん)はすばらしいレベルに達していました。本当に満足です!自分にとっても1か月にわたる大仕事でした。でもとても楽しく、実りある日々でした。改めてもう一度、皆さんにありがとう!

菊地裕子(評論ライター)[Bs,Bg]

今年の新人公演のバイレ部門も、多彩な出場者それぞれの全力投球が心地よかった。初めての方のフレッシュな踊り、何度も挑戦している方の練り込んだ踊り、キャリアを積んだ方の芯の通った踊りなどを見るにつけ、日本のフラメンコの進化・深化も感じられ、大変な酷暑の中だったにも関わらず、いつにも増して実に楽しく拝見できた。
個々の講評には書いていないが、全体で気になったことを2つ。スマホ首なのか、頭を前に落として踊る人が目についたことと、ファルダの扱いが雑な人が多かったこと。頭を前に落とした姿勢は美しく見えないし、振付の説得性を削いでしまう。特にブエルタの場面はマイナスになる。また、どんなに美しく踊っても、ファルダの扱い方が汚いと興ざめだ。踊り手として損になる。どちらも努力で直せるので、ぜひとも気に留めていただきたいと思う。
ともあれ、一つひとつのステージに各自の精進のあとが感じられ、渾身の踊りには沢山の感動と勇気をいただいた。フラメンコって凄い!好きになるって凄い!と、あらためて思わされたステージも多数あった。さらに言えば、私自身、バイレが大好きなんだと再発見した3日間でもあった。伴奏者も含め、出場された全ての方々に感謝です。
以下は、いつものように印象に残った出場者のメモから。
(◎=高評価、○=評価、△=今後に期待/★=奨励賞に推薦)

<バイレ・ソロ部門>
【24日】
△宮崎美香/シギリージャ。ブラソが美しく、身体の使い方が上手い。しなやかさは良いけれども、ギュッと凝縮されたものが感じられない。足音をもっと聞かせられるように精進して。
○平川亜紀/バンベーラ。エネルギーの持って行き方がとてもフラメンカ。湧き出る感じがして、心地よい。ただ全体に一本調子になり過ぎた。今のあなたで、違う曲種を見てみたい。
○大里尚子/アレグリアス。唄振りがなかなかユニークで興味をひかれた。単なるニコニコアレグリアスとは全然違う。ただ、独自性を追求するなら、そこをもっともっと!と、私は勝手に思います。
△畑中美里/ソレア。序盤はとても良かった。けれども、何が間違っているわけでもなく、中だるみしてしまった感。体力的なことか、構成の甘さか。頑張れ!
○林由美子/ソレア。佳い感じ。自分の中にソレアのイメージがくっきりとあると思わせる。惜しむらくは、ペソが足りない。あともう少し。どしっと動かない感覚。いや、動けない感覚をぜひ。
△川田久美子/アレグリアス。見せ方は上手で、達者な踊りに見えるのに、中だるみしてしまった。
中だるみの原因は色々あるだろうが、とにかく深く呼吸して、あなたの中から出るものを大事に踊ることを推奨します。踊るってことは舞台で生きるってことだからね。
○脇川愛/タンゴ・デ・マラガ。コンパス感が良い感じ。良い踊り手だということはわかる。でも何だろう、踊りが記号化しているみたいで、心が騒がないのだ。あなたの感情は動いていますか?
○谷口祐子/アレグリアス。マントンの扱い方は優雅に映ったけれども、バタ・デ・コーラのさばきに今ひとつ品がない。上手い踊り手だと思っているが故に残念。精進しかない!
○中溝直美/ティエント。全部フラメンコの美味しいところでできている踊り。カンテとの一体感、あふれ出るアフィシオン。ああ大好き!しかし、あにはからんや、素晴らしい緊張感は7分半保たなかった!実に残念。体力つけて、また出るべし。私はあなたを待っています!
○渡辺なおみ/シギリージャ。身体がとても良く動く人で、技術もあるし、表現力もあるけど、いかんせん、シギリージャに見えない。カンテを受け止めていたら、そんなふうに踊れるかな。高度な要求ではありますが、私はこれはフラメンコの根幹に関わる問題だと思っているので。「踊り難きを踊る」という心の向きが大事ではないかな。ご一考願います。
◎鈴木旗江/ソレア。自身の中が充実している感じが凄く良い。シンプルな振付ではあるけれども、どれだけ自分のものになっているかが良くわかる。身体を良くコントロールできていて緩急もあり、人と違う自分が表現できていた。でもあと一歩、あなたをガシッと刻印する何かを、私は求めたい。舞台に立つ人の勝負はここからです。
△沖山美環/アレグリアス。最初は固かったが、途中から天真爛漫な持ち味(?)が出て、心地よい踊りに。まだ踊り全体を自身でコントロールできていない感はあるが、素地の良さが踊りに出るのは買い。もっと大きな踊りができるはず。

【25日】
◎牛田裕衣/タラント。サリーダから華やかで、舞踊度がとても高い。目を引く踊り。ただ、タラントって、踊りの技術を見せるために選ばれる可能性が高いのか、皆、詰め込みすぎる感がある。思うに何の曲種だろうと、全てのパソは自身の中から湧き出てこなくては意味がない。なぜそう踊るのか、そう動くのか、動けない時もあるでしょうに、それも踊りでしょうに、と。
△市村美穂/ソレア。破綻なく一通り踊れているけれど、まだ不安定。唄振りは影のよう。エスコビージャの時には生き生きしているのに、カホンで足音が聞えないという謎。もっと踊り込んで、自身が何を踊りたいか深掘りを。
◎大井昌子★/シギリージャ。とてもスタイリッシュなパソを高いレベルでこなしていた。機械的になりそうなところも血が通っている感じで、私は好きでした。あとはもっとあなたを見せることかな。お馬鹿なところも黒いところも全部開いて、えいっ!と踊ってほしい。
◎池田理恵/アレグリアス。時間オーバーで奨励賞対象にはならなかったけど、伸びやかで表現力に富んだアレグリアスだった。身体のコントロールも利いていて、感性も良い踊り手だと思うが、作品としては破綻が無さ過ぎて面白みに欠ける。受け身に終始しているせいか。勇気を!
△岡村志帆/ソレア。パソのアセント感が半端ない。フラメンコをこのように理解していますというように踊るので、本当に面白い。ただ全体として繋がっておらず、雑なことろも散見されるので、そこは精進しつつ、芯のところはこのまんま成長していただきたい。
◎伊藤千紘★/ソレア・ポル・ブレリア。もうびっくり!非の打ち所がないとはこのことだという、ソレア・ポル・ブレリア。火の玉のようであるかと思えば、エレガントな面を見せたり、そしてすこぶる楽しいコンパス感。それら全てに無理が感じられず、素直で美しい。フラメンコ娘じゃ!あとはあなたの印が出てくれば鬼に金棒でしょう。いや〜奨励賞取らなくて良かった、また見られる!と、密かに思ったよ、ごめん。
○諸藤ふみ/ソレア。ふくよかな身体を生かして、自分の好きなフラメンコをやっています!という意気は買い。さらに、技術的にもレベルが高い。問題は表現のありようだ。自分で感じている以上のことをやっている。いや、感じる前にやってしまっている。客は敏感だ。段取りはすぐにばれる。動きの密度を上げていかないと、予定調和の大げさな踊りと客が感じたら終わりです。感性を磨いて、何をやって良いかいけないか、その感性に聞くこと。期待しています!
○灘辺佳代子/グアヒーラ。うーん素敵!今まで見たこともないような素直で爽やかなグアヒーラに、心底驚いた。自分の世界を貫いて、最後まで美しかったが、展開にあと少し意外性が欲しかった。また出てー!
○青木千鶴子/ソレア。出るたびに上手くなっている人だが、今回は格段にレベルアップした。あとはコラへをもっと。丁寧に踊っていても、全体にそつのない踊りと見えてしまう。頑張れ。
○坂本恵美/カーニャ。小気味良いマントンさばき。振付を自分のものにしている感じで、非常にあでやか。あと一歩、これでもかというこだわりを見せてくれれば。
△菊原まり/タラント。そこそこ上手に踊れているが、全体に同じトーンで続いてメリハリがない。踊りの輪郭がぼやけた感じになっている。ここぞというところをぜひ。
△佐藤直美/アレグリアス。踊る喜びを身体いっぱいで表現して、思い切りも良いが、まだ踊りが全体に流れてしまう。マルカール、コンパス感、所作をもっとブラッシュアップすること。
△有田ゆうき/ソレア。良く踊れていて、気合いも○。でも、まだ踊りに厳しさが足りない。もっと足音を磨き、動きの緩急も研究して。
○野上裕美/ソレア。密度のある大きな踊りで非常に良い。だが、全体に同じように力が入っていて、焦点がぼやけた。何を感じて、何を伝えたいのか、ここからの深掘りを。
○本多清見/ソレア。抑えの利いた踊り。手数こそ少ないものの、表現は鋭く、鮮やかな印象があって、非常に良い。欲を言えば、もっとペソを。そしてあなたらしいインパクトを。
△平田かつら/シギリージャ。ゴージャスな雰囲気があり、よく踊れている。でもエスコビージャがまだまだ。そこを精査しないと、シギリージャの魅力は伝わらないのでは。
△川口美郁菜/グアヒーラ。雰囲気はあるものの、全体に一本調子で、漫然と踊っている感じ。グアヒーラの魅力は何?どこが好き?そこをきっちり踊りで彫っていって。
○宗形公恵/アレグリアス。キュッとして面白い個性。唄振りはややコミカルに、シレンシオは優雅にと、その落差が良かった。このやり方なら、さらに技術を磨いて欲しい。深い踊りも見たい。
◎岡田知子/ソレア・ポル・ブレリア。堂々と落ち着いた踊りで好印象。エスコビージャの足音が美しい。ただ全体におとなしい印象で終わったのが残念。持ち味を際立たせる工夫を。
△石田祐子/シギリージャ。フラメンコを自分なりにしっかり捉えていて、パソにも凄みは感じられるが、まだ身体に時折ゆるみが見えるのが気になる。頑張れ頑張れ!
○後藤悦子/バンベーラ。身体もできていて、技術も高いし、表現力もある。上手い踊り手だと思うのに、衣装が踊りや本人に全くのミスマッチで、踊りの内容に集中できなかった。残念。

【26日】
△鶴幸子/ティエント。モダンな振付を自分のものとして踊っているが、全体に彫りが甘い。もっと鋭さが欲しい。あと、もっと深い集中力を身につけて。
◎佐藤陽美★/ブレリア・イ・シギリージャ。幕開きのスポットの中でのブレリアは目が醒めるようだった。身体のコントロールが利いていて、スタイリッシュな振付が全て美しい。オレ!
◎阿部和子★/アレグリアス。私の希望の星が、すこぶる腕を上げて登場。何というグラシア。アイレたっぷりで、大好きな振付を心から楽しんで踊っている印象。「見させられている」感が全くない、フラメンコらしいフラメンコ。毎日見たい!
△池野美結/タラント。かなり表現力を必要とする振付だが、まだこなしている段階なのか、全体にエネルギーが小さく、クエルポの表現もエスコビージャも説得力に欠けた。色々頑張れー!
◎稲垣栄子/ソレア。良くコントロールされた演目で、素晴らしい安定感だった。佳き踊り手なり。問題は展開に目新しさがないところか。フラメンコにはドキドキわくわくも必要かと。
○岩丸綾子/ソレア。唄と良く呼応した踊りで、前半はとても良かった。しかし体力がもたなかったのか、中だるみして、ブレリアではエネルギーが不足気味となった。才能は感じるので、まず体力を養って欲しい!
△小山理絵/ティエント。唄振りはまずまず良かったが、エスコビージャの見せ方が地味。観客が飽きてはいけない。あと、もっと身体の中から動きが湧き出るようにして欲しい。ペソ!
◎沖真悠子★/シギリージャ。大きな劇場だというのに、空間の支配力が凄い。身体のコントロールが良く効いていて、訴えかける力が半端ない。劇場が良く似合う、ザ・踊り手だ。楽しみ!
△水町祐子/シギリージャ。小柄だが、強さも鋭さもペソもある。良い感じだったが、後半、集中力に欠けた。フィギュアスケートで後半に4回転が入ると拍手喝采になるのと同じで、最後のあと一踏ん張りも観客は見たいのです。
◎藤本ゆかり★/マルティネーテ。何度も出場してきたあなたの今回の成長ぶりは本当に凄かった。大作を思わせる構成に果敢に挑戦し、魅せることができたことは賞讃に値する。心からオレ!
△石田久乃/アレグリアス。技術的にはまだこれからだけど、とても伸びやかで無理がない。オーソドックスな振付が逆に新鮮に見え、多くの可能性を感じさせた。まだ10代だとか。期待大!
◎大塚歩★/アレグリアス。良く動く身体にコンパスが息づいていて、なんと楽しいこと!難しいことを軽々とこなしているように見せるハイレベルな踊りで、思わずニヤニヤしてしまった。3日間の大トリに最高のアレグリアスをありがとう!

<バイレ・群舞部門>
○斎藤克己フラメンコアカデミー札幌/グラナダ狂詩曲~Rhapsody~。幕開きの美しさは今回の群舞で随一。その後も飽きさせないフォーメーション展開の素晴らしさ、ステージングの見事さには唸った。ただ舞踊のフラメンコ性が足りないため、私には美しい以上の感興が湧かない。群舞としてのフラメンコというところを、もっとやって欲しい。
◎Estudio El Patio/シギリージャ。非常に厳しさに満ちた、真摯な群舞。惜しむらくは、よくよく練習されたフォーメーション展開が、いかんせん印象としては平板で、予想を裏切るものがなかったこと。これ、大事なことだと思うので、書いておきます。舞台を海に浮かぶ平らな氷山に例えると、全体に均等の重さがあって初めて平衡が保たれるが、それは個々が等間隔に同じようなエネルギーで立つことだけを意味しない。上手と下手(客席から見て舞台の右側と左側)に、例えば2対4で立ったとしても、2により強いエネルギーがあれば、見る側の印象として氷山は平衡を保つし、また、時には平衡が崩れそうになることも観客の心をひくという側面がある。ステージングは、単にバランスだけでなく、そういうエネルギーの動きや変化をベースに考えると、もっと伝えたいことが伝わるはず。期待しています!
○島崎リノフラメンコスタジオDaiDai/ロマンセ。沢山の村娘が、皆、生き生きと踊っている感じで、非常に好感度大のステージ。ただただ楽しんで見ていられると思ったら、カンテとのズレが出て、流れが一瞬止まった。残念なことではあったが、スペイン人カンタオールの場合はありがちなことなので、こういう時にどうするかを今後の課題として取り組むのも有りかと。劇場型の群舞だと、おおかたはきっちり決めていくが(照明のきっかけもあるからね)、多少の即興性を盛り込むことが出来たら、そっちの方が格好良いなと、私なんかは思います。
○Hermicanas~姉妹~大塚友美フラメンコスタジオ浜松/タンギージョ・デ・カイ。10代の姉妹らしいが、何とも息ぴったりで愛らしい。懐かしい振付が、こんなにも素直に生き生きと踊られることに嬉しくなった。カディス好きにはたまりません。これからの期待も大!
◎Las Niñas de Belen★/ソレア。曲調を良く捉えたフォーメーション展開が素晴らしく、また、4人の身体にそれがよく染み付いていることが一体感となって伝わってきた。今回も群舞は、様々な方向性の作品があって、正直、点数など付け難いのだけど、このソレアは今回の群舞部門で最もフラメンコ性を感じ、劇場型の群舞としても成功していると思った。奨励賞は惜しくも逃したが、ベレンの皆さんには、またぜひ出場していただきたいな。

瀬田 彰(ギタリスト)[G]

今回私は奨励賞に福嶋さんを推しました。以下、出演順に印象を述べます。(敬称略)

1番・磯谷(ソレア):
伝統的なスタイルのソレア。安定感がある演奏で良かった。但し、右手のタッチが強すぎてノイズ的な音になった箇所が随所にあり残念。一般論だがソロ曲を弾く場合、テクニック面で見るとアルペジオ、プルガール、トレモロなど音量の平均化が出来ることが必須条件。その上でコンパスなりのアクセントを適度に乗せることが良い演奏。過度にアクセントを優先させると凸凹の演奏になってしまう。

2番・大場(ブレリア):
E/Fのブレリア。初頭部分はソレアのファルセータをそのままブレリアのコンパスに移し替えたもの。アイデアは良いがあまりにも長く使いすぎるとフラストレーションが貯まり、ブレリア風では無くなってしまう。ポル・アリーバの雰囲気は良いが、演奏面での音の粒立ちが悪かった。

3番・鈴木(ソレア):
伝統的なスタイルのソレア。丁寧な演奏だが不完全燃焼的な演奏に聞こえた。ソレアの演奏で核となるプルガール奏法の音の通りが悪い。もっとリンピオ(鮮明)な音を求めて欲しい。

4番・福嶋(ブレリア):
伝統的スタイルのブレリア。シギリージャ風なアイレを持った前奏に始まり、最後までブレリアの緊張感を持続させた演奏が良かった。曲中、古風なヘレス風のファルセータも織り交ぜとても良い雰囲気を出していた。

5番・内山(アレグリアス):
リブレで始まるA調のアレグリアス。とても綺麗でテンションがあり心地よい曲作りだが、アルペジオのファルセータなどに音斑があり、はっきり聞こえなかったのが残念。

池田瑞臣(現代舞踊協会)[Bg]

群舞は5作品、私なりの直感的感想をのべさせて頂きます。

①斎藤克己フラメンコ アカデミー札幌「グラナダ狂詩曲」
優雅な作品。幽遠な叙情詩に触れたようで魅かれたが、ともすると起伏か単調。どこか瞬間的でも、心の叫びのような変容が飛び出していたらと思いました。

②Estudio El Patio「シギリージャ」
椅子に並ぶ6名の意気込み。まさに威力的な総力が見える。この力関係を最後までどう持ち堪えられるかとの危惧があったが、動きや構成配分の流れが生かされ、内容が盛り上げられていた。

③島崎リノ フラメンコスタジオ DaiDai「ロマンセ」
純粋な存在感にほほ笑みを感じた。各々の発言の交流も自然体のようで好感だったが、ふと呼吸の乱れの場面があった。かすかだったが動きの戸惑いが、踊りをせばめた感覚を感じた。残念です。

④“Hermicanas”~姉妹~大塚友美フラメンコスタジオ浜松「タンギージョ デ カディス」
華やかで楽しい。舞台を自由闊達に振り舞う明るさ。積極的な表現だったがもっと深さが欲しい。「間」の面白さにも挑戦してみてはと期待しています。

⑤Las Niñas de Belen「ソレア」
変化の続く舞踊構成は、いつの間にか舞台空間を広げて見せていた。踊るそれぞれの目線にも心に通じる語りがあって作品を大きくしていた。快い余韻を受けた。

川上茂信(東京フラメンコクラブ)[C]

今回、東京フラメンコ倶楽部のメンバーとして選考に参加させていただきました。アフィシオナードとしての発言が期待されていると理解して、書きます。印象論的で具体性に欠けるところが多くなるかと思いますが、素人の感想ですのでご容赦ください。
まず、ほとんどの人について、ここを直せばもっと良くなると思ったのがスペイン語の発音です。残念ながら、歌詞が聞き取りにくい人が大勢いました(私が知っている歌詞だと気づくのに2行かかったり)。最低限、個々の音、u や rr をきちんと出すことは心がけましょう(u について言えば、tú は案外難しいですし、特に cuando とか muerte のように後に母音が続くときに怠けないようにしましょう)。もちろん発音を良くしようと思ったら、これで終わりということはないですし、完璧(ネイティブ)な発音を身につけなければいけないわけでもありませんが、カンテが歌である限りは歌詞があり、歌詞には意味があるので、それを表現する努力はして欲しいと思います。そして、テレモートのように何言っているのか分からないけど凄い、というカンタオールはいますが、それは別のレベルの話です。

発音に関して、もう1つだけ言っておきます。それは、単語あるいはフレーズのアクセントに気をつけて欲しいということです。これも、多くの人ができていない点です。アクセントは、コンパスの強拍に当たるとは限りませんし、長く高く歌われるわけでもありません。むしろ、その複雑な関係が面白いのですが、言葉のアクセントがつかないと、のっぺらぼうなカンテになってしまいます。そこに無理に表情をつけようとすると日本語的な、あるいは演歌的な踏ん張りが出て来てしまう。仲間内で歌うのなら、それも個性として面白く聞けるのでしょうが、大ホールで聞くには、やはり居心地が良くありません。ちなみに、スペインのプロのカンタオール・カンタオーラが歌っても、言葉のアクセントがずれることは皆無ではないようですが、これもレベルの違う話です。

以前と比べると、ポップス的な声は減った印象で、不思議なメロディーも少なかったと思います。フラメンコ的な音運びを身に付けるためには、やはり沢山のカンテを聞いてシステムに慣れることが重要です。自由に歌ってしかも通るべき音を外さないというレベルを目指して精進を続けてください。

ところで、歌い始める前のギター部分が随分短い例が散見されました。制限時間内に収めるための苦渋の選択だったのかもしれませんが、良い効果は得られませんでした。ギターが上手くお膳立てをしてくれれば歌い手は随分楽になるでしょうし、聞く側にとっても、そのカンテの世界に入るための準備が欲しいところです。また、歌い手の力量が足りない場合は致し方ないのかもしれませんが、ファルセータが主役のように感じられた例が1・2ありました。これは伴奏の失敗と言って良いでしょう。

全体的な印象はこんなところですが、占部智恵さんのファンダンゴが自然な声と全体の構成感の点で良かったと思います。ファンダンゴは語り物の要素が強いですから、言葉が生きてくると更に良くなるでしょう。また、ギターのファルセータが終わって一呼吸入れてから歌い始める「1拍休み」感がワンパターンなので、その辺りは研究の余地があります。もう1人、小松美保さんのマラゲーニャは、メジーソでもチャコンでもなく、トリーニのスタイルをきちんと歌おうとしていた点が良かったです。トリーニのマラゲーニャは最近取り上げられる機会が増えているようですが、じっくり取り組む価値のあるスタイルですから、ぜひ深めていって下さい。声は多少震えるところがありましたが、自然に出ていたと思います。小林カルメンさんのアレグリアスは、当然とは言えネイティブな響きで、技術的にも安定していたと思いますが、何と言ったらいいか、カンテが流れ気味で、フレージングに違和感を覚える部分が少しありました。敢えて推薦しませんでしたが、これから伸びる余地がまだまだあると感じました。


第27回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」

2018.10.04

第27回 フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」

奨励賞:バイレ/ソロ部門 (出演日、プログラム順表記)
奨励賞:バイレ/群舞部門
奨励賞:ギター部門
奨励賞:カンテ部門
  • 該当者なし

準奨励賞:バイレ/ソロ部門
  • 8/24(金) No. 8 脇川愛
  • 8/26(日) No.25 阿部和子
準奨励賞:カンテ部門
  • 8/26(日) No. 6 小林カルメン
  • 8/26(日) No.16 占部智恵

写真:大森有起


第27回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」選考結果発表

2018.08.26

8月26日、公演終了後に行われました選考会を経て、下記の通り受賞者が決定致しました。

 

第27回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」 選考結果発表 ※出演順

 

【奨励賞】

・バイレソロ部門

渡辺なおみ 24日 15番

野上裕美  25日 25番

佐藤陽美  26日 22番

沖真悠子  26日 31番

藤本ゆかり 26日 33番

大塚歩   26日 37番

 

・バイレ群舞部門

Estudio El Patio  24日 22番

(近藤由紀恵、斉藤玲子、島田純子、立浪陽子、磨伊由佳、山口麻里子)

 

・ギター部門

福嶋隆児  25日 4番

 

・カンテ部門

該当者なし

 

【準奨励賞】

・バイレソロ部門

脇川愛  24日 8番

阿部和子 26日 25番

 

・カンテ部門

小林カルメン 26日 6番

占部智恵   26日 16番

 

※25日 10番 池田理恵 時間オーバーにより選考の対象外となりました。

 

以上


第27回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」 チケット・座席予約券販売開始

2018.06.19

第27回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」のチケット・座席予約券の販売開始いたしました。

第27回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」
8月24日(金) 開場17:30/開演18:00
8月25日(土) 開場15:30/開演16:00
8月26日(日) 開場15:30/開演16:00

●場所 なかのZERO大ホール

●チケット
一般/(前売)¥4,000 当日¥4,500
会員/(前売・当日共)¥3,500
●座席予約指定券
1席/¥2,000

※前売りチケットの販売は終了いたしました。当日会場にて当日券をお買い求めください。

★並ばなくても座って観られる「新人公演・座席予約券制度」

遠方からお越しの皆様や、ご高齢のお客様などが長蛇の列に並ばなくとも安心してご入場頂けるよう、今回の新人公演でも「座席予約券制度」を実施することとなりました。 全体の一割程度を目安に、規定枚数以外は受け付けない事とし、一般入場者への配慮を心がけ実施します。

◇名称:座席予約指定券
◇対象:列に並ぶことが困難な高齢者や、時間的に不都合な方など
◇利点:事前に座席を確保することが可能
◇予約座席数:各日100席程度
◇料金:2,000円
◇申込方法:チケットフォーム、または協会事務局までお電話にてお申込みください。
※入場の際は、別途通常のチケット(入場券)が必要ですのでご注意ください。
※申込順にセンター中央から席をとり、規定枚数に満たない場合は自由席として解放します。なお、お客様からの座席の指定はできませんので御了承ください。(なかのZERO大ホールの座席表はこちらでご確認ください。)



【第27回出演者限定】新人公演メールアドレスご登録のお願い

2018.05.18

新人公演出演者各位

メールアドレスご登録のお願い

日本フラメンコ協会では、新人公演出演者の皆様に、メールアドレス(メールマガジン)のご登録をお願いしております。
新人公演に関する連絡事項や選考結果速報などをお送りする際に必要となりますので、お手数おかけしますが、当協会HP内の以下ページにアクセスしていただき、メールアドレスご登録のほど、何卒よろしくお願いいたします。なお、当日やリハーサルなどの緊急の際にも利用する場合がありますので、いつでもどこでも受信できるスマートフォン、または携帯メールアドレスが望ましいです。ご登録いただいたメールアドレスには最終日の選考会終了時に“結果速報”を配信いたします。

【重要】緊急時や結果速報だけでなく、従来郵送(手紙)にて通知していた連絡事項をこちらのメールマガジンでお送りする場合がございますので、出演が決定された方は早急にご登録をお願いいたします。

■新人公演出演者用登録フォーム
http://www.anif.jp/ctt_anif_melmaga.htm

↓以下の事項も合わせてご確認ください。

※自宅や会社のメールから携帯へ転送などをかけている場合は、携帯アドレスでなくても構いません。
※昨年出場されている方も改めて再度ご登録お願いします。
※群舞でご出演の方は、代表者おひとりのご登録で大丈夫です。
※電話やFAX対応はしておりませんので、必ず下記フォームまたはアドレス宛てにご送信ください。
※いただいた個人情報は、事前の同意なく第三者への開示、転用等はいたしません。

【ご登録方法】
1.メールアドレスをお持ちの方はフォームから直接ご登録ください。
ご登録後に「メールマガジン登録のご案内メール」が送信されますので、本文にある「登録完了URL」へアクセスしてください。アクセス後、「メールマガジン登録完了のお知らせ」が送信されたら登録完了です。

★注意:フォームから「登録」しただけではまだ登録は完了しておりません!必ず「登録完了URL」にアクセスし登録を完了させて下さい。

2.メールアドレスをお持ちでない方、またはフォームからうまく登録ができない方は下記へ送信してください。
下記登録内容を送信後、数日以内に「メールマガジン登録完了のお知らせ」が送信されたら登録完了です。

宛先:flamenco@anif.jp
<必要記入項目>
・件名「2018年新人公演 出演者連絡先」
・会員番号/氏名/出場部門(バイレソロ・バイレ群舞・カンテ・ギター)
・メールアドレス、電話、FAX等(ただし、緊急時に対応できるもの)

●メールマガジンの内容
◇メールマガジンの名称: 2018年ANIF新人公演出場者用特別便
◇メールマガジン名:sinjin2018@mm.anif.jp(送信元メールアドレス:sinjin2018-owner@mm.anif.jp)
※迷惑メール対策などで受信拒否設定をしている方は、登録メールや完了メールが届かない場合がございます。今一度ご自身のスマートフォン、携帯電話の設定をご確認の上、上記アドレスを受信許可リストに追加してください。


第27回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」申込状況・出演順決定

2018.05.18

2018年8月開催、第27回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」に多数のご応募をいただき、ありがとうございます。
今回はバイレソロ部門、カンテ部門において定員超過となり、定員に満たない部門との調整を行い、ギター、カンテ、群舞の3部門は、申込者全員の参加が確定。バイレソロ部門は、残念ながら7名の参加が叶わないという結果になりました。
このような経緯で、参加条件に満たなかった皆様はご希望にお応えすることができず、誠に申し訳ございません。今回の参加が見送りとなった皆様には、次回優先的に参加できる資格(次回優先権)が与えられます。ぜひ来年度の参加をお待ちしております。

定数、応募総数は下記のとおりです。

【定数・応募総数】

 部 門   定 数    応募総数   超過数
バレソロ   63     77      14
群舞      8     5      -3
ギター     8     5      -3
カンテ    13    17      4
合計     92     104    12

合わせまして、出演順は下記の通り決定いたしました。

※チケットの販売は6月19日(火)を予定しております。

以上


第27回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」募集要項

2018.05.01

第27回

フラメンコ・ルネサンス21  新人公演

募集要項

 

◆目   的 日本フラメンコ界の発展向上に寄与し、フラメンコに関わる一人ひとりが輝くために。

◆日   時 2018年8月24日(金)・25日(土)・26日(日)

◆会   場 東京:なかのZERO大ホール

◆参 加 資 格 2018年2月28日迄に入会済の日本フラメンコ協会正会員(国籍、性別、年齢不問)である事。群舞参加者に限り、代表者以外の初年度会員も可。
ANIF最高顧問、会長、副会長、理事長、理事、事務局長、いずれか1名の推薦を必要とする。※推薦人の承認印・サインは、本人の承認があれば後日でも可

 

◆参加部門・募集組数

以下の4部門   92組以内     出演日      入場券負担枚数

①バイレ・ソロ    63名      全日      30枚/7分30秒以内

②バイレ・群舞     8組     24日      60枚/7分30秒以内

③ギター・ソロ     8名     25日      20枚/5分以内

④カンテ・ソロ    13名     26日      20枚/5分以内

【特注】各部門共に募集組数は目安程度とし、申込状況に応じて配分する。

 

◆参 加 費 1曲/1万円

入場券価格 会員価格…3,500円/前売り・当日共

一般価格…4,000円/前売り 4,500円/当日

※全自由席とし、別途座席予約指定券(2,000円)を発売する。

 

◆申込方法及び受付

①申込用紙(推薦人を明記のこと)に必要事項を記入する。

②参加費を添えて協会事務局へ持参又は郵送する。

③参加資格(協会正会員)のない方は、更新・入会手続きを完了する。

注➠①②③が揃ってから受付受理。

 

◆受付期間 5月7日(月)10:00~5月12日(土)18:00 迄(代理人可)

注➠持参・郵送を問わず、締切日(5月12日)一括受付とする。

注➠申し込み締切り時に募集定数を超過した場合、協会継続(在籍)年数を優先する。
【特注】同年数の場合は、協会継続(在籍)月日を優先し、抽選会は実施しない。

 

◆出 演 順
出演順は運営委員会にて抽選により決定し、出演者に通知する。

 

◆部 門 賞
*協会が依頼する各部門別選考委員の選考により、複数の部門別奨励賞を設ける。

*奨励賞は、3日目終演後の選考委員会にて決定し翌日発表する。

*奨励賞等授与式は2019年1月27日(日)、中野サンプラザにて開催予定。

 

◆伴 奏 者

*伴奏者は出演者が用意する。伴奏者用マイクは5本以内とする。

*バイレ・ソロ、群舞部門=ギター、カンテ、パルマ、パーカッション等を含む3名以内。

*カンテ部門=ギター伴奏1名のみとし、他の楽器類及び伴唱は認めない。

*ギター部門=ソロのみとする(伴奏、伴唱は認めない)

*バイレ・ソロ、群舞部門はCD(録音)伴奏も可、ただし生演奏との併用は不可。

*カンテ・ソロ部門、ギター・ソロ部門のCD(録音)伴奏は不可。

 

◆備   考

*定員超過により参加できなかった場合のみ、参加費は返還する

*出演順決定後の取り消しは、規定通りの入場券枚数を負担する。

*本番での持ち時間超過は賞の選考対象から除外。

*椅子以外の道具類、幕類の別途使用は不可。

 

◆主   催 一般社団法人 日本フラメンコ協会  Tel03-3383-0413  Fax03-3384-5711

 

【重要補足事項】

■新人公演抽選会(定員超過の場合)廃止のお知らせ

従来は応募定数を超過した場合に限り、該当者(継続・在籍年数による)を対象に抽選会を実施し参加者を決定してきましたが、より公平公正を期するため、第27回新人公演「フラメンコ・ルネサンス21」より、同条件の場合には継続在籍月日(入会年月日)に従い参加者を決定することになりました。よって、抽選会は廃止となります。

●新人公演歴代奨励賞受賞者参加枠につきまして

第26回新人公演より新設された「新人公演歴代奨励賞受賞者参加枠」は新人公演の掉尾を飾るに相応しいとの判断から、今回も最終日に一括で実施することが決定しております。
新人公演参加者枠への配慮を大切にして、ギターカンテは1名以内、バイレも2名以内と定め、超過した場合は抽選で参加者を決定いたします。

●新人公演伴奏者の参加資格につきまして

ANIF主催イベントの中で、唯一ANIF正会員であることを条件としている新人公演ですが、伴奏者に関する規定が定められていないままに27回を迎えようとしています。新人公演に参加される皆様の熱い思い、諸事情を考慮し、理事会ではその対処の仕方の討議を重ねてまいりました。2020年までには何らかの括りを設けた上で、「新人公演は伴奏者も含めて全員ANIF正会員であること」とする方向で調整を進めております。ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。


第26回新人公演「フラメンコ・ルネサンス21」受賞者コメント・講評

2017.09.25

第26回新人公演「フラメンコ・ルネサンス21」の受賞者コメントと講評をUP致しました。

→受賞者コメントはこちら
→選考委員による講評はこちら


第26回新人公演「フラメンコ・ルネサンス21」

2017.09.25

選考委員(名前から各講評へリンク)

濱田滋郎(評論家・会長)[G,C]

まずは、第26回新人公演も、なんらの支障も起こらずに無事終了したことを心より喜び、すべての関係者の方がたに厚く御礼申し上げたいと存じます。3日間会場におりますと、フラメンコを愛する大勢の方がたとお会いでき、晴れやかなお顔、お姿、お心に触れて、生き返らせて頂くような感覚を味わいます。「ANIFもこうしてお役に立っているのだな」と実感できるのは、とても嬉しいことです。

全体の「まとめ役」を頂いているので、バイレソロの選考には私は加わっておりませんが、特に数多かった出演者の中から7名の「奨励賞」受賞者が出たことにお慶びを申し上げます。一挙手一投足で観衆の心を奪ってしまうような飛びぬけた人材には今年も出会えませんでしたが、皆さんそれぞれ個性を発揮して、よく踊られたことに疑いありません。賞を得られなかった出場者の中にも、印象に残った人たちはずいぶんいます。ぜひ、更なるご研鑽を、と願っております。また群舞も、8組それぞれのアイディア、振付と技量で、よく奮闘されました。群舞は当公演の華ですから、今後も出場数が減ったりせぬよう、お願いしておきたいと思います。

私が選考委員として加わったギターとカンテに関しては、まず、選考委員の大半が票を投じた森谷忍さんのギターによる「シギリージャ」が圧巻でした。一昨年、その味わいの深さで「話題賞」を贈られたベテランの森谷さんですが、今回は更に腕を磨かれたようです。メルチョール・デ・マルチェーナ流の旧スタイルによる演奏ですが、一面では完全に「自分のもの」として表現されており、ファルセータそれぞれの仕上がり、そして、ひとつのファルセータから次に移る一瞬の呼吸の佳さなど、「これぞフラメンコ!」と、聴きながら胸の内で叫ばずにはいられません。「21世紀のフラメンコ・ギター」の観点を重んじるならば、たとえばやはり「シギリージャ」を弾かれた鈴木一義さん、「ロンデーニャ」を弾かれた池川史洋さんのほうが上位に置かれるでしょう(事実、お二方の演奏はとても聴き甲斐がありました)。しかし、森谷さんには、すべてを超越した、フラメンコの“永遠の真実”が宿っており、それが選考委員たちの心に響いたのです。

カンテの方がたも、それぞれに熱唱されました。往年に比べたら、この部門も全体的水準は格段に上がっています。ただし、まだ「フラメンコとしての声の質」を自分のものにしていられない方、「カナ書き的」な発音に甘んじておいでの方なども散見します。その中で、すこぶる立派だったのは奨励賞に浴された松橋早苗さん。ほかに私が高い点をつけたのは、同じく「シギリージャ」を歌われた齊藤綾子さん。ずいぶん舞台にも立っておられる方で、かねがね思っていたのは「声が美しすぎる」ということでしたが、今回はよく声の「甘味」をおさえ、フラメンコの味に徹しきった感がありました。「ペテネーラ」を歌われたダニエル・リコさんも、この一両年、カンタオールとしての確かな進歩をうかがえました。カンテこそはフラメンコ!今後ともアフィシオナード各位のご研鑽を楽しみにしています。

小島章司(舞踊家・理事長)[Bs,Bg,G,C]

今年のフラメンコ・ルネサンス21はとても充実していた。内容も濃密な作品が多く見られ、とても喜ばしい3日間を過ごすことが出来ました。

バイレ、カンテ、ギターは勿論のこと、一番感動させられたのは群舞部門でした。作品数は多くはなかったが、8作品共にとても異なった視点を持ちながら作品に向き合って創り上げて来た努力が散見され、時に目頭を熱くさせる作品もあった。全出演者の継続し続けてこられた多大な努力と自己犠牲に敬意を表すと共に、更なる発展と前進を祈って私の言葉と致します。以下の文は全作品に触れたものではなく私の視点でとらえた幾つかの作品への私見を述べさせて戴きました。(出演者の敬称は略させていただきました。)

【18日】
<バイレ・群舞部門>
群1奥野裕貴子・SIROCOフラメンコ教室:差別と被差別へのまなざしが色濃く炙り出され、また“母”という言葉の聖性が美を産み出し、ドラマ性を高めた。
群3カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」:美しい夏の日の思い出、胸に大事にしまっていたinfanciaの情景を価値有るものとした。舞踊家となり母となったあなたの慈愛を感じました。
群5Armonía:Lorca-スペイン内戦3人の女たち。不条理と抑圧の下に生きる。その内なる力を熱をはらんで演じ切った。戦さのさ中にも闘い生き抜く強い力を表明する熱気が見えた佳品。
群7La Puerta Abierta:溢れんばかりの白いマントンの波。カラフルな衣裳に包まれた群舞。1960~70年代のヒッピーの時代にコスタ・ブラバやバレアレス諸島で見たフラメンコ・ショーのイメージを思い出させてくれた。

<バイレ・ソロ部門>
和泉冴英香:身体から放たれるエネルギーが一旦濾過されて“ぬけ”感がほしいとこ。
片桐あみん:回転軸をしっかり身につけて。
本多清見:多彩なCádizの空気感が身につくと良い。
橋田佳奈:身体の軌軸の使い方をもっと深く感じながら表現してみて。
谷口祐子:bata de colaやMantónの扱い方とても軽やか。その中にもう少しの重みも加えたい。
庄子裕子:“いたずらっ気”があり自己セールスの能力あり。
佐藤直美:自分の出している速度に抗いながら自在さを謳歌する姿が良い。
池田理恵:“全神経”が最初からフィナルまで張りつめられ、よくmatizarされていた。踊り終わった後¡Muy bien!と叫びました。
牛田裕衣:フラメンコの“間(ま)”が絶妙。肉体から放たれるオーラが尋常ではなく強烈な叫びが聞こえてきた。
平田かつら:劇場の大きさに拮抗する力量を持っていた。熟成という言葉を体感させてくれた。最後はカンテに身を委ねて行く心の大きさも魅力。
大岩奈青:“継続した美の連なり”を創出したのは称賛に価する。深い精神性から伝わって来るものを私たちに伝えてくれた。
平川亜紀:“とてもフラメンコ的なるもの”を胎内に宿しているようなバイレ。ディエゴのカンテにぐっと身心を寄り添わせていたのも魅力が増幅された所。

【19日】
<ギター部門>
森谷忍:非の打ちどころの無いような演奏スタイルを確立され、究極の演奏に到達している。深く心に染み入った名演奏。
鈴木一義:コード進行の豊かさと共にスピードに乗り、一気に走り過ぎる爽快感があった。

<バイレ・ソロ部門>
小島智子:ゆったりたゆたう身体と心の推移が心地良く、身体のラインの美しさをより強調させる結果となった。
鈴木真衣:時折音がビシッと入らない時もあったが、後半のマーチョになってモイの声と共に心の内が震えるのが見てとれた。
瀧野晴美:身体目一杯使っての全力投球、いつも爆発しているような趣。
服部亜希子:足音がとても美しく奏でられたことが大きな魅力の根源となっていた。全体の調和が美をもたらした。
近藤朔:再びこの舞台に戻って来て、フラメンコの深い洞察力と美しさを表現。少しずつ結実して行く姿を見せてもらった。
藤本ゆかり:速いテンポの中でハイテンションを維持しながら続いて行く。その持続性の中の精神力の太さを讃えたい。
川口真理子:“音”に導かれて動いて行く身体の微妙さがもう少し出てくると良いのに…と思った。
西山依里:ボディコントロールが抜群。身体全体のシンクロニサシオンがマッチし所狭しと舞台を闊歩する姿が頼もしかった。
菊池麻由美:ボディラインの流れの美しさを持続し、舞台空間を大きく使いこなし、スペイン民族が培ってきた伝統芸能の様々な様式美までも取り込み、スケールの大きさを示した。
平山奈穂:日本人の中では珍しく、ペソの威力を持続し続けて踊り切った力量は中々なもの。ぶれない軸を操り多彩に踊る姿に拍手。
内田好美:繊細で、表現豊かに溢れ出るよう。時には強烈さも加味すると……。
鈴木雪花:変化に富んだ作品構築。心の豊かさと舞踊への思いの深さが相乗効果で良い展開となった。
山本由紀:パリージョスの響きが冴え亘る。メリハリ良く展開する中で美しい“小宇宙”を創り出していた。
小河由里子:舞踊が大きく見えた。“そこにスペインがあった”そんな雰囲気を醸し出していた。後半過剰なコマーシャリズムが所見されたが、少し控え目の方が余韻が残るのでは。
寺嶋いずみ:後半タンゴスに入ってから冴え冴えとした所作が随所に散りばめられ、楽しいシーンを創り出した。
竹村歩:もう少し“ため”の感覚を身に付けられればフラメンコの奥深いものlo jondo が染み入って来るのでは。
黒木珠美:身体の隅々までよくコントロール出来ていた。舞台空間をバランスよく使いこなす力量を感じさせた。
田中実華江:“間”の取り方が絶妙。ギリギリまで耐えて次のパソに移行することで生まれる所作と足音のソニケーテの連鎖が美を生む。
岡田麻里:起承転結を良く考えた構成となっていた。
富永央子:愛嬌を沢山振りまいて踊る所が、今はやりの言葉“かわいい”を醸し出しチャーミングな一曲とした。

【20日】
<カンテ部門>
松橋早苗:ペペ・マジャのギターと共振しシギリージャの奥深い味わいを出していた。

<バイレ・ソロ部門>
佐渡靖子:事の始まりは美を極めることから。マントンの動きがスタティックさを強調。最初から最後の瞬間まで気を張り詰めた所作の連続にもゆるぎなく、称賛に値する作舞。
齋藤朋之:独特なcolocaciónがユニークさを際立たせ、特別な“間”を創り出すことに成功。
堅正はるか:熟考され尽くした作舞となっていた。カンテやギターとのコミュニケーションも抜群でmuy profundoな踊りでした。
河合浩子:はじける気持ちが楽しさに向かって突き進み、何か“次の予感”をさせてくれるものが生まれ、スピード感も程良かった。
佐藤陽美:エネルギーに満ち、予期せぬようなシーンが生まれるのでは……と期待してしまう踊りっぷりでした。
津田可奈:嘆きがテーマなのでしょうか。速さの妙を身体中で表現し濃密な空間を創り出した。肉体的鍛錬も素晴らしいものだった。
久保田晴菜:舞台からはみ出しそうな位の意気込みを感じさせた。1つ抜け出した感を抱かせるバイレだった。
津幡友紀:ロマンセはロマンセ・ヒターノとも言われているが、とてもアイレ・ヒターノに近づこうとしている思いが伝わって来たが、その中に少しの抑制をきかせるともっと良くなるのでは。

歴代受賞者のエキシビションとなった最終出場者、カンテの山田あかりの磨かれた声の響きに納得させられた。バイレの正路あすかのどんと腰の据わったソレアに「近代から現代」へと移って来た証しが見てとれた。

山田恵子(舞踊家)[Bs,Bg]

今年は暑いだけではなく、地震や水害等で苦しんでいる方々が世界中に多勢いらっしゃいます。その中で幸いにも支障なく舞台に専念出来た皆様に接し、ほっと致しました。毎年この総評を書く度に思うことは、参加された皆様全員に何らかの賞を差し上げられたらという思いがあります。この気持ちをどうぞお察しください。

さて、御受賞の皆様おめでとうございます。感じたことを書かせて頂きますが、甲乙つけがたい踊りに大変苦労致しました。まずシギリージャを踊られた服部亜希子さん、この曲を踊りこなすのはとても難しいです。イメージをしっかりとらえた貴女の踊りは、味わい深いものでした。平山奈穂さんのソレアはカンテと貴女の奥深い嘆きがすばらしかったです。黒木珠美さんのソレアは踊りの流れが見事で、特にブエルタからの次のパソに移る瞬間が美しく、静と動のハーモニーと共に空間に花が咲きました。佐渡靖子さんのシギリージャは、何てカンテを大事に踊るのかと心を打たれました。特にサリーダです。色々なスタイルがあると思いますが、ギター・カンテと始まり踊りが入ってくるその瞬間を、私は大切に拝見します。ここで決まると言っても過言ではありません。カンテを静かに聞き入る、そして思いのたけを踊り出す、これぞ本来のフラメンコの姿で、三位一体だと思うのです。カンテのすばらしさをサパテアードで邪魔をしてはいけないと私は教えられました。堅正はるかさんのタラントは、とても個性あふれる重厚な踊りでタラントの持つ独特な味わいが表現されていました。津田可奈さんのシギリージャは、自分の心をすべて出し切った極限の世界を踊り、踊りの強弱と間の取り方がすばらしかったです。久保田晴菜さんのソレアは、体とリズムが戯れているように見え、また最後のポーズがなかなか良い感じで振付の妙味でした。皆さん、出と入りを大切にしましょう。

わずかな差で準奨励賞の佐藤陽美さんは、スペイン人のような雰囲気があり、好感度大。あと少しの努力です。

群舞ですが、私は毎年同じことを申し上げています。それは群舞のすばらしさはソロでは表現できないことを人数で表現すること(同じ振付を多勢で踊らないで)。ダンサーがお互いの個性を認め合い、テーマをはっきり意識して創作する、個々の動きがいつの間にか1つになっていく、そのプロセスの面白さを考えましょう。構成・振付・センスが大切で、もしユニゾンで踊るなら、ボリショイバレエのように、背丈・体重・体形等あらゆる条件を満たし、一糸乱れず踊って表現できるならOKです。今回私はカンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」を選びました。子供達のテクニックはまだ未熟な部分が多々ありますが、難しいリズムを身につけてのびのび踊っていて感動致しました。ご指導なさった先生、センスが良いです。拍手です。これからが楽しみですね。

受賞されたArmoníaは3人の踊りがそれぞれすばらしい、個性豊かなダンサーなので、ユニゾン的に踊ると少々つまらなくなります。もっと色々なパートを考えて遊んでみたら面白かったのにと思いました。構成でがらっと変わりますし、更に良くなります。

同じことがグアヒーラにも言えます。男性2人の対話でしょうか?話が聞こえてくるようで面白いのですが、やはり2人がほとんど同じ振りを踊りましたが、達者な2人ですからやはり構成を考えたらいかがでしょう。私は群舞の創作が大好きです。

以上ですが、他に心に残った方々は、有田ゆうきさん、大井昌子さん、久貝輝代さん、小宮山葉子さんです。来年また更に良い踊りを期待しております。お疲れ様でした。

三澤勝弘(ギタリスト)[G]

<ギター部門>
今回も、出演された方たちの水準が高く、嬉しく思いました。
1)塩谷氏:冒頭部はしっかりと聴こえ、印象が良かった。ただ、親指での表現が平坦かと。また中心となるべき部分の印象も弱く、その骨太さが望まれます。
2)森谷氏:主張が以前にも増して明確になっておりました。しかし、曲の性格上、より微妙な動き、空間、音色などの扱いを今後の課題として下されば、と思います。
3)池川氏:とても進化されたというのが第一印象。弱い音での音の出や表現に一層の磨きが必要かと。立ち上がりや輪郭など…。
4)福嶋氏:冒頭部はとても印象に残りました。中盤に入りフラメンコ感に安定さを欠いたかと。全体に表現に厚みが望まれるかと。
5)和田氏:輪郭が弱く細い印象でした。演奏(表現)が前方へと向かってくる気配がないと感じました。技術の更なる向上と“情”の置き方や音楽的表現、更にその奥に在る“心”の部分を探求されることを望みます。
6)鈴木氏:しばしば現れるラスゲアードが少し指先に力が入り過ぎているのでは、と感じました。親指を①弦開放音(人差指)との響きに緊密さが欠けたか。中盤は集中感があり好印象でしたが、ポイントを絞っての大きな表現のところがあっても、と思いました。
7)内山氏:とても音楽性があると思いましたが、冒頭部を除くと、独奏(ギタリストひとりでの演奏)の表現をとしては、中味がはっきりせず、外観の雰囲気だけが印象に残ってしまいました。

全ての方も素晴らしく、将来性を持ち合わせておられましたが、参考とされたもの、あるいは作・編曲にあたって、パルマも含めて他との重奏などの要素を持ち込んではおられなかったのか。独奏としては食い足りない演奏が目立ちました。

小林伴子(舞踊家)[Bs,Bg]

毎年の事ですが、今回も101組の皆さんの熱い思いとエネルギーに圧倒されました!フラメンコ自体の技術の進歩にともなって、新人公演のレベルも毎年上がってきているのは当然のことなのでしょう。奨励賞を目指す人、新人公演を発表の場として挑戦する人、目的は様々だと思いますが、何度かの出演を重ねている方たちが、確実に進化している姿を見るのは嬉しいものです。
以下は私の個人的感想を出演順に記述します。

<バイレ・ソロ部門>
18-8池田理恵さん:ドッシリと堂々としたシギリージャは群を抜いて素晴らしかったのに、時間オーバーで失格になってしまったのが惜しまれます。
18-20平川亜紀さん:ノリの良いソレア・ポル・ブレリアが気持ち良かった。
19-13服部亜希子さん:ブラッソとマノの動きがサパテアードや体の動きを増幅させ表現力豊か。
19-23平山奈穂さん:ドッシリした体格を活かした迫力のイントロでした。
20-18佐渡靖子さん:今年はバタ・デ・コーラやマントンでの出演がとても多かった様に思います。多くの方がバタやマントンを巧みにさばく事が目的になってしまっている様に見えましたが、佐渡さんはバタやマントンを自己の感情表現のツールとして使っていて素晴らしかった。
20-30津田可奈さん:巧みな構成を活かした技術と感情表現でドラマを感じました。
20-32久保田晴菜さん:堂々と品格のあるソレアでした。

<バイレ・群舞部門>
群舞で私が票を投じたのは、18-9奥野裕貴子・SIROCOフラメンコ教室です。出演者の個性を活かした発想と構成、それを熱演した踊り手達、素晴らしいと思いました。準奨励賞のカンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」の小さい皆さんもすばらしかったし、LAMA y SONACAYのduoも見せ場たっぷりでさすがでした。
今年の群舞部門は多種多様なアプローチを見る事が出来、とても見応えのある回となりました。それ故に評価の基準も難しく、悩ましい事と成りましたが、選考する側にも、様々な価値観がある事でバランスが取れているとも思いました。熱い3日間の101組の皆さんへ心より大きな拍手!です。

飯ヶ谷守康(ギタリスト)[G,C]

<ギター部門>
2番目に演奏された森谷忍さんが奨励賞を受賞されました。ギターの部は7名の出場でしたが、その中では森谷さんの演奏が最も優れていたことは紛れもない事実でしょう。
確かに伝統的過ぎる?スタイル、難しいテクニックの不使用、地味、そして、えっ?…なんで?…というところも、あるにはあったのですが、ウソ、ハッタリが無く、ひとつひとつの音を“噛みしめる”ような気遣いのこもった弾き方に好感を持ったというのが奨励賞に値する、という判断に至った最大の理由です。
他の出場者に共通して感じたこと、それは細部の不完全さがちょっと多過ぎた、というところでしょう。例えば、1本調子なラスゲアードと親指の使い方、ファルセータやリズムの抑揚感の不足、更にメカの切れ目や左手のポジション移動時での最後の音がハッキリと出ていないことが多く、これでは説得力が大幅に減少してしまいます。最大限に気を付けて欲しいところです。なお、コンパスの理解で、えっ?あれっ!…という感じがあったのも残念なところです。
そんな中、グァヒーラスを演奏してくれた和田健さん、とても素晴らしいセンスの持ち主ではないか、と感じました。ただ残念なことに音が弱く感じられてしまいました。緊張からのことなのでしょうか…!?これからに期待しています。頑張って欲しいと思います。

<カンテ部門>
6番目に唄ってくれた松橋早苗さんが奨励賞を受賞されました。ちなみに、昨年も出場されていたのですが、いくつかの残念だったことのほとんどを、今回は修正できていたようです。わざとらしい発声や演技をしている感が無い、そして無理せずストレートに勝負している感じが気持ち良いですね。また、息の使い方がとても丁寧なこと、子音の発音が素早く、母音で唄おうという気遣いが感じられるところ、更に大きな声を出しても煩く感じられないことも魅力です。
なお、私の好みを言わせていただけるとすれば、マラゲーニャを唄ってくださった深谷恵子さん、とても良い感じだと思いました。ただ、イントネーションでの息の使い方がもう少し、と感じました。今後に期待してしまいます。
いずれにしても、真正面から自分の持っている技術の最高レベルを、細心の注意と大きな度胸でぶつかる…昔から言う“繊細且つ大胆”ということが、最終的には不可欠なようです。

今田央(ギタリスト)[G]

今回は今までになく迷いました。新人公演の意味とか、作曲力とかも評価すれば別の選択もありました。ただ予選も課題曲もなく、自作である縛りもない新人公演では当日の演奏だけで評価すべきという立場で森谷さんを奨励賞に推しました。自作曲で臨んでいただいた方にはそこを汲めず忸怩たる思いです。

塩谷経
イントロは良い感じではじまりましたが、コンパスを刻むあたりからちょっと緊張感がなくなったように思いました。D#のキーによるブレリアは音を重ねやすいので普通にアルペジオだけでも広がりのあるフレーズが作りやすいのですが低音成分が響きすぎタッチがしっかりしてないとぼやけたフレーズになります。途中P指によるフレーズが続いたあたりはコンパスも感じられなくなりました。全体に言えるのはリズムの安定感が弱く、かなり前のめりですね。アクセントをもっと引っ張り気味に感じましょう。ゴルペの音がちょっと耳障りなのも気になりました。

森谷忍
やはり先人の作ったファルセータは神だと確信しました。少ない音とコード展開ながらシギリージャの世界を構築しています。もちろんそれを表現できる森谷さんの力量があってのことですが。ギターの音色、間とも今回抜きん出てたと思いますし、フラメンコってこういう音楽だったんだと改めて納得させる力がありました。

池川史洋
曲の展開、コンパスの安定感、さすがの演奏でした。前半、pianissimoのフレーズやアルペジオが埋もれることもありました。PAとの相性もあるのでしょうがアルペジオはもっとクリアで硬い音が欲しかったです。トレモロも含め全体に高音弦側が弱いと思いました。後半の安定感は実戦で培った賜ですね。自然なグルーブが出てたと思います。

福嶋隆児
最初のファルセータ(パリージャ?)は音、間ともに素晴らしかったです。イントロのラスゲアードは踊り伴奏っぽくそぐわないかなと思いましたが。
その後はちょっと弾き急いでしまいましたね。トラディショナルなファルセータでまとめて好感の持てる構成ですがアルペジオは音が分離してないですし、アクセント毎のゴルペ音も気になりました。PAのせいもあるのでしょうが破裂音に近かったです。ゴルペやラスゲアード等音量でアクセントを表現してはいけません。あとP指のタッチをもう少し研究してみてください。現状でも音は良いのですが太さに欠けますし早いフレーズに追いついてない感じです。

和田健
ちょっと単調な演奏になってしまいました。自作曲ということですがあまりコードやリズムの展開もなく奏法のバリエーションのみで展開していくから踊り伴のファルセータみたいです。グアヒーラにはそういう面があるのかもしれませんが今一つフラメンコ的熱を感じられませんでした。タッチが弱いせいもありますね。コーダのラスゲアードからはブレリアの感じ方がまだ甘いように見受けられます。ブレリアのリズムをもう少し研究してみてください。

鈴木一義
テンション高いイントロで期待が高まりましたが気持ちを制御しきれなかったようです。自作、コピーを良いバランスで混在させ構成はとても良かったです。後半転調してからの畳み込みは日本人としては異例の創作だと思いますが、余りにも前のめりすぎてフレーズが聴き取れません。左手が右手に追いついてない感じですね。ツッコミ気味に弾くと低音部のスラーがつまっています。
技術的には素晴らしいものをお持ちです。この曲、温めて行ってください。

内山友樹
作曲力もさることながら時折織り交ぜるピカードの正確さ、かなりのテクニシャンですね。中段のファルセータは個人的には単品で賞を差し上げたいくらいです。ただファルセータの部分は良いのですがコンパスを刻む段になると頭ノリの余裕のないリズムになります。突っ込むという程ではありませんがアクセントを音量で捉えているのか大音量のゴルペも重なるので音楽に集中できません。踊りや唄の伴奏を通じてブレリアの刻みを磨いてください。このままでは惜しいです。

大塚千津子(舞踊家)[Bs,Bg]

新人公演出演者の皆様、大変お疲れ様でした。今年も拝見させて頂き皆さんのバイレに感動と刺激etcと沢山の思い感じた3日間。有難うございました。
ソロ・群舞奨励賞受賞の皆様、心よりおめでとうございます。日々精進を重ねた成果の受賞が今後の新たなエネルギーとなり益々飛躍への一途となり邁進されることを願いご活躍お祈りしてます。
ソロ受賞の皆様に感じた事、諦めずに挑戦し続けたお一人お一人から今年こそという最後の執念?と思える渾身のバイレでした。その募った思いを燃え立たせた気迫さが満ち溢れ圧巻!完成度高いバイレに優秀の美を感じました。素晴らしい変貌遂げしバイレに賞賛!
群舞で奨励賞を受賞された「Armonía」。実力あるお一人お一人のフォルマと個性が融合とぶつかり合ったコラッヘ!とても見応えあり個人的にも好きでした!
ソロ準奨励賞の佐藤陽美さん。若さはち切れたバイレ、フラメンカな気質に成長楽しみです!頑張って下さい!!
群舞準奨励賞受賞・カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」。お子様達の群舞はとにかく理屈抜きでゆるむ心はばからず楽しく拝見しました。結構難しいフォーメーションをほんとに良く動いて一生懸命バイランド。ピュアな表現にも心和みました。ご指導大変だったと思いながら、子供達の希望列車“たからもの号”の未来を見つめながら元気に走り続けて欲しいです。

受賞されずとも印象に残った皆様。期待込めてのエールを送らせて頂きます。主観にてご容赦下さい!
【18日】
和泉冴英香さん・時折足元のぶれに残念、身体の求心力強化を!
片桐あみんさん・基本をしっかり踊られた10代等身大のバイレ、将来楽しみ!
谷口裕子さん・華やかな持ち味備えエレガンテ! 緩急に表現力を。
庄子裕子さん・内外に発するフェルサ足りず、コラッヘが欲しい!
牛田裕衣さん・ダイナミックで安定感あるバイレ。タンゴ惜しい~!
平田かつらさん・コラッヘと存在感あっただけにタンゴ盛り上がらず残念!
大岩奈青さん・表現力おありなのでテクニックの研磨を。
平川亜紀さん・持ち味を出し切れずとても残念、更にテクニック研磨を。

【19日】
藤本ゆかりさん・特に溜めと抜きでしょうか。
西山依里さん・柔軟なコンパスがグルーブ、逆に全体が流れてしまったのか!緩急を。
菊池麻由美さん・モダンでダイナミック、素敵な個性を感じました。
有田ゆうきさん・とても残念、期待大!
鈴木雪花さん・テクニックにコンパス感おありなのでアイレを、身体とのバランスからマントン大き過ぎた感あり。
岡田麻里さん・テクニック全般のレベルアップを。
富永央子さん・アイレそして内なる映えをもっと放って!
佐野裕子さん・とても雰囲気あってバイレを楽しまれてる様に好感を持ちました。

【20日】
津幡友紀さん・泥臭いアイレでのコンパス感、特異なセンティードにも目が離せなかった!フォンドなバイレを是非。
山内佳代子さん・歌振り流れてしまった感有、ペソをもっと下に。

今回はバタ・デ・コーラが多くてびっくり!マントンにバリージョ等とテクニック配分難しいバイレに挑戦された皆さん、その心意気に拍手!!そして男性皆様へは、更なる精進を重ねそれぞれのバイレとステージアップを目指してください!近藤朔さん、進化なさり嬉しく思いました。お元気に邁進なさって下さい。

総評及び雑感…ソロにつきましてはレベルも高くなり選考結果が割れたように思えました。群舞はそれぞれの良さもあり何をもっての選考か、でした。他群舞につきましては前年度等を思い起こすと、群集の迫力での醍醐味に欠けていたように感じました。群舞の難しさは痛感しております。
「LOS TARANTOS京都」はドラマチックで主軸となられた方に魅入りとても楽しく印象深い楽しい作品でした。「デ プエルト ア プエルト」では最初にバタで少し踊られた方がムイ フラメンカ!他皆様のレベル向上目指して下さい。
衣装については、より洗礼されたデザインやノスタルジー感漂うスタイルを取り入れたり、また曲調での色使いに拘る方等とバリエーションとても豊かでした。同じヌメロ続くのは歪めない新人公演ですから、衣装もほんとに大事です。今年も賞に限りなく近い方、可能性を感じる皆さん、是非諦めずに挑戦を。最後に、今回も照明で皆さんのバイレが事の他際立ち映えていました。益々凝ってきているような!新人公演の醍醐味!!

岡本倫子(舞踊家)[Bs,Bg]

久々に選考委員として3日間に渡ってバイレソロ、バイレ群舞のすべてを拝見させていただきました。近年バイレの技術的なレベルが確実に上がっていることを痛感し、とても感心いたしました。出演した半数以上の方々には技術的レベルでは甲乙つけがたく奨励賞候補として投票することは困難を極めました。ここで印象に残った方々への感想を一言ずつですが述べさせていただきます。

<バイレ・群舞部門>
・カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」
小さなフラメンコスたちに「オーレ!」です。
・Armonía
気迫に満ちたマルティネーテ イ シギリージャでした。3人の動きが速いテンポの中でもピタリと揃っているのは圧巻でした。
・LAMAySONACAY
プロ中のプロお2人のグァヒーラには奨励賞はそぐわないでしょう。とても楽しいものを見せていただきました。ありがとうございます。

<バイレ・ソロ部門>
【18日】
・和泉冴英香さん トップバッターで登場というプレッシャーの中、ペソのある落ち着いたタラントでした。タンゴになってからも力が抜けなかったのは残念です。
・片桐あみんさん シギリージャの難しいリズムを確実に踊っていてこれからが楽しみです。
・谷口祐子さん バタ・デ・コーラとマントンの捌きはすばらしいと思いましたがバタとマントンの動きの中にアレグリアスのコンパスが感じられるものが欲しかったと思います。
・庄子裕子さん 柔軟なからだの動きで魅せてくれました。タンゴに入ってから顔の表情でタンゴらしさを表現する感じになってしまったのが残念です。
・佐藤直美さん 恵まれた身体をいかした振りでしたがブラソをもっと大きく使うと存在感が増してくると思います。
・池田理恵さん 振りに追われることのないとても感動的なシギリージャでした。時間オーバーでの奨励賞候補失格が大変残念でなりません。
・牛田裕衣さん とてもフラメンコ性を感じましたが動きが多い振りにはボリュームがありすぎる衣裳と髪飾りの多さは一考の余地があると思います。
・平田かつらさん 全体的に安定感のあるとてもしっかりした踊りでしたが時として重心が上にいきすぎて身体がぶれるのが気になりました。
・松下ひろみさん 長い手足を十分に生かした振りでとてもペソを感じさせてくれるシギリージャでした。
・大岩奈青さん ペソのあるシギリージャでした。ブラソにフェルサが増すと完璧です。
・平川亜紀さん 絵に描いたようなムイフラメンカな衣裳と小気味良い踊りっぷりがぴったりでした。

【19日】
・服部亜希子さん 凝縮された集中力と硬質な個性で踊った見事なシギリージャでした。
・藤本ゆかりさん 安定感がある振りでとても魅せてくれました。
・西山依里さん とてもフラメンコ性を感じさせてくれるタラントでした。
・菊池麻由美さん 恵まれた身体を生かした動きで舞台での存在感が抜群でした。肩が上がって首がなく見えてしまう衣裳の襟元が残念でした。
・有田ゆうきさん 安定感のあるソレアでした。
・平山奈穂さん 恵まれた身体から繰り出されるフラメンコは風格さえ感じさせてくれて圧倒されました。
・鈴木雪花さん 自身の見せ方を知った動きとステージ使いがとてもよかったと思います。
・小河由里子さん シンプルな振りながら十分魅せてくれました。
・竹村歩さん 小気味良い踊りっぷりがよく似合う衣裳とマッチしてとても素敵でした。
・大井昌子さん 足の強さが素晴らしくしっかりした印象でした。
・黒木珠美さん 安定感のある動きと華のある存在感で魅せてくれましたが後半の動きと表情の多さが多少気になりました。
・田中実華江さん とてもいいタンゴを見せていただきました。
・岡田麻里さん とても密度の濃いソレアでした。
・佐野裕子さん 大人のソレアを見せていただきました。

【20日】
・相田良子さん とても印象に残るソレアでしたがブレリアに入ってから焦り気味になってしまったのが残念でした。
・野上裕美さん 踊りは巧いと思いましたが常に客席に向かって投げ掛けられる視線が気になりました。
・菅家寿幹さん 進歩のあとがみられます。前傾姿勢からくる体幹の弱さが後半のぐらつきに繋がったと思います。
・伊藤千紘さん 小柄ながら身体全体に凝縮されたパワーで安定した大きい存在感を放っていました。
・佐渡靖子さん スケールの大きいフラメンコの世界に感動しました。
・齋藤朋之さん とても味のある踊りを見せていただきました。下半身のバランスの取り方を安定させるとより存在感が増すのではないでしょうか。
・堅正はるかさん 媚びが一切ないフラメンコ。安定した動きとステージ使いが見事です。
・久貝輝代さん バタ・デ・コーラがとてもお似合いの身体と雰囲気をお持ちです。マントンとバタ・デ・コーラの一層の鍛練を期待します。
・河合浩子さん アンティーク調の衣裳は素敵でしたが切れの良い踊りには合わない印象を受けました。
・佐藤陽美さん 安定した足捌きと切れの良い動きが素敵でした。 
・久保田晴菜さん とてもペソのある美しい身体使いのソレアでしたが常に微笑ん見える表情に多少違和感を覚えました。
・津田可奈さん 動きの多い振りを抜群の安定感とリズム感でこなして見事なシギリージャでしたが衣裳の襟元の長いフレコと光りすぎの髪飾りが観る側からするとかなり邪魔になっていたように思います。
・小宮山葉子さん 個性的な衣裳で踊ったソレア・ポル・ブレリアは安定感もありとても素敵でした。
・津幡友紀さん ペソがありムイフラメンカなステージを堪能させていただきました。

片桐勝彦(ギタリスト)[G]

皆さん、新人公演お疲れさまでした。音色や奏法上の点で気が付いたことを、一言ずつ述べさせていただきます。

塩谷経:変則チューニングの難しいブレリア。テクニック的には一番難しい曲だったと思います。レの音に下げた6弦の音が両用のギターからよく響いていました。この速いテンポをパルマなしでキープ出来たのも、塩谷さんの技術の高さがうかがわれます。ただ逆を言うと、もう少しテンポを落として更にコンパスが浮き上がるような演奏になれば、もっと良かったと思います。和音からメロディーに移る部分やピカードからプルガールへの切り替え部分などで、若干のリズムの乱れがありました。その他、速いパッセージの後や休符時に少し走ってしまったのが惜しかったです。しかしこの難曲がゆえの乱れなので、良く弾けていたことには間違いありません。前回のソレアや前々回のブレリアもすべてが難曲でした。一度テクニック的なことから離れて、呼吸や音色に集中して感情移入のできる曲作りを考えてみてください。

森谷忍:奨励賞受賞おめでとうございます。前奏のラスゲアードの後のグラネアードの音色、それに続くアルペジオのキレの良さ、ビブラートのニュアンスなど、出だしから魅了されました。前回の話題賞の選考理由である「豊かで美しい音色」は、このシギリージャの澄み切った一音一音でも感じられました。右手に無駄な力が一切入っていないことと、前回も書きましたが自然なゴルペの音量バランスなどが全体の音色を決定づけています。最近のフラメンコ奏法ではあまり聞かれなくなった右手のつま弾きによるファルセータも、絶妙な呼吸や間と相まって、シギリージャの特徴を醸し出していました。そして印象的なエンディング。演奏の最後は迫力のある音で派手に終わらせることが多いですが、最後の素朴な単音ラの音が印象的です。森谷さんの無心で、そして集中して最後まで弾ききった今回のシギリージャを聴いて、間や呼吸や音色の大切さを強く感じました。

池川史洋:昨年のブレリア同様、太い音色と絶妙な強弱や緩急で安定した演奏でした。6弦のD音も両用ギターの音色を引き立てていました。池川さんの弾くピカードやラスゲアード、アルペジオなどの奏法はどれも曲の中に溶け合っていて、自然に聞こえてきます。つまり良い意味でのプロの演奏とでも言いましょうか。そして後半のリズムになった箇所も安定していて、コンパスもしっかり聞こえてきました。強いて言うならば、1弦のトレモロが少し速すぎて聞こえにくかったことです。トレモロ時のp指は理想的でしたので、ima指が速くならないように気を付けてみてください。奨励賞に値しても良いほどの好演奏でした。

福嶋隆児:迫力のある演奏でした。ピカードとプルガールのコンビネーションも良かったです。全体を通して気になったのは、ラスゲアードの音色です。力を入れすぎて時折、音が割れてしまってました。手首を使うアバニコ奏法時に腕が少し大振り傾向にあるのと、チョルリターソ時などは ami指のタイミングが少し速すぎて音が分離していない時もありました。それと、ゴルペの量が多くて音が大きすぎるので、少し減らしてみては如何でしょうか。

和田健:毎回楽しませて頂いてる和田さんのオリジナル曲。今回のグアヒーラも所々好きな感じのフレーズがありました。途中ミストーンも多少ありましたが、そのことよりもずっと下を向いての演奏が気になりました。高音部のメロディーなどギター全体のポジションを使った曲作りは良かったのですが、ローポジション時では顔を上げることによって、音もさらに前に出てくると思います。しっかりとしたタッチで弾ききった前回のソレア・ポル・ブレリアに比べると、ちょっとおとなしく感じられたのも、顔の位置や弾く姿勢などにも関係してくるのかもしれませんね。そしてまた今回もエンディングのピカードが上手くきまってました。

鈴木一義:全体的に力が入ってしまって、音がつぶれてしまってました。ラスゲアード時に指が伸びきってしまっているのも原因の一つです。楽器や指にもかなりの負担がかかってしまうので、乱暴な弾き方にならないよう注意が必要です。オクターブ奏法時に高音部の音がプチプチと切れてしまうのは、左手の移動が速すぎるからです。ギリギリまで押さえてからポジション移動をしてみてください。そして、細かい音や速いフレーズほど丁寧に弾くように心がけてください。特にカバーレスの部分が気になりました。以前弾いた変則チューニングのブレリアからは今回180度違うタイプの曲でよく頑張ったと思います。次回も期待しています。

内山友樹:Dbのブレリア。高い演奏技術もさることながら、作曲も編曲も一流でした。 ami 指のアポヤンド奏法はビセンテ・アミーゴのような音色と力強さで、ラスゲアードやプルガール奏法とのコンビネーションも良かったです。ゴルペの音量が少し大きすぎる部分もありましたが、その分迫力がある演奏でした。ポジション移動の際も指板を見ずに弾けるのは、それだけギターに慣れている証拠ですね。そして自分の音をしっかり聞いて演奏しているのも印象に残りました。いつかリブレの曲も聞いてみたいです。

加部 洋(プロデューサー)[G,C]

<ギター部門>
ひと昔前に比べれば、世代交代がなされ、若くなり、演奏スタイルもモダンなものになってきた。そのレベルも一定の高さを保っている。気にとまった出演者を書きます。

森谷忍君●とにかく驚いた。一昨年のタランタより更に磨きをかけたシギリージャだった。年配者は衰え行くものの真逆で、進化していた。微妙な音色変化が素晴らしかった。池川史洋君●好んで弾かれる変則チューニング。その深い低音の響きのメリットを十分に生かし、ドラマティックに構成した演奏だった。ちょっと気になったのは高音域のパッセージとトレモノの高音の不鮮明だった。福嶋隆児君●踊り伴奏で鍛えた演奏のキレが大変良かった。高音域のフレーズの歌わせ方が素晴らしかった。ちょっと気になったのは、バランス的にゴルペの音が大きかったことと、3連符のラスゲアードのキレだった。和田健君●毎年出場の和田君。何度かの出場中、今回が一番良い出来だった。自身作曲のグアヒーラはメロディラインが自然で美しかった。グアヒーラらしかった。ミスタッチが惜しい。鈴木一義君●独特の思い入れに基づいたシギリージャ。演奏も高度で、一つの世界観を表現していた。しかしどうしても理解できない部分があった。

<カンテ部門>
毎年楽しみにしているカンテ部門。今年も多士済々の出演者でたっぷり楽しませて頂いた。カンテはなかなか上手くならないものだが、努力のあとが見られる出場者が何人もいた。気にとまった出演者を書きます。

深谷恵子さん●サリーダも良く、気持ちを込めて細かいところまで丁寧に歌っているところに好感が持てた。全く正統な歌い方だった。今までで一番良かったと思う。努力すれば上手くなるということの好例。山田裕子さん●情感、思いの丈を目いっぱい振り絞って歌っているところが普段の山田さんではなかった。これは凄かったという意味。声がかすれるほどの熱唱だった。カバルになって更に山田さんらしくなった。中山えみ子さん●素晴らしいサリーダから始まった。デリケートな節回しを克明に正しく辿っていて、言うことなし。音程も乱れなかった。明らかに上手くなっていた。一票を投じました。ダニエル・リコ君●いつも楽しみにしているが、今回はいつものダニエル君の良さが無かった。音程が不安定で、節回しもスムーズでなかった。残念。田中敏郎君●田中君も今までになく良かった。ダンゴに移る当たりからノリノリで楽しめた。はっきりと成長のあと。齊藤綾子●上手いし、声量もあり熱唱なのだが、どこか平板に感じてしまうところがある。強弱緩急をつけてドラマティックにして欲しい。

鈴木敬子(舞踊家)[Bs]

【18日】
和泉冴英香さん/トップバッターのプレッシャーを感じさせない力強い踊りでした。片桐あみんさん/わずか10歳でどうどうと大きな舞台でソロを踊るのは大変なことです。身体がブレるところなどありますがこれからが楽しみです。谷口祐子さん/上手く綺麗に踊れている。マントンやバタ・デ・コーラのテクニックに追われ身体がブレてしまいがち。余裕が出るまで踊り込んでいって欲しい。庄子裕子さん/ブラッソの使い方が綺麗。体の軸がしっかりしていて安定していた。池田理恵さん/フラメンコ的なペソがありとても安定していて良かった。バックのアルティスタと良い感じで盛り上がり、特に曲の後半テンションも上がり観ていて引き付けられた。タイムオーバーで選考外となってしまったことが本当に残念だ。牛田裕衣さん/力強くテンションの高い踊り。これからは一定の強さだけではない様々な表現が加わればもっと良くなると思います。平田かつらさん/安定した冷静な踊り。丁寧に練習を重ねてきたのが見えた。松下ひろみさん/キレがありブレない身体でとても良かった。山形志穂さん/正確なパリージョ。パリージョを持っていてもブラッソまでしなやかな女性らしい美しい踊りでとても良かった。

【19日】
小島智子さん/滑らかなブラッソとクエルポの使い方が美しかった。もう少し踊りに重さが加われば更に良くなると思う。鈴木真衣さん/ブエルタのキレが良かった。最後バックに頼りすぎたように感じた。服部亜希子さん/安定した力強い踊りでとても良かった。サパテアードのレベルも高く、曲の後半が特に盛り上がり観客を引き付けた。近藤朔さん/味わいのある踊り。前回もそうでしたが、今回も記憶に残りました。髙野正子さん/マルカールの時のブラッソがしなやかで美しかった。表情から踊ることを楽しんでいることが伝わった。藤本ゆかりさん/力強く安定した踊りでとても良かった。観ている方も引き込まれ会場が沸いた。川口真理子さん/立ち姿が美しい魅力のある踊り。もう少し力強い部分や踊りを崩す部分が見えると更に良くなると思う。西山依里さん/毎回印象に残る人。軸がしっかりしていてとてもブラッソの使い方が上手い。年々安定して良くなってきているので今後が楽しみです。佐藤幸子さん/毎回挑戦して努力が見えているのが素晴らしい。以前より表情がすごく良くなった。有田ゆうきさん/さらっと自然な動きが良い感じを与えた。バックと合っていて曲の後半盛り上がり会場も沸いた。平山奈穂さん/迫力のある大きいバイレ。熱くエネルギッシュな中にも冷静に安定した踊りでとても良かった。内田好美さん/スタイルが良く美しい。線が細いけれど安定した踊りでした。身体を叩くパソなどの手に重さが欲しい。鈴木雪花さん/スタイルが良く立ち姿が美しい。サパテアードの強弱がはっきり使い分けられ気持ちよかった。山本由紀さん/踊りの身体が出来ていてしなやか。パリージョがとても上手かった。またぜひ挑戦して欲しい。竹村歩さん/力強くメリハリのある踊りだった。感じの良いバイレで、また彼女の踊りを観てみたいと感じた。黒木珠美さん/力強いサパテアード、メリハリもありとても良かった。もう少し力を抜いたところも観たい。田中実華江さん/ペソがありフラメンコな踊りだった。特に曲の後半タンゴを楽しんでいるのが伝わってこっちも嬉しくなった。岡田麻里さん/とても安定してパワーのある良い踊りだった。

【20日】
伊藤千紘さん/曲の後半特に集中力が増しテンションが上がり引き付けられた。佐渡靖子さん/新人公演に何度も挑戦して努力を重ね、強い精神力とブレない身体に成長した。技術も高く踊りに貫禄まで感じ、曲が終わっても余韻が残った。今回の新人公演の中で一番印象に残った人です。おめでとうございます!山中純子さん/いろんなものを使った難しい振付を頑張って踊っていた。別のシンプルな曲での彼女も観てみたい。齋藤朋之さん/重みのある味わい深い踊り。とても引き付けられた。またぜひ挑戦して欲しい。加藤美佳さん/明るく表情がとても良く観ている方も和んだ。もっと丁寧に踊ることを心掛けると更に良くなると思う。堅正はるかさん/以前より力強さとキレの良さが踊りに加わり、とても良く変わった。久貝輝代さん/踊りが美しく品が良い。後半もっと踊りにメリハリが欲しかった。佐藤陽美さん/フラメンコ的な熱いキレの良い踊り。強いサパテアードと、はっとする動きで会場を沸かせた。津田可奈さん/毎年のように新人公演に挑戦する度、確実に力を増してきた。安定した踊りで、後半には曲も盛り上がった。久保田晴菜さん/踊る身体が出来ていて安定している。ブラッソや足のさばき方が美しい。昨年までの踊りからとても変化してフラメンコ度が増していた。津幡友紀さん/テンションが高くパワーが感じられた。ゆったり滑らかな表現も加えてこれから更に表現豊かなバイレを目指して欲しい。そして、歴代受賞者によるバイレ・ソロで踊った正路あすかさん/さすが大きな安定した踊り。常に彼女は前向きにいろんなことに意欲的に取り込んでいることが見える良い踊りでした。今年の新人公演の大勢の参加者の最後に、さわやかな余韻を残して終わりました。ありがとうございます!

鈴木英夫(ギタリスト)[G]

久しぶりに新人公演ギターの部の選考委員をやらせて頂きましたが、全体的に見てかなりのレベルの向上が見られとても喜ばしく思いました。それぞれの皆さんの演奏を聞いて感じた事を少しだけ書かせて頂きます。

①塩谷経さん(ブレリア)
音響のせいもあったようですが、フレーズが低音の使い過ぎで少し単調に感じられました。

②森谷忍さん(シギリージャ)
奨励賞おめでとうございます。とても良い雰囲気のシギリージャらしいシギリージャを聞かせていただきました。益々の精進を期待しています。

③池川史洋さん(ロンデーニャ)
全体的に淡々とし過ぎてもう少しメリハリがあればより良くなるでしょう。とくにトレモロのメロディーが聞こえにくく感じました。

④福嶋隆児さん(ソレア)
とても力強いのは良いのですが、全体的に荒っぽさが目立っていました。

⑤和田健さん(グアヒーラ)
きれいなメロディーの組み立てで上手くまとめていますが、もう少し丁寧に弾かれたらより良かったと思います。

⑥鈴木一義さん(シギリージャ)
力強く迫力があり他の追従を許さない音と伴奏で培ったリズム感が心地よく感じられました。

⑦内山友樹さん(ブレリア)
とてもテクニックはあるように思えます。ただ全体的に線が細くもう少しブレリアのリズム感と迫力が欲しかったです。

皆さんそれぞれ甲乙つけがたい演奏でこれからのギター界がとても楽しみです。頑張って下さい。

鈴木眞澄(舞踊家)[Bs]

「新人公演に感じたままに」

ギター、カンテ、バイレすべての部門にご出演くださいました皆様、それぞれの誠心誠意、心を込めたフラメンコをご披露いただきありがとうございました。
人生の大切な一時期を練習に励み、時には悩んだり迷ったりしながらもこの舞台を目指してがんばりぬいた皆様のフラメンコはすべて心に響くものでした。
なぜフラメンコなのか?と自分自身にも問いかけながら拝見しました。迫害の中から生まれ育まれてきたその生い立ちと遠い日本でフラメンコに関わることと、やはり何かの縁が繋げたことなのでしょう。そんな素晴らしいものをたくさん感じさせていただきました。特に心に残った方々をここに記します。

和泉冴英香さん…熱い気持ちを感じました。片桐あみんちゃん…幼いながらも確固たる意思が見えて頼もしかったです。本多清見さん…アレグリアスらしさが嬉しかったです。池田理恵さん…情熱を感じました。平田かつらさん…心が一緒に踊りました。平川亜紀さん…安定感が心地よかったです。近藤朔さん…時々心まで届く何かを感じ不思議でした。それが何なのかを私も探していきたいと思います。髙野正子さん…ご自分の生き方を実感できるフラメンコでした。藤本ゆかりさん…フラメンコらしい振りはすばらしかったのですがもっと振りを少なくして心で踊る時間をふやしてはいかがでしょうか?佐渡靖子さん…マントンとバタ・デ・コーラによって表現が広がりすばらしかったです。ずっと拝見していて今年は心からおめでとうございます!齋藤朋之さん…真摯に向かう姿勢が素敵でした。加藤美佳さん…アレグリアスを楽しんでいらして素敵でした。堅正はるかさん…心から発信されるものをうれしく受けとめました。久貝輝代さん…見ていて楽しくなりました。久保田晴菜さん…表現力がすばらしかったです。
フラメンコで共有すること…歌う、踊る、奏でる、手を叩いてリズムの輪を作る、かけ声をかける、心の中で同じ気持ちになる。これからも皆さんといろんな共有が出来ることを楽しみにしております。

曽我辺靖子(舞踊家)[Bs,Bg]

<バイレ・ソロ部門>
【18日】
和泉冴英香さん:成長がみられました。もう少し力を抜くことを覚えるとさらに良くなるでしょう。少々緊張していたかしら?
片桐あみんさん:踊り心を感じます。今後が楽しみですね。
谷口祐子さん:バタ・デ・コーラとマントンさばきの流れは美しかったです。サパテアードをもう少し頑張って。
庄子裕子さん:タンゴからのノリが印象的でした。
池田理恵さん:サパテアードが心地よく響き、吸い込まれていく迫力がありました。
牛田裕衣さん:情熱を秘めたタラントに引き込まれました。緩急をつけると更に良くなると思います。
平田かつらさん:堂々と空気を包み込むタメのある踊りに拍手。タンゴの入りも良かったです。
大岩奈青さん:心を感じたシギリージャ。印象的なラストでした。
平川亜紀さん:足音強く、全体的にパワーを感じましたが、表現力を増すとさらに良くなるでしょう。
山形志穂さん:繊細な雰囲気を漂わせながらも心の響きが伝わってきました。まだまだ伸びしろを感じます。

【19日】
小島智子さん:心地よいサパテアードの響きと、タンゴからの変化に魅了されました。もっとはち切れてもよいのでは?と思います。
横畠由美子さん:きちんと練習された成果が見受けられました。ラストまで、ファルーカの持ち味である凛とした雰囲気が持続できていて良かったです。これからも続けてくださいね。
鈴木真衣さん:カンテを良く聞きその表現力も伝わってきました。
服部亜希子さん:コンパス感がありサパテアードも強く、ラストまで途切れることなく安定感がありました。
近藤朔さん:フラメンコと真摯に向き合っている姿に頭が下がります。
藤本ゆかりさん:強いサパテアード、芯のある動きが魅力的でした。
菊池麻由美さん:印象深い始まり。恵まれた容姿から爆発する貴女を観たいです。
有田ゆうきさん:強くメリハリのあるソレアでした。情感をもう少し。
平山奈穂さん:全身から湧き出るフラメンコ性に魅了されました。もう一度じっくり観たいソレアでした。
鈴木雪花さん:レトラの表現は良かったです。
山本由紀さん:体幹もあり体もよく動きパリージョの音色にも心を感じました。曲の重さを意識するともっと良くなるはずです。
小河由里子さん:いかなるものにも動じない自分の世界観を感じました。
黒木珠美さん:この日を待っていたかのようなソレア。メンタル面の強さも増し、貴女の本来の実力が開花したのでしょう。カンテを良く聞き重心も安定していました。ゆっくり入るサパテアードの難しさも上手にクリアでき、波に乗れましたね。
田中実華江さん:なかなか良い味を出していました。ファルセータのゴルぺの音が若干気になりました。

【20日】
野上裕美さん:上体が美しく足の強さもあるが、タメが欲しいです。
伊藤千紘さん:動きも良くマノがきれい。
佐渡靖子さん:素晴らしい情感に圧倒されました。昨年のソレアも良かったですが今回のシギリージャはそれを超えることが出来ました。バタとマントンが体の一部のように表現できた貴女の底力に拍手です。
持田賀津子さん:サパテアードの理解が深まりました。今後タメを感じて踊ることを期待します。
堅正はるかさん:足音強くメリハリあり芯がぶれない。その上あの広い舞台空間を自分のものにしてしまう素晴らしさ。
佐藤陽美さん:華を感じる踊り手さん。緩急を意識して踊ると更に良くなるでしょう。これからも観たい人です。
津田可奈さん:取り憑かれたような流れのあるシギリージャでした。
久保田晴菜さん:体幹のある体の柔らかさ、しなやかなブラッソ、踊りが大好きという心の叫びが聞こえてきました。
東田美智江さん:シレンショの音の取り方を工夫すると更に良くなるでしょう。

<バイレ・群舞部門>
奥野裕貴子・SIROCOフラメンコ教室LOS TARANTOS京都:心に響いた作品でした。最後まで引き込まれました。
鈴木敬子フラメンコスタジオ カデーナ フラメンカ:気持ちの統一性があり一生懸命さが伝わってきました。
カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」:フラメンコのリズムにのり楽しんで踊っている子供たちの真剣な表情が忘れられません。松彩果さんの指導にオレ!
Armonía:実力ぞろいの力量をみせてくれましたね。三人三様でありながら統一性がありました。
LAMA y SONACAY:タイプの異なる2人の掛け合いをとても楽しみました。

改めて感じたことですが、小物を使用することの難しさ、何か不具合が生じた時に踊りよりそちらに目が向いてしまうので、相当な練習と覚悟が必要かと思われました。多種多彩の群舞…見応えがありました。

高橋英子(舞踊家)[Bs,Bg]

<バイレ・ソロ部門>
一番たくさんの方が挑戦するバイレ・ソロ部門。いつも思うのですが、参加者の皆さんにはもっと沢山のパロ(曲種)に目を向けていただきたいです。参加者の踊る曲種がもっとバラエティに富んでいてそれも堪能できる新人公演であったら理想です。1曲しか踊れないので、奨励賞獲得を願うためなのか、踊る曲がソレア、アレグリアス、シギリージャなどの特定な数曲に偏る傾向にあるのは頷けないことではありません。でも今や日本の皆さんのテクニックはとてもレベルアップし、どんな曲でも感動的に踊る準備はできてきていると思います。そうでなくても、ステキな曲がいっぱいあるのがフラメンコです。さて、今年も皆さんのパッションとパワーの渦の中に巻き込まれフラメンコ漬となりました。受賞者の方々の演技は本当に素晴らしかったです。また受賞者以外でもよかった方々が沢山いらっしゃいましたので、そういう方々から順に書いていきます。

【18日】
池田理恵さんのシギリージャは、凄味のあるムードの中でなにか内に込めた想いがひしひし伝わってくる迫真の演技、時間オーバーがとても残念でした。牛田裕衣さんのタラント、芯あり、軸ありで、なかなか個性的なアイレの持ち主、楽しめました。庄子裕子さんのタラント、派手な衣装の色使い、パチッとした大きな目がチャーミングで印象的、技術的にも安心して見られるレベルで目立ちました。大岩奈青さんのシギリージャ、なかなかフラメンコなシーンを作りだす表現力を感じました。谷口祐子さんのアレグリアスは、出だしから印象的。マントンやバタの豪快な捌きにスリルがある振付をよく熟し、ブラッソも綺麗で楽しめる演技でした。

その他、山形志穂さんのシギリージャはパリ―ジョで心を込めて踊られて、上体の動きも綺麗でした。本多清見さん、アレグリアスの振りに身体が馴染み、その明るさを思いっきり表現していました。森加寿子さんはシンプルなティエントの歌振りを落ち着いて表現し、平田かつらさんはタラントでシンプルな歌振りをじっくり踊り込んでいましたが、2人ともタンゴになってからの身のこなしにしなやかさがあったらもっと良かったです。佐藤直美さんも凝った振付のシギリージャをよく熟していました。平川亜紀さんもリズムに乗り楽しそうに踊られていましたし、和泉冴英香さんはしっかりしたサパテアードで練習成果が感じられますが、ペソのあるタラントのアイレが出しきれていない感じがしました。松下ひろみさんは効果を狙った振付に見合う上体の粘りのある表現が足りないような、そんな感じでした。堅田幸子さんのシギリージャの音楽構成は素敵で、出だしのパリ―ジョもよかったですが後半ちょっと乱れた感がありました。福田峰子さん、白い衣装が印象的なティエント、ちょっと身体がリズムに乗っていない感じで、これからもっと総合的な技術を付けて欲しいです。橋田佳奈さん、アレグリアスをバックスペインアーティストのアイレに乗って丁寧に踊りこんでいましたが、これからもっと技術も磨けると思います。片桐あみんさん、よく頑張りました。これからが楽しみです。

【19日】
藤本ゆかりさん、気迫がこもるソレア・ポル・ブレリアで本人の持ち味を出しきっていてよかったです。今回は惜しかったです。岡田麻里さんのソレア、エレガントでフラメンカ、なかなか雰囲気がありました。シンプルな振りで強さをうまく表現、なかなか迫力ある演技で印象に残りました。田中実華江さんのティエントは効果を狙う振付。なかなか太い踊りで、いいです。タンゴもよかったです。鈴木雪花さん、そこはかとなく感情が込められたシギリージャで好感が持て、技術的にも優れていました。山本由紀さん、ペテネーラを巧みなパリ―ジョで熱演、盛り上がり楽しめました。いつも色んな曲に挑戦していて頼もしい存在です。

その他、西山依里さん、タラントを踊りましたがリズミカルな動きは独創的で面白いです。もう少ししゃんとしたところがあればいいような。内田好美さん、竹村歩さん、大井昌子さんたちは、スペインアーティストの本場のアイレに浸り、現代タッチのソレア・ポル・ブレリアをはつらつと踊られていました。健闘しました。小河由里子さん、ソレアを落ち着いたフラメンカな雰囲気で踊られました。もう一押しのコラッヘがあればと感じました。青木千鶴子さんは赤いバタとマントンで華やかなアレグリアス、そのさばきも綺麗でした。チャーミングな笑顔でエレガント。小島智子さんのティエント、その踊りにはしっかりした方向性があり、前半はよかったのですが、タンゴになった途端に踊りが軽くなりちょっと残念でした。小野栄子さんのソレア、アカデミックできちんとした踊りを、丁寧に踊られていたという感じでした。瀧野晴美さんのソレア・ポル・ブレリア、バックの歌が冴え、うまく振付られた踊りをしっかり踊られました。近藤朔さん、シギリージャ。茶色のスーツで決め込み、とにかく確実なマルカールで踊っている真摯な姿が好感持てました。髙野正子さん、ソレア・ポル・ブレリア、綺麗なブラッソでしっかりした踊り。自分で踊ることの歓びを味わっている感じが好印象でした。川口真理子さん、スラッとした身体で、か弱いイメージが漂っていますが、品格あるシギリージャでした。菊池麻由美さん、やはりスラッとした身体を活かしたモダンなシギリージャ。語りかけるような表現力を加味できたら、と思いました。有田ゆうきさんは出だしから激しい気迫を込めたソレア、見えを切りながら良く踊っていらっしゃいました。寺嶋いずみさん、ティエント。前半は美しい動きでよかったですが、タンゴにもっと重量感あったらよかったように思いました。瀬﨑慶太さん、青いスーツに白い靴、しゃきっと踊ったカンティーニャは演出もあって楽しめました。富永央子さんのソレア・ポル・ブレリア、チャーミング。今風の踊りをコンパスに乗って楽しそうに踊られていました。佐野裕子さん、シンプルでしっとりしたソレアは大人のムードで迫っていました。佐藤幸子さん、アレグリアス。とにかくきちんと踊られているのが好印象でした。横畠由美子さんのファルーカ、バイオリンを使った音楽構成は良かったですが、やはり練習、踊り込みが足りなかったような感じに見えました。鈴木真衣さんのシギリージャ。スペイン人アーティストの本格的アイレでの雰囲気づくりは良かったです。これからもっと技術も磨けると思います。北中昭子さん、Trianaのしっとりしたソレアでムードありました。後半は息切れしたように見えましたので、これからはスタミナもつけて頑張ってください。

【20日】
今回準奨励賞だったのが惜しかった佐藤陽美さん。ソレア・ポル・ブレリア、ソレアを入れ込んだステキな構成。若く荒削りな感じがフレッシュで、その力強い足も見応えがあり、なかなかフラメンカでした。津幡友紀さんのロマンセ、ちょっと力み過ぎの感もあるテンションの高い踊り、はちきれるテンペラメントが圧巻でした。小宮山葉子さんのソレア、ステキな衣装で、足さばきも綺麗で品があり印象的でした。伊藤千紘さんのシギリージャはしっかりした足で始まる力強いジャマーダなど効果的な内容で熱のこもった演技でした。山中純子さんのカラコーレスは、扇とパリ―ジョを同時に持つ難度の高い踊りをキュートな感じでステキに踊りました。もう少し派手でもいいと思います。

その他、この日はアレグリアスを踊られた方が多く、皆さんそれぞれの振付と個性で壮観でした。河合浩子さん、テクニックもあり、振付も凝っていて面白く楽しめました。久貝輝代さん、マントンとバタをステキにさばいていてブラッソも綺麗、粋な振付で魅せました。新谷のどかさん、白いバタで、笑顔がステキ、いい感じでした。山内佳代子さん、元気たっぷり、楽しさ明るさを追求した振付で楽しめました。ブレリアの動きが軽快でちょっと浮いてしまった感はありました。東田美智江さん、ブラッソ、上体はしなやかでよかったですが、もう少し落ち着きのある優雅さが欲しかったです。加藤美佳さん、堂々としていて華やかなアレグリアス。上体のノリもよく、しっかり踊られていました。渡辺亜矢子さん、スラッとした容姿が綺麗で、落ち着いたムード。終わりごろにドラマチックなアイレを盛り込んだアレグリアスで健闘しました。

さて、ソレアを踊られた相田良子さん、落ち着いてしっかり踊りましたが、ブレリアになってから少し体が浮いてしまった感じでした。野上裕美さんもソレア。バックアーティストのプーロな歌の世界に浸り、集中し、踊り込んでいました。齋藤朋之さん、タラント。淡々とリズムにのり、マルカールしながらパソを進行させ、タンゴになってからも淀みなくしっかり踊られていました。菅家寿幹さん、シギリージャ。地味ですが、誠実さを感じる踊り。今後もっと力を付けて頑張っていただきたいと思いました。阪上のり子さんのタラント、前半は雰囲気ありましたが、タンゴになってからせっかくの曲が残念な結果になった感がありました。持田賀津子さんのカンティーニャ。ステキに踊っていましたが、身体のバランスが取れず、マルカールが浮いてしまうなどで技術的な改善が必要だと思いました。池本真希子さん、アカデミックですがラメ入りの衣装がステキで、バックに支えられたいい雰囲気のソレアでした。長岡聖子さん、ソレア。舞台を大きく使ってよく動き、一生懸命踊られていました。飛びが多く、それが気になりました。

<バイレ・群舞部門>
複数の参加者が合同で1つの作品を踊る群舞ですが、純粋に舞踊の範疇での芸術性を追求するものの他に、ドラマ性を加えてより人々に訴えようとするものがあります。作品の良しあしは、構成、演出、振付などの他に、踊る人達の舞踊レベルでも変わって来ると思います。ですので、バイレ・ソロで、以前奨励賞に輝いているプロの方々が、2人とか3人のグループで参加なさると踊り自体はとても目立ちます。今年はあらゆるタイプの群舞があって、内容的に優れた作品が多く、一作品だけを選考するのは至難の業でした。

[群1]は演出、舞台効果をよく考え、ドラマチックな観客アプローチもあり、更に主役的存在のような小太りの踊り手さんの演技がなかなか楽しめ、全体的に見応えあるステキな作品に仕上がっていたと思います。
[群2]典型的な群舞のスタイル。群舞ならではの位置交換での連帯性などを考え、無理なく作られた作品を研究生の皆さんがきちんと演技し、好感が持てました。
[群3]出だしと終わりの鈴の音?が、夏の風物詩、まさに真夏の祭典にマッチしてほのぼのとした作品でした。また次の世代を担う子ども達の演技も粋でいっちょ前、可愛かったです。
[群4]クラシックな音楽構成がやはり心をひき、赤いリボン紐のようなものがおしゃれな雰囲気でした。ただ、群舞ならではの迫力ある押し出しがもう少しあると、見応えがあったのではと思いました。
[群5]緑、ピンク、紫のショッキングカラーで登場した女性3人。女の強さを感じさせ惹きつけられる作品でした。その意気込み、演技も高度で見応えありました。
[群6]男性2人のちょっとパロディ風なアクションを入れ込んだ作品。踊る方が楽しんでいる感じでした。
[群7]典型的な群舞のスタイル。細部でもう少し工夫があったらよかった、という感はありましたが、マントンを使ったカーニャの振付をステキに踊られていました。
[群8]アバンドラーオで粋な音楽作り、赤いバタの女性陣にブーツを履いた旅人風の男性が印象的。アンダルシアの風景が目に浮かぶ作品で楽しめました。

手塚真智子(舞踊家)[Bs]

【18日】
18-1 和泉冴英香さん:幕開けがインパクトがある力強い踊りでした。
18-2 片桐あみんさん:緊張が伝わりましたが、一生懸命踊り切った姿に安心し、嬉しく思いました。今回の経験を活かして成長を期待します。
18-4 橋田佳奈さん:スタイルの良さ、柔軟性を活かした踊りで、ブラッソも綺麗でした。
18-8 池田理恵さん:ため、瞬発力、感情表現そして気迫がありオーレ!でしたのに、残念です。
18-13 牛田裕衣さん:力強さを感じ良いタラントでした。
18-15 福田峰子さん:顔の表情とともに表現力を身に着けると良いと思います。
18-16 平田かつらさん:タラントの重みをよく表現しながらタンゴの軽妙さとのバランスが良かった。
18-18 大岩奈青さん:出だしで祈りのようなものを感じましたが、全体的にメリハリに欠けたようで残念でした。
18-19 堅田幸子さん:挑戦の意気込み!
18-20 平川亜紀さん:特にエスコビージャの時の重心移動が自然で綺麗でした。

【19日】
19-9 小野栄子さん:振付を丁寧に踊っている様子でしたが、時折止まりのブラッソの遅れが気になり、上半身のしなやかさがあると良いと思います。
19-11 鈴木真衣さん:タメのある力強い踊りでした。
19-12 瀧野晴美さん:はじける!感じが好印象でした。
19-13 服部亜希子さん:熱に引き込まれました。
19-18 西山依里さん:タンゴのコンパス感がとても良い印象でした。
19-20 菊池麻由美さん:奇を衒うことなどなく、好印象の踊りでした。
19-21 佐藤幸子さん:しなやかさとご自身らしさが見たいです。
19-23 平山奈穂さん:内に秘めたものを爆発させる力にオーレ!
19-24 内田好美さん:好感度の高い印象です。もう少しペソ?があったらと思いました。
19-27 小河由里子さん:もったいないなぁと思ってしまいました。とてもフラメンコを感じましたが、ペソ、タメ、重心、呼吸などを考えたらよいかと思います。
19-30 大井昌子さん:若さ、エネルギー、笑顔に好感を持ちました。
19-32 田中実華江さん:どっしりとした安定感のある良いティエントでした。
19-33 青木千鶴子さん:良く練習を重ねて、今までの中で一番楽しそうに踊っている印象を受けました。
19-37 佐野裕子さん:しっとりとした大人の味のソレアでした。

【20日】
20-15 野上裕美さん:マルカールなどの歩き方が自然でした。
20-17 伊藤千紘さん:足音がしっかりとし、ブラッソも綺麗でした。
20-18 佐渡靖子さん:渾身のシギリージャにオーレ!
20-20 山中純子さん:笑顔が素敵で、華やかなカラコレスでした。
20-22 齋藤朋之さん:豊かな感情表現。しなやかさが出ると良いなと思います。
20-23 加藤美佳さん:元気で良いアレグリアス!
20-25 渡辺亜矢子さん:長身を活かしてこれからが楽しみです。
20-26 久貝輝代さん:のびやかさ、しなやかさがありポーズが綺麗でした。引っ込みの粋さも素敵でした。
20-29 佐藤陽美さん:“con coraje”でこれから益々期待してます。ため、ねばりなどが出ると良いです。
20-31 池本真希子さん:広い舞台をよく使っていました。
20-32 久保田晴菜さん:よく踊り込んで、顔の表情も良かったです。
20-33 小宮山葉子さん:きちんと踊り、コントラ、ティエンポも綺麗に聞こえました。足の割合を減らしてしっとりさを出せたら良かったのでは?
20-36 山内佳代子さん:笑顔に引き込まれました。

花岡陽子(舞踊家)[Bs,Bg]

<バイレ・ソロ部門>
【18日】
和泉さん/タラントらしくきちんと踊ってます。もう少しです。
片桐さん/今後の成長が楽しみです。
本多さん/楽しそうで美しいアレグリアスでした。
橋田さん/ブラソと身体のバランスが少し物足りないです。
谷口さん/マントンさばきお見事。何の踊りも上手そう。
庄子さん/全体に良かったです。表現力があって。
佐藤さん/重厚感があって今後が楽しみです。
池田さん/魅力的。フラメンコ舞踊性抜群。
牛田さん/恵まれた体型でたくさん踊っていってください。
森さん/構成を見直してみて。少し単調かも。
福田さん/たくさん踊って勉強していって。今後に期待。
平田さん/よく踊ってます。別に欠点はないのですが。
松下さん/音楽に乗って、動きが美しいです。
大岩さん/踊り込んでいます。よく練習しましたね。
堅田さん/難しいフラメンコです。勉強していって。
平川さん/サパティアード正確。お見事でした。
山形さん/将来きっとすばらしいバイラオーラになるでしょう。

【19日】
小島さん/ブラソの研究もう少し。のびのび踊ってます。
小野さん/上半身をもう少し研究して。よくなります。
横畠さん/気持ちよく踊れますよう、頑張って。
鈴木さん/個性的。サパティアードもいいし、今後に期待。
瀧野さん/踊り込んでいます。ご自分自身のバイレを研究して。
服部さん/ギター、カンテとよくとけ込み、観客の心に染み渡りました。
近藤さん/フラメンコに出会って明るい人生が開けますように。
髙野さん/欠点は少ないのですが、また挑戦してください。
藤本さん/アイレがあります。エネルギーが伝わってきます。
川口さん/細いお身体でも力強さは出ます。頑張って!
西山さん/ヒターナ・フラメンコですね。少し荒けずりになります。
北中さん/まとめ方はよかったです。もう少しです。
菊池さん/舞踊性があり、流れるように楽しかったです。
佐藤さん/佑子先生の伝統的なフラメンコを拝見しました。
有田さん/ここまで踊るため、練習を重ねたことでしょう。
平山さん/肉感的。フラメンコを踊るために生まれてきたのですね。
内田さん/疲れないフラメンコ。美しいです。気持ちよく拝見しました。
鈴木さん/欠点が少なく、別のヌメロも拝見したいです。
山本さん/パリージョも美しく、難解な技術をすばらしい!
小河さん/ティエンポ正確。大きなお身体で圧巻でした。
寺嶋さん/きっと練習はもっと力が入っていたでしょう。ちょっと残念。
竹村さん/体幹がきちんとしています。もう少しです。
大井さん/サパティアードが細やか。少しの努力を望みます。
黒木さん/ボリュームがあって、足が強くて速くて一番素敵でした。
田中さん/身体がしなやか。力強く踊ってます。
青木さん/マントンとコーラ、よく踊りました。華やかでした。
岡田さん/ブラソが美しいです。絵のようでした。
瀬﨑さん/何気なくさらりのフラメンコ。好感が持てました。
富永さん/舞台いっぱいにさわやかに。サパティアードもいいです。
佐野さん/美しかったです。構成をもう少し工夫して。

【20日】
相田さん/踊りの要素をきちんと織り込んでいます。
野上さん/美しいです。基本もしっかり勉強してます。
菅家さん/コンパスもいいです。少し踊りに広がりが欲しい。
伊藤さん/練習の成果が舞台で発揮できました。
佐渡さん/マントンのさばきお見事。叫びが伝わります。
阪上さん/気持ちが入っている時と荒けずりの部分と。
山中さん/アイレがあります。頑張りが伝わります。
持田さん/たくさん踊ってもっと上達してください。
齋藤さん/身体からわき出る重厚感で、もっと頑張って。
加藤さん/フラメンコが楽しいわぁ、と踊ってます。
堅正さん/柔軟な体に芯のある踊り。将来性があります。
渡辺さん/細くきれいなお身体で、強さが入ったら。
久貝さん/ティエンポよく、アレグリアスを充分に踊ってます。
河合さん/さわやかに初々しく、可愛らしく踊ってます。
新谷さん/おしゃれなフラメンコでした。また参加してください。
佐藤さん/全体にバランスよく、気持ちよく拝見しました。
津田さん/メリハリがあり、舞台をよく使ってました。
池本さん/ステージをたくさん経験してください。
久保田さん/表現力のある美しいフラメンコでした。
小宮山さん/ブレリアのティエンポに気持ちよく心地よかったです。
津幡さん/ヒターナの味わい深い個性豊かな踊りでした。
東田さん/バラのようにひまわりのようにステキでした。
山内さん/チャーミングでした。細い身体に一生懸命でした。
長岡さん/よく踊ってくれました。お疲れ様でした。

<バイレ・群舞部門>
奥野裕貴子・SIROCOフラメンコ教室/ドラマになさってました。少し難解でした。
鈴木敬子フラメンコスタジオ/息が合ってアンサンブルを重視した作品でした。
カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」/ブレリアを工夫して創作し、面白いです。衣裳も工夫しました。
フラメンコスタジオマグダレーナ/リボンは新しい試みでした。もう少しです。
Armonía/3人とも実力者で魅力的でした。バストンもなかなかです。
LAMA y SONACAY/グアヒーラを面白く、男っぽいパレハでした。
La Puerta Abierta/美しかったです。少し単調かも。
斎藤克己フラメンコアカデミー札幌/赤いマントンが美しい群舞。去年の方が良かったかしら。

本間牧子(舞踊家)[Bs]

18-1 和泉冴英香…安定感としなやかさがあり、マノがきれいでした。静止の部分流れないように意識してみましょう。
18-2 片桐あみん… 最後までしっかり踊りきった集中力、素晴らしかったです!これからが楽しみです。
18-5 谷口祐子…マントン、コーラ使いが素晴らしく、くずれない軸とブエルタ、すべてが一体となり美しく躍動感のあるアレグリアスでした。
18-8 池田理恵…メリハリと重厚さ、構成も良く、魅力的でした。時間オーバー残念です。
18-16 平田かつら…存在感があり振りから振りへの間がとても良かったです。決めの時の静止がぶれないと、もっと間が生きてくると思います。
19-13 服部亜希子…歌との一体感が素晴らしかったです。メリハリ、重心移動の間も良くアイレが伝わってきました。
19-14 近藤朔…立ち姿が美しく、ひとつひとつの振りを大切に踊られていて思いが伝わってきました。
19-16 藤本ゆかり…安定感と伝わってくる気迫!抜けが良かったです。アイレを感じさせてくれました。
19-20 菊池麻由美…ブラソ、重心移動の軌道がエネルギーを発し、深い海の底から唸り出て来るようなすごみがありました。
19-22 有田ゆうき…重さと力強さメリハリがしっかりつけられ、抜け、決めの部分の静止、とても良かったです。
19-23 平山奈穂…安定感と切れ味、内からあふれでてくる心を感じました。
19-31 黒木珠美…強い!!迫力があり、一歩たりとも引かないまっすぐに向かってくるソレア。鳥肌がたちました!
20-18 佐渡靖子…構成も良く内面性が伝わってきてドラマを感じさせてくれたシギリージャ、素晴らしかったです。
20-22 齋藤朋之…基本にしっかり向き合ってブラソもしなやか!心を込めた踊りに感動いたしました。
20-24 堅正はるか…からだ使いがとても良かったです。振りのひとつひとつから気持ちが伝わってきました。
20-29 佐藤陽美…力強さと小気味良さを感じました。振りと振りの繋ぎの間を大切に!
20-30 津田可奈…構成も良く、すべてに安定感と気迫がみなぎり、後半マチョへの盛り上がりが素晴らしく感動しました。
20-32 久保田晴菜…丁寧なブラソと踊りに強さ、重さがあり、特に出のジャマーダ、印象的で良かったです。

群舞、ギターの選考委員ではありませんが…カンデーラの皆さんのまっすぐなフラメンコのパワーに、森谷忍さんの澄んだ音色に心ときめき、忘れそうになる大切なことを思い出させてもらった気がいたしました。出演者の皆さま、お疲れさまでした。これからさらなる目標に躍進していかれますように…。

渡邊 薫(舞踊家)[Bs,Bg]

<バイレ・群舞部門>
1.奥野裕貴子・SIROCOフラメンコ教室
独特のアイレで展開された群舞。今回はコンセプトが明確であった。
2.鈴木敬子フラメンコスタジオ
久々にユニゾンの美しさを見せてもらいました。10人が各人しっかりと振付をこなし、清々しささえ感じた。
3.カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」
始めの情景からぱっと正面を向き踊り始めた時、空気の変わり方がすごかったです。年令に関係なくフラメンコのアイレたっぷりの7人の踊りに「ole!」でした。
4.フラメンコスタジオ マグダレーナ
「Café de Chinitas」で始まり、10人で踊り継がれた「Zorongo」は心が1つになっていて大きな求心力になっていた。
5. Armonía
実力ある3人による群舞、見ごたえがありました。
6. LAMA y SONACAY
ソロ受賞者2名による「Guajira」。とにかく楽しませて頂きました。
7. La Puerta Abierta
緊張のせいか始め固さがあったが、後半に向けて良くなった。バタ、マントンとともに、練習の成果がみえた。
8. 斎藤克己フラメンコアカデミー札幌
デュオ→ソロ→9人と構成されておもしろかった。この一年の成長がみられました。

<バイレ・ソロ部門>
◎奨励賞に選出
【18日】
和泉冴英香:抑え目のタンゴ、溜があり良かった。レマーテからの抜けに注意。
片桐あみん:シギリージャへの挑戦がすばらしい。何気なく振りをこなしているが、もっとこだわりを!
谷口祐子:慣れたバタさばき、マントンの扱い美しい。
庄子裕子:カンテへのコンテスタシオン不足。腰の浮きが気になったが、タンゴは良かった。
◎佐藤直美:奨励賞に選出しました。よく踊り込まれていて、マルティネーテへの切り換えも良かった。来年に期待しています。
平田かつら:足さばきもきれいで安定した踊り。
松下ひろみ:止めをしっかりと!
◎大岩奈青:存在感があり、足もリンピオ。彼女自身がしっかりと表現された踊り。
山形志穂:テクニカメンテは良い。もっと自分が何を伝えたいかを明確に意識して。

【19日】
鈴木真衣:身体をよく使い踊っているが、コントラが少し不安定。来年も見せてください!
瀧野晴美:メリハリがあり、全身を使い踊っていて好ましい!
服部亜希子:受賞おめでとう!カンテへのコンテスタシオンが素晴らしい。首の切れ、マルカーヘも良かった。
近藤朔:確実に一歩ずつ前進している。止めが不安定。
◎藤本ゆかり:自分をしっかりと持ち、表現された踊り。足は良く動いていた。上体の引き上げを!
◎菊池麻由美:コントロールされた入り方、難しい足を良くこなしていた。
佐藤幸子:全体的に力みが少なくなり、足も安定してきた。
有田ゆうき:雰囲気のある踊り手。溜め、切れもあった。
平山奈穂:おめでとう!安定した腰、リンピオな足。
鈴木雪花:よく踊っていたが、自分の内に向かって何を表現したいかの問いかけを!
◎黒木珠美:おめでとう!すごい成長ぶりです。溜め、Peso有り、バックのムシコスとちゃんと会話していた!
青木千鶴子:魅力ある踊り、ダイナミックなマントンさばき。前回より楽しんでいる感あり!
瀬﨑慶太:リズムのコントロールが良くなった。Vueltaで体幹の弱さを感じた。難しいですが頑張ってください!
富永央子:動き過ぎて止まりの時揺らいでいる。
佐野裕子:彼女によく合った振付です。もっと自分のものにしてください。

【20日】
相田良子:抑えのきいた踊りで、リズムの切り換えが上手い。
伊藤千紘:丁寧な踊り。得意なVueltaを活かしていた。首の前傾が気になった。
佐渡靖子:おめでとう!ダイナミックで大人の踊り。バックのムシスコも良かった。
山中純子:とてもエレガンテ。パリージョも上手く使っている。前回よりはるかに自分の踊りを表現した。
齋藤朋之:この一年の成果が見られました。また新しい一面も見せてくれましたね!
◎堅正はるか:おめでとう!溜め、メリハリがあり抜けも素晴らしい。足もムイ・リンピオ。良くコントロールされた踊り。
渡辺亜矢子:ブラソ表情豊か。長身ゆえ(!?)猫背気味が気になった。
久貝輝代:緊張のせいか表情が硬かった。もっと自分を前に出して表現を!
佐藤陽美:上体の固さ、Vueltaに注意。ゆっくりのマルカーヘを大事に!
津田可奈:おめでとう!しっかりとして足もリンピオ。マチョへの入りが良かった!
◎久保田晴菜:おめでとう!表情豊かなブラソ、足をしている時にも身体(上体)が良くついて踊っていた。
小宮山葉子:魅力的な踊り手。体幹をしっかりと訓練して来年も出演してください!
津幡友紀:モイのカンテに寄り添った踊り。少しせわしい感じはあったが。

市川惠子(舞踊家)[Bs,Bg]

今回賞を獲られた方々は、何度も出演されている方が多く、それだけの年数、経験を重ねられており、またフラメンコとしての身体も出来上がっていて、技術的にも優れ、その上でフラメンコを高いレベルで理解し、そして素晴らしい振りをしっかりと自分のものにして踊っている。さらにフラメンコとして大切なノリやアイレ、気迫や心意気などで、十分に皆さんの心に届く踊りを出来た方々なのだと思います。遂にはここまできた姿に胸が詰まる思いでした。

<バイレ・ソロ部門>
私が奨励賞に推薦したのは、
★牛田裕衣:どしっとした重みに、うねり、絞りも出てきた。存在感のある踊り。足もしっかりしていて、コンパス感もある。フラメンコ性も高く、熱い気迫の踊り。
★服部亜希子:フラメンカな上にドラマチック。一時も緩まない空気感。自分の強い意志で踊っている。その気迫、込める力、うねり、絞りもあり、素晴らしい。すべて良かった。内から発するものに胸打たれ、渾身の踊りに感動!オレ!
★平山奈穂:フラメンコとしてのノリはダントツ。印象的な振りが自分のものになっていて表情も豊かでアイレもありすごく魅力的。ずしっと重みを感じる、腰が据わった踊りに目が離せない。
★黒木珠美: 凄みすら感じる、張り詰めた空気感。最初からずっと惹き込まれた。しなやかさと力強さをあわせ持った、緩急があり完成度が高い。腰の据わった芯のある素晴らしい踊りに感動。その激情に心打たれ涙。
★佐渡靖子:重ねてきた年輪を感じる素晴らしい踊り。ここまできたのかと感動。その激しさに心揺さぶられ本当に見入ってしまった。マノも身体も綺麗。マントンもバタも素晴らしい。
★堅正はるか:印象的な始まり。上手い。身体もすきっとしていて無駄のない質感の良い踊り。スカッとしていて良い。込める力もうねりもあって、間合いも表情も良い。
★佐藤陽美:身体しまっていて足もリンピオ。軸がしっかりしていて自然体で気持ちの良い踊り。表情の良さに魅力を感じた。好感度大。打ち出しの強さが出てくると尚良い。

本来ならば、奨励賞に推薦したかった。時間オーバーで失格になられて本当に残念です。
☆池田理恵:テンションの高いノリもアイレもあり表情も良い、とても素晴らしい踊りに思わず惹き込まれた。ここまで完成させるとは凄い。オレ!

特に印象に残った方々は、
☆藤本ゆかり: 切れもあり気迫に満ちた激しい踊り。重みもあって良いが中盤がごちゃつきすぎ。ラストもそのまま帰っていった方が活きる。
☆菊池麻由美:静かだが込める力がある。独特の雰囲気でモダンだが熱く、存在感もある。とても恵まれた肢体。手が遅れるのが気になるがしなやかで強い。
☆津田可奈:上手い。身体が出来ている。ブエルタも良い。込める力もある。凝った振りをよく踊りこなしていて素晴らしいが、激しい踊りなのにどこかに冷たさを感じる。
☆久保田晴菜:身体能力に優れ、しなやかで大胆なその踊りに惹きつけられ、強い思いを何か感じた。フラメンコとしての感情表現について、さらに追求して欲しい。
☆津幡友紀:重みもアイレもありその熱さについ見てしまうが、前半から凄い気迫で迫ってくるので、少し疲れてしまう。もう少し起承転結を付けさりげないところがある方が、そのパワフルさも活きる。

次に印象に残った方々は、
●谷口祐子:マントンは良い。ずっと同じ笑顔が気になったがアレグリアスらしく晴れやか。面白い振りを良く踊っているがマノがバレエ的。
●庄子裕子:足もしっかり、マノ、ブラソも良い。自分の個性を大切に意志を持って踊っている。タンゴの入口が好き。スタイル抜群。表情豊かで魅力的。
●平田かつら:しなやかで凛とした静けさの中に重厚さも激しさも加わりすごく良くなっているが、どこかまだ硬い。もっと動かない方があなたの美しさが活きる。
●大岩奈青:独特のスタイルで味がある。すごく良くなっているのに後半動き過ぎでばててしまって残念。自分の個性は大切に。体力をつけて。
●鈴木真衣:溜めも込める力もあって、上手い。プーロな雰囲気が何かあるのだが、決め手に欠ける。
●西山依里:個性的で面白い。コンパス感も抜群で上手いのだが、わかりずらい。もっと全体にすきっとしたところがいるのでは。
●有田ゆうき:自分の意志を強く感じる。足もしっかりしていてアイレもあり空気感も良いのだが、もう少し内に込めた何かが欲しい。
●内田好美:足の音も綺麗で踊りもしなやかで上手いのだが、全体に少し軽く感じた。以前のような野性味、熱さが感じられず残念。
●鈴木雪花:ずいぶん上手くなってびっくり。素敵でした。激しさに惹きつけられたが、どこかまだ硬い。姿勢に気をつけて。
●山本由紀:パリージョも素晴らしくクエルポも綺麗。しなやかで凛とした雰囲気は良いがもっと情感と力強さが欲しい。
●竹村歩:激しさもあって、抜けも良い。気持ちは伝わるがどこか力を抜くところがいる。
●岡田麻里:軸がしっかりしていてぶれない足。良く踊っていて何か伝わってくるものがある。気迫もあるのだが、しなやかさも欲しい。
●野上裕美:足からの始まりが素晴らしく印象的。上手いのだが見せ所が見せきれていなくて残念。
●久貝輝代:頑張っていて良いが、踊り込みが出来ていないのか、余裕がない。アレグリアスの活気、楽しさが伝わってこない。
●東田美智江:表情が豊かでアレグリアスらしい華やかさがある。ブラソ、マノも良くなった。ジャマーダはもっと強く。どこかに強烈な打ち出しを。

今後に期待したい方々は、
○片桐あみん:子供なのにシギリージャ、と、びっくり。しっかり抜けも良く、雰囲気もある。特に後半が良く意志を感じた。
○松下ひろみ:ブラソもマノも良い。パワフルで綺麗だが、まだ身体の芯が出来ていない。深さや重みがほしい。
○平川亜紀:個性的でパワフル。込めた力はあるが一本調子に見える。切れ味のあるピエも良いが少しハイテンション過ぎ?肩の力を抜いて。
○山形志穂:パリージョも上手く美しいが、重みと強さがほしい。少しバレエ的。
○小島智子:足はしっかりしているが、唄をもっと感じて。ティエントはもう少し重みが欲しい。タンゴにノリを。
○近藤朔:この人ならではのなんとも言えない味がある。少しモダンダンスみたいだが、フラメンコが好きな気持ちが伝わってくる。
○小河由里子:プーロな素直な振りをちゃんと踊っている。身体もしまり、甘さも取れた。どこかに凄い気迫を見せて欲しい。
○寺嶋いずみ:良い振りをちゃんと踊っているのだが、長く感じた。内から発するものがいる。
○大井昌子:足は強いのだが何かがぴりっとしない。頑張っているが少し踊りが荒い。
○田中実華江:スタートのタンゴが面白い。動き過ぎだが、力強く個性もあって良い。
○青木千鶴子:ポーズは美しいが、マントンもバタも踊り込みが必要。上半身のねじりも大切。
○瀬﨑慶太:だいぶ踊りも身体もすきっとしてきたが、もっとこちらに届くような気迫が欲しい。
○富永央子:激しいが少し慌しく見える。いいものはあるのだが、ずっと同じ調子なのが気になる。
○佐野裕子:落ち着いた、安定感のある美しい踊り。上品で自然体のアイレもあり、好感が持てる。どこかにどーんとしたフラメンコとしての強さが欲しい。
○相田良子:ちゃんと踊っているが唄をもっと感じて。肩が上がるのが気になる。どこかにぐっと強い打ち出しを。
○菅家寿幹:このままずっと伸びて欲しいが、どこかにダイナミックさを。
○伊藤千紘:小さいながらよく動く身体。足は凄く印象に残った。
○山中純子:身体をもっとひねって。美しいが何かフラメンコとして訴えかけるものが欲しい。
○齋藤朋之:男性としての歩き方、胸の上げ方が良い。踊りはまだまだだが何か込めたものが伝わってきて目が離せない。
○渡辺亜矢子:マントンを扱うときもっと肘を意識して。女性の美しさを見せてくれたドラマチックな振り。上品で美しい。足を打つときにもう少し外股だと良いのでは。どこかにフラメンコとしての気迫が欲しい。
○河合浩子:ブレリアからのノリは良かったが、上半身、ブラソとマノに女性としての丸みが欲しい。

<バイレ・群舞部門>
今年の群舞はバラエティに富んだ個性豊かなグループが多く、とっても楽しませていただきました。
私が奨励賞に推薦したのは、
★Armonía:実力派3人がそれぞれの個性を活かし、気迫で迫ってきた。溜めの知念さん、込める力の漆畑さん、発するパワーの石川さん。3人の対比が活かされ、面白い構成でわくわくしながら見入ってしまった。
☆カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」:素晴らしい気迫に満ちた子供たちに惹かれ、準奨励賞へと提案。松さんの母のような温かさに包まれた中、子供ながらにフラメンコの心意気を見せてくれた。自分の意志でちゃんと踊っているところが凄い。オレ!しっかりとした身体作りを。
●マグダレーナ:皆、一生懸命でとても良かった。まとまりがあり、構成もしっかり。赤のリボンが効いていた。
●LAMA y SONACAY:揃い踏みが多かったのが残念。フラメンコ性の高い個性の違う2人がどうやり取りするのかと期待していたので、唄の部分をそれぞれが感じた振りを違うレマーテをかけながら踊るとか。もっと熱い気持ちになりたかった。なぜグアヒーラなの?
●斎藤克己フラメンコアカデミー札幌:ソロを踊られた方、アイレ十分でとても魅力的。素敵な踊りに惹きつけられた。次はソロで出演してほしい。克己先生の登場は美学を感じた。群舞の方たちはちゃんとフラメンコを学んでいるのがわかり、女性としてのスッとした美しさに好感が持てた。
○La Puerta Abierta:まじめに取り組んだ群舞。もう少し憂いや含みがあるといいのでは。
○LOS TARANTOS京都:よく揃っていて構成は面白いが、パターンが見えてしまったので・・・。個性的などーんとした踊りの彼女は、ソロで出演されてはいかがですか?他の方たちだけの群舞が見てみたい。
○カデーナ フラメンカ:マノが綺麗できちっと踊っているが、シギリージャとしての熱さや気迫が欲しい。

フラメンコの基礎をきちんと学び一歩ずつ前進しながらフラメンコらしさとは、その曲らしさとは、といつも意識して自分に無理のない振りを、自分の意志で踊れるようになることが大切。身体能力にそんなに優れていなくても良いフラメンコを踊ることは十分に出来るのです。もっと他にも色々な大切なものがフラメンコにはあるのですから。それに気づいて欲しい。気迫ももちろん大切ですが、そればかりでは・・・。本当にそこまで行き着く必然性がいる訳で、どうしたら見栄えがするのか盛り上がるのかばかりを考えていると、大切な何かを見落としていくような気がします。やはり振りが自分のものになっている人は、同じ振りを踊っても伝わってくるものが違います。振りを練習するばかりでなく自分が何を表現したいのかもっと考えて欲しい。それが伴わないと、ややこしい振りを慌しく踊っているように見えたり、物足りない一本調子な踊りになってしまうのではないでしょうか。何もないところ、さりげないところ、ふとした間合いなども大切。ウルトラCの連続ばかりでなく、それは本当に気持ちが行き着いてからにして、もっと自然体の女性としての美しさ、優雅さも欲しいと思うのです。女性は女性ならではのブラソ、マノ(フラメンコ独特の手法)をもっと使って欲しい。男性は男性らしく。自分の個性と感情を大切に自分ならではの踊りを見つけていってください。

EL・POKA岡崎(舞踊家)[Bs,Bg]

フラメンコと遭遇してから56年と半年が過ぎた今も、毎年新人公演に参加することができ、健康に感謝しております。年々レベルアップしているフラメンコに果敢に挑戦している若者の姿を観ることができ、私自身の勉強にもなり、心からフラメンコに出会えたことに感謝しながら、今年も楽しく過ごさせてもらえた3日間でした。

今年一番心を打たれたのが群舞です。群舞とは大勢群がって舞い踊ることです。これが根本!レベルの高い仲間達が数名で踊っている姿もそれなりに素敵でしたが、カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」はフラメンコ大好きな仲間達が大勢群がって、まさに蝶がフラメンコと言うお花畑で舞っている、なんとすばらしい、なんと素敵な群。フラメンコ野郎達なのだろうと感心しました。指導する人も大人になった人も、子達も、皆んなが一丸となっていて、すばらしい作品になっていると感心しました。ありがとう!皆さん!お疲れ様でした。

私が今回強く印象に残った方々を数名だけ挙げてみました。始めに、池田理恵さん、この一年間頑張って、晴れの舞台に立てたのに、時間オーバー失格!が何とも残念です。バックとの噛み合いが少し気になってはいたのですが…まさか!中身は堂々としていてすごく良かったですよ!来年も期待して、待っています。
次に津田可奈さん。私個人としての意見は、すでに4年前最強のメンバーに恵まれ、完全にフラメンコの世界に入っていて、最高の得点でした。ひとまずはお疲れ様でした。これからも前進し続けてください!期待しています!
佐藤陽美さん、ますます上手になられていたのにびっくり!すっかりベテランの味がしみ出ていました。舞台なれした技術と音感!唄も自分の物にして踊っていたと思いました。
久保田晴菜さん、昨年に続き増々上手に、サパテアードも味がついて来て、堂々と自分を押し出して来ましたね。貫禄有る重さや、雰囲気さえも感じられました。今回の一押しです!
平山奈穂さん、すごいバックに支えられ、臆することなく堂々と踊っている姿が頼もしかったし、気持ちよかった。これからもこの調子で頑張ってください。
渡辺亜矢子さん、久しぶりにほのぼのと温かいフラメンコ愛好家の仲間達の広げる、明るく素敵なレベルの整ったフラメンコを観せて頂きました。ありがとう!

ロシオ・ロメロ(舞踊家)[C]

カンテはバイレやギターより難しいことはわかっていますが、まだ参加者の方々は知識が不足しているように思います。CDで勉強するのではなく、経験や知識が豊富なマエストロに習うべきです。
女性の参加者が多く見られたこと、そして、みなさんがフラメンコへの愛を見せてくれたことを、私はとても喜ばしく思います。どうぞこれからも、学び続けてください。がんばって!

ディエゴ・ゴメス(カンタオール)[C]

今年もまた、ANIF主催のフラメンコ・ルネサンス21が終了しました。厳しくも希望とエネルギーに満ち、何よりも成長し続けようとする意欲と我々にこの“flamenco”というアルテを共有しようとする気持ちに溢れた3日間でした。
毎年、皆さんのこのイベントに参加する決意、努力、強い意志の力に、個人的にとても驚かされます。出演者(バイレ、カンテ、ギター)が演ずる数分間には、それまでの長い時間と努力があります。すべての参加者に対して、この新人公演が今後も日本で最も重要なイベントであり続けるよう、応援し続けます。
レベルは毎年上がり、厳しいものになってきています。フラメンコが真の世界遺産であること、また心と魂を込めたものは、国境、人種、国籍をも越える。そのことを目の当たりにできることを誇りに思います。
参加されたすべての皆さん、またこのイベントの実施に関わられた皆様、ありがとうございます。そして、ANIFのこのアルテに対する活動とそれに関わる全ての皆様、ありがとうございました!

菊地裕子(評論ライター)[Bs,Bg]

昨年、奨励賞の選考委員をはずれ、ずいぶん久しぶりに新人公演を一観客として見た。そのおかげで、フラメンコ舞踊の多様性を楽しみ、個々の出場者の努力に感じ入るという、かつて純粋に新人公演ファンであった頃の感覚が蘇った。正直いって舞台は水もので、どんなに素晴らしいアーティストでも、日によって出来不出来はある。たった一度の本番で、出場者の真価がわかるわけではない。けれども、多くの観客にとって、出会いはその一度だけ。一期一会の舞台で、余すところなく自分自身を刻印していただきたいとの思いで拝見している。今年の新人公演も、そういう意味で非常に面白かった。中でも私が感動したのは、何度も出場している方々の成長ぶりで、そのうちの何人かの説得力のあるステージには迷わず高評価を付けた。また、歴代受賞者である山田あかり(カンテソロ)、正路あすか(バイレソロ)両名によるエキシビジョンも、3日間のエンディングにふさわしい、見応えのあるものだったことが非常に嬉しかった。
実はここ数年、必死の努力を重ねて舞台に上がった人々に、選考委員という立場からもの申すことが苦痛になっていたのだが、今回はいつにも増して、新人公演の奨励賞というものが、出場者の長年の努力と成果にしっかりと応える形で与えられるのだと感じた。とすれば、自分がそこにわずかでも携われたことはいかにも幸せなことだ。

フラメンコ舞踊を大きな山に例えれば、頂上に向かう登山道はひとつだけではない、と以前どこかで書いた。けれど今は、フラメンコ舞踊は多くの山々から成る連山のようなものかもしれないと思う。フラメンコを志す人々が個々の山を目指し、あるいは自身の山を築きながら、努力を続け、ひとつずつ小さな成果を挙げている姿に、私は非常に感銘を受ける。新人公演に出場した全ての人々に拍手を贈りたい。

以下は、印象に残った出場者についてのメモから。
(◎=高評価、○=評価、△=今後に期待/★=奨励賞に推薦、☆=特別賞)

<バイレ・ソロ部門>
【18日】
○谷口祐子/バタ・デ・コーラとマントンのアレグリアス。マントン使いが優雅で美しい。リズムの楽しさもあって、ワクワクさせた。しかし、今年は同じような演目が多く、ソロにはもっと突出した個性が必要と感じた。上手に使えるという以上の何かが。
○佐藤直美/シギリージャ。気持いいコンパス。メリハリもあってgood! あとは大舞台でやる場合の大きさ。大きく動くという意味ではなく、中のエネルギーを膨らますという意味で。
○池田理恵/シギリージャ。佳い踊り手。メリハリがあって舞踊的に上手いが、あともう少し深みがほしかった。
△牛田裕衣/タラント。よくよく踊り込んだのか、達者な踊り。しかし前半、ちょっと頑張り過ぎか。緩急がほしい。タンゴになってから、自由な感じがよく出ていた。
○松下ひろみ/シギリージャ。コントロールがきいていて佳い踊り手。しかし、曲としては盛り上がりに欠けた。体力的なことも含めて、力配分の工夫を。
◎大岩奈青★/シギリージャ。ムイ・フラメンコ!この日いちばん、ゾクゾクした。コンパス感が心地よい。惜しむらくは、ブエルタのキレが今ひとつと見えてしまうこと。体の使い方にさらに工夫をこらし、このままフラメンコの恰好よさをずんずん求めていって!
○平川亜紀/ソレア・ポル・ブレリア。小柄だが踊りのセンスが良く、なかなか魅力的。だが、全般的に中のエネルギーが小さい。特に後半はもっと膨らませてほしかった。
△山形志穂/パリージョのシギリージャ。踊り込んでいる感じはあるが、無難な印象。振りに自発性が乏しい。もっと自分の踊りにしてください。

【19日】
○小島智子/ティエント。よく踊れている。ブラソが美しい。ただし、まだ振付をなぞっている感が否めない。もっと自発的に踊れるように頑張って。
△瀧野晴美/ソレア・ポル・ブレリア。よく鍛えられた身体。だが、発するエネルギーが小さいせいか、踊りというより、運動のように見える。表現力を養って。
○服部亜希子/シギリージャ。キレがあって非常に上手い。ただし、求心力に難。もっと惹き付ける工夫がないと、客は置いていかれてしまうのです。
◎藤本ゆかり★/ソレア・ポル・ブレリア。別人かと思うほど迫力と表現力に富んでいた。ステージの使い方にも進歩のあと。踊り全般に非常にコントロールがきいていて、素晴らしい踊り手に成長した。平板になりがちなソレア・ポル・ブレリアが、これほど感動的なものになったのは驚きだ。お見事!
◎西山依里/タラント。しなやかさが際だつ踊り。自分らしさがあって、非常に佳い踊り手。しかし、なかなか突出するところまでいかない。もっとフラメンコのセンティードを深掘りしてみては?あなたなら出来る!
○菊池麻由美/シギリージャ。長くて雄弁なブラソが印象的。美しい踊り。しかし後半、息切れの感。惜しい。
△有田ゆうき/ソレア。なかなかフラメンカ。全般的に好印象だが、これぞ!と光るものが感じられない。好きなことを徹底的に突き詰めてみてほしい。
◎平山奈緒/ソレア。佳きフラメンカ。身体も良く使えているが、ブエルタが今ひとつで損な感じ。苦手は克服するに越したことはないが、見せ方を工夫するのもひとつのやり方。そして自分のやりたいところをさらに磨いてほしい。
△内田好美/ソレア・ポル・ブレリア。あれっ?と思ってしまった。上手い人だけに期待していたが、今回は厚みに欠けた。存在感、個性は有している。頑張れ!
○鈴木雪花/シギリージャ。果敢なる挑戦と見えた。今のところ、まだ荒削りの感はあるが、大きな踊りが踊れる人だと思う。エネルギーのタメをもっと。下半身に安定感をもっと。芯を太くして。
△竹村歩/ソレア・ポル・ブレリア。なかなかのフラメンカ。良く踊れているけれど、自分を出していくには、リズム感も身体も表現力ももっと磨くべし。衣装が踊りをどう印象づけるかも意識して。
△大井昌子/ソレア・ポル・ブレリア。面白い才能の持ち主だが、やや雑な印象。後半は少し単調になった。丁寧に、息切れしないよう、精進して。
◎黒木珠美★/ソレア。長いこと、「踊り巧者」だけど決め手に欠けると書いてきたが、今年は化けた!開き直ったかのように個性がにじみ出て、ソレアという演目を良く消化していて、非常に見応えがあった。ここまで精進してきた方が大輪の花を咲かせるのを目の当たりにするのは、心から嬉しい!
△田中実華江/ティエント。ツボを押さえて、フラメンカな踊り。あと一歩、自分の魅力を押し出す勇気がほしい。自分だけのものを。
△青木千鶴子/バタ・デ・コーラとマントンのアレグリアス。バタ使いが上達して優雅だった。しかし、今回は同じような振付の演目が多く、技術は当然ながら、それ以上の表現力があるかないかが評価の分かれ目となった。さらに頑張れー!
△岡田麻里/ソレア。悪くない。フラメンコのセオリー通りではあるけれど、新味や個性が感じられず、新人公演では埋もれてしまう。もっと自分の踊りを目指して。そのために何が必要か考えて。

【20日】
△野上裕美/ソレア。良くコントロールされ、中が充実している感じで、踊り手としての質の佳さを思わせた。ただオーソドックスな振付が、素直ではあったが、見せる決め手に欠けた。これから!
◎佐渡靖子★/バタ・デ・コーラとマントンのシギリージャ。うぅーーー!何と充実した踊りだったろう!マントンとバタでこれほど内実を感じさせるとは!本当に佳いものを見させてもらいました。Muy bien!!
◎堅正はるか/タラント。身体は出来ているし、踊りも上手いし、見せ方の工夫もあった。あと一歩のところをどう突破するかといえば、フラメンコを深掘りすることかと。
△久貝輝代/バタ・デ・コーラとマントンのアレグリアス。踊りは上手くなった。だが、まだ振付をこなしているところに留まっている感。あと、エスコビージャがパルマの音で聞えないのは損です。
○河合浩子/アレグリアス。小柄だが非常にエネルギッシュで、舞台を大きく使えたのが良かった。ただし足はマイクの前でやってほしかった。楽しさは客も共有したいのです。
△佐藤陽美/ソレア・ポル・ブレリア。気持ちの良いノリ。それを感じさせるだけでも凄いことだが、新人公演で7分30秒ソロで踊るためには、もう少し内側からの表現力を磨く必要があるかも。
◎津田可奈★/シギリージャ。精進しましたねえ。非常にコントロールのきいた、緊張感のある演目で、見応えがあった。舞踊度高し!
◎久保田晴菜★/ソレア。うわぁ、本当にびっくりした。今までのあれやこれやを全部払拭し、見どころ満載な上に、非常にコントロールのきいた素晴らしいソレア!最後まで惹き付けられた。Ole!
◎津幡友紀★/ロマンセ。小さなヒターナの圧倒的なエナジー!ばんざーい!!
△東田美智江/アレグリアス。踊れる人のようだが、唄振りが忙しく感じるのは、振りに追われているから?せっかくのアレグリアス、リズムの面白さをもう少し感じさせてほしい。
△山内佳代子/アレグリアス。まずまず個性的。エスコビージャが楽しい。しかしクエルポがまだ。表現力のある身体を作って、自分の好きなことを追求してほしい。

<バイレ・群舞部門>
○カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」☆/「すばらしい!」としかメモがない。小さな子供達が、群舞とは思えないほど生き生きとした踊りを見せ、それがいかにもフラメンコに見えたことに感動した。個人的には群舞で最も楽しめた演目。だから、この組が結果として奨励賞でも準奨励賞でも異論はないのだが、私の当初の採点欄には「特別賞」とあった。つまり、奨励賞対象としての採点を留保したのだ。なぜ留保したのか。それは、子供達の生き生きした踊りが、果たして彼らの自発性に基づいているか、私は驚き以上の感動を認めたかという、いくつかの躊躇があったためだ。もちろん、繰り返しになるが、演目としてはこの上なく楽しかった。今後、カンデーラがまた、私の躊躇など吹き飛ばすほどの群舞作品を携えて出場してくれることを心から願っている。
○Armonía/よく踊れる3人による厳しいマルティネーテ イ シギリージャ。踊りは見事だったが、何故だろう、私としては胸に迫るほどの感動には至らなかった。そこが群舞の難しさか。迫力はあったが、全体に色が均一になり過ぎた感がある。せっかく踊れる人々がやるのだから、もう少し自由な部分があっても良かったと個人的には思った。
◎LAMA y SONACAY★/かつて新宿にあったエル・フラメンコでメインの踊り手だったスペイン人のバイラオールに、あなたはそんなにフラメンコが好きなのに、どうしてステージではバイラリンみたいな構成にするの?というような質問をしたことがある。彼は、日本人はファルーコ(祖父のほう)とかカルメン・アマジャとかが好きだけど、決してヒターノにはなれないだろ?僕だって同じだから、作り込んで踊るんだよ、みたいに答えた。暗い顔して。日本のプロの踊り手も、長いこと同じようなことを言っていた気がする。だから、今回のように、フラメンコだけで大舞台で遊んでみせ、観客を楽しませることができることを証明してくれた2人のバイラオーレスが、私には眩しくて仕方なかった。完成度はともかく、私は彼らの勇気と日々の精進に感嘆した。ほら、日本のフラメンコもやっとここまで来たよと、私はあの日の自分に言いたい。日本人による群舞(というかパレハだけど)の新しい可能性が見えてきたステージ。ありがとう、LAMA y SONACAY!

瀬田 彰(ギタリスト)[G]

1番・塩谷(ブレリア):
⑥②①弦を変則に下げたReオープンチューニングのモデルノ曲。
テクニックも良く曲想も良かったが・・・各レマーテの追い込み部がややはしるのが残念。

2番・森谷(シギリージャ):
渋い伝統的スタイルのシギリージャ。
プルガール(親指)で歌わせるテクニックも良く感情を良く表現した演奏だったが、ファルセータ中にコンパス感があまい部分が何箇所か有り気になった。

3番・池川(ロンデーニャ):
前半はゆったりしたリブレなロンデーニャ+後半はリズミックなロンデーニャ。
情感をしっかりとギターの音で表現して良い演奏だった。さらに最後のピカードが決まればもっと良かった。

4番・福嶋(ソレア):
しっかりした演奏だがソレアのコンパスのアクセントが大げさに聞こえすぎる。
それと楽器の関係か音潰れが多かったのが残念。

5番・和田(グァヒーラ):
自作のグァヒーラ。曲のもつメローな感じは出ているが演奏がソフトすぎる。
フラメンコなのだからもっと快活なキレがあると良かった。

6番・鈴木(シギリージャ):   
伝統的な響きのシギリージャ。
演奏は独自のタメを作り良かったが、後半のカバール部はテンポ設定が速かったのか音もれが多かった。

7番・内山(ブレリア):
ロンデーニャ調弦の自作ブレリア。
曲は良かったが…ラスゲアードの音量とファルセータ(指弾き)の音量の差が大きすぎて肝心の旋律が聞き取りづらかった。

北井一郎(現代舞踊協会)[Bs,Bg]

入賞も決まりましたが、小生の印象の強かった踊り手を紹介させて頂きます。

18日庄子裕子:自分の踊りになりきっている
19日瀧野晴美:踊りを自分にこなしている
19日服部亜希子:重厚感がありサパテアードの強弱の使い分けがうまい
19日平山奈穂:長いドレスで情感をうまく表現
19日黒木珠美:黒の衣裳が映え、サパテアードが見る人の心にひびく
20日堅正はるか:踊りの切れ味抜群、動きの間が良く充分楽しませた
20日佐藤陽美:激しいサパテアードが印象的
20日津田可奈:力が入り過ぎる。柔らかい表現を取り入れたら
20日小宮山葉子:エネルギッシュな踊りだが、顔の無表情が気になる
全体に踊り手のレベルが上がって今回は水準が高かった。群舞は気に入った作品がなかったのが残念でした。

小倉泉弥(専門誌編集長)[Bs,Bg,G,C]

今年も全ての方の舞台を拝見しました。例年の長丁場ですが、こちらも慣れてきたのか集中力を切らさずに乗り切れたので、よかったです。

まずはギター部門から。僕が票を入れたのは森谷忍さんです。それは見事なシギリージャでした。一番感激したのはご自身の音色をお持ちだということです。よく枯れた愛器から響く音色は一朝一夕に得られるものではないでしょう。気力も真っ直ぐに演奏に現れ、迫力十分。リズムも安定している上に、メロディとハーモニーがくっきりとしてわかりやすい。安心して聴ける名演でした。その裏には、弾けるものと弾けないものを厳密に見極める姿勢と、ファルセータをどう弾くかといった研究の日々があったのではないかとお察しします。ぜひまた、拝聴の機会を熱望します。また、池川史洋さんのロンデーニャ、福嶋隆児さんのソレアも甲乙つけがたく、奨励賞を受賞されても遜色のない出来栄えだったと僕は思います。お二人とも過去の新人公演で拝聴していますが、今年が一番よかったです。

次にカンテ部門です。カンテを聴くにあたり、メロディのアクセントこそがカンテの醍醐味だと思いを新たにしています。そこには音程、発声・発音、リズムなども渾然一体となってくる。……ところがどうしたことか、そんなことはすっかり忘れて、結局のところ「あぁいいなあ」と思うかどうかという、素朴な気持ちで票を投じました。それで今年も熊谷善博さんに入れました。熊谷さんの歌は、カンテを丸ごと呑みこんでいるような感じがしたのです。その歌に不思議とピュアなものを覚え、ほだされました。

続いて、バイレ・群舞部門を。なんらかの感性が欠落しているのか、幼い子が踊ろうと老年の方が踊ろうと、舞台である以上は、「子どもが踊るとかわいい」「ご老体なのにすごい」という人情を僕は勘案しないようにしている気がします。なぜなら、舞台だからです。舞台を見る以上は、一定の技術を求めます。これは数ある物の見方のわずか一つに過ぎません。さておき、僕はカンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」に投票しました。先生を除く7人が小学生くらいの子どもたちの群舞です。一見矛盾するでしょうか?僕は彼らをカッコいいと思いました。伴奏の繰り出す音に対して、素晴らしい反射神経でバシッと踊りを決める姿は、優れたアーティストでした。正直なところ前後の演劇的なシーンはなんともわからなかったのですが、中核を成すフラメンコでいい踊りをしており、感激しました。また、奨励賞を得たArmoníaですが、2011年にバイレソロで受賞した知念響さんが非常に印象的でした。あれから6年が経ち、久々に踊りを拝見しましたが、さらに上手くなっている!びっくりしました。鍛錬を怠ることなく日々を過ごしてきたのだと思うと頭が下がります。なお、カホンを叩いた朱雀はるなさんや、ホセ・コロンのプレイもさすがプロだと感心してしまいました。余談ですが、伴奏を楽しむのも新人公演の見所です。

最後にバイレ・ソロ部門です。票を入れた方は、牛田裕衣さん、藤本ゆかりさん、平山奈穂さん、黒木珠美さん、久保田晴菜さん、竹村歩さん、伊藤千紘さんです。
牛田さんはごく普通にタブラオで踊っていそうな雰囲気を感じました。リズムに香りがあるというか。地力があると思うので、花が咲く日は近かろうと期待しています。藤本さんは、動作がキビキビしており、軸は真っ直ぐ、横のラインもキレイで、ズシッとした佇まい。堂々としていて、昨年からいいレベルアップをしていると感じました。受賞されてもおかしくなかったと思います。平山さんは面目躍如でしょう。CAFコンクールで優勝し、勢いそのままに行きましたね。縦横に舞台を広く使い、気合いも入っている上に、それでいて踊りが上品。あれだけ動きながら、端正に踊りをまとめるセンスは素晴らしいです。自分がよく見えているのでしょう。黒木さんは烈火な感じでよかったです。気合いが漲っていて豪快、でもリズムはきっちりハマリ、そして客席に向かって踊るところが好印象でした。
久保田晴菜さんの魅力はなんといっても大きな踊りでしょう。広い可動域を活かしたブラソは大変見栄えがよく、記憶に残ります。これまでも良かったのですが、今年受賞したのは、曲種を変えたから?去年はアレグリアス、今年はソレア。2014・15年はタラント、2011年はロメーラ。うまく説明できないのですが、徐々に良くなってきているのは感じていました。それが一定のところまで達したということだと思います。竹村さんは後半ブレリアになってからよくなりました。舞台を広く動きながらも、身体は一定の美しさを保ち、いい熱を帯びていました。ソレアからこの質だとなお良かったです。
伊藤さんは足も身体も腕もリズムも、それぞれに一定の水準に達していたのではないでしょうか。特にリズムによい雰囲気があったと感じました。

最後に、池田理恵さんはもったいなかったです!入れようかと考えていましたが、時間オーバーということで泣く泣く外しています。切れ味鋭く、よく攻めた踊りでした。では、来年も会場でお目にかかります。


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