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第22回新人公演「フラメンコ・ルネサンス21」

日本フラメンコ協会第21回新人公演「選考委員講評」

選考委員(名前から各講評へリンク)

濱田滋郎(評論家・会長)[G,C]

2013年度、第22回新人公演もお陰様で無事、成果を挙げて終了しました。ひとくちに「無事」と言いますが、この催しの統括責任者という立場にある者としては、この言葉のかげでどれほど多くの人びとに深い感謝を申し上げなければならないか、を感じます。出演者の皆様、関係者の皆様をはじめ、それぞれに責任感をもって役割をきちんと果たしてくださった皆様のおかげで成り立つ新人公演です。すべての皆様に心より御礼申し上げます。

私はバイレ部門の選考委員にはなっておりませんが、初めから終わりまで、今年もまた、つぶさに見せて頂きました。やはり、全体の水準は高くなり、出演者はほとんど粒揃いでした。その中にも幾莫かの差があってバイレ・ソロ部門6名の「奨励賞」受賞者が決まったわけですが、とくに印象深かったのは、相変わらず数少ない男性出演者の一人、永田健さんのファルーカでしょうか。昨年、惜しい所で受賞を逸した永田さんでしたが、今年精一杯の実力発揮は、頼もしく、清々しいものがありました。その他の方がたも、受賞した、しないに関わらず、皆さん、どこかしらに美点があり見処がありました。その意味から、いつも言うことですが、新人公演に勝者・敗者の別はなく、皆が主役であることに疑いはありません。

今年の群舞は5組でしたが、それぞれに特色があって楽しめました。なんと言っても群舞は舞台の華です。いろいろと大変な面もあることでしょうが、これからも群舞で新人公演を盛り上げる方がたが増えてくださることを、私たちは願っています。

20名の出場を見たカンテ、11人が競演したギターも、皆さんそれぞれの熱演を傾聴することができました。スペイン語の発音やイントネーションの面を含め、カンテで最も大切なのは「自然さ」だと思います。今回、準奨励賞・話題賞の決定にも、この点が最も大きなポイントとなりました。ギターでは、技術・創意にすぐれた金沢さんと、フラメンコの気骨を示した江戸さんに準奨励賞が贈られましたが、紅一点の伏見さんほか、皆さん立派に聴くべき演奏をされたと思います。ぜひ、またそれぞれに育まれた世界を聴かせてください。

小島章司(舞踊家・理事長)[Bs,Bg,G,C]

【23日】
多田れい子:ゆったりした間を保って行くタラントの時は、もう少し“深い呼吸”が必要に思います。タンゴスになってからはもう少しCHISPEARしたらと思います。
小林浩子:中間の淡い音で表現する美しさを表現していました。
土井わかな:コンパス感が心地良く響いて来ました。
井田真紀:踊る為の身体能力の高さを感じました。マヌエルの野太いカンテに拮抗する力がもう少し湧き出て欲しかった。
amicielo:群舞一人一人の身体的なコントロールが良く出来ていました。
エストゥディオ ・カンデーラ発「銀河系うずまき号」:不思議の世界を感じさせてくれました。チャーング。

【24日】
金沢賢二:サザナミのざわつきを感じさせてくれたアレグリアス。
関根彰良:静けさが音楽の行間を広がって行く様子が伝わって来ました。
佐渡靖子:よく考えた構成となっていたが、そこからもう少し空気が染み出す感じが欲しかった。
相田良子:サパテオのソニケーテをもう少しハイクオリティ-にして、美しい足音を織ぎ出す意識を持って下さい。
加藤誠子:もっともっと踊り込んで、もう一度見せて下さい。
漆畑志乃ぶ:後半のMACHOの部分高揚しました。
朱雀はるな:身体能力の高さが光っていました。肩からBRAZOSの動きは美へと導かれました。
瀬戸口琴葉:バイレ、カンテ、ギターの一体感が、踊っている間ずっと継続され、振付者の能力をも感じさせてくれました。
杉山須美江:バストンを持って踊ることの難しさを感じましたが、最後の引込みの数コンパスの気迫に圧倒されました。
徳田悠乃:洗練されて来る一歩手前の良さを感じました。
大城まどか:BRAZOSの大きな使い方が美しさを引き出していました。
細川由香:小気味良い瞬間が多々ありました。
木川美奈子:眼一杯踊る事を楽しんでいる様子が伝わりました。

【25日】
金沢賢二:いい所ついていると感じました。TERCIOの終わり、ブレスがもう少し深くなるともっと豊かになったのでは…。
ノリコ マルティン:スペイン語のなめらかさは板についていて好感が持てました。もう少し伝えたい部分を強調してみて下さい。
鈴木高子:高い境地の“うたごえ”心に響きました。
椎原佳奈子:深く人の心に入り込んで来る魅惑のソレアでした。
田倉 京:考え抜かれた踊りは隙のない、凛とした舞になりました。
永田 健:男性舞踊手の基としての“ダンスの高貴さ”を表現していました。素晴らしいファルーカでした。
小林成江:力強さ、美しさ、その未来に一票投じます。
(出演者への敬称は略させていただきました。)

山田恵子(舞踊家・副会長)[Bs,Bg]

例年にない猛暑の中での稽古は大変だったと思いますがお疲れ様でした。講評を書くということは辛く、出来れば皆さんに何らかの賞を差し上げたい気持ちです。
まず奨励賞を受賞された永田健さん、田倉京さん、椎原佳奈子さん、瀬戸口琴葉さん、朱雀はるなさん、井田真紀さんおめでとうございます。そしてamicielo、準奨励賞のエストゥディオ・カンデーラの皆さん、良く頑張りました!一言ずつ感想を申し上げます。

永田健さんは選考委員全員の満票、素晴らしい踊りで男心の切なさとロマンを表現し心に響きました。田倉京さんの踊りは強弱のバランスがとても良く、衣裳もしっとりとしていました。椎原佳奈子さんは体全体が自己主張していて間の取り方が上手い!瀬戸口琴葉さんは思わずmyBienと心の中で叫びました。朱雀はるなさん、ヒターナ的で力強さの中に哀を感じる踊りでした。井田真紀さん、なんてきれいなブラソ!つめの先まで血が通っていて流れていること…とても大事なことです。

以上6人に共通していることは、①音楽を感じる心②表現力が豊か③自分をよく知っていてコントロール出来る④ブラソがきれいで体全体が踊っている⑤テクニックをつめこみすぎないこと、等良く知っていると思います。

代わって群舞ですが、amicieloの皆さんが踊った「ロス・アラス・イ・ロス・グリートス~羽と叫び~」を私は第1に推しました。選曲・構成・振付がすばらしく、踊ったダンサー1人1人が意図を理解していて流れがきれい!その息づかいが心に伝わりました。フラメンコではないという人もいますが、創作は振付者が感じた曲を自由に創っていくアートの世界です。古い世界にとらわれず、これからももっと上を目指してください。準奨励賞のエストゥディオ・カンデーラの作品は良かったのですが、所々乱れがあったと思います。踊る人の気持ちがひとつになって欲しいですね。発想は面白いのであと一寸の努力でぐーんと良くなります。

今回感じたことは伴奏者のことです。踊りは三位一体と言われています。踊りは良いのに伴奏者に煽られて自分をアピールできなくなった方もいました。踊り手を生かす伴奏者を選ばないと音楽の強さが前面に出てしまうので考えましょう。振付と伴奏が合わないと違和感が生じるのです。また、テクニックをつめこみすぎて静の部分がつぶされ哀がなくなっている方もいます。もう一度自分を見つめてみましょう。

最後になりましたがこれから期待する方々、徳田悠乃さん、坂本恵美さん、青木うららさん、大野明子さん、前進のみです。若い方々のエネルギーを頂いて感謝しております。ありがとう!

坂中浩治(ギタリスト・副会長)[Bg,G,C]

<ギター部門>
今年の演奏者の方々は例年になく平均的にレベルアップしていて大変楽しく聞くことができました。飛び抜けて技術と音楽性がある人がいらっしゃいませんでした。皆様ますます頑張ってフラメンコの進歩に期待しております。

<カンテ部門>
大変スペイン語の発音の良い方がいらっしゃいました。カンテはスペインフラメンコの中での心髄です。10年や20年でその感性は至難のことです。本場でいつか1人でも歌える人が出るよう期待しております。

<バイレ群舞部門>
【amicielo】大変品があり斬新な今までにない舞踊。今後の新しい舞の代表作だと思います。おめでとう。

三澤勝弘(ギタリスト・副会長)[G]

<ギター部門>
初めての参加の方も多く大変興味深く聴かせて頂きました。1.和田さん:技術的にはアルペジョとトレモロに少し力不足が見られました。良くファルーカの感じが出ておりましたが一瞬の間あいに心を配るとさらに良くなると思います。2.藤嶋さん:音の繋がり、連絡に少し不安がありました。ソレアとしての格調の高い骨太さがあればと思いました。ただし、弾き手の内面が感じられ、今後の向上に期待しております。3.金沢さん:飛び抜けたテクニックに驚かされました。ただし、アレグリアとのこともありますが、少し弾き過ぎの感がありました。奨励賞を取られてもおかしくない演奏でしたが、私個人としては、来年再び参加され、できることならソレアを聴いてみたいと思っております。少し気になったのは冒頭部分での①弦上での右指の扱い。スラーがあったとは思いますが、薬指での連続打弦。私の思い違いでしたら申し訳ないのですが、間合い・音色・表情が、私にはその様に聴こえました。4.伏見さん:技術的には繋がりの部分でいまひとつの踏ん張りが望まれます。後半の歌メロディー部などでの繊細さも美しく、随所に女流としての感性も備わり好印象が残りました。5.今田さん:できればポル・メディオでの正調でのものが聴きたかった。表現にまで至る技術の向上が望まれます。限りある時間内でのソロ一曲としてリズム部分が少し多過ぎた感がありました。表現力を向上させ、さらに上へと進展されることを望んでおります。6.江戸さん:まずは音がしっかりとしていて大変快い演奏でした。冒頭は少し過激な表現と感じました。この公演としては少し抑えた方が私としては望ましく思います。それにしても、音の美しさといい、ソレアらしさといい、大変素晴らしい演奏でした。7.野路さん:技術に少し不安がありました。セラニート系の演奏でしたので、特にそれが気になりました。ただし、随所にソレアの美しさと弾き手のそれを見る目が感じられる好演でした。8.関根さん:冒頭の部分、落ち着いておられ好印象でした。トレモロが長過ぎた為か、私には主張が少し弱く感じられました。トレモロは美しいのですが、反面力強さには遠い場合が多く、扱いには少し慎重さが要ります。全体的に安定感がありますので、それに力感が加わればさらに良い演奏になるかと思います。9.中川さん:大変良質のタランタと感じました。ピカードが少し甘かったと思いました。好演ではありましたが、それにいまひとつ奥深い響きが加わればさらにさらに素晴らしくなると思います。10.鈴木さん:とても良いバランスで弾かれておりました。曲もフラメンコらしく素晴らしい演奏でした。欲を言えば、より一層の存在感を加味できれば(特に伝統を感じさせる場面)次へと飛躍できます。11.岸元さん:トレモロ・ピカードの部分にいまひとつの向上が望まれます。前半部に比べ後半はとても良く聴かせて頂きました。音の伸びに配慮し、頭の中での印象を強くし演奏されると良いと思いました。

今井重幸(作曲家・理事)[Bs,Bg]

最初に一言。小生は新人公演の初期から選考委員を全部門で引き受けてきたのですが、あいにく今回は体調が優れず、ギター部門とカンテ部門だけは辞退させていただきました。関係者一同に深くお詫び申し上げます。

さて、群舞部門から始めると、今回は出演団体は5組、少ないのが大変残念だったが、全体のレベルが高く、なかなか観応えがあった。選考会ではあまりばらつきが無く、すんなり1位のamicieloが奨励賞に決定した。

「ロス・アラス・イ・ロス・グリートス~羽と叫び~」はまず作品としての完成度が高く、構成・振付がしっかりしていてすきがなかった。また、ユニゾンを多用せず、時間・空間構成に無駄がなく、ダンサー達のテクニックのレベルも平均していて安定感があり、全体のバランスが良くまとまっていた。

今回は特に出演団体全体のレベルが高かったことに鑑みて、第2位のフラメンコ性を強烈に表出した「エストゥディオ・カンデーラ発(銀河系うずまき号)」にも準奨励賞が決定された。来年の第23回新人公演には、群舞部門により多くの団体が参加、挑戦し、舞台がより華やかになることを期待したい。

次にバイレ・ソロ部門。今回のバイレ・ソロ部門では、奨励賞入賞者は6名、それぞれに才能と個性と新しい可能性を持ったダンサー達が選ばれたことは、大いに祝福したい。中でも今回の最大の収穫は、昨年の第21回新人公演で準奨励賞だった永田健のこの1年間の成長とダンサーとしての大飛躍を観れたことである。人間は強靭な意志と不屈な精神と人一倍の努力を持って大いなる目標に立ち向かえば、到達できる場があることを示した良いお手本だと思う。今回入賞できなかったダンサーたちも、負けずに来年に向けて精進して欲しいと思う。

この後例年のごとく、バイレ・ソロ部門で残念ながら入賞はできなかったけれど、テクニックはしっかりしていてなお、フラメンコ性・表現力・感性等豊かで新しい可能性を感じさせ、特に印象に残ったダンサー達を列挙しておきたい。

【23日(金)】ヴォダルツ クララ、堀越かおり、黒木珠美、下山明子、【24日(土)】加藤誠子、漆畑志乃ぶ、北村和実、坂本恵美、青木うらら、瀬﨑慶太、杉山須美江、林由美子、徳田悠乃、細川由香、【25日(日)】柴田千穂、津幡友紀、小林成江、大野環、以上である。

最後に、話題賞に輝いた鈴木高子は、このところフラメンコ一筋に精進している姿を垣間見るにつけ、テクニックを越えてフラメンコ性を感じさせるカンテに成長したと思う。

EL・POKA岡崎(舞踊家・理事)[Bs,Bg]

私が推薦した人は、永田健さん、椎原佳奈子さん、瀬戸口琴葉さんの3名と田倉京さん、朱雀はるなさん、井田真紀さんの3名です。

先の3名に共通して感じたことは、皆、努力する才能を持っている。この方達は益々、年ごとに成長していくことでしょう。特に瀬戸口さんには、最高のカンテのもと、最高のチームワークの中でソレアを踊った貴女に運の強さと才能を感じました。田倉京さん、私の中では次に好きな踊りでした。優雅でみがきのかかった、内からにじみ出る深さを感じる踊りでした。朱雀はるなさん、舞台に明りが入った時から、空気が変わり引きつけられるオーラさえも感じられました。楽しく観させてもらいました。井田真紀さん、貴女にも同様、衣裳のセンスも良く、常におちついていて、上手だなあと、ゆっくり観させてもらえました。

次に気になる3名。小林成江さん、大胆な衣裳をさらりと着こなす、素敵なセンスを持つ貴女の踊りに魅了されました。過去の日本人に無い何かを感じました。坂本恵美さん、貴女も派手な衣装を見事に着こなし、メイクも踊りも素敵でした。次回が最高に楽しみです。杉山須美江さん、良い感じで楽しめました。もう少しだけバストーンの振りも欲しかった気がします。大物になる素質をも感じさせてくれる踊りでした。次に黒木珠美さん、振付を丁寧に理解し、嫌味のない素敵な踊りでした。相田良子さん、貴女の踊りの内にヒターナを感じさせる力強さをみました。ぜひ身近なタブラオで観てみたいと私は思いました。きっと楽しくなり、素敵でしょう。ヴォダルツ クララさん、素直で伸び伸びとフラメンコに向かっている様に好感を覚えました。漆畑志乃ぶさん、あと少し!外に向かって踊るのではなく、内に向けた感情が外に出るともっと楽(上手)になると私は確信します。加藤誠子さん、踊りはもちろん、衣裳の着こなしも良く、次回の成長を楽しみに待っています。最後に気になる藤村純子さん、おつかれ様でした。素直で真面目な素敵な踊りでしたよ。自然に感情表現が出来るようになる為に、もっと体力をつけて、足音の幅を広げることです。より小さな音を出せる様にね。また、目の前にいる濃い仲間(先輩達)から、もっとフラメンコのエネルギーを盗み取ってください。ここ1,2年が勉強時です。あとほんの少しだけ頑張ってみてください。陰ながら応援して期待しています。

片桐勝彦(ギタリスト・理事)[G]

和田健:前奏から親指の奏法・ファルーカのコンパス・そしてアルペジオと続いて前半のトレモロまで、力まずにミスタッチもほとんど無い演奏でした。その後のピカード(スケール)も落ち着いて最後の音まで弾ききれたら良かったのですが、残念です。Bbからのフレーズの後のハイポジションでのメロディーもミスなく聞こえてきました。後半のトレモロからのエンディングも途中のピカード同様、最後の音まで欲しかったですが、個人的には好きな曲構成でした。全体を通して感じたのは、力まずに弾けている長所がタッチが弱いというマイナスイメージにも変わり得るということ。難しいですね。親指のアポヤンドも少し弱く聞こえがちでしたが、実はすべてきれいに音が伸びていて良かったです。トレモロ部分の親指もしっかりアポヤンドが出来ていたので、ボリュームや間(呼吸)などで更に良く聞かせるよう研究してみてください。

藤嶋良博:F9からの導入やAm11などの和音を多用しながらも、しっかりソレアのセンティードが出ていました。人差し指を伸ばしてベース音だけ下げて弾くフレーズも、長い指を効果的に使っていて良かったです。ピカード時に右手の手首が曲がってしまうのと、セーハしながらのメロディーが少しクリアーさに欠けていましたが、ブレリアへのカンビオは一昨年以上に更にさらりとして良かったです。カンビオの前後のピカードの精度も良く、昨年と違い右手の指が伸びてしまわずにしっかりおさまっていました。

金沢賢二:準奨励賞おめでとうございます。右手の親指と他の指とのバランスが良くて、アルサプーアやアルペジオとピカードのコンビネーションが全出演者の中で一番良かったと思います。このコンビネーションの良さは、実は左手の押さえ方がしっかりしているからで、スラーやセーハも無理なく聞こえました。最初のリブレで同じメロディーを二回繰り返した後、タパオでリズムを出してからもまた同じメロディーが繰り返されたのは少し退屈な感じもしましたが、一定のテンポを守りながらも最後には無理なく盛り上がりました。パルマなど無しでこれだけぶれないテンポ感はすばらしかったです。サザナミというタイトル通り、水面の小さな波を感じながら聞きました。

伏見かるな:重い音色でいてクリアーに通るメロディーラインは、タッチの正確さや間の取り方のうまさから来ているものなので、自信を持ってください。トレモロの時のamiが少し速すぎたのと、エンディングの音がほんの少しだけですが乱れたのが残念でした。

今田亨:ブレリアを最後までグラナイーナの音使いで弾いたのは良かったですが、リズムが若干揺れるのが気になりました。具体的には12拍ある中で10拍目のシメが少し走っている部分がありました。あとゴルペが多すぎて爪の音が目立ったのと、ラスゲアードの音が時折良くなかったので、更に音色に気を配ってみてください。

江戸裕:準奨励賞おめでとうございます。右手親指(プルガール)をブリッジにかなり近い部分でアポヤンドしているので、力強く骨太の音になっていました。初っ端からこれでもかというゴルペを伴ったプルガール奏法は圧巻で、まるでモロン出身のギタリストが弾いているようでした。後半のピカードも強いタッチで弾ききっていて、全体的な音色は全出演者の中で一番良かったと思います。

野路雄大:全体的に音量が出ていて、強さが感じられたすばらしい演奏でした。例年通りP指のアポヤンドの音が太かったです(今回はトレモロ時もP指のアポヤンドがバッチリでした)。エンディングのピカードとアルサプーアとラスギャードの連打は見事でした。いつか野路さんの踊り伴奏も聞いてみたいです。

関根彰良:最初から最後まで安定感のある演奏でした。ソレアのオーソドックスな音使いを中心にうまく曲を構成したと思います。粒のそろったトレモロも良かったのですが、欲を言えば一弦以外のトレモロも聞きたかったです。トレモロ後に違和感なくAm(b13)からのファルセータを入れられたのは良かったですが、エンディングがラスゲアードだけだったのは残念でした。

中川浩之:力強い音色で良かったです。後は更に呼吸(間)があると、尚良くなると思います。ハイポジションでのメロディーはきれいに出ていましたが、その後下がってくる時のアルペジオ(特にmi)が少し走っていたのと、その次のピカードが最後まで弾ききれなかったのは残念でした。

鈴木宏宜:パルマ無しでもブレリアのマルカールがしっかり出来てました。メジャー(長調)へのカンビオも気持ち良かったです。次回はピカードやトレモロの奏法も聞かせてください。

岸元輝哉:ぺぺ・アビチュエラのソレアはある意味地味で難しいですが、それを敢えて選曲したことにまずエールを送りたいです。そして途中ハレオをかけたくなるような瞬間が何度もある好演奏でした。出だしの間(呼吸)が絶妙だったうえ、音量がしっかり出てたので、その後のラスゲアードが少し力が入りすぎたのが残念です。エンディングは玄人うけする構成でかっこよかったです。

加部 洋(プロデューサー・理事)[G,C]

<ギター部門>
今年は伝統スタイルに根差した弾き方の出場者が多かった。言い換えれば、「フラメンコに聞こえない」と感じさせる演奏者はほとんどいなかった。そういう点では、地に足が付いた姿勢で好感が持てた。これが日本におけるフラメンコの発展の過程と考えられるのかどうか。今後を注目したいと思う。

和田健君●サビーカスのスタイルを基にした伝統スタイルのファルーカ。音色が美しく、情感もあるので、そこがいい所だが、一番の問題点はピカードのフレーズの多くの部分で抜けが目立ってしまったこと。緊張もあるだろうが、練習不足のようにも思える。また、全体的にサラサラ弾き過ぎているのも気になった。もっと一音一音に気持ちを込めれば、リズムのタメも生れ、生き生きした演奏になると思う。藤嶋良博君●最初に気になったのは、右手の弦に対するタッチで、それが浅いためかギターが胴から鳴らずに弦だけが鳴っている印象だった。また細かいアルペジオが不揃いで、流れるようにきれいに聞こえなかった。モダンな音使いは美しかったが、もっとソレアのコンパスの気持ちよさを前面に押し出して欲しかった。金沢賢二君●モダンなアレグリアは凝ったことをやろうとする余り、返ってワンパターンなってしまうことが多いが、金沢君のオリジナルは「弾き過ぎ」という意見もあるが、アレグリアの明るさやわくわく感が出ていて好演だったと思う。ただ1箇所、低音からの親指フレーズが抜けてしまったのが残念だった。伏見かるなさん●まずイントロの、女性とは思えない太い充実した音に驚かされた。そしてタランタへの生半可ではない深い思いを次に感じた。しかし、イントロが終わってパコ・デ・ルシアのファルセータになって以降細かいミスが出て来てしまった。トレモロもシビアに見れば不揃いだった。タランタのアイレは充分に感じられたので、あとはいかにミスを少なくしていくかだと思う。今田亨君●アルペジオとピカードを主体にした、流れるようなイントロからしばらくは素晴らしかった。しかしブレリア独特のリズムが入ってきて、ラスゲアードやセコを多用するようになってから、急にブレリアのノリが出なくなった。そしてまた最初のテーマの戻ると良くなった。結論的に言えば、ラスゲアードやセコを使ったブレリアの独特のリズムのニュアンスを徹底的に鍛えるべきだと思う。江戸裕君●情感たっぷりのイントロ。古いスタイルにこだわった演奏で、メルチョールやディエゴ・デル・ガストールの顔が浮かんでくる。一音入魂のスタイル。しかし、それら先人たちのギターを鵜呑みにしているのではなく、自身のスタイルとして消化しているところが立派だ。少々のミスが惜しかった。野路雄大君●セラニートのソレアへの挑戦は何度目なのだろう。その固い意志にまず驚かされる。過去の記憶を辿ってみると、以前はもっとゆっくりなテンポで練習曲のように弾いていたように思う。しかし今年はかなりノーマルなテンポで挑戦していた。これは遠大な計画なのだろうか。テンポが上がった分、ミスも出て来たのが残念だった。今後の行方を注目したい。関根彰良君●伝統スタイルを基本にした情感あるソレア。イントロの後の低音にミスがあったので、その動揺があったとすれば、普段はもっと上手く弾けているのかもしれない。倍テンポのトレモロが美しかった。エンディングの盛り上げもスムーズだった。中川浩之君●これは楽器の選択の問題で致しかたないことだが、今回の音響の状況下では出る音が金属的に聴こえた。演奏はきっちりとハッキリした音で好感が持てた。ただ、速いピカードのパッセージの音抜けが残念。更にめりはりをつけて、つまり速いパッセージは更に早く、逆に粘るところはもっと粘って弾けば、表現力は上がると思う。鈴木宏宜君●ブレリアのコンパス、アイレ等々すべてを正しく受け止めた上での演奏が素晴らしかった。唯一気になったのがアルサブーアで、リズムが多少つまって聴こえたが、その他は助言も無いくらいで、返って将来を安心してしまった。「のびしろ」が沢山ある。岸元輝哉君●ソレアをより歌わせて表現しようとする「歌心」が感じ取れた。しかしピカードやアルペジオ、トレモロ等々個々のテクニックが不完全で、表現しようとする気持ちに追い付いていなかった。テクニック全般を鍛え直せば、かなり上手くなると思う。

<カンテ部門>
今年のカンテ部門は大挙20人の出場者で驚かされた。お馴染みの方々も多かった。従って聴く前から、去年以前のことを考えて、勝手な想像をしてしまいがちだった。しかしよく注意して聴いてみると、確実に上達していることが今回分かった。飽くなき向上心が現状を変えることを理解した。

田中としろー君●フラメンコに合った良い声質はいつもの通り。それだけでも大きなメリットだが、サリーダから全体的に節回しに自然でないものがあった(一生懸命節を回そうとする努力は分かる)。音程も時々フラット気味になる。しかしタンゴになってからはなかなかの熱唱で、盛り上がった。上野君代さん●第一声からインパクトのあるフラメンコな声。節回しも自然で、切々と訴える歌唱が素晴らしかった。今までの上野さんの中で一番良かった。「こんなに上手かったっけ」と思ってしまった。欲を言えば、スピード感、メリハリがあればと思った。金沢賢二君●歌のセンスがあることは、最初の歌い出しで分かった。情感豊かで音程も良く、何よりもフラメンコのセンティミエントがあることが素晴らしい。発声が更にフラメンコ的になれば言うことなし。最後の一節でちょっと不安定になったのが惜しかった。山田ナオリさん●サリーダで音が不安定なところがあったが、そんなことはどうでもいいくらいヒターナっぽい歌いっぷりが良かった。後半のドラマティックな展開で盛り上がり、更に良くなった。今後に期待したい。松橋早苗さん●音程良く、情感込めた歌い方だったが、発声や節回しにフラメンコ的な自然さが無かった。発音もカタカナスペイン語的だった。しかし、ハレオや最後の立ち振る舞いなどステージングはフラメンコだった。ノリコマルティンさん●持って生れたハスキーボイスが魅力的で、節回しに独特の味わいがあり、エストレージャ・モレンテのようでもあり、インディア・マルティネスのようでもあった。テンポが上がって更に良くなった。将来に期待大。鳥居貴子 さん●音程も節回しもよく、息の強弱の出し入れも堂に入っている。経験の豊かさを感じる。唯一気になるのが発音で、それが良くなれば、かなりのレベルに行くのではないだろうか。諏佐真代さん●まず感じたのは節回しの素晴らしさだった。なかなか出来ることではない。グアヒーラの良い意味での“軽さ”も出ていた。しかし、難しい曲に一生懸命挑戦しているという印象があり、つまりそれはまだ曲を完全に自分のものにしていないということなのだと思う。更なる精進を。中山えみ子さん●少し鼻声だったが、独特のふっくらした声質が魅力的だ。音程もいいし、小気味よく回る節回しもいい。更にもっとフラメンコな表現の領域に分け入ってほしい。鈴木高子さん●今年もやってくれました。お歳のことは言いたくないが、少しもかすれない太い堂々たる声量は特別!マラゲーニャを自分のものにしている。ベルディアーレスになってから更に良くなり、最後は聴衆に明らかに届いた迫真の歌唱だった。小林ゆうこさん●ピティンゴのヒットしたカンシオン・ポル・ブレリア。緊張していたためか全体に力みがあり、力の入れどころ、抜きどころのメリハリが足りなかった。一番ドラマティックな転調部分は疲れのためか声が前に出なかった。しかし、哀感ある独特の声質が魅力的だ。永井正由美さん●伝統の香りをたっぷり感じさせるソレア。気持ちのタメも伝わってきた。音程が時々若干下がったが、よく聴くと可愛い声で、魅力がある。もう少しキーを上げたら迫真のカンテになるのではないだろうか。岡村佳代子さん●内に秘めた情熱を切々と歌ったソレア。マックスで声を出した時に、返って味のある声質になる。節回しが「ミ」に戻る時の処理が不安定な時があったが、並々ならぬカンテへのアフィシオンが伝わってきた。福田加弥子さん●音程よく、カンティーニャの“軽い”味わいをよく出していた。節のメリハリもかなり意識されていた。転調のある難しい部分で音程が不安定になったりしたが、全体的には安心して聴いていられた。佐々木紀子さん●上手くなりましたね。佐々木さんのカンテは何度も聴いてきたけれど、今回が一番良かった。すでに風格さえも出てきている。飽くなき向上心でステップを上げた良い例だと思う。大森暢子さん●サリーダから節回しを正確に辿ろうとしているところに好感を持った。時々音程が不安定になったのが残念だった。私の好みとしては、もう少しテンポアップして発声の強弱のメリハリを付けて欲しかった。土井康子さん●ド迫力の声量!ペルラ・デ・カディスやカマロンのアレグリアが歌われた。ただ後半、声をマックスに張り上げたところで、音が届かなかったのが残念。しかし、説き伏せるような説得力があった。齊藤綾子さん●音程良く、節回しもマラゲーニャの微妙な味わいを実に正確に出しているのに驚いた。しかし何か足りないものがある。発声か?そこをクリアできれば、ガラリと変わるのではないだろうか。北脇英子さん●エストレージャ・モレンテのアレグリア。北脇さんはこの曲に何度か挑戦しているが、今回が一番良かった。音程の不安定さは時々あったが、勢いで歌い切って、全体が纏まっていた。アレグリアの華やかさが出ていた。定直慎一郎君●フラメンコに向いた良い声の持ち主だ。定直君は今までギター部門でお馴染みだったが、ギターよりカンテのほうがいいと思う(失礼!)。まだまだ「のびしろ」が沢山ある。更なる精進を!

鈴木敬子(舞踊家・理事)[Bs,Bg]

<バイレ・ソロの部>
ヴォダルツ クララさん・とても美しく雰囲気が良かった。強さと安定感が加わればもっと良くなっていくと思う。黒木珠美さん・踊りがとても安定していた。鈴木真衣さん・フラメンコ的な動きがとても良かった。堀越かおりさん・ブラッソが上手く使われ大きな踊りで美しかった。沖真悠子さん・しなやかな動きが印象に残った。もう少しペソが加われば更に良くなるでしょう。井田真紀さん・とても技術があり踊り慣れている。この日一番印象に残った。佐渡靖子さん・踊りがとても安定していて良かった。加藤誠子さん・キレ良く安定した踊りだった。バックの素晴らしいカンテに踊りも触発されていた。相田良子さん・女性らしい美しさと強さを兼ね揃えた踊りでした。朱雀はるなさん・美しい立ち姿。昨年よりフラメンコ的な力が増しとても良くなったと思う。瀬戸口琴葉さん・キレのある動きで安定している。曲の後半で特に感じるものがあった。今は透明なイメージの彼女が、これからどうなるか将来がとても楽しみです。大城まどかさん・手足が長くスタイルが良い上に、踊りに品がありとても好きでした。上半身の動きのキレとペソが加われば更に良い踊り手になると思う。木川美奈子さん・長時間の公演最後の曲だったにもかかわらず、心温まる嬉しい感じにさせてくれたアレグリアスでした。踊りの技術は未だ荒削りかもしれませんが、心から楽しんで踊っている感情が伝わりとても爽やかな気分になりました。柴田千穂さん・ブラッソが綺麗でしなやかな動きが印象に残った。品が良く爽やかな気分にさせてくれるガロティンでした。大野明子さん・女性らしい踊りでとても安定していました。椎原佳奈子さん・踊る身体が出来ていてとても美しく、特に曲の後半に集中力が増して良かった。大野環さん・フラメンコ的な動きが上手くペソがありとても良かった。永田健さん・昨年一番印象に残った人でしたが今年はもっと良くなっていたので驚きました。アントニオ・ガデスを思い出させるような正統派の男性のフラメンコスタイルがとても粋でした。まずはこれが出来て次の自分を探して行ければ本物なのではないかと思う。今後もまた彼の踊りを観て行きたいと感じた。

<バイレ・群舞の部>
二村広美フラメンコ教室「LAS FLORES MIAS」・3名とも踊りの身体が出来ていて安心して観れた。フラメンコ的な動きも強さもとても良かった。エストゥディオ・カンデーラ発「銀河系うずまき号」・群舞のフォーメーション、振付ともフラメンコ的な強さや魅力を発揮していてとても良かった。この日の群舞のなかで一番好きでした。

鈴木眞澄(舞踊家・理事)[Bs]

「繋がるべきもの」
本来のフラメンコ舞踊が生のギターやカンテとともにあるのは大きな特色と言えます。それは、三位一体となって感情表現することが大切な基本になっているからです。生のギターやカンテにのせた思いを自分の身体を通して表現することが、アレグリアスの喜びや、ソレアの孤独感、シギリージャの叫び、ガロティンの愉しさ、タラントの悲哀等々だと思うのです。
そして、もうひとつ大切なもの…。ほかの誰でもない唯一無二のご自分の存在を忘れないでほしいです。フラメンコは一人一人の個性を重んじる「私は、こう生きてます!」その表現だと思うからです。CORAJE(コラへ)…勇気、気力、「肝っ玉」と訳した方がいらして、的を得た表現だと思いました。

蔑まれて、痛めつけられた民族のコラへをもった心の叫びがフラメンコなら、その原点を忘れては本道からそれてしまいます。ましてや私たちは異民族なのですから、もともとフラメンコは何だったのかをいつも心に刻んで、遠い道のりながらもまっすぐに歩んでいくべきではないか。そんなふうにみなさんにも、自分自身にも問い続けていきたいです。

以下、考えられるアドバイスをお伝えします。何かのお役に立てたら幸いです。
・数ではなくコンパスの流れやギター、カンテのメリハリを意識して振り付ける。
・ギターやカンテを心で感じて対話しながら踊る。
・物理的には、重心が安定して根っこがはっていないとギターやカンテを受けとめられない。
・三位一体の要となるMANDAR(マンダール)…指示をだす、LLAMADA(ジャマーダ)…知らせの意味をきちんと把握し、より自然に唄い、奏でていただく。
・AGUANTAR…ぎゅうっと力をためるということ。そして解放する。
・力を入れるだけでなく、空間を動かすという観念。
・自然の成り立ち…風をおこすようにとか、コップの水が溢れ出るように足をだす。重いものを動かすようにしたら力強いブラセオ(腕の動き)になりますし、空気を切り裂くようにすればシャープな動きになります。

いつも大地をしっかりとおさえて根をはり重心を安定させ、身体の芯である幹をまっすぐに、枝を大きくのばしてより大きな空間を動かす。このような視点からもう一度ご自身の踊りを見つめなおしていただけたら、より素晴らしいフラメンコの世界が見えてくるのではないでしょうか?

最後に、心の繋がりを感じられた方々、ヴォダルツ クララさん、黒木珠美さん、土井わかなさん、池田理恵さん、大岩奈青さん、木川美奈子さん、津幡友紀さん、長本真由さん、永田健さん、とても嬉しかったです。すべての出演者の方々へ、今回の経験が皆さんの大きな糧になることを心から願っています。ありがとうございました。

曽我辺靖子(舞踊家・理事)[Bs,Bg]

まず特に印象に残った以下の方々について記します。
【23日(金)】
重藤優子さん:ブラッソから上体への動きは美しい。サパテアードの強化を望みます。ヴォダルツ クララさん:スタイルも良く、足も強い。パソの流れが良く魅了されました。黒木珠美さん:個性的な衣装が似合ってました。バックとのバランスも良かったです。もう少しタメが欲しかったですね。土井わかなさん:小柄ながら機敏な動きが魅力でした。下半身の重さが加わると更に良くなるでしょう。池田理恵さん:コンパス感も確かで、切れ味良く表現力もありました。沖真悠子さん:体がよく動く方です。それが前半ではプラスに、後半では少々マイナスの面に出たかしら?大岩奈青さん:アレグリアスらしい雰囲気のある踊りでした。井田真紀さん:強く正確なサパテアード。動きにスキがなくぐいぐい引き込まれました。横畠由美子さん:難しい曲に挑戦しましたね。背中を意識すると踊りが大きく、空間をつかむことが出来ますよ。

amicielo:モダンな衣装と振付。身体が訓練され、スキも無く良くまとまっていた作品でした。鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコスタジオ:それぞれが楽しんでいる姿に好感が持てました。二村広美フラメンコ教室“LAS FLORES MIAS”:三人のチームワーク良く、一生懸命踊っていましたね。もう一歩はじけてみては?ALMA FLAMENCA:男らしさをふつふつと感じさせてくれました。それぞれの持ち味をもっと長く観ていたかったです。エストゥディオ・カンデーラ発「銀河系うずまき号」:6人のパワーと構成、振付、転換の良い「うずまき号」でした。1人1人のモチべーションも高く見応えがありました。

【24 日(土)】
佐渡靖子さん:大胆な動き、ブエルタの美しさが良かった。漆畑志乃ぶさん:小柄な身体から溢れるパワー。特に後半からの表現は素晴らしかったです。昨年に引き続き好印象でした。青木千鶴子さん:曲の感じは良くとっています。手首の柔らかさが武器ですね。朱雀はるなさん:サパテアードのハギレも良く、緩急のある踊りが見事です。青木うららさん:コンパス感抜群。正確なサパテアードに身体の切れ味も良く強く印象付けられました。瀬戸口琴葉さん:リズム感良く、表現力も増しましたね。前回に比べかなりの成長を感じました。徳田悠乃さん:大人の踊りを感じさせてくれました。ぜひ再度観たいです。大城まどかさん:体のしなやかさと共にブラッソの流れに味がでていました。

【25日(日)】
柴田千穂さん:ブラッソ美しく曲の持ち味であるコケティッシュさも良く表現出来ました。コルドベスをもう少し使って欲しかったです。津幡友紀さん:後半のノリは素晴らしいですね。椎原佳奈子さん:タメと呼吸を感じさせる動きにバックとの一体感も伝わりました。田倉京さん:実力を感じました。凛とした世界観を持っています。小林成江さん:以前にも増して実力を上げてきましたね。正確で力強いサパテアードを武器に表現力のアップを。大野環さん:魅力ある踊り手さんです。実力を出し切れなかった感じが残念です。永田健さん:こう来ましたか永田君!試行錯誤の結果は大成功。フラメンコの大切な歴史を思い出させてくれました。

そのほか印象に残った方々を列挙します。
鈴木真衣さん:強いサパテアード。堀越かおりさん:メリハリのある踊り。北村和実さん:細い体から湧き出る芯の強さ。阪上のり子さん:女性らしい柔らかさ。坂本恵美さん:独創的な世界観。山根智子さん:シレンシオとブレリアの良さ。小林万希子さん:ほっとした時の可愛らしさ。木川美奈子さん:くせのない素直な踊り。川田久美子さん:おおらかさ。藤本ゆかりさん:大人の雰囲気。

手塚真智子(舞踊家・理事)[Bs]

*土井わかな:一生懸命に踊っている気持ちが良く伝わって来た。フラメンコの身体作りも勉強すると良いでしょう。
*池田理恵:始めの立ち姿が美しく印象に残りました。全体の流れにメリハリが欲しかった。
*鈴木真衣:ねばりと歩き方を大切に。
*堀越かおり:しっかりとしたソレアで、もう少し見ていたいと感じた。顔等に感情表現が出ると良いと思う。
*大岩奈青:今年は、大岩さんの迫力が出て来なかったようで残念でした。
*加藤誠子:安定感が良かった。
*朱雀はるな:顔の表情が良く、昨年と比べ、大人の雰囲気が出たように思う。
*瀬﨑慶太:フラメンコ歴がまだ浅いのでしょうか?身体作りから基礎を身につけて、これからが楽しみの一人です。
*瀬戸口琴葉:ブレリアに入ってからも途切れない気力。見ごたえのあるソレアでした。
*大城まどか:エレガンテでした。
*木川美奈子:笑顔が良い印象でした。重心の置き方、プリエ等を勉強するとブエルタがもっと良くなるのではないでしょうか。
*柴田千穂:身体の勉強も出来ているよですが、ブラッソの使い方に気を付けると良いのではないでしょうか。
*大野明子:背中、ブラッソの使い方が良く、好印象のティエントでした。
*藤村純子:難しそうな振り付けに良く努力をしたと想像しました。
*津幡友紀:元気で、演技力があると感じました。
*椎原佳奈子:全体的に好印象で、特に引っ込みが良い感じでした。ただ、重心が少し後ろになりがちのように見えました。
*藤本ゆかり:力強さはありましたが、ブレリアに入ってからエネルギーが切れたように見え、配分を考えると良いでしょう。
*田倉京:気迫に溢れ、目力もありました。
*小林成江:丁寧に踊り込んだソレアですが、もっと感情表現が欲しかった。
*長本真由:根性のアレグリス!化粧の工夫も大切です。
*永田健:見ていて思わず背筋が伸びるようなファルーカでした。フラメンコに向かう姿勢が美しく、オーレ!

野村眞里子(舞踊家・理事)[Bs,Bg]

<バイレソロ部門>
(奨励賞):井田真紀「シギリージャ」。歌振りとレマーテがよかったです。エスコビージャはファルセータとよく絡んでいました。緩急のつけ方もお上手でした。回転のキレもありましたが、少し不安定に見えるところがあり、また後半あわてたような部分がありました。このあたりを調整されるとさらによくなりそうです。朱雀はるな「ソレア」。1歌はじっくり、2歌は次第に激しく――。メリハリのきいたいさぎよい踊りです。「ヌキ」やブレリアの入り口が格好良く、フラメンコ体質を感じます。引っ込みはタイミングが少し惜しかったです。瀬戸口琴葉「ソレア」。最初のジャマーダから曲に入り込んでいるのが伝わります。足がとてもよく動いていて、歌とぶつける部分も素敵でした。ブレリアもよかったです。椎原佳奈子「ソレア」。「ソレア」の雰囲気がよく出ていて、スビーダ、ジャマーダは強く、回転のキレもいいです。ダイレクトに入った2歌では、足とぶつけた振付もさえました。すでに基礎力を十分お持ちなので、今後は表現に磨きをかけてください。田倉京「タラント」。歌振りとレマーテは静かに踊り、その後強い足へ。ファルセータで動いてコントラに入るなど、舞台を広く使っていました。昨年と比べても、一段と力をつけられたようです。永田健「ファルーカ」。バイオリンが入った音楽構成で、じっくりと踊っていきます。スビーダの強さや速さ、ジャマーダ、回転からのキメなども、昨年よりぐっとよくなっていました。キメのポーズの美しさに加え、マルカールが美しいです。ピルエットで少し不安要素もありますが、これは今後の課題にしていただければ十分です。

(印象に残った方):大西美江「アレグリアス」。とてもきちんとなさっていたのですが、その分インパクトが薄くなってしまいました。もう少し「爆発」があってもよかったかもしれません。黒木珠美「ソレア」。歌振りはしっとりと、ファルセータ振りの最後は足で盛り上げました。全体に踊り慣れていらして、いさぎよさが感じられる踊りでした。土井わかな「ソレア・ポル・ブレリア」。元気がいい踊りで、スビーダの思い切りもよかったです。キメが少しあわてて早くなってしまったところもありますが、全体としてよく踊れていたように思います。池田理恵「ソレア・ポル・ブレリア」。足も体もよく動いていました。スビーダもしっかりとして、安定感があります。ブレリアも面白く、腰の動きがとてもセクシーでした。漆畑志乃ぶ「シギリージャ」。じっくりとためのある動きがよかったです。ドラマチックな流れを上手に踊っていらっしゃいました。レマーテは少しバランスをくずしたところがありました。マチョへの入り方がよかったです。北村和実「ソレア・ポル・ブレリア」。モダンで、シャープな動きに個性があります。エスコビージャの細かい足もよく動いていました。ジャマーダの後の「間」を研究なさってみてください。坂本恵美「タラント」。ファルセータに合わせた動きがモダンで素敵です。レマーテも変化に富んでいました。ご自身の好きなフラメンコのスタイルがあって、それを追及していらっしゃるのがよくわかります。タンゴもよかったです。徳田悠乃「ソレア・ポル・ブレリア」。歌振り、ジャマーダなどの作りがモダンですが、とてもよくこなしていらしたと思います。ファルセータ振りもよい雰囲気です。メリハリがありました。津幡友紀「ロマンセ」。フラメンコ体質の、思い切りのよさが魅力です。歌振りで手を上げるだけのところでも、見ごたえがありました。「ヌキ」はもう少し研究なさってみてください。藤本ゆかり「ソレア」。昨年より回転の軸がしっかりしてきましたし、サパテアードの音色もきれいになっていました。今後ますますの精進をお願いいたします。小林成江「ソレア」。体がとてもよく動く方で、全体に音楽とよく作り込んだモダンな構成です。ジャマーダも「9裏」などを違和感なく使っています。ブレリアもよかったです。大野環「バンベーラ」。ギターや歌との絡みもよく、「歩き」を含めた舞台での動きも堂に入っています。作品としても見ごたえがありました。今後は、サパテアードの音質を研究していただくと、さらによくなると思います。

<バイレ・群舞部門>
(奨励賞): amicielo「ロス・アラス・イ・ロス・グリートス~羽と叫び~」。ドランテスの曲に合わせて踊るモダンな群舞です。白っぽい衣装の3人と、茶やグレーの衣装の5人が、それぞれにポーズをとっての暗転板付。手の動きから。途中さまざまにフォーメーションが変化し、次第に盛り上げていきます。最後は、手がすーっと下りていくところで暗転。ドラマチックな美しい作品に仕上がっていました。

(準奨励賞):エストゥディオ・カンデーラ発「銀河系うずまき号」「バンベーラ」。暗転板付。一人が後ろ向き、他の方が前向きに立っての始まり。ユニゾンはよく合っていて、フォーメーションのさまざまな変化にもよく対応されていたようです。ファルセータの入り口のウエーブのような手の動きがユニークでしたので、もっと効果的に使われてもよかったかもしれません。最後は、最初のポーズに一度戻ってから、一人ずつ退場して暗転。余韻が残りました。

花岡陽子(舞踊家・理事)[Bs,Bg]

<バイレ・ソロ部門>
須磨カオリさん:ていねいに踊っていますが、ダイナミックさが欲しいです。
多田れい子さん:線が美しく、ブラソも美しいです。
重藤優子さん:ボリュームを生かしてブラソも動きも美しいです。
小林浩子さん:舞台いっぱいがよかったです。楽しさが欲しいです。
ヴォダルツ クララ:スタイル抜群!力強さがもう少しです。
大西美江さん:アレグリアスらしい表現もいいですし、シレンシオも工夫しています。
黒木珠美さん:パソがていねい。重厚感もありアイレもありです。
土井わかなさん:よく動かれています。少し物足りなさが。
佐藤幸子さん:大きく、力強い、きっとファンがいらっしゃるでしょう。
池田理恵さん:身体がブレない、伸びやか、しなやか。衣裳もステキ。
鈴木真衣さん:サパティアードよいです。パフォーマンス性が少し欲しい。
堀越かおりさん:全体のバランスが良く、ソレアらしい踊りがよかったです。
沖真悠子さん:なめらかに踊っています。ブラソにもう少し力を入れて。
大岩奈青さん:大きい身体をいかし、安心して拝見できます。
井田真紀さん:舞踊性がありカンテによく乗り気持ちがいいです。
横畠由美子さん:身体、ブラソのお勉強をもう一度してみてください。
下山明子さん:強く、美しいブラソをどんどん踊っていってください。
佐渡靖子さん:少し物足りなさが。荒けずりかも。
加藤誠子さん:テニクニックもすばらしいです。振りが少し多いです。
相田良子さん:パソが少し単調になります。もうひと工夫です。
漆畑志乃ぶさん:全身全霊で踊られていること、こちらに伝わります。
西村真由美さん:スタイル抜群、よくまとめています。
青木千鶴子さん:楽しさを表現するテクニックを。これからです。
朱雀はるなさん:盛り上げ方と表現力、素晴らしいです。
北村和実さん:コンパスは素晴らしい。粋さとかもう少し。
山谷祐子さん:大型フラメンコダンサー。また来年挑戦して。
阪上のり子さん:タラントらしい感情表現がもう少しです。
坂本恵美さん:動きが少ないのが個性的。ステキな衣裳。
青木うららさん:ボリューム感あってアイレがあります。
瀬﨑慶太さん:将来性を感じます。光り輝く日まで。
稲垣栄子さん:小柄の身体でよく動いています。姿勢とかブラソとかもう少し。
瀬戸口琴葉さん:瀬戸口さんのフラメンコになっています。充分楽しませていただきました。
杉山須美江さん:バストンの踊り、もうひとつ工夫してください。
林由美子さん:精いっぱいが伝わります。表現が少し足りないかも。
山根智子さん:たくさんこれからも踊っていかれると力強さが出てくるでしょう。
徳田悠乃さん:切なさが良く表現、足の強弱も上手です。
大城まどかさん:立ち姿ステキです。表現力のある大城さんに期待。
細川由香さん:初々しいです。これからの上達が楽しみです。
小林万希子さん:安定感のあるアレグリアス、サパティアートも面白いです。
木川美奈子さん:テクニックとしての楽しい、明るい振りを!
柴田千穂さん:サパティアードお上手、舞台をもう少し大きく使って。
大野明子さん:美しく伸びやかにです。アピール度の高い何かもうひとつ。
藤村純子さん:大きな世界を舞台で創ってみてください。
川田久美子さん:初々しいです。たくさんこれからも踊っていって欲しいです。
津幡友紀さん:日本人ばなれした、とてもフラメンコを感じます。
椎原佳奈子さん:伸びやかな強さがあります。レベルの高いものを拝見しました。
藤本ゆかりさん:力強さが力みになっているかも。よく踊っています。
田倉京さん:きれい!しなやか!よく勉強していますね。
細野貴子さん:もうひと工夫して、上達を楽しみにしています。
小林成江さん:内側からわき出たブラソを研究してみて。
宮本靖子さん:力強さが欲しいです。舞台空間をもうひと工夫。
長村奈津代さん:女らしく、色っぽさのグァヒーラが欲しいです。
大野環さん:これを見て!というパソが欲しいです。
長本真由さん:ボリューム感が出ています。少し荒けずりかも。
永田健さん:17人の選考委員全員の“すばらしい”でした。スピード感と美しさがありました。

<バイレ・群舞部門>
amicielo:モダンダンスの要素を取り入れ、構成・技術とも素晴らしかったです。
鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコスタジオ:コミカルなブレリアでした。カンテも面白いです。少し新鮮味が足りないように思いました。
二村広美フラメンコ教室LAS FLORES MIAS:3人でしたのでひとりひとりがもっと力強く。構成が今ひとつでした。
ALMA FLAMENCA:3人の個性が伝わりました。気持ちよく拝見できました。
エストゥディオ・カンデーラ発「銀河系うずまき号」:フラメンコを感じました。衣裳をユニゾンでなくても。よく揃っていました。

本間牧子(舞踊家・理事)[Bs]

受賞された方々はどの方も立ち姿、軸がしっかりしています。インナーを使うことができメンタルと肉体をコントロールすることができています。バック(ギター、カンテ、etc.)と心を合わせながらそれぞれの世界を表現してくれました。

井田 真紀さん→レトラの部分の間合いも良く、メンタル部分と体がひとつになりブラソも美しく重厚なシギリージャで感動いたしました。 朱雀はるなさん→素晴らしいメリハリと歌と共に弧を描く ゆったりとしたブラソ、ブレリアの盛り上げも素晴らしくフラメンコを堪能させてくれました。瀬戸口琴葉さん→軸がしっかりとしていて落ち着いた感じがしました。丁寧に踊りながらも静と動の間合いが良く しっかりアイレが伝わってくるのに感銘いたしました。椎原佳奈子さん→総合力がありブラソ、マノ、体の使い方にしなやかさとメリハリがあり ひとつひとつの振りが明確に伝わってきて素晴らしかったです。田倉京さん→気迫を感じました。キリッとした動きの中でしなやかに絡むブラソが素敵でした。目線がしっかり決まっていて最後のはけもイキです!初めて本当の姿を現してくれた竜のようで…感激しました。永田健さん→最高のファルーカでした!正統派男性舞踊の素晴らしさを観せてくれました。これからも楽しみにしています。

☆多田れい子さん→マノ、ブラソ とても美しいです。体が流されないように しっかり止めると良いと思います 。池田理恵さん→躍動感があり良かったと思いますが…構成に静の部分を作りメリハリをはっきりさせると動も生きます。堀越かおりさん→重さ、安定感があります。目線を時には思い切り正面にするとインパクトを作れます。相田良子さん→パワーがあり後半良かったです。前半、静と動のメリハリつけてみて下さい。坂本恵美さん→体の使い方、コンパクトでしっかり使えていて良かったです。もっと思い切りはじけてみて下さい。瀬﨑 慶太さん→素晴らしい資質を持ってらっしゃいます。後半まで変わらず踊り続けられるよう基礎作りをしてみて下さい。大城まどかさん→落ち着いた感じで良かったですが、強さ重さもっとほしいです。体も気持ちもめいっぱい使ってみて下さい。大野明子さん→ピリッとして良い感じでした。重心を落として静止をしっかりするとより良いと思います。小林成江さん→りんとした美しさとパワーがあります。ゆったり感がほしいです。静と動のバランスを考えてみて下さい。長村奈津代さん→椅子からの出が美しかったです。扇子使いも丁寧で良かったと思います。頭の部分(首)を しっかり体の上に乗せましょう。

渡邊薫(舞踊家・理事)[Bs]

第22回新人公演の出演者の皆様お疲れ様でした。それに益して新たなる感動、熱い感動を届けて頂きありがとうございました。バイレ、群舞、ギター、カンテ部門すべてのプログラムを拝見させていただきました。改めて日本のフラメンコの底上げがされたことを再認識いたしました。

<バイレ・ソロ部門>
奨励賞受賞の方達おめでとうございます!私は選考会で8名の方が印象深く残り、6名の選出に悩みました。ここではバイレを通して想いが私に届いた方達と来年に期待を込めての方達について書かせて頂きます。

*井田真紀さん:コンパス感があり空間を上手く掴んでいた。メリハリのある踊り。
*朱雀はるなさん:自分の世界をしっかりと表現していた。
*瀬戸口琴葉さん:カンテを感じて踊り、押さえもあり好感のもてる踊り。
*椎原佳奈子さん:カンテ、ギターと上手くからみ、求心力がある。上体の表現力も豊か。
*田倉京さん:落ち付きがありドラマ性を感じさせる大人の踊り。
*永田健さん:久々に伝統的で端正なるファルーカでした。私の中にはガデス、トーマス、グイート、マノレーテ達の姿が目に浮かび感動でした。前回の悔しさ?!をバネに素晴らしい成果を実らせました。もっともっと踊って下さい!
*ヴォダルツ クララさん:体幹がしっかりしていて、サパテアードもリンピオ。間のとりかたも良かった。ペソ不足が惜しい。是非次回も!期待しています。
*青木うららさん:ギター、カンテとよく合った力強い踊り。
*徳田悠乃さん:安定した腰、カンテとのからみも良かった。ファルダをあれだけ使う場合、衣装に対しご一考を。
*大城まどかさん:スピード感があり、リズムも安定していた。もっと自分が何を伝えたいのかを明確に。
*津幡友紀さん:フラメンカで存在感がある。がもっと靜、動のメリハリを。
*小林成江さん:リンピオなサパテアード、抑揚があり前回より数段の上達。もう少し感情を表にだしては!
*大野環さん:テンペラメントを感じた、もう少し丁寧に最後まで踊って欲しかったと…。

以前からも感じていた事ですが、今回は特に強く思いました。踊りとバックのギター、カンテとのバランスです。バックがリズム、コンパス感をリードし過ぎて、その前で踊らせてもらっている(!?)と感じた方達が何名かいました。バックと上手くかみあっていなかったのです。自分の今の踊りをよく知りバックのギター、カンテを選ぶのも踊り手のセンスと考えています。出演者の皆様がそれぞれ、いろいろな思いを込めて踊られた舞台、充分に感じ受け取りました。この新人公演をバネに益々ステップアップして下さい!楽しみにしています。

市川恵子(舞踊家・理事)[Bs,Bg]

真摯な気持ちで自分のフラメンコと向き合い、いろいろな壁を乗り越えながら今回の公演に臨まれたことと思います。その経験がこれからの皆さんの励みとなり、またこれから立ち向かうであろう壁を乗り越えていく可能性へとつながっていくよう願っています。技術の優れている方はより高いフラメンコ性を目指し、フラメンコの心意気を大切になさっている方はより気持ちが伝えられるよう、地道な訓練と努力を、また、まだまだフラメンコとしての身体が出来上がっていない方は基本的な芯のある身体作り、シンプルな振りを背伸びすることなく、一歩ずつ進まれるようそれぞれが自分のレベルに応じて努力されますよう、フラメンコの心を大切に、フラメンコの感動を求めて頑張っていただきたいと思います。自分の奥深いところからこみ上げてくる思い、一振りを大切に…。

<バイレ・ソロ部門>私が奨励賞に推薦したのは、
★池田理恵:まず立ち姿がきれい。気迫もあり、粋な洒落た踊りでアイレも十分。フラメンコを良く解っている踊りだったと思う。モデルナだがフラメンコ性もある。あえて言うならブラソが少し大振りだったかもしれない。
★井田真紀:ブラソ、マノが丁寧で情感のある見応えのある踊り。緩急・安定感があり切れ味も良く、力強さを感じさせた。上手い!そのフラメンコ性好きでした。始まりが惜しい。マッチョへいく必然性を大切に。
★漆畑志乃ぶ:うねり・絞りがあるとても良い踊りだった。舞台に流れる緊張感、内から湧き出るひたむきな熱い思いが伝わってきて、思わず引き込まれた。将来に期待したい。
★朱雀はるな:見事に化けた。締りが出てきて存在感すら感じた。もともと個性もアイレもあったが、この1年の成長は目覚しい。その成長ぶりに感動。力強さのある、気迫に満ちた表現力豊かな踊りだった。
★椎原佳奈子:自分をしっかりと持っている踊り手だと思う。細いのにパワフル。それでいて心に沁みるものがあり、雰囲気もあった。足もしっかりしていて、込める力もあるのだが、フラメンコとしての重みが欲しい。
★田倉京:見事だった。舞踊的に完成度高く、上質な、美しい踊り。自分のスタイルを崩さずに、自分の世界のままでやり遂げた姿勢に胸を打たれた。たゆまぬ努力がなかったらあんな踊りは踊れない。舞踊家として感動!
★永田健:無駄のない身のこなし。立ち姿、歩く姿がきれい。男性としての伝統的なスタイルを保つ貴重な存在だと思う。それを迷うことなく貫き通した強さ・努力に感動。ファルーカとしてのパルマの振りが少し軽く、コンパスの締めをもっと大切に。

次に、特に印象に残った方々は、
●ヴォダルツ クララ:長身を活かした、伸びやかでしなやかな踊り。次への展開がスカッとしていて心地良い。新鮮で好感を持てる。ジャマーダをもっと強く。これでフラメンコの強さが出たら期待大。
●大西美江:個性あふれる元気で晴れやかな踊り。切れ味のあるピエ。意志を感じさせる小気味良さ、表現力、フラメンコ性もある。魅力的で良い踊りだったが、個性が勝りすぎるとアクになる。
●大岩奈青:スタイルのはっきりした独自性の強い個性的な踊り。自由自在に自分の意志で踊っている姿が魅力的で味がある。思わず見てしまう。少しブラソが甘いのが気になる。どこかにシビアなところが欲しい。
●相田良子:不思議な魅力があって印象的。メリハリがあり、見せ方もうまい。うねり、激しさ、コンパスの締め、ジャマーダもはっきりしている。私はフラメンコ性を感じるのだが、その独特な雰囲気に疑問を持たれる場合もあるかもしれない。
●青木うらら:全体的に良くまとまっている。荒削りだがパワフルなそのフラメンカな踊りに惹きつけられた。抑揚が出てくるともっと良いのでは。私は好きです。
●瀬戸口琴葉:素晴らしいカンテによく応えて踊っていたと思う。まさしくソレアの空気感。心を打たれ見入ってしまった。バックが強すぎて足の音があまり聞こえなかった。

次の方々も印象に残りました。
◎多田れい子:優雅でしなやかで魅力的。身体の線も美しい。去年は少し強すぎたが、今年は少し弱かったのが惜しい。良いものを持っているので、フラメンコの真の強さとは何かを考えて、もう一度挑戦して欲しい。
◎黒木珠美:印象的で迫力があった。華もあり気合があるのは良いのだが、少し大げさ過ぎるので、さりげなさ、ふくむところがあると良いのでは。
◎土井わかな:独特の突出した個性があり、フラメンコ性も強い。真っ直ぐな視線やひたむきさに惹き込まれたが、もっと女性としてのマノとブラソを大切に。
◎鈴木真衣:少し大げさなところもあるが、気合は十分に伝わった。一部リズムの乱れが気になったが、フラメンコとして良いものを持っている。もっと自分で音頭を取って。絞りがあるとなおいい。
◎堀越かおり:始まりが印象的。全体的によくまとまっていて、フラメンコを良く知っている踊りだと思う。上手だがもう少しフラメンコとしての感動が欲しい。
◎徳田悠乃:身体能力に優れ、しなやかで優雅な品格を感じる。足を打つ時に体が上下するのを注意。肝心の抜けに甘さも。フラメンコとしてグッと迫ってくるものが欲しい。

今後に期待したい方々は、
○佐渡靖子:フラメンコとしての身体は出来ている。踊りがきれいで、キレもあるのだが、マルカールが流れ気味で、テンションがずっと同じ印象。ドーンとした部分が欲しい。
○坂本恵美:今風な振り付けのかっこいいフラメンコ。ちゃんと踊っているのだが、フラメンコの感動についてもっと考えてみて。唄の最後はもっと大切に。
○柴田千穂:ブラソとマノが美しい。リズムがきれいで、ガロティンらしさが良く出た、こなれた踊りだったが、全体的にもっとピリっとしたところが欲しい。
○大野明子:唄ぶりにティエントらしい重み、うねりがある。ちゃんと意思を感じるパッションがあるのに、少し中途半端さも残る。セギードをもっとしっかり。
○川田久美子:アレグリアスらしい表情に好感がもてた。可愛らしさに惹きつけられた。シレンシオはモダン過ぎて、踊りこなせていない感じがある。足はもっとしっかり。
○津幡友紀:パワフルでフラメンコ的表情があって結構好きだった。最初から最後まで一辺倒にならないよう、情感を感じさせるような部分も欲しかった。選曲ももう少し考えて。
○小林成江:印象的。モダンな振りを良く踊っているが、振りが懲りすぎ。タパオはカッコ良く、ピエもクリアだが、フラメンコとしての表情、心から湧き出るものが欲しい。
○大野環:抜けなどにハっと思わせる部分がある。ブレリアは良かった。が、足元が少し浮いている。全体の纏まりが悪い。もっと落ち着いた振りの方が良さが出ると思う。
○長本真由:面白い個性で、気合のあるフォルテな踊りが魅力。ただ、ずっと同じ印象なので、肩の力を少し抜くところも欲しい。将来が楽しみなフラメンカ。

そして、今後さらなる精進を期待したい方々へ。
□重藤優子:重みはあった。唄の部分に足を入れるなら、もっと気分良く奏でて欲しい。唄の締めもしっかり。全体的に少しオーバーな表現が気になった。
□加藤誠子:身体の芯は出来ているがずっと同じテンション。マルカールが流れ気味。マッチョへ行く時の必然性が足りない。コンパスの締めが弱いので注意。
□青木千鶴子:ちゃんと踊っているのに何故かつまらない。もっと唄を感じて欲しい。演技過剰に感じるので、もう少しシンプルにした方が良さが活きるのでは。
□杉山須美江:きちっとは踊っているが、もっとフラメンコとして迫ってくるものがいる。身体が安定していない。もっと重さがいる。フラメンコとしての表情が欲しかった。
□林由美子:ファルセータがきれい。気迫と雰囲気はあるが何か中途半端に感じた。少し足が弱い。唄をまだ感じられていない。シギリージャをもっと理解して。
□山根智子:ブレリアからのテンションが良かった。が、足が浮いている。シレンシオのギターをちゃんと聞いて。ずっと印象が変わらない。アレグリアスらしい起承転結を。
□大城まどか:宙を掴む不思議なブラソ。マノをもっと使って伸びやかに。グッと身体を締めて、もっと絞り、うねりが欲しい。歩く姿が良かった。
□藤本ゆかり:個性的!タパオは良かったのだが、全てが大振りな印象。ピエももっとしっかり。そして、もっと情感を大切に。
□木川美奈子:踊りはまだまだだが、笑顔が良い。アレグリアスらしい良い雰囲気を持っている。新人らしいひたむきさに惹かれ楽しくなった。ブラソ、マノなどしっかり学んで今後頑張って欲しい。

群舞で奨励賞に推薦したのは
★amicielo:素晴らしい!モダンダンスとフラメンコの融合?CDで作った作品なのに確かにフラメンコの感動があった。個性を活かした芸術的な振付に存分に応える身体を駆使した踊りで見応えがあった。

悩んだ末の次点・特に印象に残ったのは
●銀河系うずまき号:フラメンコへの熱い気持ちが伝わってきた。強烈に訴えかけてくるものを感じる、気迫ある群舞で構成も素晴らしい。いつもムイフラメンカなエストゥディオ・カンデーラ。そのフラメンコ性、私は大好きです。

印象に残ったのは
●ALMA FLAMENCA:フラメンコ性の高い個性的な3人が、今回は何を見せてくれるのだろうと期待し過ぎてしまった感がある。それぞれの個性のぶつかり合い、3人がもっと異なる振りにしても良かったのでは。(例えばレマーテだけでも。。。) 揃って踊ろうとする意図がマイナスに働いたかもしれない。もちろんソロの部分は素晴らしかった。

今後さらなる精進を期待したいのは
○鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコスタジオ:すべてが大げさ過ぎてフラメンコ性が薄れているのでは。一旦肩の力を抜いて。もっとさりげないところを作った方が、かえって気持ちが伝わるのでは。
○LAS FLORES MIAS:真面目にフラメンコに取り組んでいる気持ちが伝わってきて好感が持てた。フラメンコとしての身体がまだできていない人も見受けられた。芯のある身体づくりに努力して欲しい。

東仲一矩(舞踊家・理事)[Bs,C]

<バイレ・ソロ部門>
今回バイレ・ソロ部門で奨励賞を受賞された「井田真紀」さん、完成度の高い踊り込まれて時間を費やした時の味を感じました。“ブラソ”“ピエ”を自己の感性の内から表現されていました。「朱雀はるな」さん、前回と今回の成長をはっきりと観せていただきました。スピード感が素晴らしいと思いました。「瀬戸口琴葉」さん、唄に寄り添うようにそしてその時感じた自分自身の感情を表現されていました。構成も良かったと思います。「椎原佳奈子」さん、構成力も感じ、フエルサ、足のテクニック、何よりも踊りに“ペサ”を感じました。「田倉京」さん、バックとのアンサンブルが見事でした。完成度も高く、自分自身が良く出ていたタラントでした。「永田健」さん、とにかく素晴らしかった!!昨年と今年との変化の様、ケレンとハッタリのないオーソドックスな表現の内にモダンな現在をも内包して久し振りにすがすがしい男の踊りを観ました。

さて、賞にもれた方で私自身が気にかかった方の名前を列記いたします。まずは「ヴォダルツ クララ」さん、恵まれた身体、素晴らしく思いました。後半に爆発すればと思いました。「池田理恵」さん、充分に自己を意識しての踊り、自己解放を強く。「堀越かおり」さん、自分の世界観を持って強く。「大西美江」さん、完成度の高い踊りでした。「徳田悠乃」さん、時をかけているのを感じました。「相田良子」さん、フエルサがあってしっかり自己表現出来ていました。「青木うらら」さん、ペサ、ピエ、見るものがありました。「長本真由」さん、自分自身を良く知っている表現だと思いました。列記した方々もこれからも頑張ってください。

<カンテ部門>
今回は20名に及ぶ参加者、素晴らしいことだと思いました。「フラメンコ」の中でも一番難しいジャンルにこんなに参加者が増えたことはうれしいことです。まず『準奨励賞』の「ノリコ マルティン」さん、まずはスペイン語がとどきました。“レトラ”を確実に自身のものとして唄われて自然に感じました。『話題賞』の「鈴木高子」さん、“参りました”。時をかけたものは中途半端な物は飛ばされてしまうという現実をまざまざと観せられました。その他「金沢賢二」さん、音程も確かで唄い込んでいるのも実力があるのも分かりました。次回はソレアかシギリージャのホンドの唄で聞きたいと思います。

総じて語尾が流れるのと音程の不確かなことがいつも気にかかります。自分の唄を録音して聞き、またスペイン人に聞いてもらう練習もひとつの上達の方法かもしれないと思います。3日間、皆様御苦労様でした。

菊地裕子(評論ライター)[Bs,Bg]

今年のバイレはソロ部門が55名、群舞部門が5組と、昨年よりも出場者が少なくなったが、平均的なレベルは例年と変わりなく、全員が全力投球の3日間だったと思う。中でもソロ部門では新人公演に何度も挑戦している出場者の成長ぶりに目を見張り、群舞部門では昨年に続いてバラエティに富んだ作品の数々に驚かされた。フラメンコがフラメンコとして日本に着実に根付くことを祈りつつ、出場者と関係者の皆様に心からオレ!素晴らしい3日間をありがとうございました!
以下は印象に残った出場者のメモです。(◎=奨励賞に推薦、○=高評価、△=今後に期待)

<バイレ・ソロ部門>
【23日(金)】
○多田れい子/出の緊張感が良かった。身体表現が素晴らしい。昨年より成長したが、もう少しペソが欲しい。そして自分の中にもっとドラマを!
○ヴォダルツ クララ/長いブラソの美しさ、さらに袖の先で軟らかく動く白いマノが印象的。そしてコンパスが心地よい。まだ強い個性には欠けるが、今後が楽しみ。
△池田理恵/前半はテンポ良く、小気味良いフラメンカな踊り。後半、盛り上がりに欠け、平板な印象に。これは振付の問題か、はたまた体力の問題か? 惜しい。要研究!
○堀越かおり/踊りの上手さを感じさせるが、心に迫ってくる何かが決定的に足りない。それは何かというと、唄とギターとの共感・共鳴。カンテを沢山聴いてフィエスタに興じてみて。
○大岩奈青/とても自然で、しっかりフラメンコの感興があり、今年はメリハリもあって良かった! あとはもっと自分の感覚を身体の隅々まで研ぎすまし、感じているものを大きく膨らますこと。
◎井田真紀/素晴らしい! ペソがあり、強さがあり、キレと緩急がある。深く黒い世界に杭を打ち込むごとく踊りで自分の印を刻んだ。オレ!

【24日(土)】
△西村真由美/非常に抑えたソレアで見応えあり。ただ、ラストにかけて盛り上がりが不足した。持久力UPして見せ場をもう1つ!
△青木千鶴子/華のある独特の雰囲気が魅力的。技術的には未熟なところもあるが、自分らしさがよく出ていた。あとはバックとの連携を深め、もっと一体感を。
◎朱雀はるな/アイレがあり、思い切りが良く、キレも鋭く、コンパス感が心地よく、ひねりも味もある。方向性は素晴らしい。あと、感動までもう一歩。このまま深めること。自分の中を。
△山谷祐子/溜めが利いて、ペソのある、説得力のある踊り。昨年より良い! ただ、ブエルタでテンションがやや落ち気味に。上半身の使い方に研究の余地あり。
◎坂本恵美/美的センスが非常に高い。抑制の利いたフラメンコならではの表現! しかも詰め込み過ぎていないのが良い。あとは大舞台での緩急の見せ方にもう少し工夫を。
△青木うらら/フラメンカな踊り。この振付が好きで踊っているのが伝わる。惜しむらくは身体の使い方。上半身を鍛え、力の緩急を自在にできるようになると、きっと良い味が出るはず。
△瀬戸口琴葉/的を射た正確な踊りで気持ちが良い。逸材だ。昨年より飛躍的に良くなった。ただ、ソレアとしては屈託がなさすぎの感。さらなる成長を期待しています!
○林由美子/振付を自分のものにして踊っている感じ。嘘臭さがない。惜しいのはコラへ。もっと溜めて。そして盛り上がりを研究すること。尻すぼみの印象にならない工夫を!
◎徳田悠乃/ギターとカンテのみと踊った、数少ない1人。足音が生き生きとし、自分の世界を雄弁に物語った。緩急と剛柔を使い分け、強さと繊細さ、苦みと笑みと怒りと深みを表現。素晴らしい!

【25日(日)】
○津幡友紀/強い個性。ペソがあり、リズムの面白さでも魅せた。でも作品としては、もう一波乱欲しかった。山場をもっと高いところに設定して、もっと印象深い作品に。
◎椎原佳奈子/集中力が高く、唄振りなどは踊りに血が通っている。バイレ、カンテ、ギターの三位一体。カンテに感じている私と同じか、それよりもっと踊り手が感じているのが伝わる。あらまほしき姿なり。オレ!
◎田倉京/今年の出場を大変楽しみにしていた。最初はインパクトに欠けるかもと心配になったが、タンゴになってからの目の覚めるような展開!唄に寄り添って踊る極彩色の大輪の花!オレ!
△小林成江/キレがあり、アクセントがコンパスに入っていて気持ちいい。よく踊り込んでいるが、盛り上がりを欠いた。構成・振付をもう少し練って再挑戦を!
○大野環/決然としてフラメンカ! 唄を呼び込む踊り!しかし大舞台の作品としてはもう一歩、観客の心臓に肉薄する何かが欲しい。たった1箇所でいい。あと一歩!
◎永田健/クラシカルなファルーカを、けれん味もなく、崇高に踊った。そのひたむきさには曲想に通じるものがあり、彼らしさとフラメンコの美学が感じられた。真摯なアフィシオンに心から敬意を表します。

<バイレ・群舞部門>
△amicielo/よく訓練された動きが美しく説得力がある。8人のうち3人が上手からはけてすぐに下手に登場して踊るなどのサプライズも含め、洗練された振付・構成にも唸った。しかし音が録音だったこともあってか、フラメンコの味わいという点で、胸に迫るものが薄かった。バレエ・フラメンコの群舞の流れには、バレエとしての洗練、舞踊としての洗練に加え、フラメンコの洗練という側面があり、このグループはその流れを牽引する日本の一翼だと思う。その期待感を反映し、今回はやや辛口。

○ALMA FLAMENCA/プロで活躍中の2人(三枝雄輔・SIROCO)に話題の新人(NOBU)が加わっての群舞とあって、面白くないわけがなく、個人的にも全群舞中、一番楽しめた。けれども全体に力が入りすぎていて遊び心が足りない。際立った色の違いを強く印象づけるまでには至らなかったのも惜しまれる。個々の持ち味を生かす部分と群舞としての整然とした部分が鮮明になっていればもっと感動が増したと思う。

◎エストゥディオ・カンデーラ発「銀河系うずまき号」/個々がカンテをよく聞いており、ミュージシャンとの一体感が素晴らしかった。ツボを得た振付・構成でフラメンコの感興に満ち、感銘を受けた。何がフラメンコの感興に満ちているのかといえば、コンパスの増幅装置としての舞踊手の存在だ。所作で、足で、上半身で、フォーメーションで、コンパスの面白みを体現すること。この方向性、この気概に心からオレ!

西脇美絵子(評論ライター)[Bs,Bg]

今年は、バイレ・ソロ部門の出場者が例年よりも少なかったが、出場者のレベルが総じて高いという傾向は今年も変わらなかった。ただ、際だった印象を残した人は少ないと感じた。選考はいつも以上に難航するかと思われたが、意外や意外、終わってみれば個人的にも選考会でも、受賞者はすんなりと決まった。

また、何度も挑戦している方がたくさんいたが、受賞の有無に関わらず、成長の跡を感じた人が多かったのは嬉しいことだ。一方、あと一歩のところに立ち止まっている人も見受けられたが、それを自覚している人は、やみくもに技術を磨こうとするのではなく、練習方法、フラメンコへのアプローチの仕方そのものを捉えなおしてみてほしい。私は技術を軽んじる者ではないが、それは踊るための前提のようなもの。特にフラメンコ舞踊は、舞踊テクニックだけでは踊れない。根本を見つめ直すことが重要と思います。

今回私が特に良いと思い強い気持ちで奨励賞に推したのは、朱雀はるな、永田健のふたり。フラメンコの大きなうねりを感じさせた朱雀さん、伝統的なファールーカをカッコよくマチョに踊りきった永田さん、素晴らしかったです。

奨励賞のライン上と感じたのは、田倉京、井田真紀、瀬戸口琴葉、黒木珠美、加藤誠子、椎原佳奈子。切れ味の鋭さとエレガンシアを身にまとって踊った田倉さん、溌剌と踊りきった井田さん、去年とは別物の身体と技術を見せつけてくれた瀬戸口さん、ゆったりとした振付を充実した気合で踊った黒木さん、椎原さん。歌をよく受け止め肝の据わったソレアだった加藤さん。上記8名の中から7名を奨励賞に推しました。

出場者のなかの多くの人が、それなりの技術とそれなりの踊る身体を持っています。そういう意味では、非常に僅差の中に大勢の方がいます。そこで見る者に何が強く響くのかといえば、特に今年私自身が感じたことですが、次の2点です。1つは、何を踊りたいのか、何を伝えたいのかという踊り手の強い意志が感じられること。もう1点は、平均点的に上手くまとまっているのではなく、突出した何かを持っている人、です。

また、今年はバックの音楽陣にスペイン人アルティスタを起用した人が多かったですが、あの莫大なエネルギーを受け止められる自分ができていないと、かえって踊りのスカが目立ちます。スペイン人のギターとカンテで踊りたいという思いは、多くの練習生の夢だと思います。でもそれでよい結果を生み出すには、それ相応のフラメンコ力、コミュニケーション力が不可欠であることを自覚された方がいいでしょう。スペイン人との共演の前にやるべきことはたくさんあるはずです。

以下、あと一歩と感じた方、特に印象に残った方の名前を出場順に書きます。上手く器用に踊ろうとするのではなく、一つ一つの技を、振りを、深めてください。フラメンコの基礎、フラメンコ舞踊の基礎(フラメンコを踊る身体)をしっかり身につけてください。フラメンコは中身で勝負する舞踊ですが、気持ちだけでは踊れないのです。来年また、皆さんの一段と魅力的になったバイレに出会えることを、楽しみにしています。

重藤優子さん(強い意志が魅力)、小林浩子さん(音を消してもガロティンを踊っているのが分かります!)、ヴォダルツ クララさん(華あり、センスあり!)、池田理恵さん(すべてが平均点以上の出来、だがもの足りない)、鈴木真衣さん(たっぷりと踊り良いのだが…)、堀越かおりさん(気合十分!)、佐渡靖子さん(まだ荒いが勢いがある)、相田良子さん(基礎力まだ弱いが惹きつけるものがある)、漆畑志乃ぶさん(基本的な技術しっかりしている)、阪上のり子さん(身体のエネルギーがいっぱい!)、青木うららさん(緩急あり、身体の使い方ができている。あと一歩!)、瀬﨑慶太さん(ポエジーある。もっと踊り込んで!)、稲垣栄子さん(全体によくまとまっているが、技術力甘い)、杉山須美江さん(基礎力あり、潔いアイレ)、徳田悠乃さん(恵まれた肢体と素直な感性、素質感じる)、藤本ゆかりさん(フラメンコ的感性あり)、大野環さん(個性ありパワーもあるが、舞踊としての基礎力を)、長本真由さん(ものすごいパワー、コラヘ!)。

<バイレ・群舞部門>
最後になりましたが、群舞部門について。
amicieloとALMA FLAMENCAのどちらに入れるかで最後まで悩み、amicieloに一票を投じました。群舞は何を評価するのかが、すべて選考委員の物差しにゆだねられています。いや、群舞部門に限らず、すべての部門においてそうなのですが、群舞については様々な考え方があり、また出演者の実力を判断するのか、振付者、指導者の実力つまりは作品力を評価するのか、群舞としての完成度か、フラメンコ性を重視するのかなど、さまざまな推し量り方があるからです。

今回、指導者を別に置かずに、すべて自分たちの力でやりきったのはALMA FLAMENCAでした。しかも一人ひとりの演技者の実力は突出していました。ソロ・群舞をとおして、私が一番フラメンコを楽しんだのは、ALMA FLAMENCAです。しかし、ソリストとしての実力の高さに拠ってたった感がどうしても残りました。一人ひとりソロで踊っている時と、大きな変化が感じられなかったのです。この3人のソロだからこそできる群舞にはなっていなかったと思います。

一方、amicieloは群舞作品として素晴らしかったです。録音音源を使い、かなりモダンな創作作品ながら、その中にしっかりしたフラメンコに対する美意識がありました。演技者たちもその作品の意図をよく理解し、また作品の魅力を伝えるだけの訓練が徹底してなされていたと思います。そして、終演後に残された大きな余韻が、その作品力を物語っていました。
この他では、エストゥディオ・カンデーラ発「銀河系うずまき号」も楽しい作品でした。フラメンコ性に満ちながらも創意あふれる振付を、演者たちは生き生きと踊っていたのが印象的でした。しかし、総合的な完成度としては、私の中では今一歩でした。

今年も熱い3日間が終わりました。すべての出場者の方の努力と研鑽に熱いオレ!を送ります。

小森晧平(カンテmaestro)[C]

<カンテ部門>
今年は20人参加というすごい状況になった。しかしカンテは毎年徐々に良くなってきた。今年は男性も3人参加したが、それぞれに特徴があり共に良い声の出し方、音の流れをきくことができた。特に金沢賢二さんはギターにも良い能力があるみたいだがカンテもかなりレベルが高い。テクニックもしっかり身についているし、男性としてかなり高い音程に挑戦されていることが素晴らしい。ぜひともペテネーラ以外の曲をきいてみたい。

そして女性は17人も出て、難しいカンテに真剣に取り組んでこられた。かなりレベルの高い超難しいカンテに挑戦された方も何人かいらっしゃる。部分的に音程がズレた方々もいらっしゃるが、とにかく節回し、あとテクニック(こぶしなど)も相当身につけておられる。特にノリコ マルティンさんはすごくスペインっぽい感覚で素晴らしい唄をきかせてくれた。レベルの高い節回し、テクニック、声の出し方、いずれも日本人としてはほとんど身につけておられる。将来期待できるカンタオーラだ。

とりあえず日本のカンテは徐々にレベルが上がりつつある。ただし、新人公演のステージに出ると緊張感がはまってしまって自分の特徴を出せない人が多いみたいなので、とにかく勉強して身につけたカンテを何回か人前できかせて、自分の実力を100%出せる様に努力して頂きたい。

全体的に声の出し方は良くなっている人が多い。唯一、気になるのは節回しがシンプルな人が何人かいる。曲によっては絶対にこぶしが必要な部分もあるのでそれに真剣に取り組んでもらいたい。
今後も皆さんに心から期待したい。

瀬田 彰(ギタリスト)[G]

今回の私の採点順位は1位・該当なし、2位・関根さん、同点3位・金沢さん、江戸さんでした。全体的な印象としては概ね出演者の演奏技術も高く実力が伯仲していました。しかしその中で「とび抜けて…」という人がいなかったのが残念でした。

以下、出演順に講評します。(敬称略)

1番・和田(ファルーカ):
伝統的なスタイルのサビーカス風なファルーカ。
落ち着いた演奏だったが決め所のピカード部に音量がなく、またミスも出てレマーテ感が失せてしまったのが残念。

2番・藤嶋(ソレア):
自分流のソレアを求めているようで表現の方向性は良いが、音の発音に斑が有る。
アルペジオとピカードの技術を上げれば表現したいフラメンコがもっと良く伝えられる。

3番・金沢(アレグリアス):
モデルノ風なアレグリアスのオリジナル曲。
「曲頭はリブレ、後に速いテンポのアレグリアス」という構成で曲作りのセンスは良い。
但しアレグリアスになってからテクニックにばらつきが目立ち全体的に粗い印象を受けた。
3本指ピカードの精度をもっと上げればより良く聞こえる。

4番・伏見(タランタ):
全体的にタランタのアイレが有り良かった。
しかしパコのファルセータの中で使っているアルペジオ部や後半のトレモロ部には研究課題がある。
最後のファルセータでミスが目立ったのが残念。

5番・今田(ブレリア):
グラナイーナの調性のワルツ風ブレリアス。
オリジナル曲の様だがあまりフラメンコ度が感じられない。
ラスゲアードの切れが甘いので、もっとラスゲアードがタイトになれば曲が引き締まる。

6番・江戸(ソレア):
プルガール(親指奏法)を多用したオーソドックスなソレア。
自分なりのタメを多く作り、ゆったりとした骨太感のある演奏は良い。
しかしプルガールやラスゲアードは良いのだが、それらに比べてimのテクが不足気味でファルセータが破綻してしまうのが残念。

7番・野路(ソレア):
セラニートの難曲なソレア。
全体的には落ち着いてゆったりした演奏で良かった。
あとはセラニートの様なペジスコ(タメや捻り)が有ればもっと良かった。
各ファルセータのあちこちで見られるが、セーハ移動などの時に12拍の纏まり感が無く3拍づつの塊に聞こえるのは弱点。
リズムをもう一度点検した方が良い。

8番・関根(ソレア):
今回の演奏者の中では一番良い演奏だったソレア。
ドブレのトレモロ部は独自性が有って良い。
しかしその後のアルペジオのファルセータはツーファイブやクリシェを多く使っているのでフラメンコ感が薄まってしまっている。
モデルノを目指すにしても、まず先にフラメンコの根っこを探求すると良いのでは?

9番・中川(タランタ):
オーソドックスな構成のタランタ。
出だしは気迫がこもった演奏で良かったが、最後まで持続しなかった。
トレモロ部は良かったが、アルペジオとピカードのファルセータが滑らかに聞こえないのは弱点。

10番・鈴木(ブレリア):
パコやヘレス風ファルセータのブレリアで雰囲気は良いが・・・。
コンパスが狂っている所が何点かあった。
ブレリーアスや タンゴスを弾く時には事前に、正確なパルマスなどに合わせる練習をしないと誤った感覚が身に着いてしまう。

11番・岸元(ソレア):
エンリケ・メルチョール風のファルセータで始まったソレア。
全体的に力み過ぎて演奏が硬かった。

北井一郎(現代舞踊協会)[Bs,Bg]

8月23、24、25日の3日間ゲスト選考委員としてバイレソロ55曲、バイレ群舞5曲を拝見しました。
選考委員全員の評価の合計で本年度の奨励賞が発表されました。受賞された6名の方々にお喜び申し上げます。
そして、私の推した3人が受賞され、推したが合計点で基準点に達しなかった人が3名いられたのでお名前を記しておきます。

○永田健さん
昨年惜しくも次点で賞を逸しましたが今回は見事にトップ入選でお喜び申し上げます。サパテアド、ピルエットいずれも見事にこなし、体に合った衣装が男性の鋭さ、力強さを助け文句なしの演技でした。

○朱雀はるなさん
大人の品格と美しさを充分出して、演技も幅広さを感じさせてくれました。今後も成長を続けてください。

○瀬戸口琴葉さん
落ち着いた演技で品格をかもし出し、入賞にふさわしい作品に仕上がって振付師の努力も報われたと思います。

○ヴォダルツ クララさん、黒木珠美さん、加藤誠子さん、徳田悠乃さん
演技力で推薦したのですが、同調者の数の合計数で入賞者リストには外れたのですが、素質はあるのですから目的に向かってあきらめないで頑張ってください。

○井田真紀さん、椎原佳奈子さん、田倉京さん
栄えある入賞おめでとうございます。これからもフラメンコの星として輝きつづけてください。

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