
2017.09.25

まずは、第26回新人公演も、なんらの支障も起こらずに無事終了したことを心より喜び、すべての関係者の方がたに厚く御礼申し上げたいと存じます。3日間会場におりますと、フラメンコを愛する大勢の方がたとお会いでき、晴れやかなお顔、お姿、お心に触れて、生き返らせて頂くような感覚を味わいます。「ANIFもこうしてお役に立っているのだな」と実感できるのは、とても嬉しいことです。
全体の「まとめ役」を頂いているので、バイレソロの選考には私は加わっておりませんが、特に数多かった出演者の中から7名の「奨励賞」受賞者が出たことにお慶びを申し上げます。一挙手一投足で観衆の心を奪ってしまうような飛びぬけた人材には今年も出会えませんでしたが、皆さんそれぞれ個性を発揮して、よく踊られたことに疑いありません。賞を得られなかった出場者の中にも、印象に残った人たちはずいぶんいます。ぜひ、更なるご研鑽を、と願っております。また群舞も、8組それぞれのアイディア、振付と技量で、よく奮闘されました。群舞は当公演の華ですから、今後も出場数が減ったりせぬよう、お願いしておきたいと思います。
私が選考委員として加わったギターとカンテに関しては、まず、選考委員の大半が票を投じた森谷忍さんのギターによる「シギリージャ」が圧巻でした。一昨年、その味わいの深さで「話題賞」を贈られたベテランの森谷さんですが、今回は更に腕を磨かれたようです。メルチョール・デ・マルチェーナ流の旧スタイルによる演奏ですが、一面では完全に「自分のもの」として表現されており、ファルセータそれぞれの仕上がり、そして、ひとつのファルセータから次に移る一瞬の呼吸の佳さなど、「これぞフラメンコ!」と、聴きながら胸の内で叫ばずにはいられません。「21世紀のフラメンコ・ギター」の観点を重んじるならば、たとえばやはり「シギリージャ」を弾かれた鈴木一義さん、「ロンデーニャ」を弾かれた池川史洋さんのほうが上位に置かれるでしょう(事実、お二方の演奏はとても聴き甲斐がありました)。しかし、森谷さんには、すべてを超越した、フラメンコの“永遠の真実”が宿っており、それが選考委員たちの心に響いたのです。
カンテの方がたも、それぞれに熱唱されました。往年に比べたら、この部門も全体的水準は格段に上がっています。ただし、まだ「フラメンコとしての声の質」を自分のものにしていられない方、「カナ書き的」な発音に甘んじておいでの方なども散見します。その中で、すこぶる立派だったのは奨励賞に浴された松橋早苗さん。ほかに私が高い点をつけたのは、同じく「シギリージャ」を歌われた齊藤綾子さん。ずいぶん舞台にも立っておられる方で、かねがね思っていたのは「声が美しすぎる」ということでしたが、今回はよく声の「甘味」をおさえ、フラメンコの味に徹しきった感がありました。「ペテネーラ」を歌われたダニエル・リコさんも、この一両年、カンタオールとしての確かな進歩をうかがえました。カンテこそはフラメンコ!今後ともアフィシオナード各位のご研鑽を楽しみにしています。

今年のフラメンコ・ルネサンス21はとても充実していた。内容も濃密な作品が多く見られ、とても喜ばしい3日間を過ごすことが出来ました。
バイレ、カンテ、ギターは勿論のこと、一番感動させられたのは群舞部門でした。作品数は多くはなかったが、8作品共にとても異なった視点を持ちながら作品に向き合って創り上げて来た努力が散見され、時に目頭を熱くさせる作品もあった。全出演者の継続し続けてこられた多大な努力と自己犠牲に敬意を表すと共に、更なる発展と前進を祈って私の言葉と致します。以下の文は全作品に触れたものではなく私の視点でとらえた幾つかの作品への私見を述べさせて戴きました。(出演者の敬称は略させていただきました。)
【18日】
<バイレ・群舞部門>
群1奥野裕貴子・SIROCOフラメンコ教室:差別と被差別へのまなざしが色濃く炙り出され、また“母”という言葉の聖性が美を産み出し、ドラマ性を高めた。
群3カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」:美しい夏の日の思い出、胸に大事にしまっていたinfanciaの情景を価値有るものとした。舞踊家となり母となったあなたの慈愛を感じました。
群5Armonía:Lorca-スペイン内戦3人の女たち。不条理と抑圧の下に生きる。その内なる力を熱をはらんで演じ切った。戦さのさ中にも闘い生き抜く強い力を表明する熱気が見えた佳品。
群7La Puerta Abierta:溢れんばかりの白いマントンの波。カラフルな衣裳に包まれた群舞。1960~70年代のヒッピーの時代にコスタ・ブラバやバレアレス諸島で見たフラメンコ・ショーのイメージを思い出させてくれた。
<バイレ・ソロ部門>
和泉冴英香:身体から放たれるエネルギーが一旦濾過されて“ぬけ”感がほしいとこ。
片桐あみん:回転軸をしっかり身につけて。
本多清見:多彩なCádizの空気感が身につくと良い。
橋田佳奈:身体の軌軸の使い方をもっと深く感じながら表現してみて。
谷口祐子:bata de colaやMantónの扱い方とても軽やか。その中にもう少しの重みも加えたい。
庄子裕子:“いたずらっ気”があり自己セールスの能力あり。
佐藤直美:自分の出している速度に抗いながら自在さを謳歌する姿が良い。
池田理恵:“全神経”が最初からフィナルまで張りつめられ、よくmatizarされていた。踊り終わった後¡Muy bien!と叫びました。
牛田裕衣:フラメンコの“間(ま)”が絶妙。肉体から放たれるオーラが尋常ではなく強烈な叫びが聞こえてきた。
平田かつら:劇場の大きさに拮抗する力量を持っていた。熟成という言葉を体感させてくれた。最後はカンテに身を委ねて行く心の大きさも魅力。
大岩奈青:“継続した美の連なり”を創出したのは称賛に価する。深い精神性から伝わって来るものを私たちに伝えてくれた。
平川亜紀:“とてもフラメンコ的なるもの”を胎内に宿しているようなバイレ。ディエゴのカンテにぐっと身心を寄り添わせていたのも魅力が増幅された所。
【19日】
<ギター部門>
森谷忍:非の打ちどころの無いような演奏スタイルを確立され、究極の演奏に到達している。深く心に染み入った名演奏。
鈴木一義:コード進行の豊かさと共にスピードに乗り、一気に走り過ぎる爽快感があった。
<バイレ・ソロ部門>
小島智子:ゆったりたゆたう身体と心の推移が心地良く、身体のラインの美しさをより強調させる結果となった。
鈴木真衣:時折音がビシッと入らない時もあったが、後半のマーチョになってモイの声と共に心の内が震えるのが見てとれた。
瀧野晴美:身体目一杯使っての全力投球、いつも爆発しているような趣。
服部亜希子:足音がとても美しく奏でられたことが大きな魅力の根源となっていた。全体の調和が美をもたらした。
近藤朔:再びこの舞台に戻って来て、フラメンコの深い洞察力と美しさを表現。少しずつ結実して行く姿を見せてもらった。
藤本ゆかり:速いテンポの中でハイテンションを維持しながら続いて行く。その持続性の中の精神力の太さを讃えたい。
川口真理子:“音”に導かれて動いて行く身体の微妙さがもう少し出てくると良いのに…と思った。
西山依里:ボディコントロールが抜群。身体全体のシンクロニサシオンがマッチし所狭しと舞台を闊歩する姿が頼もしかった。
菊池麻由美:ボディラインの流れの美しさを持続し、舞台空間を大きく使いこなし、スペイン民族が培ってきた伝統芸能の様々な様式美までも取り込み、スケールの大きさを示した。
平山奈穂:日本人の中では珍しく、ペソの威力を持続し続けて踊り切った力量は中々なもの。ぶれない軸を操り多彩に踊る姿に拍手。
内田好美:繊細で、表現豊かに溢れ出るよう。時には強烈さも加味すると……。
鈴木雪花:変化に富んだ作品構築。心の豊かさと舞踊への思いの深さが相乗効果で良い展開となった。
山本由紀:パリージョスの響きが冴え亘る。メリハリ良く展開する中で美しい“小宇宙”を創り出していた。
小河由里子:舞踊が大きく見えた。“そこにスペインがあった”そんな雰囲気を醸し出していた。後半過剰なコマーシャリズムが所見されたが、少し控え目の方が余韻が残るのでは。
寺嶋いずみ:後半タンゴスに入ってから冴え冴えとした所作が随所に散りばめられ、楽しいシーンを創り出した。
竹村歩:もう少し“ため”の感覚を身に付けられればフラメンコの奥深いものlo jondo が染み入って来るのでは。
黒木珠美:身体の隅々までよくコントロール出来ていた。舞台空間をバランスよく使いこなす力量を感じさせた。
田中実華江:“間”の取り方が絶妙。ギリギリまで耐えて次のパソに移行することで生まれる所作と足音のソニケーテの連鎖が美を生む。
岡田麻里:起承転結を良く考えた構成となっていた。
富永央子:愛嬌を沢山振りまいて踊る所が、今はやりの言葉“かわいい”を醸し出しチャーミングな一曲とした。
【20日】
<カンテ部門>
松橋早苗:ペペ・マジャのギターと共振しシギリージャの奥深い味わいを出していた。
<バイレ・ソロ部門>
佐渡靖子:事の始まりは美を極めることから。マントンの動きがスタティックさを強調。最初から最後の瞬間まで気を張り詰めた所作の連続にもゆるぎなく、称賛に値する作舞。
齋藤朋之:独特なcolocaciónがユニークさを際立たせ、特別な“間”を創り出すことに成功。
堅正はるか:熟考され尽くした作舞となっていた。カンテやギターとのコミュニケーションも抜群でmuy profundoな踊りでした。
河合浩子:はじける気持ちが楽しさに向かって突き進み、何か“次の予感”をさせてくれるものが生まれ、スピード感も程良かった。
佐藤陽美:エネルギーに満ち、予期せぬようなシーンが生まれるのでは……と期待してしまう踊りっぷりでした。
津田可奈:嘆きがテーマなのでしょうか。速さの妙を身体中で表現し濃密な空間を創り出した。肉体的鍛錬も素晴らしいものだった。
久保田晴菜:舞台からはみ出しそうな位の意気込みを感じさせた。1つ抜け出した感を抱かせるバイレだった。
津幡友紀:ロマンセはロマンセ・ヒターノとも言われているが、とてもアイレ・ヒターノに近づこうとしている思いが伝わって来たが、その中に少しの抑制をきかせるともっと良くなるのでは。
歴代受賞者のエキシビションとなった最終出場者、カンテの山田あかりの磨かれた声の響きに納得させられた。バイレの正路あすかのどんと腰の据わったソレアに「近代から現代」へと移って来た証しが見てとれた。

今年は暑いだけではなく、地震や水害等で苦しんでいる方々が世界中に多勢いらっしゃいます。その中で幸いにも支障なく舞台に専念出来た皆様に接し、ほっと致しました。毎年この総評を書く度に思うことは、参加された皆様全員に何らかの賞を差し上げられたらという思いがあります。この気持ちをどうぞお察しください。
さて、御受賞の皆様おめでとうございます。感じたことを書かせて頂きますが、甲乙つけがたい踊りに大変苦労致しました。まずシギリージャを踊られた服部亜希子さん、この曲を踊りこなすのはとても難しいです。イメージをしっかりとらえた貴女の踊りは、味わい深いものでした。平山奈穂さんのソレアはカンテと貴女の奥深い嘆きがすばらしかったです。黒木珠美さんのソレアは踊りの流れが見事で、特にブエルタからの次のパソに移る瞬間が美しく、静と動のハーモニーと共に空間に花が咲きました。佐渡靖子さんのシギリージャは、何てカンテを大事に踊るのかと心を打たれました。特にサリーダです。色々なスタイルがあると思いますが、ギター・カンテと始まり踊りが入ってくるその瞬間を、私は大切に拝見します。ここで決まると言っても過言ではありません。カンテを静かに聞き入る、そして思いのたけを踊り出す、これぞ本来のフラメンコの姿で、三位一体だと思うのです。カンテのすばらしさをサパテアードで邪魔をしてはいけないと私は教えられました。堅正はるかさんのタラントは、とても個性あふれる重厚な踊りでタラントの持つ独特な味わいが表現されていました。津田可奈さんのシギリージャは、自分の心をすべて出し切った極限の世界を踊り、踊りの強弱と間の取り方がすばらしかったです。久保田晴菜さんのソレアは、体とリズムが戯れているように見え、また最後のポーズがなかなか良い感じで振付の妙味でした。皆さん、出と入りを大切にしましょう。
わずかな差で準奨励賞の佐藤陽美さんは、スペイン人のような雰囲気があり、好感度大。あと少しの努力です。
群舞ですが、私は毎年同じことを申し上げています。それは群舞のすばらしさはソロでは表現できないことを人数で表現すること(同じ振付を多勢で踊らないで)。ダンサーがお互いの個性を認め合い、テーマをはっきり意識して創作する、個々の動きがいつの間にか1つになっていく、そのプロセスの面白さを考えましょう。構成・振付・センスが大切で、もしユニゾンで踊るなら、ボリショイバレエのように、背丈・体重・体形等あらゆる条件を満たし、一糸乱れず踊って表現できるならOKです。今回私はカンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」を選びました。子供達のテクニックはまだ未熟な部分が多々ありますが、難しいリズムを身につけてのびのび踊っていて感動致しました。ご指導なさった先生、センスが良いです。拍手です。これからが楽しみですね。
受賞されたArmoníaは3人の踊りがそれぞれすばらしい、個性豊かなダンサーなので、ユニゾン的に踊ると少々つまらなくなります。もっと色々なパートを考えて遊んでみたら面白かったのにと思いました。構成でがらっと変わりますし、更に良くなります。
同じことがグアヒーラにも言えます。男性2人の対話でしょうか?話が聞こえてくるようで面白いのですが、やはり2人がほとんど同じ振りを踊りましたが、達者な2人ですからやはり構成を考えたらいかがでしょう。私は群舞の創作が大好きです。
以上ですが、他に心に残った方々は、有田ゆうきさん、大井昌子さん、久貝輝代さん、小宮山葉子さんです。来年また更に良い踊りを期待しております。お疲れ様でした。

<ギター部門>
今回も、出演された方たちの水準が高く、嬉しく思いました。
1)塩谷氏:冒頭部はしっかりと聴こえ、印象が良かった。ただ、親指での表現が平坦かと。また中心となるべき部分の印象も弱く、その骨太さが望まれます。
2)森谷氏:主張が以前にも増して明確になっておりました。しかし、曲の性格上、より微妙な動き、空間、音色などの扱いを今後の課題として下されば、と思います。
3)池川氏:とても進化されたというのが第一印象。弱い音での音の出や表現に一層の磨きが必要かと。立ち上がりや輪郭など…。
4)福嶋氏:冒頭部はとても印象に残りました。中盤に入りフラメンコ感に安定さを欠いたかと。全体に表現に厚みが望まれるかと。
5)和田氏:輪郭が弱く細い印象でした。演奏(表現)が前方へと向かってくる気配がないと感じました。技術の更なる向上と“情”の置き方や音楽的表現、更にその奥に在る“心”の部分を探求されることを望みます。
6)鈴木氏:しばしば現れるラスゲアードが少し指先に力が入り過ぎているのでは、と感じました。親指を①弦開放音(人差指)との響きに緊密さが欠けたか。中盤は集中感があり好印象でしたが、ポイントを絞っての大きな表現のところがあっても、と思いました。
7)内山氏:とても音楽性があると思いましたが、冒頭部を除くと、独奏(ギタリストひとりでの演奏)の表現をとしては、中味がはっきりせず、外観の雰囲気だけが印象に残ってしまいました。
全ての方も素晴らしく、将来性を持ち合わせておられましたが、参考とされたもの、あるいは作・編曲にあたって、パルマも含めて他との重奏などの要素を持ち込んではおられなかったのか。独奏としては食い足りない演奏が目立ちました。

毎年の事ですが、今回も101組の皆さんの熱い思いとエネルギーに圧倒されました!フラメンコ自体の技術の進歩にともなって、新人公演のレベルも毎年上がってきているのは当然のことなのでしょう。奨励賞を目指す人、新人公演を発表の場として挑戦する人、目的は様々だと思いますが、何度かの出演を重ねている方たちが、確実に進化している姿を見るのは嬉しいものです。
以下は私の個人的感想を出演順に記述します。
<バイレ・ソロ部門>
18-8池田理恵さん:ドッシリと堂々としたシギリージャは群を抜いて素晴らしかったのに、時間オーバーで失格になってしまったのが惜しまれます。
18-20平川亜紀さん:ノリの良いソレア・ポル・ブレリアが気持ち良かった。
19-13服部亜希子さん:ブラッソとマノの動きがサパテアードや体の動きを増幅させ表現力豊か。
19-23平山奈穂さん:ドッシリした体格を活かした迫力のイントロでした。
20-18佐渡靖子さん:今年はバタ・デ・コーラやマントンでの出演がとても多かった様に思います。多くの方がバタやマントンを巧みにさばく事が目的になってしまっている様に見えましたが、佐渡さんはバタやマントンを自己の感情表現のツールとして使っていて素晴らしかった。
20-30津田可奈さん:巧みな構成を活かした技術と感情表現でドラマを感じました。
20-32久保田晴菜さん:堂々と品格のあるソレアでした。
<バイレ・群舞部門>
群舞で私が票を投じたのは、18-9奥野裕貴子・SIROCOフラメンコ教室です。出演者の個性を活かした発想と構成、それを熱演した踊り手達、素晴らしいと思いました。準奨励賞のカンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」の小さい皆さんもすばらしかったし、LAMA y SONACAYのduoも見せ場たっぷりでさすがでした。
今年の群舞部門は多種多様なアプローチを見る事が出来、とても見応えのある回となりました。それ故に評価の基準も難しく、悩ましい事と成りましたが、選考する側にも、様々な価値観がある事でバランスが取れているとも思いました。熱い3日間の101組の皆さんへ心より大きな拍手!です。

<ギター部門>
2番目に演奏された森谷忍さんが奨励賞を受賞されました。ギターの部は7名の出場でしたが、その中では森谷さんの演奏が最も優れていたことは紛れもない事実でしょう。
確かに伝統的過ぎる?スタイル、難しいテクニックの不使用、地味、そして、えっ?…なんで?…というところも、あるにはあったのですが、ウソ、ハッタリが無く、ひとつひとつの音を“噛みしめる”ような気遣いのこもった弾き方に好感を持ったというのが奨励賞に値する、という判断に至った最大の理由です。
他の出場者に共通して感じたこと、それは細部の不完全さがちょっと多過ぎた、というところでしょう。例えば、1本調子なラスゲアードと親指の使い方、ファルセータやリズムの抑揚感の不足、更にメカの切れ目や左手のポジション移動時での最後の音がハッキリと出ていないことが多く、これでは説得力が大幅に減少してしまいます。最大限に気を付けて欲しいところです。なお、コンパスの理解で、えっ?あれっ!…という感じがあったのも残念なところです。
そんな中、グァヒーラスを演奏してくれた和田健さん、とても素晴らしいセンスの持ち主ではないか、と感じました。ただ残念なことに音が弱く感じられてしまいました。緊張からのことなのでしょうか…!?これからに期待しています。頑張って欲しいと思います。
<カンテ部門>
6番目に唄ってくれた松橋早苗さんが奨励賞を受賞されました。ちなみに、昨年も出場されていたのですが、いくつかの残念だったことのほとんどを、今回は修正できていたようです。わざとらしい発声や演技をしている感が無い、そして無理せずストレートに勝負している感じが気持ち良いですね。また、息の使い方がとても丁寧なこと、子音の発音が素早く、母音で唄おうという気遣いが感じられるところ、更に大きな声を出しても煩く感じられないことも魅力です。
なお、私の好みを言わせていただけるとすれば、マラゲーニャを唄ってくださった深谷恵子さん、とても良い感じだと思いました。ただ、イントネーションでの息の使い方がもう少し、と感じました。今後に期待してしまいます。
いずれにしても、真正面から自分の持っている技術の最高レベルを、細心の注意と大きな度胸でぶつかる…昔から言う“繊細且つ大胆”ということが、最終的には不可欠なようです。

今回は今までになく迷いました。新人公演の意味とか、作曲力とかも評価すれば別の選択もありました。ただ予選も課題曲もなく、自作である縛りもない新人公演では当日の演奏だけで評価すべきという立場で森谷さんを奨励賞に推しました。自作曲で臨んでいただいた方にはそこを汲めず忸怩たる思いです。
塩谷経
イントロは良い感じではじまりましたが、コンパスを刻むあたりからちょっと緊張感がなくなったように思いました。D#のキーによるブレリアは音を重ねやすいので普通にアルペジオだけでも広がりのあるフレーズが作りやすいのですが低音成分が響きすぎタッチがしっかりしてないとぼやけたフレーズになります。途中P指によるフレーズが続いたあたりはコンパスも感じられなくなりました。全体に言えるのはリズムの安定感が弱く、かなり前のめりですね。アクセントをもっと引っ張り気味に感じましょう。ゴルペの音がちょっと耳障りなのも気になりました。
森谷忍
やはり先人の作ったファルセータは神だと確信しました。少ない音とコード展開ながらシギリージャの世界を構築しています。もちろんそれを表現できる森谷さんの力量があってのことですが。ギターの音色、間とも今回抜きん出てたと思いますし、フラメンコってこういう音楽だったんだと改めて納得させる力がありました。
池川史洋
曲の展開、コンパスの安定感、さすがの演奏でした。前半、pianissimoのフレーズやアルペジオが埋もれることもありました。PAとの相性もあるのでしょうがアルペジオはもっとクリアで硬い音が欲しかったです。トレモロも含め全体に高音弦側が弱いと思いました。後半の安定感は実戦で培った賜ですね。自然なグルーブが出てたと思います。
福嶋隆児
最初のファルセータ(パリージャ?)は音、間ともに素晴らしかったです。イントロのラスゲアードは踊り伴奏っぽくそぐわないかなと思いましたが。
その後はちょっと弾き急いでしまいましたね。トラディショナルなファルセータでまとめて好感の持てる構成ですがアルペジオは音が分離してないですし、アクセント毎のゴルペ音も気になりました。PAのせいもあるのでしょうが破裂音に近かったです。ゴルペやラスゲアード等音量でアクセントを表現してはいけません。あとP指のタッチをもう少し研究してみてください。現状でも音は良いのですが太さに欠けますし早いフレーズに追いついてない感じです。
和田健
ちょっと単調な演奏になってしまいました。自作曲ということですがあまりコードやリズムの展開もなく奏法のバリエーションのみで展開していくから踊り伴のファルセータみたいです。グアヒーラにはそういう面があるのかもしれませんが今一つフラメンコ的熱を感じられませんでした。タッチが弱いせいもありますね。コーダのラスゲアードからはブレリアの感じ方がまだ甘いように見受けられます。ブレリアのリズムをもう少し研究してみてください。
鈴木一義
テンション高いイントロで期待が高まりましたが気持ちを制御しきれなかったようです。自作、コピーを良いバランスで混在させ構成はとても良かったです。後半転調してからの畳み込みは日本人としては異例の創作だと思いますが、余りにも前のめりすぎてフレーズが聴き取れません。左手が右手に追いついてない感じですね。ツッコミ気味に弾くと低音部のスラーがつまっています。
技術的には素晴らしいものをお持ちです。この曲、温めて行ってください。
内山友樹
作曲力もさることながら時折織り交ぜるピカードの正確さ、かなりのテクニシャンですね。中段のファルセータは個人的には単品で賞を差し上げたいくらいです。ただファルセータの部分は良いのですがコンパスを刻む段になると頭ノリの余裕のないリズムになります。突っ込むという程ではありませんがアクセントを音量で捉えているのか大音量のゴルペも重なるので音楽に集中できません。踊りや唄の伴奏を通じてブレリアの刻みを磨いてください。このままでは惜しいです。

新人公演出演者の皆様、大変お疲れ様でした。今年も拝見させて頂き皆さんのバイレに感動と刺激etcと沢山の思い感じた3日間。有難うございました。
ソロ・群舞奨励賞受賞の皆様、心よりおめでとうございます。日々精進を重ねた成果の受賞が今後の新たなエネルギーとなり益々飛躍への一途となり邁進されることを願いご活躍お祈りしてます。
ソロ受賞の皆様に感じた事、諦めずに挑戦し続けたお一人お一人から今年こそという最後の執念?と思える渾身のバイレでした。その募った思いを燃え立たせた気迫さが満ち溢れ圧巻!完成度高いバイレに優秀の美を感じました。素晴らしい変貌遂げしバイレに賞賛!
群舞で奨励賞を受賞された「Armonía」。実力あるお一人お一人のフォルマと個性が融合とぶつかり合ったコラッヘ!とても見応えあり個人的にも好きでした!
ソロ準奨励賞の佐藤陽美さん。若さはち切れたバイレ、フラメンカな気質に成長楽しみです!頑張って下さい!!
群舞準奨励賞受賞・カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」。お子様達の群舞はとにかく理屈抜きでゆるむ心はばからず楽しく拝見しました。結構難しいフォーメーションをほんとに良く動いて一生懸命バイランド。ピュアな表現にも心和みました。ご指導大変だったと思いながら、子供達の希望列車“たからもの号”の未来を見つめながら元気に走り続けて欲しいです。
受賞されずとも印象に残った皆様。期待込めてのエールを送らせて頂きます。主観にてご容赦下さい!
【18日】
和泉冴英香さん・時折足元のぶれに残念、身体の求心力強化を!
片桐あみんさん・基本をしっかり踊られた10代等身大のバイレ、将来楽しみ!
谷口裕子さん・華やかな持ち味備えエレガンテ! 緩急に表現力を。
庄子裕子さん・内外に発するフェルサ足りず、コラッヘが欲しい!
牛田裕衣さん・ダイナミックで安定感あるバイレ。タンゴ惜しい~!
平田かつらさん・コラッヘと存在感あっただけにタンゴ盛り上がらず残念!
大岩奈青さん・表現力おありなのでテクニックの研磨を。
平川亜紀さん・持ち味を出し切れずとても残念、更にテクニック研磨を。
【19日】
藤本ゆかりさん・特に溜めと抜きでしょうか。
西山依里さん・柔軟なコンパスがグルーブ、逆に全体が流れてしまったのか!緩急を。
菊池麻由美さん・モダンでダイナミック、素敵な個性を感じました。
有田ゆうきさん・とても残念、期待大!
鈴木雪花さん・テクニックにコンパス感おありなのでアイレを、身体とのバランスからマントン大き過ぎた感あり。
岡田麻里さん・テクニック全般のレベルアップを。
富永央子さん・アイレそして内なる映えをもっと放って!
佐野裕子さん・とても雰囲気あってバイレを楽しまれてる様に好感を持ちました。
【20日】
津幡友紀さん・泥臭いアイレでのコンパス感、特異なセンティードにも目が離せなかった!フォンドなバイレを是非。
山内佳代子さん・歌振り流れてしまった感有、ペソをもっと下に。
今回はバタ・デ・コーラが多くてびっくり!マントンにバリージョ等とテクニック配分難しいバイレに挑戦された皆さん、その心意気に拍手!!そして男性皆様へは、更なる精進を重ねそれぞれのバイレとステージアップを目指してください!近藤朔さん、進化なさり嬉しく思いました。お元気に邁進なさって下さい。
総評及び雑感…ソロにつきましてはレベルも高くなり選考結果が割れたように思えました。群舞はそれぞれの良さもあり何をもっての選考か、でした。他群舞につきましては前年度等を思い起こすと、群集の迫力での醍醐味に欠けていたように感じました。群舞の難しさは痛感しております。
「LOS TARANTOS京都」はドラマチックで主軸となられた方に魅入りとても楽しく印象深い楽しい作品でした。「デ プエルト ア プエルト」では最初にバタで少し踊られた方がムイ フラメンカ!他皆様のレベル向上目指して下さい。
衣装については、より洗礼されたデザインやノスタルジー感漂うスタイルを取り入れたり、また曲調での色使いに拘る方等とバリエーションとても豊かでした。同じヌメロ続くのは歪めない新人公演ですから、衣装もほんとに大事です。今年も賞に限りなく近い方、可能性を感じる皆さん、是非諦めずに挑戦を。最後に、今回も照明で皆さんのバイレが事の他際立ち映えていました。益々凝ってきているような!新人公演の醍醐味!!

久々に選考委員として3日間に渡ってバイレソロ、バイレ群舞のすべてを拝見させていただきました。近年バイレの技術的なレベルが確実に上がっていることを痛感し、とても感心いたしました。出演した半数以上の方々には技術的レベルでは甲乙つけがたく奨励賞候補として投票することは困難を極めました。ここで印象に残った方々への感想を一言ずつですが述べさせていただきます。
<バイレ・群舞部門>
・カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」
小さなフラメンコスたちに「オーレ!」です。
・Armonía
気迫に満ちたマルティネーテ イ シギリージャでした。3人の動きが速いテンポの中でもピタリと揃っているのは圧巻でした。
・LAMAySONACAY
プロ中のプロお2人のグァヒーラには奨励賞はそぐわないでしょう。とても楽しいものを見せていただきました。ありがとうございます。
<バイレ・ソロ部門>
【18日】
・和泉冴英香さん トップバッターで登場というプレッシャーの中、ペソのある落ち着いたタラントでした。タンゴになってからも力が抜けなかったのは残念です。
・片桐あみんさん シギリージャの難しいリズムを確実に踊っていてこれからが楽しみです。
・谷口祐子さん バタ・デ・コーラとマントンの捌きはすばらしいと思いましたがバタとマントンの動きの中にアレグリアスのコンパスが感じられるものが欲しかったと思います。
・庄子裕子さん 柔軟なからだの動きで魅せてくれました。タンゴに入ってから顔の表情でタンゴらしさを表現する感じになってしまったのが残念です。
・佐藤直美さん 恵まれた身体をいかした振りでしたがブラソをもっと大きく使うと存在感が増してくると思います。
・池田理恵さん 振りに追われることのないとても感動的なシギリージャでした。時間オーバーでの奨励賞候補失格が大変残念でなりません。
・牛田裕衣さん とてもフラメンコ性を感じましたが動きが多い振りにはボリュームがありすぎる衣裳と髪飾りの多さは一考の余地があると思います。
・平田かつらさん 全体的に安定感のあるとてもしっかりした踊りでしたが時として重心が上にいきすぎて身体がぶれるのが気になりました。
・松下ひろみさん 長い手足を十分に生かした振りでとてもペソを感じさせてくれるシギリージャでした。
・大岩奈青さん ペソのあるシギリージャでした。ブラソにフェルサが増すと完璧です。
・平川亜紀さん 絵に描いたようなムイフラメンカな衣裳と小気味良い踊りっぷりがぴったりでした。
【19日】
・服部亜希子さん 凝縮された集中力と硬質な個性で踊った見事なシギリージャでした。
・藤本ゆかりさん 安定感がある振りでとても魅せてくれました。
・西山依里さん とてもフラメンコ性を感じさせてくれるタラントでした。
・菊池麻由美さん 恵まれた身体を生かした動きで舞台での存在感が抜群でした。肩が上がって首がなく見えてしまう衣裳の襟元が残念でした。
・有田ゆうきさん 安定感のあるソレアでした。
・平山奈穂さん 恵まれた身体から繰り出されるフラメンコは風格さえ感じさせてくれて圧倒されました。
・鈴木雪花さん 自身の見せ方を知った動きとステージ使いがとてもよかったと思います。
・小河由里子さん シンプルな振りながら十分魅せてくれました。
・竹村歩さん 小気味良い踊りっぷりがよく似合う衣裳とマッチしてとても素敵でした。
・大井昌子さん 足の強さが素晴らしくしっかりした印象でした。
・黒木珠美さん 安定感のある動きと華のある存在感で魅せてくれましたが後半の動きと表情の多さが多少気になりました。
・田中実華江さん とてもいいタンゴを見せていただきました。
・岡田麻里さん とても密度の濃いソレアでした。
・佐野裕子さん 大人のソレアを見せていただきました。
【20日】
・相田良子さん とても印象に残るソレアでしたがブレリアに入ってから焦り気味になってしまったのが残念でした。
・野上裕美さん 踊りは巧いと思いましたが常に客席に向かって投げ掛けられる視線が気になりました。
・菅家寿幹さん 進歩のあとがみられます。前傾姿勢からくる体幹の弱さが後半のぐらつきに繋がったと思います。
・伊藤千紘さん 小柄ながら身体全体に凝縮されたパワーで安定した大きい存在感を放っていました。
・佐渡靖子さん スケールの大きいフラメンコの世界に感動しました。
・齋藤朋之さん とても味のある踊りを見せていただきました。下半身のバランスの取り方を安定させるとより存在感が増すのではないでしょうか。
・堅正はるかさん 媚びが一切ないフラメンコ。安定した動きとステージ使いが見事です。
・久貝輝代さん バタ・デ・コーラがとてもお似合いの身体と雰囲気をお持ちです。マントンとバタ・デ・コーラの一層の鍛練を期待します。
・河合浩子さん アンティーク調の衣裳は素敵でしたが切れの良い踊りには合わない印象を受けました。
・佐藤陽美さん 安定した足捌きと切れの良い動きが素敵でした。
・久保田晴菜さん とてもペソのある美しい身体使いのソレアでしたが常に微笑ん見える表情に多少違和感を覚えました。
・津田可奈さん 動きの多い振りを抜群の安定感とリズム感でこなして見事なシギリージャでしたが衣裳の襟元の長いフレコと光りすぎの髪飾りが観る側からするとかなり邪魔になっていたように思います。
・小宮山葉子さん 個性的な衣裳で踊ったソレア・ポル・ブレリアは安定感もありとても素敵でした。
・津幡友紀さん ペソがありムイフラメンカなステージを堪能させていただきました。

皆さん、新人公演お疲れさまでした。音色や奏法上の点で気が付いたことを、一言ずつ述べさせていただきます。
塩谷経:変則チューニングの難しいブレリア。テクニック的には一番難しい曲だったと思います。レの音に下げた6弦の音が両用のギターからよく響いていました。この速いテンポをパルマなしでキープ出来たのも、塩谷さんの技術の高さがうかがわれます。ただ逆を言うと、もう少しテンポを落として更にコンパスが浮き上がるような演奏になれば、もっと良かったと思います。和音からメロディーに移る部分やピカードからプルガールへの切り替え部分などで、若干のリズムの乱れがありました。その他、速いパッセージの後や休符時に少し走ってしまったのが惜しかったです。しかしこの難曲がゆえの乱れなので、良く弾けていたことには間違いありません。前回のソレアや前々回のブレリアもすべてが難曲でした。一度テクニック的なことから離れて、呼吸や音色に集中して感情移入のできる曲作りを考えてみてください。
森谷忍:奨励賞受賞おめでとうございます。前奏のラスゲアードの後のグラネアードの音色、それに続くアルペジオのキレの良さ、ビブラートのニュアンスなど、出だしから魅了されました。前回の話題賞の選考理由である「豊かで美しい音色」は、このシギリージャの澄み切った一音一音でも感じられました。右手に無駄な力が一切入っていないことと、前回も書きましたが自然なゴルペの音量バランスなどが全体の音色を決定づけています。最近のフラメンコ奏法ではあまり聞かれなくなった右手のつま弾きによるファルセータも、絶妙な呼吸や間と相まって、シギリージャの特徴を醸し出していました。そして印象的なエンディング。演奏の最後は迫力のある音で派手に終わらせることが多いですが、最後の素朴な単音ラの音が印象的です。森谷さんの無心で、そして集中して最後まで弾ききった今回のシギリージャを聴いて、間や呼吸や音色の大切さを強く感じました。
池川史洋:昨年のブレリア同様、太い音色と絶妙な強弱や緩急で安定した演奏でした。6弦のD音も両用ギターの音色を引き立てていました。池川さんの弾くピカードやラスゲアード、アルペジオなどの奏法はどれも曲の中に溶け合っていて、自然に聞こえてきます。つまり良い意味でのプロの演奏とでも言いましょうか。そして後半のリズムになった箇所も安定していて、コンパスもしっかり聞こえてきました。強いて言うならば、1弦のトレモロが少し速すぎて聞こえにくかったことです。トレモロ時のp指は理想的でしたので、ima指が速くならないように気を付けてみてください。奨励賞に値しても良いほどの好演奏でした。
福嶋隆児:迫力のある演奏でした。ピカードとプルガールのコンビネーションも良かったです。全体を通して気になったのは、ラスゲアードの音色です。力を入れすぎて時折、音が割れてしまってました。手首を使うアバニコ奏法時に腕が少し大振り傾向にあるのと、チョルリターソ時などは ami指のタイミングが少し速すぎて音が分離していない時もありました。それと、ゴルペの量が多くて音が大きすぎるので、少し減らしてみては如何でしょうか。
和田健:毎回楽しませて頂いてる和田さんのオリジナル曲。今回のグアヒーラも所々好きな感じのフレーズがありました。途中ミストーンも多少ありましたが、そのことよりもずっと下を向いての演奏が気になりました。高音部のメロディーなどギター全体のポジションを使った曲作りは良かったのですが、ローポジション時では顔を上げることによって、音もさらに前に出てくると思います。しっかりとしたタッチで弾ききった前回のソレア・ポル・ブレリアに比べると、ちょっとおとなしく感じられたのも、顔の位置や弾く姿勢などにも関係してくるのかもしれませんね。そしてまた今回もエンディングのピカードが上手くきまってました。
鈴木一義:全体的に力が入ってしまって、音がつぶれてしまってました。ラスゲアード時に指が伸びきってしまっているのも原因の一つです。楽器や指にもかなりの負担がかかってしまうので、乱暴な弾き方にならないよう注意が必要です。オクターブ奏法時に高音部の音がプチプチと切れてしまうのは、左手の移動が速すぎるからです。ギリギリまで押さえてからポジション移動をしてみてください。そして、細かい音や速いフレーズほど丁寧に弾くように心がけてください。特にカバーレスの部分が気になりました。以前弾いた変則チューニングのブレリアからは今回180度違うタイプの曲でよく頑張ったと思います。次回も期待しています。
内山友樹:Dbのブレリア。高い演奏技術もさることながら、作曲も編曲も一流でした。 ami 指のアポヤンド奏法はビセンテ・アミーゴのような音色と力強さで、ラスゲアードやプルガール奏法とのコンビネーションも良かったです。ゴルペの音量が少し大きすぎる部分もありましたが、その分迫力がある演奏でした。ポジション移動の際も指板を見ずに弾けるのは、それだけギターに慣れている証拠ですね。そして自分の音をしっかり聞いて演奏しているのも印象に残りました。いつかリブレの曲も聞いてみたいです。

<ギター部門>
ひと昔前に比べれば、世代交代がなされ、若くなり、演奏スタイルもモダンなものになってきた。そのレベルも一定の高さを保っている。気にとまった出演者を書きます。
森谷忍君●とにかく驚いた。一昨年のタランタより更に磨きをかけたシギリージャだった。年配者は衰え行くものの真逆で、進化していた。微妙な音色変化が素晴らしかった。池川史洋君●好んで弾かれる変則チューニング。その深い低音の響きのメリットを十分に生かし、ドラマティックに構成した演奏だった。ちょっと気になったのは高音域のパッセージとトレモノの高音の不鮮明だった。福嶋隆児君●踊り伴奏で鍛えた演奏のキレが大変良かった。高音域のフレーズの歌わせ方が素晴らしかった。ちょっと気になったのは、バランス的にゴルペの音が大きかったことと、3連符のラスゲアードのキレだった。和田健君●毎年出場の和田君。何度かの出場中、今回が一番良い出来だった。自身作曲のグアヒーラはメロディラインが自然で美しかった。グアヒーラらしかった。ミスタッチが惜しい。鈴木一義君●独特の思い入れに基づいたシギリージャ。演奏も高度で、一つの世界観を表現していた。しかしどうしても理解できない部分があった。
<カンテ部門>
毎年楽しみにしているカンテ部門。今年も多士済々の出演者でたっぷり楽しませて頂いた。カンテはなかなか上手くならないものだが、努力のあとが見られる出場者が何人もいた。気にとまった出演者を書きます。
深谷恵子さん●サリーダも良く、気持ちを込めて細かいところまで丁寧に歌っているところに好感が持てた。全く正統な歌い方だった。今までで一番良かったと思う。努力すれば上手くなるということの好例。山田裕子さん●情感、思いの丈を目いっぱい振り絞って歌っているところが普段の山田さんではなかった。これは凄かったという意味。声がかすれるほどの熱唱だった。カバルになって更に山田さんらしくなった。中山えみ子さん●素晴らしいサリーダから始まった。デリケートな節回しを克明に正しく辿っていて、言うことなし。音程も乱れなかった。明らかに上手くなっていた。一票を投じました。ダニエル・リコ君●いつも楽しみにしているが、今回はいつものダニエル君の良さが無かった。音程が不安定で、節回しもスムーズでなかった。残念。田中敏郎君●田中君も今までになく良かった。ダンゴに移る当たりからノリノリで楽しめた。はっきりと成長のあと。齊藤綾子●上手いし、声量もあり熱唱なのだが、どこか平板に感じてしまうところがある。強弱緩急をつけてドラマティックにして欲しい。

【18日】
和泉冴英香さん/トップバッターのプレッシャーを感じさせない力強い踊りでした。片桐あみんさん/わずか10歳でどうどうと大きな舞台でソロを踊るのは大変なことです。身体がブレるところなどありますがこれからが楽しみです。谷口祐子さん/上手く綺麗に踊れている。マントンやバタ・デ・コーラのテクニックに追われ身体がブレてしまいがち。余裕が出るまで踊り込んでいって欲しい。庄子裕子さん/ブラッソの使い方が綺麗。体の軸がしっかりしていて安定していた。池田理恵さん/フラメンコ的なペソがありとても安定していて良かった。バックのアルティスタと良い感じで盛り上がり、特に曲の後半テンションも上がり観ていて引き付けられた。タイムオーバーで選考外となってしまったことが本当に残念だ。牛田裕衣さん/力強くテンションの高い踊り。これからは一定の強さだけではない様々な表現が加わればもっと良くなると思います。平田かつらさん/安定した冷静な踊り。丁寧に練習を重ねてきたのが見えた。松下ひろみさん/キレがありブレない身体でとても良かった。山形志穂さん/正確なパリージョ。パリージョを持っていてもブラッソまでしなやかな女性らしい美しい踊りでとても良かった。
【19日】
小島智子さん/滑らかなブラッソとクエルポの使い方が美しかった。もう少し踊りに重さが加われば更に良くなると思う。鈴木真衣さん/ブエルタのキレが良かった。最後バックに頼りすぎたように感じた。服部亜希子さん/安定した力強い踊りでとても良かった。サパテアードのレベルも高く、曲の後半が特に盛り上がり観客を引き付けた。近藤朔さん/味わいのある踊り。前回もそうでしたが、今回も記憶に残りました。髙野正子さん/マルカールの時のブラッソがしなやかで美しかった。表情から踊ることを楽しんでいることが伝わった。藤本ゆかりさん/力強く安定した踊りでとても良かった。観ている方も引き込まれ会場が沸いた。川口真理子さん/立ち姿が美しい魅力のある踊り。もう少し力強い部分や踊りを崩す部分が見えると更に良くなると思う。西山依里さん/毎回印象に残る人。軸がしっかりしていてとてもブラッソの使い方が上手い。年々安定して良くなってきているので今後が楽しみです。佐藤幸子さん/毎回挑戦して努力が見えているのが素晴らしい。以前より表情がすごく良くなった。有田ゆうきさん/さらっと自然な動きが良い感じを与えた。バックと合っていて曲の後半盛り上がり会場も沸いた。平山奈穂さん/迫力のある大きいバイレ。熱くエネルギッシュな中にも冷静に安定した踊りでとても良かった。内田好美さん/スタイルが良く美しい。線が細いけれど安定した踊りでした。身体を叩くパソなどの手に重さが欲しい。鈴木雪花さん/スタイルが良く立ち姿が美しい。サパテアードの強弱がはっきり使い分けられ気持ちよかった。山本由紀さん/踊りの身体が出来ていてしなやか。パリージョがとても上手かった。またぜひ挑戦して欲しい。竹村歩さん/力強くメリハリのある踊りだった。感じの良いバイレで、また彼女の踊りを観てみたいと感じた。黒木珠美さん/力強いサパテアード、メリハリもありとても良かった。もう少し力を抜いたところも観たい。田中実華江さん/ペソがありフラメンコな踊りだった。特に曲の後半タンゴを楽しんでいるのが伝わってこっちも嬉しくなった。岡田麻里さん/とても安定してパワーのある良い踊りだった。
【20日】
伊藤千紘さん/曲の後半特に集中力が増しテンションが上がり引き付けられた。佐渡靖子さん/新人公演に何度も挑戦して努力を重ね、強い精神力とブレない身体に成長した。技術も高く踊りに貫禄まで感じ、曲が終わっても余韻が残った。今回の新人公演の中で一番印象に残った人です。おめでとうございます!山中純子さん/いろんなものを使った難しい振付を頑張って踊っていた。別のシンプルな曲での彼女も観てみたい。齋藤朋之さん/重みのある味わい深い踊り。とても引き付けられた。またぜひ挑戦して欲しい。加藤美佳さん/明るく表情がとても良く観ている方も和んだ。もっと丁寧に踊ることを心掛けると更に良くなると思う。堅正はるかさん/以前より力強さとキレの良さが踊りに加わり、とても良く変わった。久貝輝代さん/踊りが美しく品が良い。後半もっと踊りにメリハリが欲しかった。佐藤陽美さん/フラメンコ的な熱いキレの良い踊り。強いサパテアードと、はっとする動きで会場を沸かせた。津田可奈さん/毎年のように新人公演に挑戦する度、確実に力を増してきた。安定した踊りで、後半には曲も盛り上がった。久保田晴菜さん/踊る身体が出来ていて安定している。ブラッソや足のさばき方が美しい。昨年までの踊りからとても変化してフラメンコ度が増していた。津幡友紀さん/テンションが高くパワーが感じられた。ゆったり滑らかな表現も加えてこれから更に表現豊かなバイレを目指して欲しい。そして、歴代受賞者によるバイレ・ソロで踊った正路あすかさん/さすが大きな安定した踊り。常に彼女は前向きにいろんなことに意欲的に取り込んでいることが見える良い踊りでした。今年の新人公演の大勢の参加者の最後に、さわやかな余韻を残して終わりました。ありがとうございます!

久しぶりに新人公演ギターの部の選考委員をやらせて頂きましたが、全体的に見てかなりのレベルの向上が見られとても喜ばしく思いました。それぞれの皆さんの演奏を聞いて感じた事を少しだけ書かせて頂きます。
①塩谷経さん(ブレリア)
音響のせいもあったようですが、フレーズが低音の使い過ぎで少し単調に感じられました。
②森谷忍さん(シギリージャ)
奨励賞おめでとうございます。とても良い雰囲気のシギリージャらしいシギリージャを聞かせていただきました。益々の精進を期待しています。
③池川史洋さん(ロンデーニャ)
全体的に淡々とし過ぎてもう少しメリハリがあればより良くなるでしょう。とくにトレモロのメロディーが聞こえにくく感じました。
④福嶋隆児さん(ソレア)
とても力強いのは良いのですが、全体的に荒っぽさが目立っていました。
⑤和田健さん(グアヒーラ)
きれいなメロディーの組み立てで上手くまとめていますが、もう少し丁寧に弾かれたらより良かったと思います。
⑥鈴木一義さん(シギリージャ)
力強く迫力があり他の追従を許さない音と伴奏で培ったリズム感が心地よく感じられました。
⑦内山友樹さん(ブレリア)
とてもテクニックはあるように思えます。ただ全体的に線が細くもう少しブレリアのリズム感と迫力が欲しかったです。
皆さんそれぞれ甲乙つけがたい演奏でこれからのギター界がとても楽しみです。頑張って下さい。

「新人公演に感じたままに」
ギター、カンテ、バイレすべての部門にご出演くださいました皆様、それぞれの誠心誠意、心を込めたフラメンコをご披露いただきありがとうございました。
人生の大切な一時期を練習に励み、時には悩んだり迷ったりしながらもこの舞台を目指してがんばりぬいた皆様のフラメンコはすべて心に響くものでした。
なぜフラメンコなのか?と自分自身にも問いかけながら拝見しました。迫害の中から生まれ育まれてきたその生い立ちと遠い日本でフラメンコに関わることと、やはり何かの縁が繋げたことなのでしょう。そんな素晴らしいものをたくさん感じさせていただきました。特に心に残った方々をここに記します。
和泉冴英香さん…熱い気持ちを感じました。片桐あみんちゃん…幼いながらも確固たる意思が見えて頼もしかったです。本多清見さん…アレグリアスらしさが嬉しかったです。池田理恵さん…情熱を感じました。平田かつらさん…心が一緒に踊りました。平川亜紀さん…安定感が心地よかったです。近藤朔さん…時々心まで届く何かを感じ不思議でした。それが何なのかを私も探していきたいと思います。髙野正子さん…ご自分の生き方を実感できるフラメンコでした。藤本ゆかりさん…フラメンコらしい振りはすばらしかったのですがもっと振りを少なくして心で踊る時間をふやしてはいかがでしょうか?佐渡靖子さん…マントンとバタ・デ・コーラによって表現が広がりすばらしかったです。ずっと拝見していて今年は心からおめでとうございます!齋藤朋之さん…真摯に向かう姿勢が素敵でした。加藤美佳さん…アレグリアスを楽しんでいらして素敵でした。堅正はるかさん…心から発信されるものをうれしく受けとめました。久貝輝代さん…見ていて楽しくなりました。久保田晴菜さん…表現力がすばらしかったです。
フラメンコで共有すること…歌う、踊る、奏でる、手を叩いてリズムの輪を作る、かけ声をかける、心の中で同じ気持ちになる。これからも皆さんといろんな共有が出来ることを楽しみにしております。

<バイレ・ソロ部門>
【18日】
和泉冴英香さん:成長がみられました。もう少し力を抜くことを覚えるとさらに良くなるでしょう。少々緊張していたかしら?
片桐あみんさん:踊り心を感じます。今後が楽しみですね。
谷口祐子さん:バタ・デ・コーラとマントンさばきの流れは美しかったです。サパテアードをもう少し頑張って。
庄子裕子さん:タンゴからのノリが印象的でした。
池田理恵さん:サパテアードが心地よく響き、吸い込まれていく迫力がありました。
牛田裕衣さん:情熱を秘めたタラントに引き込まれました。緩急をつけると更に良くなると思います。
平田かつらさん:堂々と空気を包み込むタメのある踊りに拍手。タンゴの入りも良かったです。
大岩奈青さん:心を感じたシギリージャ。印象的なラストでした。
平川亜紀さん:足音強く、全体的にパワーを感じましたが、表現力を増すとさらに良くなるでしょう。
山形志穂さん:繊細な雰囲気を漂わせながらも心の響きが伝わってきました。まだまだ伸びしろを感じます。
【19日】
小島智子さん:心地よいサパテアードの響きと、タンゴからの変化に魅了されました。もっとはち切れてもよいのでは?と思います。
横畠由美子さん:きちんと練習された成果が見受けられました。ラストまで、ファルーカの持ち味である凛とした雰囲気が持続できていて良かったです。これからも続けてくださいね。
鈴木真衣さん:カンテを良く聞きその表現力も伝わってきました。
服部亜希子さん:コンパス感がありサパテアードも強く、ラストまで途切れることなく安定感がありました。
近藤朔さん:フラメンコと真摯に向き合っている姿に頭が下がります。
藤本ゆかりさん:強いサパテアード、芯のある動きが魅力的でした。
菊池麻由美さん:印象深い始まり。恵まれた容姿から爆発する貴女を観たいです。
有田ゆうきさん:強くメリハリのあるソレアでした。情感をもう少し。
平山奈穂さん:全身から湧き出るフラメンコ性に魅了されました。もう一度じっくり観たいソレアでした。
鈴木雪花さん:レトラの表現は良かったです。
山本由紀さん:体幹もあり体もよく動きパリージョの音色にも心を感じました。曲の重さを意識するともっと良くなるはずです。
小河由里子さん:いかなるものにも動じない自分の世界観を感じました。
黒木珠美さん:この日を待っていたかのようなソレア。メンタル面の強さも増し、貴女の本来の実力が開花したのでしょう。カンテを良く聞き重心も安定していました。ゆっくり入るサパテアードの難しさも上手にクリアでき、波に乗れましたね。
田中実華江さん:なかなか良い味を出していました。ファルセータのゴルぺの音が若干気になりました。
【20日】
野上裕美さん:上体が美しく足の強さもあるが、タメが欲しいです。
伊藤千紘さん:動きも良くマノがきれい。
佐渡靖子さん:素晴らしい情感に圧倒されました。昨年のソレアも良かったですが今回のシギリージャはそれを超えることが出来ました。バタとマントンが体の一部のように表現できた貴女の底力に拍手です。
持田賀津子さん:サパテアードの理解が深まりました。今後タメを感じて踊ることを期待します。
堅正はるかさん:足音強くメリハリあり芯がぶれない。その上あの広い舞台空間を自分のものにしてしまう素晴らしさ。
佐藤陽美さん:華を感じる踊り手さん。緩急を意識して踊ると更に良くなるでしょう。これからも観たい人です。
津田可奈さん:取り憑かれたような流れのあるシギリージャでした。
久保田晴菜さん:体幹のある体の柔らかさ、しなやかなブラッソ、踊りが大好きという心の叫びが聞こえてきました。
東田美智江さん:シレンショの音の取り方を工夫すると更に良くなるでしょう。
<バイレ・群舞部門>
奥野裕貴子・SIROCOフラメンコ教室LOS TARANTOS京都:心に響いた作品でした。最後まで引き込まれました。
鈴木敬子フラメンコスタジオ カデーナ フラメンカ:気持ちの統一性があり一生懸命さが伝わってきました。
カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」:フラメンコのリズムにのり楽しんで踊っている子供たちの真剣な表情が忘れられません。松彩果さんの指導にオレ!
Armonía:実力ぞろいの力量をみせてくれましたね。三人三様でありながら統一性がありました。
LAMA y SONACAY:タイプの異なる2人の掛け合いをとても楽しみました。
改めて感じたことですが、小物を使用することの難しさ、何か不具合が生じた時に踊りよりそちらに目が向いてしまうので、相当な練習と覚悟が必要かと思われました。多種多彩の群舞…見応えがありました。

<バイレ・ソロ部門>
一番たくさんの方が挑戦するバイレ・ソロ部門。いつも思うのですが、参加者の皆さんにはもっと沢山のパロ(曲種)に目を向けていただきたいです。参加者の踊る曲種がもっとバラエティに富んでいてそれも堪能できる新人公演であったら理想です。1曲しか踊れないので、奨励賞獲得を願うためなのか、踊る曲がソレア、アレグリアス、シギリージャなどの特定な数曲に偏る傾向にあるのは頷けないことではありません。でも今や日本の皆さんのテクニックはとてもレベルアップし、どんな曲でも感動的に踊る準備はできてきていると思います。そうでなくても、ステキな曲がいっぱいあるのがフラメンコです。さて、今年も皆さんのパッションとパワーの渦の中に巻き込まれフラメンコ漬となりました。受賞者の方々の演技は本当に素晴らしかったです。また受賞者以外でもよかった方々が沢山いらっしゃいましたので、そういう方々から順に書いていきます。
【18日】
池田理恵さんのシギリージャは、凄味のあるムードの中でなにか内に込めた想いがひしひし伝わってくる迫真の演技、時間オーバーがとても残念でした。牛田裕衣さんのタラント、芯あり、軸ありで、なかなか個性的なアイレの持ち主、楽しめました。庄子裕子さんのタラント、派手な衣装の色使い、パチッとした大きな目がチャーミングで印象的、技術的にも安心して見られるレベルで目立ちました。大岩奈青さんのシギリージャ、なかなかフラメンコなシーンを作りだす表現力を感じました。谷口祐子さんのアレグリアスは、出だしから印象的。マントンやバタの豪快な捌きにスリルがある振付をよく熟し、ブラッソも綺麗で楽しめる演技でした。
その他、山形志穂さんのシギリージャはパリ―ジョで心を込めて踊られて、上体の動きも綺麗でした。本多清見さん、アレグリアスの振りに身体が馴染み、その明るさを思いっきり表現していました。森加寿子さんはシンプルなティエントの歌振りを落ち着いて表現し、平田かつらさんはタラントでシンプルな歌振りをじっくり踊り込んでいましたが、2人ともタンゴになってからの身のこなしにしなやかさがあったらもっと良かったです。佐藤直美さんも凝った振付のシギリージャをよく熟していました。平川亜紀さんもリズムに乗り楽しそうに踊られていましたし、和泉冴英香さんはしっかりしたサパテアードで練習成果が感じられますが、ペソのあるタラントのアイレが出しきれていない感じがしました。松下ひろみさんは効果を狙った振付に見合う上体の粘りのある表現が足りないような、そんな感じでした。堅田幸子さんのシギリージャの音楽構成は素敵で、出だしのパリ―ジョもよかったですが後半ちょっと乱れた感がありました。福田峰子さん、白い衣装が印象的なティエント、ちょっと身体がリズムに乗っていない感じで、これからもっと総合的な技術を付けて欲しいです。橋田佳奈さん、アレグリアスをバックスペインアーティストのアイレに乗って丁寧に踊りこんでいましたが、これからもっと技術も磨けると思います。片桐あみんさん、よく頑張りました。これからが楽しみです。
【19日】
藤本ゆかりさん、気迫がこもるソレア・ポル・ブレリアで本人の持ち味を出しきっていてよかったです。今回は惜しかったです。岡田麻里さんのソレア、エレガントでフラメンカ、なかなか雰囲気がありました。シンプルな振りで強さをうまく表現、なかなか迫力ある演技で印象に残りました。田中実華江さんのティエントは効果を狙う振付。なかなか太い踊りで、いいです。タンゴもよかったです。鈴木雪花さん、そこはかとなく感情が込められたシギリージャで好感が持て、技術的にも優れていました。山本由紀さん、ペテネーラを巧みなパリ―ジョで熱演、盛り上がり楽しめました。いつも色んな曲に挑戦していて頼もしい存在です。
その他、西山依里さん、タラントを踊りましたがリズミカルな動きは独創的で面白いです。もう少ししゃんとしたところがあればいいような。内田好美さん、竹村歩さん、大井昌子さんたちは、スペインアーティストの本場のアイレに浸り、現代タッチのソレア・ポル・ブレリアをはつらつと踊られていました。健闘しました。小河由里子さん、ソレアを落ち着いたフラメンカな雰囲気で踊られました。もう一押しのコラッヘがあればと感じました。青木千鶴子さんは赤いバタとマントンで華やかなアレグリアス、そのさばきも綺麗でした。チャーミングな笑顔でエレガント。小島智子さんのティエント、その踊りにはしっかりした方向性があり、前半はよかったのですが、タンゴになった途端に踊りが軽くなりちょっと残念でした。小野栄子さんのソレア、アカデミックできちんとした踊りを、丁寧に踊られていたという感じでした。瀧野晴美さんのソレア・ポル・ブレリア、バックの歌が冴え、うまく振付られた踊りをしっかり踊られました。近藤朔さん、シギリージャ。茶色のスーツで決め込み、とにかく確実なマルカールで踊っている真摯な姿が好感持てました。髙野正子さん、ソレア・ポル・ブレリア、綺麗なブラッソでしっかりした踊り。自分で踊ることの歓びを味わっている感じが好印象でした。川口真理子さん、スラッとした身体で、か弱いイメージが漂っていますが、品格あるシギリージャでした。菊池麻由美さん、やはりスラッとした身体を活かしたモダンなシギリージャ。語りかけるような表現力を加味できたら、と思いました。有田ゆうきさんは出だしから激しい気迫を込めたソレア、見えを切りながら良く踊っていらっしゃいました。寺嶋いずみさん、ティエント。前半は美しい動きでよかったですが、タンゴにもっと重量感あったらよかったように思いました。瀬﨑慶太さん、青いスーツに白い靴、しゃきっと踊ったカンティーニャは演出もあって楽しめました。富永央子さんのソレア・ポル・ブレリア、チャーミング。今風の踊りをコンパスに乗って楽しそうに踊られていました。佐野裕子さん、シンプルでしっとりしたソレアは大人のムードで迫っていました。佐藤幸子さん、アレグリアス。とにかくきちんと踊られているのが好印象でした。横畠由美子さんのファルーカ、バイオリンを使った音楽構成は良かったですが、やはり練習、踊り込みが足りなかったような感じに見えました。鈴木真衣さんのシギリージャ。スペイン人アーティストの本格的アイレでの雰囲気づくりは良かったです。これからもっと技術も磨けると思います。北中昭子さん、Trianaのしっとりしたソレアでムードありました。後半は息切れしたように見えましたので、これからはスタミナもつけて頑張ってください。
【20日】
今回準奨励賞だったのが惜しかった佐藤陽美さん。ソレア・ポル・ブレリア、ソレアを入れ込んだステキな構成。若く荒削りな感じがフレッシュで、その力強い足も見応えがあり、なかなかフラメンカでした。津幡友紀さんのロマンセ、ちょっと力み過ぎの感もあるテンションの高い踊り、はちきれるテンペラメントが圧巻でした。小宮山葉子さんのソレア、ステキな衣装で、足さばきも綺麗で品があり印象的でした。伊藤千紘さんのシギリージャはしっかりした足で始まる力強いジャマーダなど効果的な内容で熱のこもった演技でした。山中純子さんのカラコーレスは、扇とパリ―ジョを同時に持つ難度の高い踊りをキュートな感じでステキに踊りました。もう少し派手でもいいと思います。
その他、この日はアレグリアスを踊られた方が多く、皆さんそれぞれの振付と個性で壮観でした。河合浩子さん、テクニックもあり、振付も凝っていて面白く楽しめました。久貝輝代さん、マントンとバタをステキにさばいていてブラッソも綺麗、粋な振付で魅せました。新谷のどかさん、白いバタで、笑顔がステキ、いい感じでした。山内佳代子さん、元気たっぷり、楽しさ明るさを追求した振付で楽しめました。ブレリアの動きが軽快でちょっと浮いてしまった感はありました。東田美智江さん、ブラッソ、上体はしなやかでよかったですが、もう少し落ち着きのある優雅さが欲しかったです。加藤美佳さん、堂々としていて華やかなアレグリアス。上体のノリもよく、しっかり踊られていました。渡辺亜矢子さん、スラッとした容姿が綺麗で、落ち着いたムード。終わりごろにドラマチックなアイレを盛り込んだアレグリアスで健闘しました。
さて、ソレアを踊られた相田良子さん、落ち着いてしっかり踊りましたが、ブレリアになってから少し体が浮いてしまった感じでした。野上裕美さんもソレア。バックアーティストのプーロな歌の世界に浸り、集中し、踊り込んでいました。齋藤朋之さん、タラント。淡々とリズムにのり、マルカールしながらパソを進行させ、タンゴになってからも淀みなくしっかり踊られていました。菅家寿幹さん、シギリージャ。地味ですが、誠実さを感じる踊り。今後もっと力を付けて頑張っていただきたいと思いました。阪上のり子さんのタラント、前半は雰囲気ありましたが、タンゴになってからせっかくの曲が残念な結果になった感がありました。持田賀津子さんのカンティーニャ。ステキに踊っていましたが、身体のバランスが取れず、マルカールが浮いてしまうなどで技術的な改善が必要だと思いました。池本真希子さん、アカデミックですがラメ入りの衣装がステキで、バックに支えられたいい雰囲気のソレアでした。長岡聖子さん、ソレア。舞台を大きく使ってよく動き、一生懸命踊られていました。飛びが多く、それが気になりました。
<バイレ・群舞部門>
複数の参加者が合同で1つの作品を踊る群舞ですが、純粋に舞踊の範疇での芸術性を追求するものの他に、ドラマ性を加えてより人々に訴えようとするものがあります。作品の良しあしは、構成、演出、振付などの他に、踊る人達の舞踊レベルでも変わって来ると思います。ですので、バイレ・ソロで、以前奨励賞に輝いているプロの方々が、2人とか3人のグループで参加なさると踊り自体はとても目立ちます。今年はあらゆるタイプの群舞があって、内容的に優れた作品が多く、一作品だけを選考するのは至難の業でした。
[群1]は演出、舞台効果をよく考え、ドラマチックな観客アプローチもあり、更に主役的存在のような小太りの踊り手さんの演技がなかなか楽しめ、全体的に見応えあるステキな作品に仕上がっていたと思います。
[群2]典型的な群舞のスタイル。群舞ならではの位置交換での連帯性などを考え、無理なく作られた作品を研究生の皆さんがきちんと演技し、好感が持てました。
[群3]出だしと終わりの鈴の音?が、夏の風物詩、まさに真夏の祭典にマッチしてほのぼのとした作品でした。また次の世代を担う子ども達の演技も粋でいっちょ前、可愛かったです。
[群4]クラシックな音楽構成がやはり心をひき、赤いリボン紐のようなものがおしゃれな雰囲気でした。ただ、群舞ならではの迫力ある押し出しがもう少しあると、見応えがあったのではと思いました。
[群5]緑、ピンク、紫のショッキングカラーで登場した女性3人。女の強さを感じさせ惹きつけられる作品でした。その意気込み、演技も高度で見応えありました。
[群6]男性2人のちょっとパロディ風なアクションを入れ込んだ作品。踊る方が楽しんでいる感じでした。
[群7]典型的な群舞のスタイル。細部でもう少し工夫があったらよかった、という感はありましたが、マントンを使ったカーニャの振付をステキに踊られていました。
[群8]アバンドラーオで粋な音楽作り、赤いバタの女性陣にブーツを履いた旅人風の男性が印象的。アンダルシアの風景が目に浮かぶ作品で楽しめました。

【18日】
18-1 和泉冴英香さん:幕開けがインパクトがある力強い踊りでした。
18-2 片桐あみんさん:緊張が伝わりましたが、一生懸命踊り切った姿に安心し、嬉しく思いました。今回の経験を活かして成長を期待します。
18-4 橋田佳奈さん:スタイルの良さ、柔軟性を活かした踊りで、ブラッソも綺麗でした。
18-8 池田理恵さん:ため、瞬発力、感情表現そして気迫がありオーレ!でしたのに、残念です。
18-13 牛田裕衣さん:力強さを感じ良いタラントでした。
18-15 福田峰子さん:顔の表情とともに表現力を身に着けると良いと思います。
18-16 平田かつらさん:タラントの重みをよく表現しながらタンゴの軽妙さとのバランスが良かった。
18-18 大岩奈青さん:出だしで祈りのようなものを感じましたが、全体的にメリハリに欠けたようで残念でした。
18-19 堅田幸子さん:挑戦の意気込み!
18-20 平川亜紀さん:特にエスコビージャの時の重心移動が自然で綺麗でした。
【19日】
19-9 小野栄子さん:振付を丁寧に踊っている様子でしたが、時折止まりのブラッソの遅れが気になり、上半身のしなやかさがあると良いと思います。
19-11 鈴木真衣さん:タメのある力強い踊りでした。
19-12 瀧野晴美さん:はじける!感じが好印象でした。
19-13 服部亜希子さん:熱に引き込まれました。
19-18 西山依里さん:タンゴのコンパス感がとても良い印象でした。
19-20 菊池麻由美さん:奇を衒うことなどなく、好印象の踊りでした。
19-21 佐藤幸子さん:しなやかさとご自身らしさが見たいです。
19-23 平山奈穂さん:内に秘めたものを爆発させる力にオーレ!
19-24 内田好美さん:好感度の高い印象です。もう少しペソ?があったらと思いました。
19-27 小河由里子さん:もったいないなぁと思ってしまいました。とてもフラメンコを感じましたが、ペソ、タメ、重心、呼吸などを考えたらよいかと思います。
19-30 大井昌子さん:若さ、エネルギー、笑顔に好感を持ちました。
19-32 田中実華江さん:どっしりとした安定感のある良いティエントでした。
19-33 青木千鶴子さん:良く練習を重ねて、今までの中で一番楽しそうに踊っている印象を受けました。
19-37 佐野裕子さん:しっとりとした大人の味のソレアでした。
【20日】
20-15 野上裕美さん:マルカールなどの歩き方が自然でした。
20-17 伊藤千紘さん:足音がしっかりとし、ブラッソも綺麗でした。
20-18 佐渡靖子さん:渾身のシギリージャにオーレ!
20-20 山中純子さん:笑顔が素敵で、華やかなカラコレスでした。
20-22 齋藤朋之さん:豊かな感情表現。しなやかさが出ると良いなと思います。
20-23 加藤美佳さん:元気で良いアレグリアス!
20-25 渡辺亜矢子さん:長身を活かしてこれからが楽しみです。
20-26 久貝輝代さん:のびやかさ、しなやかさがありポーズが綺麗でした。引っ込みの粋さも素敵でした。
20-29 佐藤陽美さん:“con coraje”でこれから益々期待してます。ため、ねばりなどが出ると良いです。
20-31 池本真希子さん:広い舞台をよく使っていました。
20-32 久保田晴菜さん:よく踊り込んで、顔の表情も良かったです。
20-33 小宮山葉子さん:きちんと踊り、コントラ、ティエンポも綺麗に聞こえました。足の割合を減らしてしっとりさを出せたら良かったのでは?
20-36 山内佳代子さん:笑顔に引き込まれました。

<バイレ・ソロ部門>
【18日】
和泉さん/タラントらしくきちんと踊ってます。もう少しです。
片桐さん/今後の成長が楽しみです。
本多さん/楽しそうで美しいアレグリアスでした。
橋田さん/ブラソと身体のバランスが少し物足りないです。
谷口さん/マントンさばきお見事。何の踊りも上手そう。
庄子さん/全体に良かったです。表現力があって。
佐藤さん/重厚感があって今後が楽しみです。
池田さん/魅力的。フラメンコ舞踊性抜群。
牛田さん/恵まれた体型でたくさん踊っていってください。
森さん/構成を見直してみて。少し単調かも。
福田さん/たくさん踊って勉強していって。今後に期待。
平田さん/よく踊ってます。別に欠点はないのですが。
松下さん/音楽に乗って、動きが美しいです。
大岩さん/踊り込んでいます。よく練習しましたね。
堅田さん/難しいフラメンコです。勉強していって。
平川さん/サパティアード正確。お見事でした。
山形さん/将来きっとすばらしいバイラオーラになるでしょう。
【19日】
小島さん/ブラソの研究もう少し。のびのび踊ってます。
小野さん/上半身をもう少し研究して。よくなります。
横畠さん/気持ちよく踊れますよう、頑張って。
鈴木さん/個性的。サパティアードもいいし、今後に期待。
瀧野さん/踊り込んでいます。ご自分自身のバイレを研究して。
服部さん/ギター、カンテとよくとけ込み、観客の心に染み渡りました。
近藤さん/フラメンコに出会って明るい人生が開けますように。
髙野さん/欠点は少ないのですが、また挑戦してください。
藤本さん/アイレがあります。エネルギーが伝わってきます。
川口さん/細いお身体でも力強さは出ます。頑張って!
西山さん/ヒターナ・フラメンコですね。少し荒けずりになります。
北中さん/まとめ方はよかったです。もう少しです。
菊池さん/舞踊性があり、流れるように楽しかったです。
佐藤さん/佑子先生の伝統的なフラメンコを拝見しました。
有田さん/ここまで踊るため、練習を重ねたことでしょう。
平山さん/肉感的。フラメンコを踊るために生まれてきたのですね。
内田さん/疲れないフラメンコ。美しいです。気持ちよく拝見しました。
鈴木さん/欠点が少なく、別のヌメロも拝見したいです。
山本さん/パリージョも美しく、難解な技術をすばらしい!
小河さん/ティエンポ正確。大きなお身体で圧巻でした。
寺嶋さん/きっと練習はもっと力が入っていたでしょう。ちょっと残念。
竹村さん/体幹がきちんとしています。もう少しです。
大井さん/サパティアードが細やか。少しの努力を望みます。
黒木さん/ボリュームがあって、足が強くて速くて一番素敵でした。
田中さん/身体がしなやか。力強く踊ってます。
青木さん/マントンとコーラ、よく踊りました。華やかでした。
岡田さん/ブラソが美しいです。絵のようでした。
瀬﨑さん/何気なくさらりのフラメンコ。好感が持てました。
富永さん/舞台いっぱいにさわやかに。サパティアードもいいです。
佐野さん/美しかったです。構成をもう少し工夫して。
【20日】
相田さん/踊りの要素をきちんと織り込んでいます。
野上さん/美しいです。基本もしっかり勉強してます。
菅家さん/コンパスもいいです。少し踊りに広がりが欲しい。
伊藤さん/練習の成果が舞台で発揮できました。
佐渡さん/マントンのさばきお見事。叫びが伝わります。
阪上さん/気持ちが入っている時と荒けずりの部分と。
山中さん/アイレがあります。頑張りが伝わります。
持田さん/たくさん踊ってもっと上達してください。
齋藤さん/身体からわき出る重厚感で、もっと頑張って。
加藤さん/フラメンコが楽しいわぁ、と踊ってます。
堅正さん/柔軟な体に芯のある踊り。将来性があります。
渡辺さん/細くきれいなお身体で、強さが入ったら。
久貝さん/ティエンポよく、アレグリアスを充分に踊ってます。
河合さん/さわやかに初々しく、可愛らしく踊ってます。
新谷さん/おしゃれなフラメンコでした。また参加してください。
佐藤さん/全体にバランスよく、気持ちよく拝見しました。
津田さん/メリハリがあり、舞台をよく使ってました。
池本さん/ステージをたくさん経験してください。
久保田さん/表現力のある美しいフラメンコでした。
小宮山さん/ブレリアのティエンポに気持ちよく心地よかったです。
津幡さん/ヒターナの味わい深い個性豊かな踊りでした。
東田さん/バラのようにひまわりのようにステキでした。
山内さん/チャーミングでした。細い身体に一生懸命でした。
長岡さん/よく踊ってくれました。お疲れ様でした。
<バイレ・群舞部門>
奥野裕貴子・SIROCOフラメンコ教室/ドラマになさってました。少し難解でした。
鈴木敬子フラメンコスタジオ/息が合ってアンサンブルを重視した作品でした。
カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」/ブレリアを工夫して創作し、面白いです。衣裳も工夫しました。
フラメンコスタジオマグダレーナ/リボンは新しい試みでした。もう少しです。
Armonía/3人とも実力者で魅力的でした。バストンもなかなかです。
LAMA y SONACAY/グアヒーラを面白く、男っぽいパレハでした。
La Puerta Abierta/美しかったです。少し単調かも。
斎藤克己フラメンコアカデミー札幌/赤いマントンが美しい群舞。去年の方が良かったかしら。

18-1 和泉冴英香…安定感としなやかさがあり、マノがきれいでした。静止の部分流れないように意識してみましょう。
18-2 片桐あみん… 最後までしっかり踊りきった集中力、素晴らしかったです!これからが楽しみです。
18-5 谷口祐子…マントン、コーラ使いが素晴らしく、くずれない軸とブエルタ、すべてが一体となり美しく躍動感のあるアレグリアスでした。
18-8 池田理恵…メリハリと重厚さ、構成も良く、魅力的でした。時間オーバー残念です。
18-16 平田かつら…存在感があり振りから振りへの間がとても良かったです。決めの時の静止がぶれないと、もっと間が生きてくると思います。
19-13 服部亜希子…歌との一体感が素晴らしかったです。メリハリ、重心移動の間も良くアイレが伝わってきました。
19-14 近藤朔…立ち姿が美しく、ひとつひとつの振りを大切に踊られていて思いが伝わってきました。
19-16 藤本ゆかり…安定感と伝わってくる気迫!抜けが良かったです。アイレを感じさせてくれました。
19-20 菊池麻由美…ブラソ、重心移動の軌道がエネルギーを発し、深い海の底から唸り出て来るようなすごみがありました。
19-22 有田ゆうき…重さと力強さメリハリがしっかりつけられ、抜け、決めの部分の静止、とても良かったです。
19-23 平山奈穂…安定感と切れ味、内からあふれでてくる心を感じました。
19-31 黒木珠美…強い!!迫力があり、一歩たりとも引かないまっすぐに向かってくるソレア。鳥肌がたちました!
20-18 佐渡靖子…構成も良く内面性が伝わってきてドラマを感じさせてくれたシギリージャ、素晴らしかったです。
20-22 齋藤朋之…基本にしっかり向き合ってブラソもしなやか!心を込めた踊りに感動いたしました。
20-24 堅正はるか…からだ使いがとても良かったです。振りのひとつひとつから気持ちが伝わってきました。
20-29 佐藤陽美…力強さと小気味良さを感じました。振りと振りの繋ぎの間を大切に!
20-30 津田可奈…構成も良く、すべてに安定感と気迫がみなぎり、後半マチョへの盛り上がりが素晴らしく感動しました。
20-32 久保田晴菜…丁寧なブラソと踊りに強さ、重さがあり、特に出のジャマーダ、印象的で良かったです。
群舞、ギターの選考委員ではありませんが…カンデーラの皆さんのまっすぐなフラメンコのパワーに、森谷忍さんの澄んだ音色に心ときめき、忘れそうになる大切なことを思い出させてもらった気がいたしました。出演者の皆さま、お疲れさまでした。これからさらなる目標に躍進していかれますように…。

<バイレ・群舞部門>
1.奥野裕貴子・SIROCOフラメンコ教室
独特のアイレで展開された群舞。今回はコンセプトが明確であった。
2.鈴木敬子フラメンコスタジオ
久々にユニゾンの美しさを見せてもらいました。10人が各人しっかりと振付をこなし、清々しささえ感じた。
3.カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」
始めの情景からぱっと正面を向き踊り始めた時、空気の変わり方がすごかったです。年令に関係なくフラメンコのアイレたっぷりの7人の踊りに「ole!」でした。
4.フラメンコスタジオ マグダレーナ
「Café de Chinitas」で始まり、10人で踊り継がれた「Zorongo」は心が1つになっていて大きな求心力になっていた。
5. Armonía
実力ある3人による群舞、見ごたえがありました。
6. LAMA y SONACAY
ソロ受賞者2名による「Guajira」。とにかく楽しませて頂きました。
7. La Puerta Abierta
緊張のせいか始め固さがあったが、後半に向けて良くなった。バタ、マントンとともに、練習の成果がみえた。
8. 斎藤克己フラメンコアカデミー札幌
デュオ→ソロ→9人と構成されておもしろかった。この一年の成長がみられました。
<バイレ・ソロ部門>
◎奨励賞に選出
【18日】
和泉冴英香:抑え目のタンゴ、溜があり良かった。レマーテからの抜けに注意。
片桐あみん:シギリージャへの挑戦がすばらしい。何気なく振りをこなしているが、もっとこだわりを!
谷口祐子:慣れたバタさばき、マントンの扱い美しい。
庄子裕子:カンテへのコンテスタシオン不足。腰の浮きが気になったが、タンゴは良かった。
◎佐藤直美:奨励賞に選出しました。よく踊り込まれていて、マルティネーテへの切り換えも良かった。来年に期待しています。
平田かつら:足さばきもきれいで安定した踊り。
松下ひろみ:止めをしっかりと!
◎大岩奈青:存在感があり、足もリンピオ。彼女自身がしっかりと表現された踊り。
山形志穂:テクニカメンテは良い。もっと自分が何を伝えたいかを明確に意識して。
【19日】
鈴木真衣:身体をよく使い踊っているが、コントラが少し不安定。来年も見せてください!
瀧野晴美:メリハリがあり、全身を使い踊っていて好ましい!
服部亜希子:受賞おめでとう!カンテへのコンテスタシオンが素晴らしい。首の切れ、マルカーヘも良かった。
近藤朔:確実に一歩ずつ前進している。止めが不安定。
◎藤本ゆかり:自分をしっかりと持ち、表現された踊り。足は良く動いていた。上体の引き上げを!
◎菊池麻由美:コントロールされた入り方、難しい足を良くこなしていた。
佐藤幸子:全体的に力みが少なくなり、足も安定してきた。
有田ゆうき:雰囲気のある踊り手。溜め、切れもあった。
平山奈穂:おめでとう!安定した腰、リンピオな足。
鈴木雪花:よく踊っていたが、自分の内に向かって何を表現したいかの問いかけを!
◎黒木珠美:おめでとう!すごい成長ぶりです。溜め、Peso有り、バックのムシコスとちゃんと会話していた!
青木千鶴子:魅力ある踊り、ダイナミックなマントンさばき。前回より楽しんでいる感あり!
瀬﨑慶太:リズムのコントロールが良くなった。Vueltaで体幹の弱さを感じた。難しいですが頑張ってください!
富永央子:動き過ぎて止まりの時揺らいでいる。
佐野裕子:彼女によく合った振付です。もっと自分のものにしてください。
【20日】
相田良子:抑えのきいた踊りで、リズムの切り換えが上手い。
伊藤千紘:丁寧な踊り。得意なVueltaを活かしていた。首の前傾が気になった。
佐渡靖子:おめでとう!ダイナミックで大人の踊り。バックのムシスコも良かった。
山中純子:とてもエレガンテ。パリージョも上手く使っている。前回よりはるかに自分の踊りを表現した。
齋藤朋之:この一年の成果が見られました。また新しい一面も見せてくれましたね!
◎堅正はるか:おめでとう!溜め、メリハリがあり抜けも素晴らしい。足もムイ・リンピオ。良くコントロールされた踊り。
渡辺亜矢子:ブラソ表情豊か。長身ゆえ(!?)猫背気味が気になった。
久貝輝代:緊張のせいか表情が硬かった。もっと自分を前に出して表現を!
佐藤陽美:上体の固さ、Vueltaに注意。ゆっくりのマルカーヘを大事に!
津田可奈:おめでとう!しっかりとして足もリンピオ。マチョへの入りが良かった!
◎久保田晴菜:おめでとう!表情豊かなブラソ、足をしている時にも身体(上体)が良くついて踊っていた。
小宮山葉子:魅力的な踊り手。体幹をしっかりと訓練して来年も出演してください!
津幡友紀:モイのカンテに寄り添った踊り。少しせわしい感じはあったが。

今回賞を獲られた方々は、何度も出演されている方が多く、それだけの年数、経験を重ねられており、またフラメンコとしての身体も出来上がっていて、技術的にも優れ、その上でフラメンコを高いレベルで理解し、そして素晴らしい振りをしっかりと自分のものにして踊っている。さらにフラメンコとして大切なノリやアイレ、気迫や心意気などで、十分に皆さんの心に届く踊りを出来た方々なのだと思います。遂にはここまできた姿に胸が詰まる思いでした。
<バイレ・ソロ部門>
私が奨励賞に推薦したのは、
★牛田裕衣:どしっとした重みに、うねり、絞りも出てきた。存在感のある踊り。足もしっかりしていて、コンパス感もある。フラメンコ性も高く、熱い気迫の踊り。
★服部亜希子:フラメンカな上にドラマチック。一時も緩まない空気感。自分の強い意志で踊っている。その気迫、込める力、うねり、絞りもあり、素晴らしい。すべて良かった。内から発するものに胸打たれ、渾身の踊りに感動!オレ!
★平山奈穂:フラメンコとしてのノリはダントツ。印象的な振りが自分のものになっていて表情も豊かでアイレもありすごく魅力的。ずしっと重みを感じる、腰が据わった踊りに目が離せない。
★黒木珠美: 凄みすら感じる、張り詰めた空気感。最初からずっと惹き込まれた。しなやかさと力強さをあわせ持った、緩急があり完成度が高い。腰の据わった芯のある素晴らしい踊りに感動。その激情に心打たれ涙。
★佐渡靖子:重ねてきた年輪を感じる素晴らしい踊り。ここまできたのかと感動。その激しさに心揺さぶられ本当に見入ってしまった。マノも身体も綺麗。マントンもバタも素晴らしい。
★堅正はるか:印象的な始まり。上手い。身体もすきっとしていて無駄のない質感の良い踊り。スカッとしていて良い。込める力もうねりもあって、間合いも表情も良い。
★佐藤陽美:身体しまっていて足もリンピオ。軸がしっかりしていて自然体で気持ちの良い踊り。表情の良さに魅力を感じた。好感度大。打ち出しの強さが出てくると尚良い。
本来ならば、奨励賞に推薦したかった。時間オーバーで失格になられて本当に残念です。
☆池田理恵:テンションの高いノリもアイレもあり表情も良い、とても素晴らしい踊りに思わず惹き込まれた。ここまで完成させるとは凄い。オレ!
特に印象に残った方々は、
☆藤本ゆかり: 切れもあり気迫に満ちた激しい踊り。重みもあって良いが中盤がごちゃつきすぎ。ラストもそのまま帰っていった方が活きる。
☆菊池麻由美:静かだが込める力がある。独特の雰囲気でモダンだが熱く、存在感もある。とても恵まれた肢体。手が遅れるのが気になるがしなやかで強い。
☆津田可奈:上手い。身体が出来ている。ブエルタも良い。込める力もある。凝った振りをよく踊りこなしていて素晴らしいが、激しい踊りなのにどこかに冷たさを感じる。
☆久保田晴菜:身体能力に優れ、しなやかで大胆なその踊りに惹きつけられ、強い思いを何か感じた。フラメンコとしての感情表現について、さらに追求して欲しい。
☆津幡友紀:重みもアイレもありその熱さについ見てしまうが、前半から凄い気迫で迫ってくるので、少し疲れてしまう。もう少し起承転結を付けさりげないところがある方が、そのパワフルさも活きる。
次に印象に残った方々は、
●谷口祐子:マントンは良い。ずっと同じ笑顔が気になったがアレグリアスらしく晴れやか。面白い振りを良く踊っているがマノがバレエ的。
●庄子裕子:足もしっかり、マノ、ブラソも良い。自分の個性を大切に意志を持って踊っている。タンゴの入口が好き。スタイル抜群。表情豊かで魅力的。
●平田かつら:しなやかで凛とした静けさの中に重厚さも激しさも加わりすごく良くなっているが、どこかまだ硬い。もっと動かない方があなたの美しさが活きる。
●大岩奈青:独特のスタイルで味がある。すごく良くなっているのに後半動き過ぎでばててしまって残念。自分の個性は大切に。体力をつけて。
●鈴木真衣:溜めも込める力もあって、上手い。プーロな雰囲気が何かあるのだが、決め手に欠ける。
●西山依里:個性的で面白い。コンパス感も抜群で上手いのだが、わかりずらい。もっと全体にすきっとしたところがいるのでは。
●有田ゆうき:自分の意志を強く感じる。足もしっかりしていてアイレもあり空気感も良いのだが、もう少し内に込めた何かが欲しい。
●内田好美:足の音も綺麗で踊りもしなやかで上手いのだが、全体に少し軽く感じた。以前のような野性味、熱さが感じられず残念。
●鈴木雪花:ずいぶん上手くなってびっくり。素敵でした。激しさに惹きつけられたが、どこかまだ硬い。姿勢に気をつけて。
●山本由紀:パリージョも素晴らしくクエルポも綺麗。しなやかで凛とした雰囲気は良いがもっと情感と力強さが欲しい。
●竹村歩:激しさもあって、抜けも良い。気持ちは伝わるがどこか力を抜くところがいる。
●岡田麻里:軸がしっかりしていてぶれない足。良く踊っていて何か伝わってくるものがある。気迫もあるのだが、しなやかさも欲しい。
●野上裕美:足からの始まりが素晴らしく印象的。上手いのだが見せ所が見せきれていなくて残念。
●久貝輝代:頑張っていて良いが、踊り込みが出来ていないのか、余裕がない。アレグリアスの活気、楽しさが伝わってこない。
●東田美智江:表情が豊かでアレグリアスらしい華やかさがある。ブラソ、マノも良くなった。ジャマーダはもっと強く。どこかに強烈な打ち出しを。
今後に期待したい方々は、
○片桐あみん:子供なのにシギリージャ、と、びっくり。しっかり抜けも良く、雰囲気もある。特に後半が良く意志を感じた。
○松下ひろみ:ブラソもマノも良い。パワフルで綺麗だが、まだ身体の芯が出来ていない。深さや重みがほしい。
○平川亜紀:個性的でパワフル。込めた力はあるが一本調子に見える。切れ味のあるピエも良いが少しハイテンション過ぎ?肩の力を抜いて。
○山形志穂:パリージョも上手く美しいが、重みと強さがほしい。少しバレエ的。
○小島智子:足はしっかりしているが、唄をもっと感じて。ティエントはもう少し重みが欲しい。タンゴにノリを。
○近藤朔:この人ならではのなんとも言えない味がある。少しモダンダンスみたいだが、フラメンコが好きな気持ちが伝わってくる。
○小河由里子:プーロな素直な振りをちゃんと踊っている。身体もしまり、甘さも取れた。どこかに凄い気迫を見せて欲しい。
○寺嶋いずみ:良い振りをちゃんと踊っているのだが、長く感じた。内から発するものがいる。
○大井昌子:足は強いのだが何かがぴりっとしない。頑張っているが少し踊りが荒い。
○田中実華江:スタートのタンゴが面白い。動き過ぎだが、力強く個性もあって良い。
○青木千鶴子:ポーズは美しいが、マントンもバタも踊り込みが必要。上半身のねじりも大切。
○瀬﨑慶太:だいぶ踊りも身体もすきっとしてきたが、もっとこちらに届くような気迫が欲しい。
○富永央子:激しいが少し慌しく見える。いいものはあるのだが、ずっと同じ調子なのが気になる。
○佐野裕子:落ち着いた、安定感のある美しい踊り。上品で自然体のアイレもあり、好感が持てる。どこかにどーんとしたフラメンコとしての強さが欲しい。
○相田良子:ちゃんと踊っているが唄をもっと感じて。肩が上がるのが気になる。どこかにぐっと強い打ち出しを。
○菅家寿幹:このままずっと伸びて欲しいが、どこかにダイナミックさを。
○伊藤千紘:小さいながらよく動く身体。足は凄く印象に残った。
○山中純子:身体をもっとひねって。美しいが何かフラメンコとして訴えかけるものが欲しい。
○齋藤朋之:男性としての歩き方、胸の上げ方が良い。踊りはまだまだだが何か込めたものが伝わってきて目が離せない。
○渡辺亜矢子:マントンを扱うときもっと肘を意識して。女性の美しさを見せてくれたドラマチックな振り。上品で美しい。足を打つときにもう少し外股だと良いのでは。どこかにフラメンコとしての気迫が欲しい。
○河合浩子:ブレリアからのノリは良かったが、上半身、ブラソとマノに女性としての丸みが欲しい。
<バイレ・群舞部門>
今年の群舞はバラエティに富んだ個性豊かなグループが多く、とっても楽しませていただきました。
私が奨励賞に推薦したのは、
★Armonía:実力派3人がそれぞれの個性を活かし、気迫で迫ってきた。溜めの知念さん、込める力の漆畑さん、発するパワーの石川さん。3人の対比が活かされ、面白い構成でわくわくしながら見入ってしまった。
☆カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」:素晴らしい気迫に満ちた子供たちに惹かれ、準奨励賞へと提案。松さんの母のような温かさに包まれた中、子供ながらにフラメンコの心意気を見せてくれた。自分の意志でちゃんと踊っているところが凄い。オレ!しっかりとした身体作りを。
●マグダレーナ:皆、一生懸命でとても良かった。まとまりがあり、構成もしっかり。赤のリボンが効いていた。
●LAMA y SONACAY:揃い踏みが多かったのが残念。フラメンコ性の高い個性の違う2人がどうやり取りするのかと期待していたので、唄の部分をそれぞれが感じた振りを違うレマーテをかけながら踊るとか。もっと熱い気持ちになりたかった。なぜグアヒーラなの?
●斎藤克己フラメンコアカデミー札幌:ソロを踊られた方、アイレ十分でとても魅力的。素敵な踊りに惹きつけられた。次はソロで出演してほしい。克己先生の登場は美学を感じた。群舞の方たちはちゃんとフラメンコを学んでいるのがわかり、女性としてのスッとした美しさに好感が持てた。
○La Puerta Abierta:まじめに取り組んだ群舞。もう少し憂いや含みがあるといいのでは。
○LOS TARANTOS京都:よく揃っていて構成は面白いが、パターンが見えてしまったので・・・。個性的などーんとした踊りの彼女は、ソロで出演されてはいかがですか?他の方たちだけの群舞が見てみたい。
○カデーナ フラメンカ:マノが綺麗できちっと踊っているが、シギリージャとしての熱さや気迫が欲しい。
フラメンコの基礎をきちんと学び一歩ずつ前進しながらフラメンコらしさとは、その曲らしさとは、といつも意識して自分に無理のない振りを、自分の意志で踊れるようになることが大切。身体能力にそんなに優れていなくても良いフラメンコを踊ることは十分に出来るのです。もっと他にも色々な大切なものがフラメンコにはあるのですから。それに気づいて欲しい。気迫ももちろん大切ですが、そればかりでは・・・。本当にそこまで行き着く必然性がいる訳で、どうしたら見栄えがするのか盛り上がるのかばかりを考えていると、大切な何かを見落としていくような気がします。やはり振りが自分のものになっている人は、同じ振りを踊っても伝わってくるものが違います。振りを練習するばかりでなく自分が何を表現したいのかもっと考えて欲しい。それが伴わないと、ややこしい振りを慌しく踊っているように見えたり、物足りない一本調子な踊りになってしまうのではないでしょうか。何もないところ、さりげないところ、ふとした間合いなども大切。ウルトラCの連続ばかりでなく、それは本当に気持ちが行き着いてからにして、もっと自然体の女性としての美しさ、優雅さも欲しいと思うのです。女性は女性ならではのブラソ、マノ(フラメンコ独特の手法)をもっと使って欲しい。男性は男性らしく。自分の個性と感情を大切に自分ならではの踊りを見つけていってください。

フラメンコと遭遇してから56年と半年が過ぎた今も、毎年新人公演に参加することができ、健康に感謝しております。年々レベルアップしているフラメンコに果敢に挑戦している若者の姿を観ることができ、私自身の勉強にもなり、心からフラメンコに出会えたことに感謝しながら、今年も楽しく過ごさせてもらえた3日間でした。
今年一番心を打たれたのが群舞です。群舞とは大勢群がって舞い踊ることです。これが根本!レベルの高い仲間達が数名で踊っている姿もそれなりに素敵でしたが、カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」はフラメンコ大好きな仲間達が大勢群がって、まさに蝶がフラメンコと言うお花畑で舞っている、なんとすばらしい、なんと素敵な群。フラメンコ野郎達なのだろうと感心しました。指導する人も大人になった人も、子達も、皆んなが一丸となっていて、すばらしい作品になっていると感心しました。ありがとう!皆さん!お疲れ様でした。
私が今回強く印象に残った方々を数名だけ挙げてみました。始めに、池田理恵さん、この一年間頑張って、晴れの舞台に立てたのに、時間オーバー失格!が何とも残念です。バックとの噛み合いが少し気になってはいたのですが…まさか!中身は堂々としていてすごく良かったですよ!来年も期待して、待っています。
次に津田可奈さん。私個人としての意見は、すでに4年前最強のメンバーに恵まれ、完全にフラメンコの世界に入っていて、最高の得点でした。ひとまずはお疲れ様でした。これからも前進し続けてください!期待しています!
佐藤陽美さん、ますます上手になられていたのにびっくり!すっかりベテランの味がしみ出ていました。舞台なれした技術と音感!唄も自分の物にして踊っていたと思いました。
久保田晴菜さん、昨年に続き増々上手に、サパテアードも味がついて来て、堂々と自分を押し出して来ましたね。貫禄有る重さや、雰囲気さえも感じられました。今回の一押しです!
平山奈穂さん、すごいバックに支えられ、臆することなく堂々と踊っている姿が頼もしかったし、気持ちよかった。これからもこの調子で頑張ってください。
渡辺亜矢子さん、久しぶりにほのぼのと温かいフラメンコ愛好家の仲間達の広げる、明るく素敵なレベルの整ったフラメンコを観せて頂きました。ありがとう!

カンテはバイレやギターより難しいことはわかっていますが、まだ参加者の方々は知識が不足しているように思います。CDで勉強するのではなく、経験や知識が豊富なマエストロに習うべきです。
女性の参加者が多く見られたこと、そして、みなさんがフラメンコへの愛を見せてくれたことを、私はとても喜ばしく思います。どうぞこれからも、学び続けてください。がんばって!

今年もまた、ANIF主催のフラメンコ・ルネサンス21が終了しました。厳しくも希望とエネルギーに満ち、何よりも成長し続けようとする意欲と我々にこの“flamenco”というアルテを共有しようとする気持ちに溢れた3日間でした。
毎年、皆さんのこのイベントに参加する決意、努力、強い意志の力に、個人的にとても驚かされます。出演者(バイレ、カンテ、ギター)が演ずる数分間には、それまでの長い時間と努力があります。すべての参加者に対して、この新人公演が今後も日本で最も重要なイベントであり続けるよう、応援し続けます。
レベルは毎年上がり、厳しいものになってきています。フラメンコが真の世界遺産であること、また心と魂を込めたものは、国境、人種、国籍をも越える。そのことを目の当たりにできることを誇りに思います。
参加されたすべての皆さん、またこのイベントの実施に関わられた皆様、ありがとうございます。そして、ANIFのこのアルテに対する活動とそれに関わる全ての皆様、ありがとうございました!

昨年、奨励賞の選考委員をはずれ、ずいぶん久しぶりに新人公演を一観客として見た。そのおかげで、フラメンコ舞踊の多様性を楽しみ、個々の出場者の努力に感じ入るという、かつて純粋に新人公演ファンであった頃の感覚が蘇った。正直いって舞台は水もので、どんなに素晴らしいアーティストでも、日によって出来不出来はある。たった一度の本番で、出場者の真価がわかるわけではない。けれども、多くの観客にとって、出会いはその一度だけ。一期一会の舞台で、余すところなく自分自身を刻印していただきたいとの思いで拝見している。今年の新人公演も、そういう意味で非常に面白かった。中でも私が感動したのは、何度も出場している方々の成長ぶりで、そのうちの何人かの説得力のあるステージには迷わず高評価を付けた。また、歴代受賞者である山田あかり(カンテソロ)、正路あすか(バイレソロ)両名によるエキシビジョンも、3日間のエンディングにふさわしい、見応えのあるものだったことが非常に嬉しかった。
実はここ数年、必死の努力を重ねて舞台に上がった人々に、選考委員という立場からもの申すことが苦痛になっていたのだが、今回はいつにも増して、新人公演の奨励賞というものが、出場者の長年の努力と成果にしっかりと応える形で与えられるのだと感じた。とすれば、自分がそこにわずかでも携われたことはいかにも幸せなことだ。
フラメンコ舞踊を大きな山に例えれば、頂上に向かう登山道はひとつだけではない、と以前どこかで書いた。けれど今は、フラメンコ舞踊は多くの山々から成る連山のようなものかもしれないと思う。フラメンコを志す人々が個々の山を目指し、あるいは自身の山を築きながら、努力を続け、ひとつずつ小さな成果を挙げている姿に、私は非常に感銘を受ける。新人公演に出場した全ての人々に拍手を贈りたい。
以下は、印象に残った出場者についてのメモから。
(◎=高評価、○=評価、△=今後に期待/★=奨励賞に推薦、☆=特別賞)
<バイレ・ソロ部門>
【18日】
○谷口祐子/バタ・デ・コーラとマントンのアレグリアス。マントン使いが優雅で美しい。リズムの楽しさもあって、ワクワクさせた。しかし、今年は同じような演目が多く、ソロにはもっと突出した個性が必要と感じた。上手に使えるという以上の何かが。
○佐藤直美/シギリージャ。気持いいコンパス。メリハリもあってgood! あとは大舞台でやる場合の大きさ。大きく動くという意味ではなく、中のエネルギーを膨らますという意味で。
○池田理恵/シギリージャ。佳い踊り手。メリハリがあって舞踊的に上手いが、あともう少し深みがほしかった。
△牛田裕衣/タラント。よくよく踊り込んだのか、達者な踊り。しかし前半、ちょっと頑張り過ぎか。緩急がほしい。タンゴになってから、自由な感じがよく出ていた。
○松下ひろみ/シギリージャ。コントロールがきいていて佳い踊り手。しかし、曲としては盛り上がりに欠けた。体力的なことも含めて、力配分の工夫を。
◎大岩奈青★/シギリージャ。ムイ・フラメンコ!この日いちばん、ゾクゾクした。コンパス感が心地よい。惜しむらくは、ブエルタのキレが今ひとつと見えてしまうこと。体の使い方にさらに工夫をこらし、このままフラメンコの恰好よさをずんずん求めていって!
○平川亜紀/ソレア・ポル・ブレリア。小柄だが踊りのセンスが良く、なかなか魅力的。だが、全般的に中のエネルギーが小さい。特に後半はもっと膨らませてほしかった。
△山形志穂/パリージョのシギリージャ。踊り込んでいる感じはあるが、無難な印象。振りに自発性が乏しい。もっと自分の踊りにしてください。
【19日】
○小島智子/ティエント。よく踊れている。ブラソが美しい。ただし、まだ振付をなぞっている感が否めない。もっと自発的に踊れるように頑張って。
△瀧野晴美/ソレア・ポル・ブレリア。よく鍛えられた身体。だが、発するエネルギーが小さいせいか、踊りというより、運動のように見える。表現力を養って。
○服部亜希子/シギリージャ。キレがあって非常に上手い。ただし、求心力に難。もっと惹き付ける工夫がないと、客は置いていかれてしまうのです。
◎藤本ゆかり★/ソレア・ポル・ブレリア。別人かと思うほど迫力と表現力に富んでいた。ステージの使い方にも進歩のあと。踊り全般に非常にコントロールがきいていて、素晴らしい踊り手に成長した。平板になりがちなソレア・ポル・ブレリアが、これほど感動的なものになったのは驚きだ。お見事!
◎西山依里/タラント。しなやかさが際だつ踊り。自分らしさがあって、非常に佳い踊り手。しかし、なかなか突出するところまでいかない。もっとフラメンコのセンティードを深掘りしてみては?あなたなら出来る!
○菊池麻由美/シギリージャ。長くて雄弁なブラソが印象的。美しい踊り。しかし後半、息切れの感。惜しい。
△有田ゆうき/ソレア。なかなかフラメンカ。全般的に好印象だが、これぞ!と光るものが感じられない。好きなことを徹底的に突き詰めてみてほしい。
◎平山奈緒/ソレア。佳きフラメンカ。身体も良く使えているが、ブエルタが今ひとつで損な感じ。苦手は克服するに越したことはないが、見せ方を工夫するのもひとつのやり方。そして自分のやりたいところをさらに磨いてほしい。
△内田好美/ソレア・ポル・ブレリア。あれっ?と思ってしまった。上手い人だけに期待していたが、今回は厚みに欠けた。存在感、個性は有している。頑張れ!
○鈴木雪花/シギリージャ。果敢なる挑戦と見えた。今のところ、まだ荒削りの感はあるが、大きな踊りが踊れる人だと思う。エネルギーのタメをもっと。下半身に安定感をもっと。芯を太くして。
△竹村歩/ソレア・ポル・ブレリア。なかなかのフラメンカ。良く踊れているけれど、自分を出していくには、リズム感も身体も表現力ももっと磨くべし。衣装が踊りをどう印象づけるかも意識して。
△大井昌子/ソレア・ポル・ブレリア。面白い才能の持ち主だが、やや雑な印象。後半は少し単調になった。丁寧に、息切れしないよう、精進して。
◎黒木珠美★/ソレア。長いこと、「踊り巧者」だけど決め手に欠けると書いてきたが、今年は化けた!開き直ったかのように個性がにじみ出て、ソレアという演目を良く消化していて、非常に見応えがあった。ここまで精進してきた方が大輪の花を咲かせるのを目の当たりにするのは、心から嬉しい!
△田中実華江/ティエント。ツボを押さえて、フラメンカな踊り。あと一歩、自分の魅力を押し出す勇気がほしい。自分だけのものを。
△青木千鶴子/バタ・デ・コーラとマントンのアレグリアス。バタ使いが上達して優雅だった。しかし、今回は同じような振付の演目が多く、技術は当然ながら、それ以上の表現力があるかないかが評価の分かれ目となった。さらに頑張れー!
△岡田麻里/ソレア。悪くない。フラメンコのセオリー通りではあるけれど、新味や個性が感じられず、新人公演では埋もれてしまう。もっと自分の踊りを目指して。そのために何が必要か考えて。
【20日】
△野上裕美/ソレア。良くコントロールされ、中が充実している感じで、踊り手としての質の佳さを思わせた。ただオーソドックスな振付が、素直ではあったが、見せる決め手に欠けた。これから!
◎佐渡靖子★/バタ・デ・コーラとマントンのシギリージャ。うぅーーー!何と充実した踊りだったろう!マントンとバタでこれほど内実を感じさせるとは!本当に佳いものを見させてもらいました。Muy bien!!
◎堅正はるか/タラント。身体は出来ているし、踊りも上手いし、見せ方の工夫もあった。あと一歩のところをどう突破するかといえば、フラメンコを深掘りすることかと。
△久貝輝代/バタ・デ・コーラとマントンのアレグリアス。踊りは上手くなった。だが、まだ振付をこなしているところに留まっている感。あと、エスコビージャがパルマの音で聞えないのは損です。
○河合浩子/アレグリアス。小柄だが非常にエネルギッシュで、舞台を大きく使えたのが良かった。ただし足はマイクの前でやってほしかった。楽しさは客も共有したいのです。
△佐藤陽美/ソレア・ポル・ブレリア。気持ちの良いノリ。それを感じさせるだけでも凄いことだが、新人公演で7分30秒ソロで踊るためには、もう少し内側からの表現力を磨く必要があるかも。
◎津田可奈★/シギリージャ。精進しましたねえ。非常にコントロールのきいた、緊張感のある演目で、見応えがあった。舞踊度高し!
◎久保田晴菜★/ソレア。うわぁ、本当にびっくりした。今までのあれやこれやを全部払拭し、見どころ満載な上に、非常にコントロールのきいた素晴らしいソレア!最後まで惹き付けられた。Ole!
◎津幡友紀★/ロマンセ。小さなヒターナの圧倒的なエナジー!ばんざーい!!
△東田美智江/アレグリアス。踊れる人のようだが、唄振りが忙しく感じるのは、振りに追われているから?せっかくのアレグリアス、リズムの面白さをもう少し感じさせてほしい。
△山内佳代子/アレグリアス。まずまず個性的。エスコビージャが楽しい。しかしクエルポがまだ。表現力のある身体を作って、自分の好きなことを追求してほしい。
<バイレ・群舞部門>
○カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」☆/「すばらしい!」としかメモがない。小さな子供達が、群舞とは思えないほど生き生きとした踊りを見せ、それがいかにもフラメンコに見えたことに感動した。個人的には群舞で最も楽しめた演目。だから、この組が結果として奨励賞でも準奨励賞でも異論はないのだが、私の当初の採点欄には「特別賞」とあった。つまり、奨励賞対象としての採点を留保したのだ。なぜ留保したのか。それは、子供達の生き生きした踊りが、果たして彼らの自発性に基づいているか、私は驚き以上の感動を認めたかという、いくつかの躊躇があったためだ。もちろん、繰り返しになるが、演目としてはこの上なく楽しかった。今後、カンデーラがまた、私の躊躇など吹き飛ばすほどの群舞作品を携えて出場してくれることを心から願っている。
○Armonía/よく踊れる3人による厳しいマルティネーテ イ シギリージャ。踊りは見事だったが、何故だろう、私としては胸に迫るほどの感動には至らなかった。そこが群舞の難しさか。迫力はあったが、全体に色が均一になり過ぎた感がある。せっかく踊れる人々がやるのだから、もう少し自由な部分があっても良かったと個人的には思った。
◎LAMA y SONACAY★/かつて新宿にあったエル・フラメンコでメインの踊り手だったスペイン人のバイラオールに、あなたはそんなにフラメンコが好きなのに、どうしてステージではバイラリンみたいな構成にするの?というような質問をしたことがある。彼は、日本人はファルーコ(祖父のほう)とかカルメン・アマジャとかが好きだけど、決してヒターノにはなれないだろ?僕だって同じだから、作り込んで踊るんだよ、みたいに答えた。暗い顔して。日本のプロの踊り手も、長いこと同じようなことを言っていた気がする。だから、今回のように、フラメンコだけで大舞台で遊んでみせ、観客を楽しませることができることを証明してくれた2人のバイラオーレスが、私には眩しくて仕方なかった。完成度はともかく、私は彼らの勇気と日々の精進に感嘆した。ほら、日本のフラメンコもやっとここまで来たよと、私はあの日の自分に言いたい。日本人による群舞(というかパレハだけど)の新しい可能性が見えてきたステージ。ありがとう、LAMA y SONACAY!

1番・塩谷(ブレリア):
⑥②①弦を変則に下げたReオープンチューニングのモデルノ曲。
テクニックも良く曲想も良かったが・・・各レマーテの追い込み部がややはしるのが残念。
2番・森谷(シギリージャ):
渋い伝統的スタイルのシギリージャ。
プルガール(親指)で歌わせるテクニックも良く感情を良く表現した演奏だったが、ファルセータ中にコンパス感があまい部分が何箇所か有り気になった。
3番・池川(ロンデーニャ):
前半はゆったりしたリブレなロンデーニャ+後半はリズミックなロンデーニャ。
情感をしっかりとギターの音で表現して良い演奏だった。さらに最後のピカードが決まればもっと良かった。
4番・福嶋(ソレア):
しっかりした演奏だがソレアのコンパスのアクセントが大げさに聞こえすぎる。
それと楽器の関係か音潰れが多かったのが残念。
5番・和田(グァヒーラ):
自作のグァヒーラ。曲のもつメローな感じは出ているが演奏がソフトすぎる。
フラメンコなのだからもっと快活なキレがあると良かった。
6番・鈴木(シギリージャ):
伝統的な響きのシギリージャ。
演奏は独自のタメを作り良かったが、後半のカバール部はテンポ設定が速かったのか音もれが多かった。
7番・内山(ブレリア):
ロンデーニャ調弦の自作ブレリア。
曲は良かったが…ラスゲアードの音量とファルセータ(指弾き)の音量の差が大きすぎて肝心の旋律が聞き取りづらかった。

入賞も決まりましたが、小生の印象の強かった踊り手を紹介させて頂きます。
18日庄子裕子:自分の踊りになりきっている
19日瀧野晴美:踊りを自分にこなしている
19日服部亜希子:重厚感がありサパテアードの強弱の使い分けがうまい
19日平山奈穂:長いドレスで情感をうまく表現
19日黒木珠美:黒の衣裳が映え、サパテアードが見る人の心にひびく
20日堅正はるか:踊りの切れ味抜群、動きの間が良く充分楽しませた
20日佐藤陽美:激しいサパテアードが印象的
20日津田可奈:力が入り過ぎる。柔らかい表現を取り入れたら
20日小宮山葉子:エネルギッシュな踊りだが、顔の無表情が気になる
全体に踊り手のレベルが上がって今回は水準が高かった。群舞は気に入った作品がなかったのが残念でした。

今年も全ての方の舞台を拝見しました。例年の長丁場ですが、こちらも慣れてきたのか集中力を切らさずに乗り切れたので、よかったです。
まずはギター部門から。僕が票を入れたのは森谷忍さんです。それは見事なシギリージャでした。一番感激したのはご自身の音色をお持ちだということです。よく枯れた愛器から響く音色は一朝一夕に得られるものではないでしょう。気力も真っ直ぐに演奏に現れ、迫力十分。リズムも安定している上に、メロディとハーモニーがくっきりとしてわかりやすい。安心して聴ける名演でした。その裏には、弾けるものと弾けないものを厳密に見極める姿勢と、ファルセータをどう弾くかといった研究の日々があったのではないかとお察しします。ぜひまた、拝聴の機会を熱望します。また、池川史洋さんのロンデーニャ、福嶋隆児さんのソレアも甲乙つけがたく、奨励賞を受賞されても遜色のない出来栄えだったと僕は思います。お二人とも過去の新人公演で拝聴していますが、今年が一番よかったです。
次にカンテ部門です。カンテを聴くにあたり、メロディのアクセントこそがカンテの醍醐味だと思いを新たにしています。そこには音程、発声・発音、リズムなども渾然一体となってくる。……ところがどうしたことか、そんなことはすっかり忘れて、結局のところ「あぁいいなあ」と思うかどうかという、素朴な気持ちで票を投じました。それで今年も熊谷善博さんに入れました。熊谷さんの歌は、カンテを丸ごと呑みこんでいるような感じがしたのです。その歌に不思議とピュアなものを覚え、ほだされました。
続いて、バイレ・群舞部門を。なんらかの感性が欠落しているのか、幼い子が踊ろうと老年の方が踊ろうと、舞台である以上は、「子どもが踊るとかわいい」「ご老体なのにすごい」という人情を僕は勘案しないようにしている気がします。なぜなら、舞台だからです。舞台を見る以上は、一定の技術を求めます。これは数ある物の見方のわずか一つに過ぎません。さておき、僕はカンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」に投票しました。先生を除く7人が小学生くらいの子どもたちの群舞です。一見矛盾するでしょうか?僕は彼らをカッコいいと思いました。伴奏の繰り出す音に対して、素晴らしい反射神経でバシッと踊りを決める姿は、優れたアーティストでした。正直なところ前後の演劇的なシーンはなんともわからなかったのですが、中核を成すフラメンコでいい踊りをしており、感激しました。また、奨励賞を得たArmoníaですが、2011年にバイレソロで受賞した知念響さんが非常に印象的でした。あれから6年が経ち、久々に踊りを拝見しましたが、さらに上手くなっている!びっくりしました。鍛錬を怠ることなく日々を過ごしてきたのだと思うと頭が下がります。なお、カホンを叩いた朱雀はるなさんや、ホセ・コロンのプレイもさすがプロだと感心してしまいました。余談ですが、伴奏を楽しむのも新人公演の見所です。
最後にバイレ・ソロ部門です。票を入れた方は、牛田裕衣さん、藤本ゆかりさん、平山奈穂さん、黒木珠美さん、久保田晴菜さん、竹村歩さん、伊藤千紘さんです。
牛田さんはごく普通にタブラオで踊っていそうな雰囲気を感じました。リズムに香りがあるというか。地力があると思うので、花が咲く日は近かろうと期待しています。藤本さんは、動作がキビキビしており、軸は真っ直ぐ、横のラインもキレイで、ズシッとした佇まい。堂々としていて、昨年からいいレベルアップをしていると感じました。受賞されてもおかしくなかったと思います。平山さんは面目躍如でしょう。CAFコンクールで優勝し、勢いそのままに行きましたね。縦横に舞台を広く使い、気合いも入っている上に、それでいて踊りが上品。あれだけ動きながら、端正に踊りをまとめるセンスは素晴らしいです。自分がよく見えているのでしょう。黒木さんは烈火な感じでよかったです。気合いが漲っていて豪快、でもリズムはきっちりハマリ、そして客席に向かって踊るところが好印象でした。
久保田晴菜さんの魅力はなんといっても大きな踊りでしょう。広い可動域を活かしたブラソは大変見栄えがよく、記憶に残ります。これまでも良かったのですが、今年受賞したのは、曲種を変えたから?去年はアレグリアス、今年はソレア。2014・15年はタラント、2011年はロメーラ。うまく説明できないのですが、徐々に良くなってきているのは感じていました。それが一定のところまで達したということだと思います。竹村さんは後半ブレリアになってからよくなりました。舞台を広く動きながらも、身体は一定の美しさを保ち、いい熱を帯びていました。ソレアからこの質だとなお良かったです。
伊藤さんは足も身体も腕もリズムも、それぞれに一定の水準に達していたのではないでしょうか。特にリズムによい雰囲気があったと感じました。
最後に、池田理恵さんはもったいなかったです!入れようかと考えていましたが、時間オーバーということで泣く泣く外しています。切れ味鋭く、よく攻めた踊りでした。では、来年も会場でお目にかかります。

2017.09.25
第26回 新人公演「フラメンコ・ルネサンス21」


写真:大森有起
2017.08.20
8月20日、公演終了後に行われました選考会を経て、下記の通り受賞者が決定致しました。
第26回新人公演「フラメンコ・ルネサンス21」 選考結果発表 ※出演順
【奨励賞】
・バイレソロ部門
服部亜希子 19日 13番
平山奈穂 19日 23番
黒木珠美 19日 31番
佐渡靖子 20日 18番
堅正はるか 20日 24番
津田可奈 20日 30番
久保田晴菜 20日 32番
・バイレ群舞部門
Armonía 18日 22番
(石川慶子、知念響、漆畑志乃ぶ)
・ギター部門
森谷 忍 19日 2番
・カンテ部門
松橋早苗 20日 6番
【準奨励賞】
・バイレソロ部門
佐藤陽美 20日 29番
・バイレ群舞部門
カンデーラ発「ともだち列車 たからもの号」 18日 11番
(大橋新、尾場心彩、小山弥波、須田絵美莉、福田紘夢、松木晶乃、向江保葉、松彩果)
※18日8番 池田理恵 時間オーバーにより選考の対象外となりました。
以上
2017.06.20
第26回新人公演「フラメンコ・ルネサンス21」
8月18日(金) 開場17:30/開演18:00
8月19日(土) 開場15:30/開演16:00
8月20日(日) 開場15:30/開演16:00
●場所 なかのZERO大ホール
●チケット
一般/(前売り)¥4,000 当日¥4,500
会員/(前売り・当日共)¥3,500
●座席予約指定券
1席/¥2,000
⇒チケットの前売り販売は終了いたしました。当日会場にて当日券をお買い求めください。
★並ばなくても座って観られる「新人公演・座席予約券制度」
遠方からお越しの皆様や、ご高齢のお客様などが長蛇の列に並ばなくとも安心してご入場頂けるよう、今回の新人公演でも「座席予約券制度」を実施することとなりました。 全体の一割程度を目安に、規定枚数以外は受け付けない事とし、一般入場者への配慮を心がけ実施します。
◇名称:座席予約指定券
◇対象:列に並ぶことが困難な高齢者や、時間的に不都合な方など
◇利点:事前に座席を確保することが可能
◇予約座席数:各日100席程度
◇料金:2,000円
◇申込方法:チケットフォーム、または協会事務局までお電話にてお申込みください。
※入場の際は、別途通常のチケット(入場券)が必要ですのでご注意ください。
※申込順にセンター中央から席をとり、規定枚数に満たない場合は自由席として解放します。なお、お客様からの座席の指定はできませんので御了承ください。(なかのZERO大ホールの座席表はこちらでご確認ください。)
2017.05.22
2017.05.17
新人公演出演者各位
メールアドレスご登録のお願い
日本フラメンコ協会では、新人公演出演者の皆様に、メールアドレス(メールマガジン)のご登録をお願いしております。
新人公演に関する連絡事項や選考結果速報などをお送りする際に必要となりますので、お手数おかけしますが、当協会HP内の以下ページにアクセスしていただき、メールアドレスご登録のほど、何卒よろしくお願いいたします。なお、当日やリハーサルなどの緊急の際にも利用する場合がありますので、いつでもどこでも受信できるスマートフォン、または携帯メールアドレスが望ましいです。ご登録いただいたメールアドレスには最終日の選考会終了時に“結果速報”を配信いたします。
【重要】今年度より、緊急時や結果速報だけでなく、従来郵送(手紙)にて通知していた連絡事項をこちらのメールマガジンでお送りする場合がございますので、出演が決定された方は早急にご登録をお願いいたします。
■新人公演出演者用登録フォーム
⇒http://www.anif.jp/ctt_anif_melmaga.htm
ANIFサイトのトップページ「新人公演」のバナーからもアクセス頂けます。
↓以下の事項も合わせてご確認ください。
※自宅や会社のメールから携帯へ転送などをかけている場合は、携帯アドレスでなくても構いません。
※昨年出場されている方も改めて再度ご登録お願いします。
※群舞でご出演の方は、代表者おひとりのご登録で大丈夫です。
※電話やFAX対応はしておりませんので、必ず下記フォームまたはアドレス宛てにご送信ください。
※いただいた個人情報は、事前の同意なく第三者への開示、転用等はいたしません。
【ご登録方法】
1.メールアドレスをお持ちの方はフォームから直接ご登録ください。
ご登録後に「メールマガジン登録のご案内メール」が送信されますので、本文にある「登録完了URL」へアクセスしてください。アクセス後、「メールマガジン登録完了のお知らせ」が送信されたら登録完了です。
★注意:フォームから「登録」しただけではまだ登録は完了しておりません!必ず「登録完了URL」にアクセスし登録を完了させて下さい。
2.メールアドレスをお持ちでない方、またはフォームからうまく登録ができない方は下記へ送信してください。
下記登録内容を送信後、数日以内に「メールマガジン登録完了のお知らせ」が送信されたら登録完了です。
宛先:flamenco@anif.jp
<必要記入項目>
・件名「2017年新人公演 出演者連絡先」
・会員番号/氏名/出場部門(バイレソロ・バイレ群舞・カンテ・ギター)
・メールアドレス、電話、FAX等(ただし、緊急時に対応できるもの)
●メールマガジンの内容
◇メールマガジンの名称: 2017年ANIF新人公演出場者用特別便
◇メールマガジン名:sinjin2017@mm.anif.jp(送信元メールアドレス:sinjin2017-owner@mm.anif.jp)
※迷惑メール対策などで受信拒否設定をしている方は、登録メールや完了メールが届かない場合がございます。今一度ご自身のスマートフォン、携帯電話の設定をご確認の上、上記アドレスを受信許可リストに追加してください。
2017.05.15
第26回新人公演に多数のご応募をいただき、ありがとうございます。
今回は全ての部門において応募数が定数を超過するという大盛況となり、特にバイレソロ部門には、過去最多となる101名の申込みがあったため、規定に則り先ず参加資格上位の58名を決定。次に優先順位上位の13名(4年継続、4年在籍)の皆様を対象に抽選会を実施するかどうかを(該当者には抽選会の通知済)現在調整中です。
ギター、カンテ、群舞の3部門は、抽選には至らず定数にての締め切りとさせていただきました。
応募者全員のご希望に応えられず残念ではございますが、今回参加が叶わなかった皆様には、次回優先的に参加できる資格(次回優先権)が与えられます。ぜひ来年度の参加をお待ちしております。
同時に募集致しました奨励賞受賞者枠には、バイレ1名カンテ1名の応募があり、決定となりました。
定数、応募総数は下記のとおりです。
【定数・応募総数】
部 門 定 数 応募総数 超過数
バレソロ 62 101 39
群舞 8 9 1
ギター 7 11 4
カンテ 13 19 6
合計 90 140 50
なお、参加者及び出演順の決定は16日(火)を予定しており、お申込み頂きました皆様には、翌日以降、郵送にて通知をお送りいたします。
以上
2017.04.17
フラメンコ・ルネサンス21
第26回新人公演 募集要項
◆目 的 日本フラメンコ界の発展向上のため、明日を担うアルティスタの発掘、育成を目的とする。
◆日 時 2017年8月18日(金)・19日(土)・20日(日)
◆会 場 東京:なかのZERO大ホール
◆参 加 資 格 2017年2月28日迄に入会済の日本フラメンコ協会正会員(国籍、性別、年齢不問)である事。群舞参加者に限り、代表者以外の初年度会員も可。
ANIF最高顧問、会長、副会長、理事長、理事、事務局長、いずれか1名の推薦を必要とする。※推薦人の承認印・サインは、本人の承認があれば後日でも可
◆参加部門・募集組数
以下の4部門 90組以内 出演日 入場券負担枚数
①バイレ・ソロ 62名 全日 30枚/7分30秒以内
②バイレ・群舞 8組 18日 60枚/7分30秒以内
③ギター・ソロ 7名 19日 20枚/5分以内
④カンテ・ソロ 13名 20日 20枚/5分以内
【特注】各部門共に募集組数は目安程度とし、申込状況に応じて配分する。
◆参 加 費 1曲/1万円
入場券価格 会員価格…3,500円/前売り・当日共
一般価格…4,000円/前売り 4,500円/当日
※全自由席とし、別途座席予約指定券(2,000円)を発売する。
◆申込方法及び受付
①申込用紙(推薦人を明記のこと)に必要事項を記入する。
②参加費を添えて協会事務局へ持参又は郵送する。
③参加資格(協会正会員)のない方は、更新・入会手続きを完了する。
注➠①②③が揃ってから受付受理。
◆受付期間 5月8日(月)10:00~5月13日(土)18:00 迄(代理人可)
注➠持参・郵送を問わず、締切日(5月13日)一括受付とする。
注➠申し込み締切り時に募集定数を超過した場合、協会継続(在籍)年数を優先する。
なお、優先順位が同じ場合は、公開抽選により決定する。(5月16日、15:00)
◆出 演 順 出演順は運営委員会にて抽選により決定し、出演者に通知する。
◆部 門 賞
*協会が依頼する各部門別選考委員の選考により、複数の部門別奨励賞を設ける。
*奨励賞は、3日目終演後の選考委員会にて決定し翌日発表する。
*奨励賞等授与式は2018年1月28日(日)、中野サンプラザにて開催予定。
◆伴 奏 者
*伴奏者は出演者が用意する。伴奏者用マイクは5本以内とする。
*バイレ・ソロ、群舞部門=ギター、カンテ、パルマ、パーカッション等を含む3名以内。
*カンテ部門=ギター伴奏1名のみとし、他の楽器類及び伴唱は認めない。
*ギター部門=ソロのみとする(伴奏、伴唱は認めない)
*バイレ・ソロ、群舞部門はCD(録音)伴奏も可、ただし生演奏との併用は不可。
*カンテ・ソロ部門、ギター・ソロ部門のCD(録音)伴奏は不可。
◆備 考
*定員超過により参加できなかった場合のみ、参加費は返還する
*出演順決定後の取り消しは、規定通りの入場券枚数を負担する。
*本番での持ち時間超過は賞の選考対象から除外。
*椅子以外の道具類、幕類の別途使用は不可。
◆主 催 一般社団法人 日本フラメンコ協会 Tel03-3383-0413 Fax03-3384-5711
【重要補足事項】
◆『日本カンテ・デ・ラス・ミナス音楽祭』に関しまして
ラ・ウニオンのカンテ・デ・ラス・ミナス音楽祭への派遣は、第25回新人公演に併設して開催した『第2回・日本カンテ・デ・ラス・ミナス音楽祭』をもって、残念ながら一旦白紙に戻すことになりました。日本とスペインとの慣習や文化の違いなどから、実際に派遣に至るまでの間にクリアしなければならない課題が多く、現状のままでは継続は困難と判断いたしました。諸事体制が整っての再開も視野に入れて、一旦終了といたします。
◆『歴代奨励賞受賞者参加枠』新設につきまして
協会では、過去に新人公演奨励賞を受賞した人達のお披露目の場を模索し、討議を重ね続けた結果、この度、第26回新人公演から『歴代奨励賞受賞者参加枠』を新設することにいたしました。
この枠はウニオンへの派遣には関係なく、新人公演の2日目、3日目の最後に設けられる、奨励賞受賞者のみが参加できる特別枠となります。通常の新人公演とは参加資格が異なり、別の応募要項にて参加者を募ります。参加人数はバイレソロ4名、カンテ1名、ギター1名の計6名で、応募人数が超過した場合は、公平に抽選で決定させていただきます。詳細は別途『歴代奨励賞受賞者参加枠』募集要項をご確認ください。
◆新人公演伴奏者の参加資格につきまして
舞踊だけではなくフラメンコに関わる人達すべてに門戸を開いている協会は、ギターもカンテも新人公演参加者はすべて協会正会員に限定されています。一般参加を認める公演やイベントも開催しておりますが、この新人公演に関しては、伴奏者も協会正会員に限定するのが相応しいのではないかという意見が根強くあり、その対策に苦慮してまいりました。しかし、協会員に限らず好きな伴奏者で出演したいという参加者も多く見受けられるため、なかなか決断に踏み切れないのが現状です。これからも「新人公演は、伴奏者も協会協会員であること」等の参加資格を加える方向で慎重に討議し、調整してまいりますが、今回は決定には至らず従来通りとなりました。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
2016.07.22
2016.07.22

第25回、すなわち「四半世紀続いてきた」ことを証明する今回の新人公演「フラメンコ・ルネサンス21」も、幸いなことに、盛況のもと成果を挙げながら、つつがなく終えることができました。統括責任者としてはホッとすると同時に、出演者、関係者、観衆の方がた、すべての裏方さんたちが熱意を込めて公演を成功に導かれたことに対し、深い感謝を捧げたいと存じます。
私はバイレに関しては選考委員ではありませんが、今年もすべての出場者を拝見し、それぞれに示される渾身の演技に打たれるところ少なくありませんでした。奨励賞を贈られた方々の踊りはいずれも何らかの意味で印象深いものがあり、ご受賞には心よりの「おめでとう」をお伝えしたいと思います。また、当然ながら、「ラ・ウニオン行き」を目指された方々(かつての奨励賞受賞者)のアルテには格別なものがあると感じさせられました。中で、推薦に浴された屋良有子さんには、ぜひかの地で素晴らしい成果を挙げられるものと期待が高まります。
ギター部門の出演者は6名と少なく、また、飛び抜けた感じを残す人は居なかったというのが実感ですが、中で奨励賞の宇田川卓俊さんは、明るく魅力的な音色と“乗り”の良さをもって、高い技量を示されました。カンテ部門はそれに対して16名という多さ、しかも全体的な水準は、往年に比してみれば、確かに上がったと思わせるものがありました。たとえば不用意な“日本的”節回しの混入など、聴き手に「あれ?」と思わせるようなところが本当に少なくなり、この一時からも、日本のカンテを志す人びとが、日頃まじめに、正しい道を歩んでいるのだということが伝わってきました。4対12という男女の比率は、バイレの世界の“日本的特徴”がカンテの畑にも及んだかのようで釈然とはしませんが、男性の中でもダニエル・リコさんはこれまで彼を聴いた内では最もフラメンコ的に歌っていましたし、定直慎一郎さんも、まじめに筋を通した納得のゆく歌でした。ただ、これは彼らにだけではなく全般的に言えることですが、もうひとつ自在かつ自発的に、言い替えればカンテの内に深くはいり込んで歌う境地を、ぜひ身につけて欲しいと感じます。奨励賞の許有廷さんは、準奨励賞を与えられた4年前に比べると、1回りも、2回りも芸境に磨きをかけ、安定した見事な歌唱を披露していました。残念ながら(ギターの宇田川さんともども)「ラ・ウニオン行き」への選出は成りませんでしたが、奥の深いカンテの世界を更に究める楽しみができたと思って精進されますよう。
何はともあれ、「6月開催」という異例の事態にもしっかりと対応され、実りを示されたすべての方がたに、重ねて御礼を申し上げ筆を置きます。

私達に真剣勝負の舞台を見せてくれた3日間、暑くて熱い3日間でした。皆様お疲れ様でした。例年のように少しだけ私の所見を述べます。(敬称は略させていただきます)
【17日(金)】
1・長嶺晴香:最初の出から強い印象を与える。踊りの運びも強力さと前に気を出す踊りが目を引いた。
10・齋藤朋之:落着き払ったSoleá。楽しみと苦しみが一つになった感を抱かされてうれしかった。
18・沖真悠子:上半身のしなりと柔らかさがfemineidadに繋がり、Diegoの抑えた唄い出しに導かれcanteと共に有った良い踊りとなった。
21・牛田裕衣:Moraのような瞳の輝きを見せる時compásは輝きを増し、心深くにまで射込んで来る気迫が感じられた。
【18日(土)】
12・長本真由:熱気と強力さで踊り切った所が魅力。最後まで勢いを失することなく踊り切る。生成りの魅力と言えるだろうか。
14・黒須信江:バックミュージシャンを上手くとらえ、出演者全員で一つのナンバーを完成させようとの大きな目論見が見え、スケールの大きな舞台となった。
15・佐渡靖子:とてもスタイリッシュな舞台。衣裳の黒、mantonのオフホワイトとの対比が美を生む。長身としなる上体、colaの捌きも見事。marcarの時の指、手、腕の繊細さが印象深い。
17・岩丸綾子:Fandango₋Siguiriya₋Fandangoという輪環形式美を強い意志の力で創り出そうとしたことが結果として美の創造に繋がった。
21・漆畑志乃ぶ:graciaに溢れた作品。こぼれるような愛嬌、舞台を明るくさせて、無上の喜びを観客に伝えた。mantonとcolaの使い手としても完璧でした。当夜の白眉となる踊りでした。
22・藤本ゆかり:迫りくるものを感じさせた。シギリージャの持つ5角形を想わせるコンパス感がManuelのカンテとの絡みも深さを増した。
23・和泉冴英香:compás感がとても優れていた。統率力に充ちた全体像の創出に於いても、緩急の流れがより増幅された。
25・池田理恵:他の誰とも違ったリズム感を宿している。身体から放出するオーラが立体的に放たれ、始原のエネルギーを胎内に宿しているのだろうか。
31・阿部和子:graciaに満ちた踊りでした。どの部分も力みのないAlegrías、余韻の有る〆の部分まで愛嬌たっぷりで素晴らしかった。
34・斎藤克己:今回どのような心意気で舞台に臨んだのだろうか。長い時節を乗り越えて来たフラメンコのesenciaに積め込まれた感情表出が感動へと導かれたのだろう。
【19日(日)】
19・阪上のり子:雰囲気づくりが抜群。共演仲間との協働の楽しさを充分伝えることに成功。
20・末松三和:身体の関節を存分に拡げた舞踊表現が見事である。少しだけバックのミュージシャンとの音のズレを感じた瞬間があった。
23・西山依里:溢れんばかりの心の内を吐露し、心理描写を巧みに表現し、スケールの大きなTarantoであった。
27・大野 環:瞬間美しい間が紡がれ神が降臨するような感覚にsiguiriyaの深淵を見た。
30・渡辺なおみ:軽妙な身のこなし方、美質な間の持たせ方、喜怒哀楽の感情の発露が良い方向に向かい、華やかな舞となった。
31・柴崎沙里:一刻一刻微妙な彩が変化をもたらし曲が構築されていく時間の流れが良かったと思う。モノトーンの中色鮮やかに煌めく一刻を表出できればより華やぐのでは……。
35・近藤綾香:身体の解放が良く出来ているのが良い。緩急自在にサパテオとブラソスの有機性が生み出されるのも作舞に顕われている。とてもユニークな感性に期待したい。
37・稲垣栄子:2人の華やかなカンタオーレスの声に励まされ思い切り良く踊れた。ギターとカンテとの対話の妙味にもう一歩踏み込んで見たらもう一歩先が見えてくるのでは……。
<第2回・日本カンテ・デ・ラス・ミナス音楽祭 出演者の作品>
【17日(金)】
2・屋良有子:7分間の作品としての構築力の冴えが光った。「舞台を制する」と言う難題が25回目を迎えたFLAMENCO RENAISSANCE21で私は初めて出会えた気がした。La Unionへの招待も多くの人たちの推薦を頂き決定され、愛の祝福を捧げます。
9・本田恵美:起承転結どの部分をとっても隙はなく、踊り込み、深みが増した入魂の1曲となりました。とても嬉しく思います。
【18日(土)】
32・永田 健:たえず前に進もうと努力されている姿、頼もしく感じています。bastónの扱いはとても難しいですが、もっと練習を積み重ねられます事を願っています。
【19日(日)】
29・松彩果:対比の妙味と調和の美が刻印された踊りでした。身体の深くから発せられる光彩は万感の激情を創出しました。
34・重盛薫子:ゆったりしたテンポにTarantoの深いletraが身体中に沁み込んで行く姿を感じ取ることが出来ました。Tangosもゆっくりと洒脱で小粋さを盛り込んだ踊りが心地良かったです。

皆様お疲れ様でした。例年より2ヵ月早い今回の公演でしたが、全出演者の熱い思いが客席に伝わり盛会でした。
3日間の選考で感じたことを書きます。まず群舞ですが、今年は3団体のみの出演でしたので、選考に苦労致しました。群舞の大切なポイントは振付者の意図及びテーマがどれだけダンサーに理解されているか、そしてダンサー全員の気持ちが1つになり、乱れることなく観客を魅了しうるかどうかを拝見しました。テクニックだけでは成り立たない作品としての深みがあるかどうか、とても大事なことです。あと構成力も必要ですし、音楽と振付がマッチしているかも観ます。
石井智子さんの作品は構成も良くダンサー達の若さにあふれた踊りは好感を持ちましたが、足りなかったのが深みです。斎藤克己さんの作品は昔バルセロナで観たダリのオブジェのような世界でしたが、ダンサー達の情感とパワーが欲しかったです。ベニートさんの作品はフラメンコの香り豊かな表現でダンサー達それぞれが個性的でしたが、更にその個性が1つになったらすごかったと思います。3作者共良いものを持っているので数多く創ってみてください。答えが出てくるでしょう。
バイレ・ソロに入ります。今年は圧倒的にソレアの踊りが多く、また衣裳はほとんどが黒でしたので、皆同じように見えました。踊りのパターンも何故か同じようで人とは違う自分の踊りを踊って欲しいと思いました。舞台では踊り始める初めの瞬間で決まります。あの何秒かで自分が何を踊りたいのかを主張、全員同じではないはずです。相変わらずカンテを無視したサパテアードからの入り方にはうんざりしました。
ソレアの歌には恋の歌、神への祈り、家族愛、心の苦しみ等たくさんあります。ソレアの詩を踊りましょう。そうすれば衣裳の色も変わるし、自分が何を踊りたいのかを主張すれば、他の人と同じような踊りにはならないはずです。ソレアの踊りでは、津田可奈、黒木珠美、山本純子、末松三和、新井ゆふ子、柴崎沙里さんが心に残りました。
アレグリアスに関しては森里子、久保田晴菜さんが生命力にあふれハッピーになりました。タンゴ・デ・マラガの斎藤克己さんの踊りはしばらくぶりに泣けました。彼はテクニックだけではない深い深い心からほとばしる生へののぞみを踊り、観る人の心を打ちました。これぞフラメンコ!です。グアヒーラの小西みとさんはマハのようでしたし、シギリージャの加藤誠子、岩丸綾子さんは自己主張がはっきりしそれぞれ個性的です。
また対象外としての屋良有子、本田恵美、松彩果、重盛薫子、永田健さん達はさすがにしたたかな踊りで重みを感じます。受賞後の精神と持久力のすばらしさに拍手を送ります。益々のご活躍を祈っております。
最後に屋良さん、世界に通用するダンサーになってください。

<ギター部門>
まずは、誌面に限りがあり、言葉がぶっきらぼうになることをお許しください。
大場さん:音の発する瞬間の内側から来るべき力に乏しいと感じた。リズムにもいまひとつの躍動感を、そしてその上での骨太の主張が求められるかと。
池川さん:冒頭部でのいわゆるグリサンド奏法、これがとてつもなく難しい。序盤から中盤へ、叙景の方へ傾き過ぎた感も。それでも、その中で見え隠れする奏者の“情”が望まれる。終盤はリズム演奏に頼り過ぎたかと。
伏見さん:全体に渡る表現の均整が美しい。音の出を更に研究し、またいまひとつの大胆さ(ある種のデフォルメ)があれば女流としての魅力がより発揮できるかと。
宇田川さん:参加された中で、最も音の輪郭が確かだった。やや荒削り(決して弱点ではない…)の演奏だったが、とても良さが際立ちました。フラメンコギターの中での中核をなす曲、今回とは異なった趣きのある世界、閉じ込めては飛び出す“小悪魔(いたずらっ子)”の情をいつか聴かせていただきたい。
関根さん:大変音楽的力量のある方と感じた。しかし、全体にその立体感・生命感に欠けるものがあったかと。フラメンコは、その美しさのみではなく、音楽性のみでもなく、ある種の孤立した世界観を秘めることによってのみ他の分野(音楽のみでなく…)と同じ場に立てるもの、と私は思っております。
島田さん:演奏がその場限りで統一さに欠けた、と言えば悪いことのようだが、実は近視眼的ではあったが内へ向かおうとする精神力は感じた。しかし“情”の距離が近く、あるいは狭く、それぞれを打ち消してしまった。次回も参加されるのなら、またソレアで、ほとんどソレアでしか表現し得ない薫り立つ気品を探ってみるのも。

今回の新人公演はバイレ・ソロ部門に70人、カンテ部門に16人と例年より多くの出演があり、大変ボリュームの有る3日間となりました。出演する方々のレベルも年々アップしていると同時に、カンテ・デ・ラス・ミナス音楽祭を目指す過去に奨励賞を受賞している5人の方々も加わり、大変見応え聞きごたえのある会となりました。
奨励賞の選考は、出演組数の1割を基準にしています。毎年の反省を踏まえてより良い方法が検討されますので毎回少しずつ変わっています。今年私が参加したバイレ・ソロ部門は奨励賞に推薦したい方7名とそれに続く方1名を記名投票して、奨励賞推薦の多い方から順に7名の方々が奨励賞に選考されました。結果だけみると、準奨励賞や努力賞が無いすっきりとした形になってしまいましたが、実際は実力伯仲で残念な方が多数いた様に思います。
奨励賞以外の方で私の印象に残った方、17日、長嶺晴香さん、気迫充分乗り乗りでした。林由美子さん、大人の空気感が心地良かった。沖真悠子さん、伸びやかで爽やかなアレグリアスでチャーミング。牛田裕衣さん、内に秘めた強さを感じさせる魅力的なソレアだった。
18日、千葉真優美さん大人の女性の踊りとそれを引き立てる渋い素敵な衣装。古迫うららさん、堂々とした気迫を感じた。佐渡靖子さん巧みなコーラやマントンさばきで、ドラマチックな表現でした。佐藤哲平さん荒削りな部分もありますが魅力的なファルーカでした。
群舞部門 、ベニートガルシア・フラメンコスタジオのタラントは5人の個性を生かしながら全員で作品を紡いでいる。素敵なタラントでした。
カンテ・デ・ラス・ミナス音楽祭にエントリーした方々5名は、奨励賞受賞後の充実した、時の積み重ねを感じさせる素晴らしい演技を見せてくれました。新人公演に関わる私達にとって、新人公演を経た方達があきらかにその先に進化している姿を見せてもらえるのは、大変嬉しい事です。新人公演をめざす皆さんにもその先に想いをめぐらすよい刺激になる事でしょう。皆さんの今後を期待します。

<ギター部門>
今年は6名の参加、皆さん異様な緊張?の中での精一杯の演奏を披露してくれました。やはり、昨年同様P.A.のせいか、あるいは演奏者の技量(本番での精神性を含む)のせいなのか…とにかくラスゲアードの音しか聞こえて来なかった。
主に前腕の動きだけで“ウリャ~!!”という感じにしか見えないし、聞こえて来ない。ラスゲアードにも“表情”があるはずだ、と思うのだが、私の感性が古いのだろうか!?また、音はブツブツと途切れ途切れで、とても“切れ味”にこだわっているとは思いづらい、と感じてしまった。特にスラーの音が、弱過ぎと感じた。フラメンコギターの絶対基本の一つです。
“音は出すものではなく響かせるもの”と教えられた私の耳には、あまりフラメンコの音には感じられなかった。楽屋で聴けば違っているのかもしれないが…。な~んて書いてしまうと、たぶん嫌われてしまうと思うが、正直な“個人的な感想”ということでご容赦いただきたい。
ギターでフラメンコをするということなら、フラメンコだけでなく、ギターについても少しだけ勉強して欲しいと思ってしまった。気持ち良く弾くことと同時に、もう少しギターと格闘しても良いのではないか、とも感じてしまった。
あえて個人名を挙げさせていただくが、関根彰良さん、たぶんフラメンコ以外のジャンルからの移民?とお見受けしたが、ギター的センスはとても良い感覚を持っていらっしゃると思います。ただ、フラメンコとしての色合いがやや薄いと感じられました。そのあたりのことを身に付けられれば、とても期待の持てる方ではないか、と感じました。精進を期待しています。
<カンテ部門>
今回の出場者数は16名、ギターの6名と比べると、驚くほかはない。今回の出場者に、ある程度共通していたのが“宝塚”的な発声をする、ということだった。喉の内側を緊張させて、胸から思い切り声を出す…といっても、本人は腹から声を出しているつもりかもしれない。そして、声の大きさで勝負を賭ける…というように印象を強く感じてしまった。存在感のある強い声と、大声を出すことは違う気もしないではないが、どんなものだろうか…!?
そんな中、ある出場者に個人的に好感を持てる人がいた(あえて個人名は控えさせていただきます)。私のフラメンコ心を、少しだけ揺さぶりました。まず、母音でリズムを感じようとしていたし、息の使い方に配慮が感じられていて、スペインを感じさせてくれました。さらに、詩の行末、つまり“キメ”の持って行き方が本格的なものを目指していた、と感じられました。それに、声を張り上げても煩く感じなかったのが好印象、だった。ただ非常に残念だったことが音程の不安定さだ。しかし、音程の不安定さは比較的簡単に修正できるので、ぜひそのあたりの訓練をして、再度挑戦していただけたら、と思う。

大場洋平
今回のブレリアの中では一番モデルノです。難しいファルセータをよく弾きこなしていますが、ちょっとコンパス感があまいです。コンパスを刻むとき頭(⑫)のアクセントばかり強くて、特にiのコントラは回数も多いしちょっとうるさいですね。アクセントを点で捉えてる感じです。また締めのラスゲアードもよく聴こえてきません。モデルノのトーケはよりシビアなコンパス感が求められます。各ファルセータの一音一音がコンパスのなかにどう位置づけられているのかをもう少し分析してみてください。
池川史洋
Bのキーでのブレリアですね。イントロからブレリアの導入部(パコっぽい)は良い流れでした。ただその後の展開はPによるファルセータとラスゲアードが多かったなと思いました。ギター的にはおいしいキーなのでアルペジオ等含めてもっと音楽的に作ってほしいところですが。ただ個人的にはBはEmの属性が強すぎて扱いが難しいです。カンシオンっぽくなってしまうんですね。あとはやはりコンパスの頭のアクセントがちょっとうるさいです。
伏見かるな
シギリージャで出演はなかなかの勇気ですがちょっと弾き急いだ感じです。最初のフレーズでスラーが先走って雰囲気を作れなかったですね。Pの音そのものは良かったので左手の訓練次第です。緊張すると左指先走りますよね。
その後も上ずった感から抜けられなかったのは残念ですがラスゲアードは良かったです。転調も含め曲の構成は良かったです。今回のために考えたのなら十分な収穫だと思いますが。
宇田川卓俊
毎回確実に進歩している宇田川さんですが今回は今までの線の細さがなくなって化けた感じでした。曲も適度に様々なテクニックを用いトレモロまで出てくる凝りようで良い構成だった思います。
今後演奏面で気を付けるのはやはり前のめりなコンパス感ですね。今回は最後まで破綻することなくその勢いが持続したのでそれが良いほうに評価されたのだと思いますが走っていることには変わりませんので。
関根彰良
2回転調する意欲作でした。音もきれいですし、技術的にもフラメンコのテクニックはほぼ全て網羅して今回の出演者中一番かもしれません。奨励賞に何が足りなかったのかはわかりませんが今回は私には宇田川さんのほうが訴えるものがありました。このテンポのアレグリアス(ソレア・ポル・ブレリアも含めて)はパルマやパーカッションなしでテンションを上げていくのは難しいのだと思いますし、心地よいコードでのアルペジオが普通のギターミュージックっぽく聴こえてしまうのかもしれません。前回のソレアよりは完成度は高くなっていますので是非再挑戦してください。
島田武
古典的なソレアで好感の持てる選曲ですがこちらも弾き急ぎすぎました。コンパスの中の③や⑥といったアクセントが走り気味で落ち着きがありません。この感じはカンテからしか得られないので伴奏を勉強すると変わってきますよ。
トレモロは粒の揃った良い音でしたがアルペジオは浮いてきませんね。ラスゲアードの部分もほとんどなかったようですがこれももう少し加えるべきだと思います。あと他の人にも言えるのですがPと同時のゴルペがやたらと大音量なのは音響のせいなのでしょうか。

この度受賞された皆さん、心からおめでとうございます。今後益々とご活躍されますようお祈りしております。そして古くからフラメンコ道でご活躍されています斎藤克己氏のバイレには良き時代のノスタルジィ溢れた世界が彷彿と蘇り回帰な喜びが胸に染み入りました。心よりおめでとうございます。今後、皆さんが新たな扉を開き邁進されますよう心からエールをお送ります。
下記の方にはアドバイスとし心の片隅において頂ければ幸いです。
<バイレ・ソロ部門>
【17日(金)】
長嶺晴香さん、粗削りながらもパワー全開、フェルサあるバイレに気質を感じました。足と体幹の強化を!期待してます。原舞さん、マノがとても綺麗です。全体に緩急を!内田好美さん、テクニックはおありなので特にクェルポをもっと使いこなしての表現力を。林由美子さん、全体にダイナミックさを。タンゴは切り替えノリ感を!久保田晴菜さん、切れを取り入れ緩急を、持ち味がもっと生かされるかと思います。本多清見さん、テクニックバランスとても良かったと思います。舞台エリアの使い方を研究なさって下さい。大塚歩さん、ダイナミックで表現力も兼ね備えたバイレ、今後に期待大!!加藤誠子さん、深い心の映えとコラヘを、マッチョが上がりきらずとても残念でした。松本千晶さん、アイレに表現力の追及を!個性も武器に!期待しています。牛田裕衣さん、ムイフラメンカなバイレに魅了Olé!しいて言えばもう少し破けても良かったのか。センティードを大切に突き進んで頂きたいです。是非再挑戦を!
<バイレ・群舞部門>
Golondrinas
正に燕のごとくスピード感に躍動感溢れた振付構成、瞬間瞬間に目を見張りドキッ! 余韻感じる間なく目まぐるしく変わり続けるユニゾン群舞。フォーメンションはユニゾンのみに留まらずもう少しバリエーションがあればと感じました。それにはお1人お1人のレベルアップが必要かと思います。是非皆さん更なるレベルアップを目指してください。
斎藤克己フラメンコ・アカデミー札幌
先生率いる群舞、ある意味幻想的世界を感じ魅入りましたがやはり群舞としてのフォーメンション転換も欲しかったと思いました。でもそこはあえて意図的に削ぎ落としたとも感じた群舞でした。
ベニートガルシア・フラメンコスタジオ
お1人お1人のテクニックにばらつきを感じまた群舞としての迫力に欠けてたように感じました。それぞれが表現力も養いレベルアップを目指し頑張って頂きたいです。
【18日(土)】
小西みとさん、持ち前の華やかさとセンスの良さに魅せられ印象に残りました。全体に流れてしまったのか…欲を言えばメリハリを!期待しています。長本真由さん、全力疾走でパワーあるはじけたバイレ、今後に期待!頑張って下さい。岩丸綾子さん、全体のレベルバランスはとても良かったと思いますがパワーを出し切れず残念に思いました。蜂須夕子さん、伸びしろをすごく感じました、足の強化頑張って下さい。藤本ゆかりさん、内なる強さとダイナミックに!体幹の強化とペソを下に。和泉冴英香さん、資質に将来性を感じました。期待大!!池田理恵さん、恵まれた身体を生かし切れずバイレがこじんまりまとまった感が。舞台での見せ方研究なさって下さい。黒木珠美さん、裏切りの衣装?のグリーンがとても印象強く残りました。緩急がもっとあれば持ち味が生かされるかと。舞台奥行も使い舞台空間の掴み方を研究なさっては。期待!佐藤哲平さん、エリアをもっと使ってダイナミックに。クエルポでコラヘを感じ直立スタイルから打破!期待!津田可奈さん、テクニックは高いと思いましたが緩急が足りず。ブレリアは気持ち変えノリ感を捉える。期待しています。阿部和子さん、フラメンコを心から楽しんでいらしてとてもチャーミングなバイレでした。
【19日(日)】
西山依里さん、フラメンコ性にテクニックもあり魅入りました。あと一息かと!表現力も養い内なるコラヘを。期待しています。流石泰美さん、常に正面向きのスタイルで無く舞台動線の研究を。後半からスタミナ切れも感じ残念! 期待しています。瀬﨑慶太さん、とても清々しいバイレで伸びしろ感じます。決めポーズがパターン化の感あり、もっと流動的な間合いにマルカールでコンパス感を!今後に期待しています。新井ゆふ子さん、テクニック素晴らしかった!課題はアイレに表現力でしょうか、頑張って下さい!渡辺なおみさん、フラメンコ性をとても感じ魅入りました。是非是非頑張って頂きたいです。期待大!青木千鶴子さん、内心の映えそして曲の深さを!クエルポもっと使って下さい。近藤綾香さん、個性溢れ迫力あるバイレに魅入りました。 テクニック抜群の潔さ!独得のフォルマでの瞬発力!これからの進化に期待大。
<ウニオン対象の皆様>
挑戦出演されました5名の皆様素晴らしいバイレを堪能させて頂き有難うございました。今後益々のご活躍をして下さい。今回入賞されました屋良有子さん、おめでとうございます。現地に於いて本領発揮されますよう健闘を心より祈っております。

大場洋平:ポル・メディオのブレリアらしい曲作りで、AメジャーやAマイナーにも転調して、聴いていて飽きなかったです。タパオ後すぐの冒頭フレーズのコンパスが乱れてしまって残念でしたが、後半に行くにつれて安定してきました。全体を通じて右手のタッチも強く良かったのですが、i指の強さに比べて他の指が弱いことが気になりました。音色が少し硬く感じるのは、ブリッジの近くで弾いている割にはラスゲアード以外の奏法(プルガールやアルペジオ)が弱いからだと思います。右手の奏法は概ね出来ているので、それらのコンビネーションを正確に出来ると更に良いですね。
池川史洋:出演者全員の中で一番音色も太くきれいで、安定した演奏だったと思います。6弦をBに下げてのグラナイーナでのブレリアは、オリジナリティーにも富んでいて、素晴らしい曲でした。強弱や呼吸も絶妙でコンパス感もバッチリだったので、ラスゲアードの部分が多くても気にならなかったです。奨励賞に値する好演奏で曲の完成度も高かったのですが、ピカードやアルサプーアの長いフレーズなど、テクニックを見せる部分を敢えて作ってもらうと選考には良かったかもしれません。
伏見かるな:シギリージャの間や呼吸・音色など、先人のフラメンコギターの名手たちの演奏のようでした。カバーレスにかわった後、最後に1コンパスだけのジャマーダで終わらせたのには感動しました。これはよっぽどの愛好家やフラメンコ通でないとなかなか理解されず、もっと派手なアレンジを考えてしまうところですが、最高に良かったです。強いて言うならば、右手と左手のタイミングが合わないために音が潰れてしまったり、勢いのあまりにリズムが少しあまくなってしまった箇所があったのが残念でした。
宇田川卓俊:奨励賞おめでとうございます。今年の宇田川さんの演奏は迫力があって、良い意味で派手な演奏でした。ポル・アリーバのブレリアはそもすると古い雰囲気に陥りがちですが、伝統的なフレーズとラスゲアードやトレモロなどを用いた新しい奏法も散りばめられていて、スリリングでドライブ感のある演奏だったと思います。アルサプーアはアポヤンドとの組み合わせのバランスが良く、撥ねたリズムに聞こえました。アルペジオからピカード・ラスゲアードのコンビネーションもうまくこなせていて、安定感がありました。今後の活躍も期待しています。
関根彰良:全体的に精度が高い好演奏でした。途中マイナースケールを経過しながらのE→C→Aそれぞれのトノでの曲作りは、景色の移り変わりを感じました。冒頭のタパオは若干走り気味なのが気になりましたが、それ以外は落ち着いて丁寧に弾いているのが印象的です。Eメジャー部分のピカードは特に見事でしたが、Aメジャーの部分の最後が少し惜しかったです。アルサプーアなども走らずにしっかり弾けていて安定した技術を持っていると思います。次回はシギリージャなど特に呼吸の大切な曲種の演奏も聴いてみたいです。
島田武:これぞソレアという伝統的な曲作りで良かったです。ソレアはゆっくりのテンポですが決して一定のリズムで演奏する曲種ではありません。しかしフレーズの塊の中にはシビアなリズムが隠されています。島田さんもよく表現されていましたが、細かいフレーズの中のリズムを正確に弾けると更に良くなると思います。ミスはほとんど無かったのですが、音の抜けやかすりを更に無くすよう頑張ってください。トレモロは粒もそろっていて、P指アポヤンドとの音量バランスも良かったです。アルサプーアも良く弾けていましたが、同じテンポでもアポヤンドの音符の長さを伸ばしてアルサプーアだけ瞬発力を増せば、更に良くなると思います。

<ギター部門>
今年は出場者は少なかったけれどレベルは高かったと思う。その高さの中身は、それぞれが、誰かのコピーではなく、自分の表現で弾いていたこと。気にとまった出演者を書きます。
池川史洋君●変則チューニングのブレリア。たっぷりした安定感あるイントロから入り、パコ・デ・ルシアのアルモライマを上手く編曲して取り入れたり、モロン・スタイルが出てきたり、楽しめた。深い音色が印象に残った。変則チューニングの効果を存分に生かし、演奏も編曲も成功していた。伏見かるなさん●堂々たるフラメンコな音色。女性とは思えない強いタッチに感じた。選んたファルセータも正統そのもので、その点で何の異論もなかった。ただただ惜しまれるのが、時々現れるミスタッチだ。何とかこれを克服してほしい。宇田川卓俊君●ポル・アリーバで弾かれるブレリアはあるようで余りない。その点でも面白かった。極めて伝統的で正統な演奏にもかかわらず、誰にも似ていない、つまり「自分のしるし」があった。後半の盛り上がりも素晴らしく、演奏の完成度は高かった。関根彰良君●とかく散漫な演奏になってしまいがちのモダンなアレグリアスだが、そんなことはなく、個々のテクニックといい、音色といい、メロディーといい、申し分なかったが、何か足りなかった。それは湧きあがるような躍動感なのだと思う。
<カンテ部門>
今年は、「とても聴いていられない」というカンテが1つもなかった。それだけでも大きな進歩だと思う。一方で声を張り上げることに頼る出演者も多かった。気にとまった出演者を書きます。
板本麻見さん●古酒を味わうようなひび割れた味わいが良かった。音程・節回しにもフラメンコらしさを感じた。後半が盛り上がれば、更に完成度は上がったと思う。ダニエル・リコ君●最近進境著しいダニエル君だが、節回しの難しい歌を微妙な節回しで歌った。若干部分的な乱れ、音程のフラットなどがあったが、方向性は良いと思う。遠藤郷子さん●サリーダも良く、ソレアの渋みも出ていたし、微妙な節回しも回っていた。しかし、かつてのペーニャで歌った時にみんなが認めたあの「凄味」が出てなかった。どんな曲を歌っても、それが出るようにして欲しい。岡村佳代子さん●安心して聴いていられるソレア。ただ、前半に力みを感じた。張り上げた時に現れる声質は少年のようで、魅力的だ。勝羽ユキさん●カンシオン・ポル・ブレリアは珍しい。歌って踊るフェステーラの雰囲気が出ていた。歌唱力もあった。ただ、芸を自分のものにしていた分、逆に日本的だった。定直慎一郎君●サリーダ良し、歌い出しもソレアらしく、好もしい。すごく上手くなった。生来の声質がいいので、伸びしろがかなりあると思う。川村麻利子さん●魅力あるフラメンコ向きの声質で、可愛い。ただ、歌詞とメロディの乗せ方がオモテで、フラメンコ独特の裏ノリになっていなかった。大西保孝君●サリーダが面白かった。古いタイプの趣あるアレグリアス。メリハリはあったが、節回しが今一だった。また、マックスで突き抜ける発声が欲しかった。熊谷善博君●キーを上げて、新しいクマ・カンテ・ワールドが展開した。これを更に深めて行けばいいのでは。余談ながら、伴奏ギターの表現力がハンパでなかった。許有廷●念願の奨励賞おめでとう。歌はレバンティカになって更に良くなった。これで区切りが付いたでしょうから、これからはヒターノ本命のタンゴやブレリアに力を入れて欲しい。

<バイレ・ソロ部門>
長嶺晴香さん・入りから印象深く目を引いた。身体がとても良く動いていてテンションが高く力が入っていた。逆に力の抜ける部分や重さが出てくれば更に良くなると思う。/屋良有子さん・彼女独特の世界。凄い集中力から乱れない動きが生まれている。/久保田晴菜さん・踊り慣れている。サパテアードの音がきれいだった。/本田恵美さん・今回もとても楽しませてくれた。正確で高度な技術。個性のある曲のつくりは、カルメン・アマジャを連想した。/齋藤朋之さん・丁寧に踊られていて特にマノの動きが印象に残った。曲の後半とても良くなって時々みせるキレの良いところに味わいのあるフラメンコを感じた。/菊池麻由美さん・恵まれたスタイルでとても雰囲気が良かった。もう少しテンペラメントが加われば更に良くなると思う。/沖真悠子さん・踊りに強弱があり引き付けるものがあった。/小西みとさん・印象的な衣装で身体のラインやブラッソが美しく強調されていた。/佐渡靖子さん・以前より大きい踊りになっていた。マントンやバタ・デ・コーラを上手く使いとても引き付けられた。長年の経験を重ね存在感が増してきていると感じた。/藤本ゆかりさん・重みのある動きで存在感が出ていた。もう少し動きをためることとキレが加われば更に良くなると思う。/和泉冴英香さん・ブラッソの使い方がとても上手かった。これからが楽しみな人です。/佐藤哲平さん・昨年よりキレが良くなった。立ち姿が美しく透明で純粋な魅力がある。動きがまだ固いところや強い動作のあとの身体やブラッソが流れないように注意すると良くなると思う。/津田可奈さん・前回より増してメリハリが出てきた。毎回挑戦することによって努力し、その結果が出ていると思う。/阿部和子さん・味わいある踊りでとても興味深く印象に残った。観ていてリラックスさせてくれる楽しさがあった。良い雰囲気で会場を沸かせた。/永田健さん・以前より技術や力強さ存在感もパワーアップしていた。観ている人を引き付け会場からの拍手も大きかった。/斎籐克己さん・曲の構成も良く自分の魅力を充分に出していた。/末松三和さん・強い音響のハプニングが2回もあったにもかかわらず、そのハプニングに負けないくらいのレマテを見せてくれて印象に残った。曲の後半更に踊りのパワーが増し良くなった。/西山依里さん・ペソがあり迫力のある踊りだった。タンゴがとても似合っていた。止まった時に身体が少しぶれるのが気になったがこれからが楽しみだ。/佐藤幸子さん・前回より良くなっている。強い動きだけではなく重さが加わってきた。/瀬﨑慶太さん・以前より見違えるほどキレが良くなった。少し姿勢が気になるが、ぶれない集中力で舞台を熱くした。/松彩果さん・ムイフラメンコな高いテンションでメリハリのある踊りだった。さすがに慣れている。/柴崎沙里さん・強い動きとサパテアードが印象に残った。曲の後半テンションも上がり観ている人を引き付けた。/本川幹子さん・全体的にもう少し強さが欲しい。柔らかい動きが美しかった。特に最後のリブレが音に合っていた。/重盛薫子さん・存在感があった。曲の後半盛り上がった。
<バイレ・群舞部門>
Golondrinas・全員とても揃っていた。フォーメーションが変化しすぎて内容を感じ取りにくくなった気がする。/斎藤克己フラメンコ・アカデミー札幌・群舞の女性たちのフォーメーションの動きがあまりなかったが、作品は幻想的で踊りはとてもエレガントで美しかった。/ベニートガルシア・フラメンコスタジオ・1人ひとり別の動きをする中での統一感がみえた。今回の群舞の中ではフラメンコ性を一番感じた。

「心と心をつなぐもの」
フラメンコってなんだろう?心と心をつなぐものかな、と思う。踊るもの、唄うもの、奏でるもの、そしてその空間に存在するすべてのものの心をつなぐもの。やっと届いた弱い糸のようなものもあれば、ギュッとわしづかみにされたような感動もあり、うれしくなったり悲しくなったり、とにかく心に届いてくる。
長い間フラメンコに関わってきてその歳その歳での見方も変わってきますが今の私が感じたことを、それが皆さんの何らかの糧になることを祈りながら書いてみます。
<バイレ・ソロ部門>
長嶺晴香さん…勢いがあってよかったのですが、ずっと力が入っていたので時には身体の芯だけおさえたまま柔らかい動きがあってもいいのではないでしょうか?森山みえさん…内面からの表現がもっと欲しかったです。久保田晴菜さん…芯がしっかりとして成長が見えのびのびと踊っていたのが嬉しかったです。齋籐朋之さん…技術は未熟ながらも真摯に向かう姿にオレーッ!高野正子さん…踊る心が見えて嬉しかったです。大塚歩さん…好感が持てる踊りでした。牛田裕衣さん…大切に踊る心が見えました。森里子さん…アレグリアスらしい踊りでしたがあまり動かないで表現する部分もあったらもっとよいと思います。千葉真優美さん…見ていて心が躍りましたが最後が弱くなってしまったのが残念でした。古迫うららさん…熱いソレアに感動しました。黒須信江さん…ずっと成長を楽しみに見てきましたが心が伝わってきて嬉しかったです。これからは振りをけずっていったらよいと思います。佐渡靖子さん…頑張りましたね~!オレーッ!加藤美佳さん…楽しむ気持ちが伝わってきました。内面からの自然な表情をもっと重視したらよいと思います。蜂須夕子さん…カンテとともにある踊りがよかったです。藤本ゆかりさん…心が込もって素敵でした。首の芯がゆるむことに注意したらよいと思います。和泉冴英香さん…メリハリがあり熱いフラメンコでした。その場の全員が一緒になっていてオレーッ!持田賀津子さん…持ち前の表現力をストレートにフラメンコにぶつけてみてはいかがでしょうか?池田理恵さん…熱い心が伝わってきました。平田かつらさん…踊る心が見えて嬉しかったです。阿部和子さん…アレグリアスの心があってとてもフラメンコですばらしかったです。オレーッ!斎藤克己さん…立ち姿だけで出てくる存在感は積み重ねたものからかと思いました。還暦を過ぎてもこうありたいです。末松三和さん…熱い心が伝わってきて嬉しかったです。杉山須美江さん…踊りの幼さの中にも熱いものがありました。西山依里さん…熱さはありましたが演じるような表情が気になりました。佐藤幸子さん…幸子さんご自身が見えてきて嬉しかったです。流石泰美さん…熱さは感じましたがジャマーダ等のフラメンコの自然な成り立ちを再度見直してはいかがでしょうか?渡辺なおみさん…心は見えたのですが動きをけずったらもっとよいのでは?柴崎沙里さん…振りと振りのつながりや流れを大事に考えてみてはいかがでしょうか?青木千鶴子さん…重心をもっと落としてみると違う感覚が見えてくると思います。幅田真沙実さん…幸せそうな気持ちが見えました。稲垣栄子さん…身体の芯を定めてみてください。楽しい気持ちは伝わってきました。
<バイレ・群舞部門>
Golondrinas…踊りが揃っている点がすばらしかったですがそれだけに終始したような感じがしました。群舞を揃える難しさを考えると心苦しいのですが1人1人の表現も見たかったです。斎藤克己フラメンコ・アカデミー札幌…人間模様が見えて楽しかったです。ベニートガルシア・フラメンコスタジオ…1人1人の表現はあったのですが全体の動きや流れが欲しかったです。
この新人公演の舞台が、これからも皆さんがより深くフラメンコと向き合う機会になりますよう願っています。

<バイレ・ソロ部門>
【17日(金)】
長嶺晴香さん:キレがあり、リズム感良く、パワー溢れる踊りに引き込まれました。
森山みえさん:前回よりサパテアードの安定が見受けられ、努力の跡が感じられました。パリージョとの対話を大切に。
久保田晴菜さん:決め細かく丁寧な踊りで余裕さえ感じられました。少々表情が気になりました。
大塚歩さん:印象的な始まりでした。上半身からの動きがリズム感とマッチし、ノリの良さに繋がりましたね。
菊池麻由美さん:恵まれた手足の長さを生かした振付でした。心の流れが動きについていけなかった感があり残念です。
小島智子さん:パリージョとアバニコを良く使いこなし、雰囲気もありました。もう少しエリアを大きく捉えると深さが増すでしょう。
松本千晶さん:後半のノリは素晴らしかったです。
牛田裕衣さん:サパテアードもリンピオで心を感じたソレアでした。
【18日(土)】
森里子さん:グラシアがあり上体からブラッソへの流れが絶妙。シレンシオの表現も良かったです。
山本由紀さん:体が良く動き自由自在にバタとマントンを使っていました。表現力が増すとなお良いでしょう。
小西みとさん:バタとアバニコを巧みにこなし曲の雰囲気をよくとらえていました。楽しみなバイラオーラですね。
古追うららさん:足音はリンピオ、地についた踊りが曲にぴったり合い、ぶれない強さが光っていました。
黒須信江さん:強いサパテアードと自信に満ちた動きに、心の深さを感じました。
佐渡靖子さん:バタさばきとマントンが一体となり、奥底から湧き上ってくるものが胸を打つ。前回より一段と磨きがかかった味わい深い踊りを見せてくれました。
岩丸綾子さん:切れ味よく強いサパテアードが印象的でした。呼吸のコントロールが出来たら更に見応えのある踊りになるでしょう。
漆畑志乃ぶさん:メリハリがあり一貫した流れの良さを感じるアレグリアスでした。これまでも小柄ながらパワー溢れる踊りをみせてくれた彼女の集大成ともいうべき踊りでしょうか?とても嬉しく思います。
藤本ゆかりさん:カンテを良く聞き、内面から湧き出る重さを感じさせるシギリージャでした。
和泉冴英香さん:しっかり踊っている姿に好感が持てました。表現力が増すと更に良いでしょう。将来性を感じる踊り手です。
持田賀津子さん:表現力はあるのですから、それを動きに繋げると共に生かされるでしょう。
黒木珠美さん:サパテアードも強く、特に後半、心の叫びを感じました。
佐藤哲平さん:努力の跡がうかがえました。今後自分の踊りを見つけることを期待します。
津田可奈さん:歌振りのタメがあり気持ちのよい抜け。ぶれることのない踊りに引けつけられました。
阿部和子さん:楽しんで踊っている姿に‘オレー’
斎藤克己さん:1つ1つの仕草に人生を感じ、思いが伝わりました。
【19日(日)】
李成喜さん:軸がぶれずサパテアードもリンピオ。素晴らしい成長ぶりでした。
末松三和さん:サパテアードの間の取り方は抜群。感覚的に一線を越えた気がします。
野上裕美さん:気持ちよく伸び伸び踊っていた姿が印象的でした。
瀬﨑慶太さん:成長の跡がうかがえます。自分の世界を持つと更に伸びるでしょう。
大野環さん:いつもながらの個性的な衣装、絶妙な三位一体、素晴らしい集中力、流れるような動き、衒いのないパリージョに粋さを感じました。
渡辺なおみさん:重心が安定していてパワー溢れる踊りに引き込まれました。
柴崎沙里さん:凄みがあり、ストーリー性とマッチした衣装、全てをのみこんだ踊りに拍手。
青木千鶴子さん:きちんと踊っている姿に好感が持てました。あと一歩踏み込んで自分の世界を見つけると良いでしょう。
稲垣栄子さん:とても楽しんで踊っている姿がほほえましく、こちらも嬉しくなりました。
<バイレ・群舞部門>
Golondrinas:体も良く動き、スピード感にあふれていました。個々の個性を打ち出せると更に良くなると思います。
斎藤克己フラメンコ・アカデミー札幌:インパクトがあり楽しめました。バタ・デ・コーラとアバニコの練習の跡がうかがえましたが、群舞の変化がほしかったです。
ベニートガルシア・フラメンコスタジオ:曲の重さを表現し、1人1人の存在感が感じられた作品でした。

<バイレ・ソロ部門>
【17日(日)】
第1日目はウニオン行きに果敢に挑戦した屋良有子さんと、本田恵美さんがその凄みを見せ、素晴らしい演技を披露してくださいました。世界に羽ばたきたいという底知れないパワーを感じました。
奨励賞を目指した方々で印象が強かったのは、先ず久保田晴菜さん。技術的に安定していて清純なイメージが好印象。アレグリアスの優美さを表現する上体の美しさがあるので、大人っぽい品格が出てくるとカテゴリーが増す感じがします。その点、大塚歩さんは大人っぽい味をほのかにチラつかせていました。現代感覚の安定したテクニックとフラメンコなアイレで楽しませていただき今後が期待される一人です。小島智子さんのグアヒーラはパリ―ジョと扇を持って難度の高い踊りを難なくこなし、バックの一風変わったノリの歌とうまく融合を果たし楽しめました。松本千晶さんはモダンでリズミカルなノリの中にペソがある。出だしから、その構成がシックで大袈裟でなく自然な流れでよかったのですが、ちょっとレマーテなどで押し出しとか凄味がもう少しあったらピリッとしていたのか?などと考えさせられるソレア・ポル・ブレリアでした。惜しい!牛田裕衣さんはとても重量感ある踊りをみせました。身体の使い方に時々コラッヘがあり、その個性が輝きました。明るい曲はどんな風に踊られるのか興味深いです。
その他、林由美子さんは表現があっさりしていて、もう少し粘りが欲しいところです。内田好美さんは上体のブラッソなどを研究して表現を豊かにし、人々に伝わる踊りを目指して欲しいと思いました。長嶺晴香さんは最後にハレオを掛ける演出らしきアクションまであって気合は入っていましたが、ちょっと踊りに荒削りなイメージが残ったのが残念でした。パリージョとバタでシギリージャを踊った森山みえさんは難しい踊りをバックのいいアイレで健闘しました。本多清見さんも演出効果を考えた振り、丁寧な踊りで健闘しました。河合浩子さんは小気味よい踊りで健闘しました。程好いテクニックを持ち、これからもっと押しが出るといい加藤誠子さん。洒落たアイレを取り入れた演出と見栄えのする容姿が印象に残った沖真悠子さん。バックのアイレを素直に受けて自分を出しきっていた伊藤明美さん。構成が地味だったのか、表現しきれていない感じで惜しかった白石紀美子さん。技術的にちょっとアマさはありましたが、よく頑張ったのが伝わった斉藤朋之さん。もっともっとこれから大きくなって行く可能性のある原舞さん、高野正子さん、菊池麻由美さん、頑張ってください。
<バイレ・群舞部門>
「ベニートガルシアフラメンコスタジオ」の群舞は、個人用の振付を複数で踊っているという印象で群舞としては地味な演出、何か一つ物足りなさを感じましたが、各人の踊りはステキでした。「斉藤克己フラメンコアカデミー札幌」の群舞も同じように大勢の生徒さんがその場で踊っているだけでしたが、先生の個人的なグアヒーラと闘牛士というこだわりの世界が楽しめて面白かったと思います。Golondrinasは複数のツバメたちが軽やかに、またある時は攻めるように位置換えして、衣装は皆同じでもファッショナブルでエレガント、群舞らしい群舞で楽しめました。ただ、表現したいことが見えてこないもどかしさを少し感じました。
【18日(土)】
2日目はウニオン行きに挑戦した永田健さんが物凄い足とバストンの妙技で圧倒しました。この日は男性陣が活躍し、他に佐藤哲平さんが、今までのイメージを覆し、逞しく野性的になって登場。今後が期待されます。また奨励賞の斉藤克己さんは長年のフラメンコへの愛情が顕著に表れた心温まる演技でとても好感が持てました。
この日の女性陣は皆さん粒ぞろいっていうのでしょうか、いい演技が続き熱戦でした。その中で、無音に静々と出てきた小西みとさんの踊りはバタの捌きも綺麗に決まり、効果的な舞台演出に沿う存在感、しゃれた大人のムードがとても魅力的でした。佐渡靖子さんはブランカ・デ・レイを彷彿とさせるエレガンシア、上体がとても美しいです。今回のマントンとバタのソレアには気合が入り、心が籠っていました。そのままいいところを伸ばして更に大きくなって欲しいところです。奨励賞の黒須信江さん、振りの心を掴み、うまく表現できていて良かったです。古迫うららさんは大きい舞台をフルに使い存在感に満ちていました。正統的なアイレで無理ない演技の中にフラメンコ性が窺われとても後味のよい演技でした。津田可奈さんの演技は上体のうねりとかがないモダンでシャープな踊りですが、強い個人のカラーを押し出ていて魅力的でした。岩丸綾子さんのファンダンゴから始まりファンダンゴで終わる特殊な構成と、その力強く説得力ある演技、それを支える真摯な姿勢が見受け印象深いものがありました。また、黒木珠美さんは見栄えのする容姿で、キレのある演技が舞台に映え、何か不思議に大人っぽくフラメンコな世界を作りだしていてステキでした。
なんだか皆さん凄いですね!まだまだ続きます。長本真由さんはとても迫力あるモダンなノリの踊り。まだ荒削りですが決めがうまいので、同じようにパターン化したレマーテなどをもっと工夫すると良くなると思いました。漆畑志乃ぶさんはとても好印象の誠実な踊りで奨励賞。藤本ゆかりさんの今年の演技はしっとりしていた感じです。何故かここと言うところの動きに生気が不足していたような、そんなイメージがありました。山中純子さんのマントンを使った振付は洒落ていて素敵でした。か弱いイメージがつきまといますが、上品な感じでもあり、音楽構成も考えていて楽しめました。阿部和子さん、モダンな振りをしっとりアイロッソに踊って、好印象。フラメンコのそれらしいノリをよくつかんでものにしているのは立派でした。蜂須夕子さんはもう少し迫力が欲しかったですが、大きくどっしりした上体でシンプルに踊り込み良かったです。山本純子さんも心を籠めてよく踊り込まれているのが伝わりました。
さて、小野栄子さんは所謂ロルカもので日本でもお馴染みのスペイン古謡を踊り、音楽的にも楽しめましたが、ちょっと衣装やヘアーにもう少し工夫があったらよかったと思います。フラメンコ曲は全くコンセプトを変えてのモダンな振付でない限り、全体的に伝統的なイメージを崩さない方がいいように思います。カーニャを踊った山本由紀さん、踊り自体は悪くなく後半はそれなりのアイレでステキでしたが、マントンや衣装がもっとトラディショナルだったらもっと映えたのではないかと思いました。持田賀津子さんのシギリージャは無理な演出、劇的表現がちょっと気になりました。佐野裕子さんは気が入っていてどっしり感が良かったです。浅野直子さんはモダンな振りをうまく熟せるまでもうちょっと練習を重ねてまた挑戦して欲しいです。池田理恵さんは迫力がありそうで出しきれてない感じが残りました。頑張ってください。平田かつらさんはバックの熱唱を受けて堂々と踊っていました。その他、和泉冴英香さん、森里子さん、千葉真優美さん、加藤美佳さん達もこれからの飛躍を期待します。
【19日(日)】
3日目は、やはり何と言っても際だったのが松彩果さん。感じるままの踊り、フラメンコな身の熟しで魅せました。同じようにウニオン行きに挑戦した重盛薫子さんもキラッとするものを見せながら健闘なさっていました。このようにすでに奨励賞を受賞している方々がところどころで出てくると、雰囲気が引き締まる感じもします。
さて、奨励賞に輝いた末松三和さん、李成喜さん、大野環さん、柴崎沙里さんの演技はそれぞれに良かったと思います。残念だったのは高度なテクニックでモダンなアレグリアスを踊った渡辺なおみさん、難度がある振付で頑張った瀬崎慶太さんなどでした。今後が大いに期待されます。近藤綾香さんは凄いテクニックと自分の世界を持っている異色の踊り手さんだと思います。ただ白?いメディアは賛否両論別れる要素でした。同じようにとても個性的なのが西山依里さん。天性の持ち味が時々ぞくっとフラメンコなカンジなのは不思議です。身体の使い方がいいような悪いような、何ともイレギュラーな世界があるように思いました。杉山須美江さんも綺麗なブラッソでしっかりした軸があり、肝心なところもきちっと締まる、筋のいい踊りでとても好印象、良かったです。
佐藤直美さん、表現したい気持ちが表情に表れ過ぎ、技術が伴わない不自然さがありちょっと残念だと思いました。バタとアバニコで登場した阪上のり子さんは特殊な振付のグアヒーラで健闘しました。 野上裕美さんは技術的にしっかりしているので、まだこれから伸びて行くと思います。佐藤幸子さんは自分の持つプーロ路線をしっかり維持した堅実な踊りでした。流石泰美さんはちょっと地味ですけど安定していたと思います。新井ゆふ子さんはコルテなどをうまく決めて健闘していました。青木千鶴子さんのソレアは唄振りで終わって行くシブい構成がステキでした。本川幹子さんのバンベーラは後半の唄が効果的で良かったです。上体ブラッソなどいろいろまだまだ改善できる要素があります。同じく幅田真沙実さんも丁寧に綺麗に踊っていて好感持てました。稲垣栄子さんは本当に元気よく楽しそうに踊っていましたね!

長嶺晴香さん:最初からパワー全開でフラメンコへの熱情を感じました。力の配分を考えてメリハリを作るとブレリアに抜ける時や終わりにもっと爆発力が備わると思います。
原舞さん:体幹を作っていかれると良いと思います。
内田好美さん:情感が豊かと感じました。
林由美子さん:ペソを感じませんでしたが、タンゴに入ってからの踊りは素敵でした。
久保田晴菜さん:ひとつひとつのポーズがきれいでした。流れが見えなかったのが残念です。
齋藤朋之さん:ソレアに対する真摯な姿が印象に残っています。
本多清見さん:振りと振りの繋がりがぎくしゃくしているように見えましたが、バックの皆さんの力がそれをスムーズにしているように感じました。
大塚歩さん:小気味良いアレグリアスでした。
沖真悠子さん:引っ込みの歩き方が気になりました。歩き方は曲調によって考えさせられます。
松本千晶さん:マルカールで良い所を感じました。
牛田裕衣さん:タメもありブレリアから引っ込みole!でした。
森里子さん:元気が良く、指使いがきれいでした。
小西みとさん:表情が豊かでポーズがきれいでした。
古迫うららさん:良いソレアでした!ペソがあり、抜ける時の空気感はole!です。
長本真由さん:ペジスコを感じ、カンテとマルカールが良い調和でした。
佐渡靖子さん:「引っ込みまで踊り切る!」とても良いソレアでした。
岩丸綾子さん:抑えた情感がより深く心に伝わりました。
浅野直子さん:振りをつめ込み過ぎのように感じました。背中の使い方を考えていかれるとブラッソがもっと自由にのびやかに見えるのでは?
漆畑志乃ぶさん:良い表情でした。止まりの時ブラッソが少し遅く見えたように感じました。
和泉冴英香さん:良いソレアで、責任のとり方がカッコ良かったです。
山本純子さん:振りを自分のものにすると表情も出てくるのでは?
津田可奈さん:迫力と目力がありました。
山中純子さん:バラエティーにとんだマントン捌きが美しかった。
斎藤克己さん:ole!です。
阪上のり子さん:表情豊かで楽しいグアヒーラでした。
末松三和さん:成長が見え、安定感のあるソレアでした。
西山依里さん:動き過ぎの感はあるが、情感豊かで気迫が伝わって来ました。
流石泰美さん:精一杯に踊っている姿に好感を持ちました。
大野環さん:感動しました。
新井ゆふ子さん:出の歩き方が堂々として良かった。
青木千鶴子さん:前年より成長を感じました。
幅田真沙実さん:楽しそうにタンゴを踊っているのが好印象でした。
稲垣栄子さん:笑顔がステキでした。

「火花」「花火」の3日間に寄せて
生きた、踊った、唄った、弾いた…彼ら全員に心からの拍手を送りたい。
<バイレ・ソロ部門>
【17日(金)】
長嶺さん:力が入ってアイレのあるフラメンコでした。
屋良さん:ご自分のソレアを立派に踊っています。
原さん:サパティアード良いです。少し変化が欲しい。
内田さん:シレンシオの部分がきれいです。
河合さん:サパティアードに工夫があるのですが…
林さん:情感、品性を感じました。
森山さん:また挑戦してください。踊り込んでください。
久保田さん:溢れるばかりの表現、感動しました。
本田さん:パフォーマンス性があり、新しい工夫いいです。
齋藤さん:貴方の人間性が踊りに現れています。
本多さん:重厚感あります。またの挑戦を!
高野さん:欠点は少ないです。魅せる工夫をして。
大塚さん:踊ることが楽しい、という、とてもきれいでした。
菊池さん:手足の長い恵まれた体形でお得です。
小島さん:パリージョ、アバニコ、若々しくて美しいです。
加藤さん:しっかり体幹を保ち、コンパスも正確です。
伊藤さん:形から入っているのが少し。また挑戦して。
沖さん:恵まれた容姿、カンテに工夫があっていいです。
白石さん:舞踊性が欲しいかしら。タラントの振りに工夫。
松本さん:全体的に問題がないのですが。
牛田さん:コンパス正確。舞台に映えて素晴らしい!
<バイレ・群舞部門>
Golondrinas:気持ちよく、よく揃い、ただただ楽しめました。
斎藤克己フラメンコ・アカデミー札幌:舞踊性を感じます。グアヒーラの暗いのも新しいです。
ベニート・ガルシアフラメンコスタジオ:情感のあるフラメンコ。ひとりひとりが輝いていました。
【18日(土)】
森さん:若々しくピチピチ。技術的に素晴らしい。
千葉さん:体の中に情感を秘めて、心に伝わります。
山本さん:レースのマントンがステキ。重厚感が欲しい。
小西さん:とても美しいです。マントンのさばきもいいです。
古迫さん:強さが内面から出ていてご自分のソレアでした。
長本さん:エネルギッシュなフラメンコ。少し抜いたところが欲しい。
佐野さん:ご自分のソレアにしています。少し振りが多いかも。
黒須さん:バランスのよい、強弱があり感動しました。
佐渡さん:カンテの思いにとてもよく乗って良かったです。
加藤さん:フラメンコが楽しくて好き!がよく出ています。
岩丸さん:表現力があり、きれいにまとめています。
小野さん:ソロンゴに挑戦。舞踊性が欲しいです。
蜂須さん:長い手足を全身でよく、あと少しです。
浅野さん:きれいにまとめています。高いレベルのサパテアードです。
漆畑さん:楽しそう、可愛らしい。はちきれんばかりのアレグリアス。
藤本さん:力強さが伝わります。カンテに負けていません。
和泉さん:豊かなお身体からアイレがあふれています。
持田さん:マントン、帽子を椅子の上に、思いをこめていいです。
池田さん:ボリュームのあるお身体からアイレがしっかり出ています。
黒木さん:大人の女性を感じました。マイナス面は少ないです。
平田さん:長身を十分に出して、将来性あります貴女!
山本さん:まろやかさがあって、まとまりも良いです。
佐藤くん:前回より成長を感じました。あと少しです。
津田さん:上半身が美しく、うっとり、ステキでした。
阿部さん:女性カンテ2人と雰囲気がとても良いです。
永田くん:身体の中に針金が入っているように鋭い。
山中さん:マントンの使い方良いです。もうひと工夫。
斎藤くん:マイケルジャクソンのように。貴方のバイレ、哀感あります。
【19日(日)】
李さん:美しくて強くて。バランス良し、感動。
佐藤さん:思いが伝わってきます。もっと良くなります。
阪上さん:ステキな衣裳、また挑戦してください。
末松さん:清々しいフラメンコ。サパティアードもいいです。
杉山さん:表現をもう少し考えてください。
野上さん:若々しく元気です。少し固くなったかしら。
西山さん:あふれるエネルギー。少し大味になります。
佐藤さん:非常に個性、大事に自分のものにして。
流石さん:盛り上がりはとても上手。ラスト少し疲れたかも。
瀬﨑くん:自分のカーニャにしています。がんばって!
大野さん:パリージョがここまでになるのは大変、立派です。
新井さん:長身のスタイル抜群。きれいでした。
松さん:頭の先から指の先まで行き届き、会場から魅了の拍手が。
渡辺さん:よくまとまった明るく楽しいアレグリアス。
柴崎さん:身体能力に優れ、舞踊性あります。感動!
青木さん:力が入っています。もの哀しさも表現されて。
本川さん:基本も出来ていて気持ちよく拝見しました。
重盛さん:苦悩、悲しみの表現が出ています。
近藤さん:軽やかなパーツが新しい工夫でした。
幅田さん:また挑戦して。フラメンコが楽しくなりますから。
稲垣さん:しなやかです。明るい動きがステキです。

17―1長嶺晴香…しなやかなブラソとマノ、アイレと力強い踊り、良かったです。パワーが力みにならないように脱力とコントロールを意識してみてください。
17―8久保田晴菜…ブラソ、表情、良かったと思います。間を大事にメリハリをしっかりつけましょう。
17―10齋藤朋之…フラメンコに真摯に向き合う踊りに感動いたしました。
17―13大塚歩…表情も豊か、クエルポ、ブラソ使い、アイレ、とても良かったです。振りに止め、メリハリをしっかりつけてみましょう
18―10小西みと…クエルポからブラソ、アバニコへの一体感のある表情、アイレ、品もあり素敵でした。おもいきりはじけるパワーを感じたかったです。
18―11古迫うらら…力強さと重さ、安定感のある踊りから伝わるアイレ、良かったです。エネルギーを集約コントロールし、表現にどう繋げるかです。
18―14黒須信江…メリハリがあり、小気味良いアイレを感じ、良かったです。
18―22藤本ゆかり…クエルポからブラソ、マノに繋がる間、ため、良い感じでした。あとひといき、何かを感じさせてください。
18―29佐藤哲平…体使いにひねりや、間 、安定感、重さがあるとサパテアードとダイナミックな踊りがよりいきてくると思います。
18―30津田可奈…安定感とエネルギッシュな踊り、アイレ、抜けの止め、とても良かったです。
18―31阿部和子…心を込めた踊りに温かな空気間とアイレを感じ、感動しました。
18―34斎藤克己…構成も素晴らしく、そこに存在するだけで大きなエネルギーを発する。引き込まれていき、とても感動しました。
19―21杉山須美江…重さと安定感、アイレもあり良かったです。強さ、メリハリがほしいです。
19―23 西山依里…元気いっぱいが良かったです。力まかせにならないようにパワーをコントロールし、ひとつひとつの振りを丁寧に踊ってみることです。
19―25流石泰美…ブレのない軸、落着きと安定感のある踊り、良かったです。エネルギッシュな力強さをあと少しほしいです。
19―26瀬﨑慶太…ポジション、形、良かったです。首使い、体の使いにメリハリ柔軟さがあると表現が豊かになります。
19―30渡辺なおみ…溢れ出る躍動感とアイレに感動しました。
19―31柴崎沙里…抜群の安定感とみなぎるパワー、しなやかなブラソと間が素晴しかったです。
(自分に迷いが出た時…)原点にかえってみましょう。何かをきっと発見できると思います…。基礎、基本大事です。そして、感性を大切にして下さい。

6月開催にもかかわらず、やはり「新人公演は熱かった!暑かった!」
今年はバイレソロ(奨励賞対象)65名と「カンテ・デ・ラス・ミナス」エキシビジョン選考対象(歴代奨励賞受賞者)5名で3日間70名のバイレを観させて頂きました。
この25年間での出演者のテクニックの向上は著しいものです。それには各人が留学をし研鑽を重ね、その後もたゆまぬ努力をしてきた賜物だと思います。近年は日本で数多くのスペイン人クルシージョも催され、多くのテクニックを学ぶ機会に恵まれている事にも機縁していると感じています。
今回、バイラオーラの立場から踊りと衣裳のことに関して意見を述べさせて頂きます。自分の踊り、動き、ヌメロをきちんと考えて衣裳を選ばれたのでしょうか?ファルダの懸回(けまわ)しの広さとか意識してエスコビージャの時などファルダの扱い方を気を付けて欲しいと思いました。パソを見せる事に専念しすぎてファルダの扱いが雑になり、残念だなと感じた出演者が何名か見受けられました。
◎心に響いた方達 ○来年に期待しています
<バイレ・ソロ部門>
【17日(金)】
○長嶺晴香:身体の前傾が気になりましたが、パソをもう少し抑えて気持ちとのバランスを整えて踊ったらと。
○久保田晴菜:恵まれた身体をいかした踊り、上達のあとが見られます。自分の中でフラメンコのアイレの構築を深めて。
○小島智子:今回はマイク有でパリージョが鮮明に聞こえました。とてもエレガンシアですが、ペソ不足でした。
○加藤誠子:安定感のある大人の踊り、もっとカンテを感じて!
○沖真悠子:印象的な出だしで雰囲気がある踊り。もっとカンテ・ギターと対話して踊れたら。
◎松本千晶:自信にあふれた踊り、リズムの切り換えが上手。少し振りに追われた感がありましたが。
【18日(土)】
○小西みと:華のある踊り手、バタの扱いも良かったがもっと自分というのを表に出して欲しかった。
◎黒須信江:格段の上達、後半のソロ・デ・パソからの流れも良かった。リズムのコントロールが出来ればもっと完成されるのでは。
○岩丸綾子:惜しい!すごくコントロールされた踊りなのですが。振りを追うだけでないあなたのアイレを感じたいです。
○蜂須夕子:独特のアイレ、抑揚の効いた踊り、時々棒立ちになってしまうのが気になりました。
◎漆畑志乃ぶ:バタの扱いがとても綺麗。小柄ですが身体をよく使いこなし、素晴らしかった!コケタでもあったし。
○藤本ゆかり:全体的に良くまとまって、サパテアードもリンピオでした。が、こちら側に伝わってくるものが弱かった。
○山本純子:メリハリがあり、抑えた唄振りが好ましかった。首の前傾と最後の入りまで大切です。
○佐藤哲平:数段の上達ぶり。上体の引き上げに気をつけて。来年楽しみにしています。高みを目指してください!
○阿部和子:前回のソレアとはまた異なり、ゆったりとしたアイレたっぷりのアレグリアス。iSra. muy bien!とても会場を和ませてくれました。
◎斎藤克己:空間を一瞬にして「克己ワールド」に変えてしまった!常に挑戦する姿勢がすばらしい。キャリアを重ねた、ただテクニックだけに頼らない男の色気を兼ねそなえた踊りでした。後輩のバイラオールに伝えて欲しいフラメンコ黄金期の雰囲気がある。
【19日(日)】
◎李成喜:カンテとよく対話し落ち着いたマルカーヘ。昨年から比べるとペソを感じた。ブエルタの美しさも評価。
◎末松三和:踊りを自分のものにしている。大人の踊り。エスコビージャのリズムが良くコントロールされ流れを上手く作っていった。
○瀬﨑慶太:体幹がしっかりしてきてこの一年の精進の成果あり。ただ抜ける時が少し軽すぎる様に感じた。
◎大野環:しっかりと自分の世界を持ち、フラメンコに立ち向かっている姿勢を感じた。今回はパリージョに挑戦、以前はマントン等、何も道具を使わない踊りも観たいです。
○渡辺なおみ:しっかりと踊っていましたが、衣裳の懸回(けまわ)しが狭いのでエスコビージャの時にファルダの扱いが雑に見えて残念でした。
<バイレ・群舞部門>
3組それぞれが異なった傾向の作品で評価をするのが難しかった。
・Golondrinas:8人がよくまとまって踊られていた。構成の展開がありおもしろかったが、もうひとつ「ほとばしり」が欲しかった。来年もぜひ出演してください!
・斎藤克己フラメンコ・アカデミー札幌:独特のオープニングから、6人のグアヒーラへ。各人アバニコの扱い方が美しかった。アニフェリア出演時より皆んなの気持ちがよりまとまっている感じがした。
・ベニートガルシア・フラメンコスタジオ:フラメンコな構成・振付で、踊り手それぞれをより上手く見せることが出来ていた。

<バイレ・ソロ部門>
フラメンコは難しい。解っているからといってすぐ体現できるわけではなく、ただ皆さんに高い目標を持って頑張っていただきたいのです。何故こういう振りを踊っているのか。何故ここにこのレマーテ、ジャマーダがあるのか。自分としての心はあるのか。自分の意志でその振りを踊らなければ何も伝えられないのではないでしょうか。すぐに手にすることが出来なくても、ずっと意識し学んでいけば、きっと少しずつ手にすることが出来るのだと私は信じているのです。
私が奨励賞に推薦したのは、
★大塚歩:上手い。フラメンコを良く知っている。身体もきいて切れも良く、強さもある。抜けの感じもタパオも良い。軸はあるが姿勢は気になる。ギターと唄で作りこみ過ぎだが、アレグリアスらしく、自分のものになっていてとても良い。
★松本千晶:今年もまたしっかり腰の据わった存在感。静と動の使い分けも見事で、粋なしっとりとした大人の踊り。込める力が好き。上質な踊りに引き込まれた。毎年色々な面を見せてくれる。もっと強烈に訴えかけることも必要。
★牛田裕衣:気迫も重みもあるフラメンコ性の高い踊り。大げさな振りだが自分のものになっている。若いのにどーんとした存在感で迫ってきた。凄みすら感じる。切れ味も良く見入ってしまう。熱いものを感じたがどこかしっとりとしたうねりしぼりも見てみたい。
★古迫うらら:すごく良い!素直なフラメンコらしさに引き込まれた。足もリンピオ、振付けも良い。顔の切れ、抜けも良い。もっと出来るのかと思ってしまう。期待大。含み、絞りみたいなものが出てくるともっと良いのでは。
★黒須信江:フラメンコ性があり素晴らしい。唄もファルセータもブレリアも隙がない。完成度が高くしなやかで深さもあり抜けも良い。足の音が小さかったが気にならない位、表現力が凄い。
★山本純子:抑え目だが良い緊張感。内に込める思いが伝わってきて何か心に沁みた。ブラソとマノを丁寧に、唄にもっと深い表現を。止まりの時の軸に注意。抜けも良く、ブレリアが好き。良いものを持っているので今後に期待。頑張って欲しい。
★末松三和:込めた力の素晴らしさ。一時も緩まない空気感。腰のどしっと据わった安定感ある踊り。ピエもリンピオ、軸もぶれない。余計なものはそぎ落とされ、どーんと心に届いたソレア。もう自分の世界を確立している実力派。渾身の踊りに今年も感動。
次点で推薦したのは、
☆久保田晴菜:身体能力に優れ、のびのびとした気持ちの良い踊り。アレグリアスらしい若さ溢れるハツラツとした踊りに惹かれた。ピエも正確で安定感も良い。舞踊的にはバツグンに上手いのだが、フラメンコとして迫ってくるものがいる。綺麗過ぎるのが難点。
次に、特に印象に残った方々は、
●長嶺晴香:パワフルで個性的。ここまで頑張るかという勢いで迫ってきた。ずっと全開。荒いが面白い。動き過ぎ、もっとさり気ないところが欲しいが、すごいインパクトで深く印象に残った。
●沖真悠子:コンパスの〆を感じる落ち着きもあってとても良い踊り。ダイナミックで華やかだが、動きが多いのでもっとゆったりしたところがあっても良いのでは。
●佐野裕子:ソレアらしくて良い。静かだが込めた力がある。肩に力が入り過ぎだが自分を信じる力に惹きつけられ見てしまう。迫る程の強さはないが、伝わるものがあった。
●佐渡靖子:マントンもバタも技術的には素晴らしい。ダイナミックな力強さと気迫を感じた。少し動きすぎだがその意気込みに胸が詰まった。情感が出て来るとなお良い。
●漆畑志乃ぶ:バタのさばきが素晴らしい、コンパスにはめてバタが落ちる。マントンも一瞬ヒヤッとしたが上手い。足音も心地良い。とてもキュートなアレグリアス。どこかグッとくるところが欲しかった。
●和泉冴英香:唄は良いがマノをもっと使って、しぼるところが欲しい。好感度大。パルマに消され足の音があまり聞こえず、ジャマーダが弱く感じた。上手いのだがもっと身体を締めて。
●池田理恵:個性的。細かい表情が出てきた。ノリもアイレもある。上手いが盛り上がってこないのが残念。凝った振りだがアセントもっとしっかり取ると活きる。
●李成喜:静かで良いがマノしぼりがもっと欲しい。熱さもあり感情表現も深いのだが何かフラメンコとして引っかかるものがある。バックが作り過ぎで盛り上がりに欠けた。
●西山依里:パワフルフラメンカ。独特な彼女のスタイル、味、泥臭さが魅力。込める力もありレマーテも強いが全ての表現が大振りで少し過剰に感じた。マノももっと使って。
●瀬﨑慶太:よくここまで踊れるようになったと感動、素晴らしい。気持ちが伝わってきて目が離せなかった。ブレリアから動き過ぎ。今後が本当に楽しみ。このまま頑張って。
●大野環:後ろ姿にも存在感。荒さが取れてしなやかに。カスタネットがまだこなれていない。エスコビージャの足が床を掴んでいない。もっとシギリージャの強さが欲しい。
●渡辺なおみ:気迫もありパワフルでノリも良いが動きすぎ。首が突き出ているのが気になる。抜けやマルカールは良いが、全体にきつ過ぎてアレグリアスらしさが伝わりにくい。
●柴崎沙里:独創的な振付で素晴らしく、身体能力に優れ、踊りこなしているが、見せるフラメンコという印象。緩急はあるがもっと静かに込めるところが欲しい。
次に印象に残った方々は、
◎菊池麻由美:静けさが良く独特の雰囲気があって魅力的。身体も出来ているが少し硬い。マノをもっと使って後半は自分で盛り上げる力が必要。
◎小島智子:カスタネットは素晴らしいが、アバニコの印象が薄い。足は奏でている。良くなっているが行き着くところが欲しい。止まりは決めて。
◎加藤誠子:全体的にバランス良く、気迫もあり静けさも良い。身体も出来ている。どこかもっと強いものが欲しい。後半の盛り上がりは良い。
◎小西みと:キュートで初々しいが熱さもある。よく踊っているが、顔と身体が一緒に動くのが気になる。マノをもっとよく使って。
◎長本真由:パワフルな踊り。よく動く身体に切れ味の良い足。ブラソもマノもまだ荒いが自分のものになっていて面白い。
◎蜂須夕子:上品にまとまっているが、もっと動かない方が素敵。少し中途半端に感じた。トレロの振りはもっと限界まで我慢して。ブレリアの抜けは良い。
◎藤本ゆかり:気迫と重みと存在感はあるが首でリズムをとるのが気になった。エスコビージャが動き過ぎ。ブエルタの切れがない。
◎黒木珠美:雰囲気があり何か伝わってくるのに、何か物足りない。出始めもっと唄を感じて。エスコビージャ後半から彼女らしさを感じた。抜けも良い。
◎平田かつら:ソレアらしい静けさと力強さ。切り替えの間が良い。ジャマーダは強く。エスコビージャからラストにかけて少し硬い。
◎佐藤哲平:昨年より断然上手くなり、上半身も力強くなったが、まだ硬い。足さばきもずいぶん頑張っている。今後が楽しみ。
◎津田可奈:切れ味も良く力強い。バックとの一体感があったが訴えかけるものが足りない。表情がずっと同じなのが気になった。
◎斎藤克己:何かこの人の人生を感じた。独特の世界観。
今後に期待したい方々は、
○内田好美:昨年より印象が薄い。上手いのだがもっとはっきりした振りの方が合う。
○齋藤朋之:振付も良くまだまだだが良いものを持っている。気持ちが伝わり心に残った。
○森里子:華やかでアイレがある。マノ、ブラソも綺麗。動きすぎだがハツラツとして良い。
○千葉真優美:振付も良く気迫はあるが、もっと唄を感じて。ブレリアへの抜けは深く。
○山本由紀:華やかで綺麗だが、ポーズを決めすぎで上半身にフラメンコの強さがない。
○岩丸綾子:幻想的なスタートが印象的。身体はきいて足も強いがぐっと来るものがいる。
○阿部和子:ノリがある。足は良いが身体にしまりがない。楽しそうなフラメンカ。
○佐藤直美:必死な思いは伝わるが緊張感がない。後半のノリは良い。もっと重みがいる。
○流石泰美:始まりは素敵、凝った良い振りだがこなれていない。自力で盛り上げて。
○新井ゆふ子:唄は感じて、シンプルな振りを込めて踊っていて良いが、足の印象は薄い。
○青木千鶴子:込める力も出て来て、立ち姿も良くなった。ブレリアの入り口が残念。
○近藤綾香:足強く、レマーテも凄い。タラントとしての含みが欲しい。スカート注意。
奨励賞対象外の5名の方の踊りには、その意気込みに圧倒された。
私が日本カンテ・デ・ラス・ミナス音楽祭に推薦したのは、
★永田健:何から何まで凄い。こんなに力強くなるとは。あの速さでバストンと足をよく踏めるものだと感心、感動。お見事。
●屋良有子:印象的な始まり。身体に芯がありぶれない。ブエルタも目にも留まらぬ速さで。素晴らしいコンパス感、見事なピエ。ずっと引き込まれる独創的な踊り。
●本田恵美:圧巻。詰まった感じがするが独特の個性。作品的な仕上げで、アレグリアスらしくはなかったが、有無を言わせない踊りで完成度が高い。凄い。
●松彩果:踊りが深くドスンとした重みを感じる。身体に芯があってぶれない。フラメンコ性が高く内から発せられる強いものに引き込まれた。
●重盛薫子:前回のソレポルの印象に比べ、タラントの部分は弱く感じたが、ピエは良い、切れ味バツグン。タンゴから本領発揮、すごく良くなった。
<バイレ・群舞部門>
それぞれのグループの個性の違い、見せ方も違いそれぞれに魅力があり、面白かった。
群舞で奨励賞に推薦したのは、
★ベニートガルシア・フラメンコスタジオ:フラメンコ的な心に残る素敵な振付。群舞だが個々を感じる。皆のレベルが揃ってないと出来ない振り。タラントらしく思いが伝わった。
印象に残ったのは、
●Golondrinas:全体に素敵な群舞だったが、フォーメーションが変わり過ぎて踊りがわかりづらかった。これだけの構成を考える先生も覚える生徒さん達も大変だったのではと感心した。
今後に期待したいのは
◎斎藤克己フラメンコ・アカデミー札幌:中央の背の高い方が引っ張って見せていた。皆の力のまとまりも感じたが、先生の振りとのつながりが良くわからなかった。
本当にいつもの事ながら言葉にするのはとても難しい。私はフラメンコらしく感情を込めて自らの内から溢れてくるものを大切に、踊って欲しいのです。
フラメンコをどう感じ、どう踊りたいのか、自分の意思が最も重要!フラメンコの独特の動きを大切にし、テクニックの追求よりフラメンコの本質について、もっと考えて欲しい。あくまでもテクニックはその表現手段に過ぎないのだから。
その上で、フラメンコを感じ、その曲らしさを感じ、「振り」の意味と流れを理解する。コンパスが全てを支えていることを忘れないで欲しい。(唄もエスコビージャもアセントが大切。コンパスの〆は重要!)これは時間を掛けて奥深く探っていくもの。
その人だけの独自性、その人だけの味、自身の思いを伝えるために、強くて深い生きる上での全ての感情を、自分の身体を駆使しどこまで表現できるのか。それぞれが感動を追い求め、自分だけの道を探していって欲しい。誰かのようにではなく、自分だけの道を。

我が道を信じて猛進する時、一度は通り抜けなければならない、暗くて長いトンネルを抜け出し、新しい光を浴びる喜びを味わうことの出来た柴崎沙里さん、大野環さん、李成喜さん、黒須信江さん、漆畑志乃ぶさん、末松三和さんおめでとうございます。特出すべくは、斎藤克己さん、貴殿の生き様を舞踊の中からみせつけられた時、涙が出る程引きつけられました。私の心が洗われました。私の目標がみえました。ありがとう…。
次に続けとばかりに私の心を揺さぶった方達。久保田晴菜さん、相変わらずベテランの味を持つ上手なサパテアードだと思いましたが、もう少し自分に向かって踊ってほしい感がありましたので、ちょっと残念に思いました。牛田裕衣さん、堂々とした態度の中に将来性を感じました。佐渡靖子さん、貴女も大胆でいてかつ丁寧に踊っていましたね。また会える事を楽しみにしています。また、カンテ・デ・ラス・ミナスにバイレソロ部門で優勝された屋良有子さん、節々に努力の技が見え隠れする凄い作品でした。本田恵美さん、個人的には貴女に仰天しました。三位一体とはこの事なのだ、日本人もここまで来たか、全員の意気が1つになり、スペインの匂いがしました。凄いものをみせてもらえてありがとう。
バイレ群舞部門だって、3曲とも私は好きだった!群舞1のGolondrinas、次から次へとすばやく変化する、初夏のつばめ達!群舞だからこそ出来る素敵な踊りでした。まるで万華鏡を覗いている様な、すばやく次々に表れる素敵な変化、出演の皆さん良くがんばったね!凄かったよ、私の中では奨励賞です。
毎年思うのです。ここに出演してくるつわもの達は、いつの日か必ず輝く光を浴びる日がやってくる!と。その日が来ることを信じて、お互いに頑張りましょう!また、お会いします。

<バイレ・ソロ部門>
「黒須信江」さん、テクニックに裏付けされた力量を感じました。インテンポのソレア・ポル・ブレリアで個の色を出されていました。
「漆畑志乃ぶ」さん、何度もの参加、ついに念願がかないました。私自身頭の下がる思いです。マントンとバタ・デ・コーラの使い方が一体化してすがすがしい踊りでした。
「斎藤克己」さん、シンプルな切り口でイナダイズムを表現されていました。立ち姿が美しい。自分がどんな風に観られるかをしたたかに計算された作品でした。
「李成喜」さん、テクニックに裏付けされた踊りで作品の完成度も非常に高いものでした。体格にも恵まれていて非常にスケールの大きな踊りを感じました。
「末松三和」さん、ソレアレスを自分のものにして表現されていました。足の技術は見事なものでした。
「大野環」さん、非常に完成度の高い作品でした。ピエの強さ、上半身の使い方、シギリージャの持つ黒い色を観させてもらいました。
「柴崎沙里」さん、サリーダからの空気の切り方、導入部から最後まで、気を抜かない構成。そのソレアの中に“起承転結”が感じられました。素晴らしい作品でした。
受賞者以外で私が感じた舞踊家を列記いたします。
「林由美子」さん、「大塚歩」さん、「菊池麻由美」さん、「佐渡靖子」さん、「西山依里」さん、「蜂須夕子」さん、「藤本ゆかり」さん、「平田かつら」さん、以上の方々が私の中で印象に残った出演者です。
<カンテ部門>
「許有廷」さん、何度も挑戦してやっと手にしましたね。「タランタ・イ・レバンティーカ」私は気持ちよく聞くことが出来ました。後は身体が楽器であるという事を認識されるともっと良くなると思います。
「奥本めぐみ」さん、日本人が特に陥りやすい下降音の部分がきっちりとスペイン音程で安定していました。今後はアレグリアスとソレアが聞きたく思います。
他に気になった人々を記します。「ダニエル・リコ」さん、すごく良くなった。「占部智恵」さん、「松橋早苗」さん、以上の方々です。カンテは本当に難しいものです。言葉といい、非常にダイレクトに感じさせるもので舞踊以上に大変なものと私は思っています。

カンテの選考委員として私をお招きくださったことに対し、ANIFに感謝の念をお伝えいたします。また、出場されたすべての歌い手の方々も、カンテに寄せられる興味と献身に対し、感謝を捧げるものです。
しかし、総体的に言って、出場者の皆さんには、まだまだ学ばなければならぬところが多いと思いました。重要なのは賞を得ることではなく、カンテをよく知り抜いて、それを歌に表すことです。カンテは、あるディスクをコピーしただけで歌えるものではありません。できるだけ多くのカンテを聴き、つねに研究を深めることです。発音を正しくすること、レトラの意味を知ることも必要です。自分の言っていることの意味が分からなくて、どうして歌を歌えるでしょうか。
このように言って、私は誰をも落胆させようとは思いません。逆に、すべての出場者たちがこれからも日夜学びつづけ、挑みつづけられますよう応援いたします。カンテはとても難しい…でも、それがフラメンコなのです。難しい故にこそ美しい。ガンバッテ!!

まずすべての参加者に言いたいのは、バイレであれギターであれカンテであれ、この新人公演のために重ねてきた努力に対して、祝福を申し上げたいということです。きっと皆さん、今回参加するために何ヵ月も頑張ってきたに違いないのですから。
私はカンテという難しいアルテを知る者として、カンテを競い合う場には敬意を表します。フラメンコを歌うには多くの要素が求められてきます。ただCDを手に入れてアーティストの真似をすれば済むというわけにはいきません。情熱も必要だし、心も上達したいと願う気持ちも必要です。カンテを習得することの難しさは私にも分かります。でも、だからこそ参加者や愛好家の皆さんを励ましたいし学び続けていって欲しいのです。フラメンコを歌うためには多くのことが必要です。コンパス、呼吸、知識、レトラの発音…などなど。
今年はカンテ部門への参加者が多い年でした。だから私はとても満足しています。それはつまり、愛好熱が実を結んできたことを意味するからです。ですがそれでも、私は言いたい。まだ、努力を続けていかねばならないと。日本のバイレが達しているのと同じレベルまで上がっていかねばならないと。バイレやギターのレベルは本当に高く、カンテにも他の練習生の皆さんと同じところまでいって欲しいと願います!おつかれさまでした!ガンバルンバ!

今年もバイレ・ソロ部門のレベルは一段と高くなっていた。ただ、高くなったとはいっても突出していた人は少なく、底上げ的レベルアップがまた一歩進んだ感じだ。つまり、僅差の中で例年にも増して大勢の人がひしめき合っている超混戦だった。
私は、選考にあたって、自分なりの基準で行う採点と、演技から感じたことをすべてメモる、という方法で臨んでいる。基本的に採点した点数で決めていき、メモを参考にして決める。
ちなみに、今年は迷いなくなく奨励賞!の点(7.5以上)をつけた人は5人。奨励賞のボーダー上(7点)にいた人は17人、あと一歩で奨励賞のボーダーライン上(6.5)という人が18人。ここまでで全出場者の6割強を占める。この後に続く人たちだって、かなりうまい。
そうした中、私が奨励賞に推したのは、以下の7人。
高い集中力でスケールの大きいソレアを踊った柴崎沙里。豊かな身体性、しっかりと叩き込まれたフラメンコと舞踊の技術力とがひとつになって完成度の高い演技だった。格段の成長ぶりを見せ、はつらつとコンパスを体で表現した漆畑志乃ぶ。安定感さえ感じさせる実力を身に着け、今回はパリージョで挑戦してきた大野環、あっぱれ。華のある存在感、しなやかでありながら芯を感じさせる芸風に将来性を見た津田可奈。昨年に続いてのバタにマントンで臨んだた佐渡靖子も格段の成長ぶり。バタに振り回されない身体、生き生きとしたマントンの動き。生命力とコンパス感あふれたエレガンシアを堪能した。胆の据わった重厚なソレアを踊った山本純子。フラメンコ舞踊の基本たるコンパス感を体で感じさせてくれた大塚歩。
続けて以下に、「奨励賞のボーダー上」と採点した中で、特に印象に残った人について記したい。
初日の1番バッター長嶺晴香、幕開けの緊張をもろともせず溌剌と踊った。まっすぐに内向する意識が胸を打った菊池真由美。丁寧に、ドラマティックにシギリージャを踊った加藤誠子。美しいフォルム、落ちついた大人の色香を感じさせた牛田裕衣、あと線の太さがほしい。バタの先まで生き生きしていた山本由紀。清冽でエレガンシァ、香り立つようなグアヒーラを踊った小西みと。地味ながらしっかりしたフラメンコのテクニックを身に着けた黒須信江。重さあり。キレもあり、内側へ向かうエネルギーが充実していた古迫うらら。パワーあり体がよく動いていた長本真由、力抜きどころを覚えて!まだ粗削りではあるがコラヘを感じた岩丸綾子、緩急と間合いをもっと大切に。安定して高い実力を持っているのに、そこを突き抜けてくるものが今年は薄かった黒木珠実。問題は技術ではないと思う。落ち着いて大人のソレアを踊った李成喜、終盤への盛り上げが良かった。しっかりとした技術力と集中力が光った末松三和、歌を踊っていた。重いマルカールと圧のあるブラソが印象的だった杉山須美江、爆発力のあるタラントを踊った西山依里。密度の濃い、深いマルカールが効いていた新井ゆふ子。
あと印象的だったということで言えば、ベテラン中のベテラン斎藤克己の渾身のタンゴ・デ・マラガをやはり上げなくてはならない。この人の舞台はたびたび見てきたがこの日彼は、彼史上最高の踊りっぷりだった。心からのオレ!だ。しかし、彼は舞台のなんたるかを知るプロ中のプロであると私は認識している。新人公演への挑戦、その心意気は素晴らしいと思うが、私にはどうしてもほかの新人たちと同一線上で選考することができなかった。彼は見事に受賞を果たしたが、それに異を唱えるものではない。あくまでこの講評では、私の選考方法を明らかにするのみである。
さて、カンテ・ラス・ラミナス音楽祭への出場者枠ヘは、屋良有子に1票を投じた。こちらへの挑戦者たちは、当然ながら実力者揃い。特に会場の空気を制圧して踊った永田健、挑戦する心意気に満ち、創意あふれるアレグリアス(この人の挑戦はいつもそうだ!)を踊った本田恵美の3人で少し迷ったが、総合力で屋良を押した。
そして最後に群舞部門。今年は3組のみの出場で、奨励賞も準奨励賞もなしという残念な結果となった。私は準奨励賞にベニートガルシア・フラメンコスタジオを推した。フォーメーションの展開力と溌剌とした空気感で魅了したGolondrinasとは同一線上のレベルと感じたが、出演者個人個人の技量と個性、地味だがそのフラメンコ性において勝っていたと感じた。

今回の私の採点順位は1位・宇田川さん、2位・池川さん、3位・関根さんでした。
以下、出演順に印象を述べます。(敬称略)
1番・大場(ブレリア ):
2拍3連音などを上手く使ったモデルノ系のブレリア。
しかし残念なのはファルセータ内の音の音量にばらつきが多いので、表現したいものが上手く伝わってこなかった。
2番・池川(ブレリア):
変速調弦プラスB♮調のブレリア。
リブレのグラナイーナをイントロに付けたオリジナル曲で、パコ風であったりヘレス風であったり新旧取り混ぜていて面白かった。
ラスゲアード以外のファルセータでもっと強い音圧を感じられるような演奏ならもっと良かった。
3番・伏見(シギリージャ):
ヘレス風のシギリージャ・イ・カバール。
前半はテンポが焦り気味だったのか?曲の持つ重厚さがあまり感じられず残念だった。
しかし中盤以降の演奏はとても良かった。
4番・宇田川(ブレリア ):
ポルアリーバ調のブレリア。
勇壮な中にも繊細さを織り交ぜた曲構成。
演奏もダイナミックでコンパス感もあり、この日一番良かった。
5番・関根(アレグリアス ):
端正なモデルノ系のアレグリアスで、EとAの調性の2つのアレグリアスを合体した曲。
上手い構成だが、明るさや繊細さの上にもう少しパワー感が出ればよかった。
6番・島田(ソレア):
リカルド風の伝統的なスタイルのソレア。
ギターから音を絞りだすような演奏は良かったが、全体的にタッチの粗さが目立ったのが残念。

今回の新人公演は楽しかった…。その一言です。「バイレ」のプログラムも演題が多種で、表現の方向性、デザイン・色彩の豊富な衣裳、華やかなものでしたが、何より踊る方の真摯な努力が伝わり好感度大の舞台でした。
テクニックの上昇は多くの方々で拮抗の状況ですが、それなりに印象が異なっていて私なりに評価してみます。つまり、瞬間的にもその存在感を強く見せてくれた方々の連記です。
長嶺晴香、菊池麻由美、山本由紀、黒須信江、浅野直子、漆畑志乃ぶ、斎藤克己、李成喜、末松三和、大野環、柴崎沙里の諸氏。でもその他の方も差がなく続きます。次回がんばって欲しいものです。
「バイレ・群舞」部門は3作品のみで残念。にぎやかになって欲しいと願っています。
さて最後に付け加えます。それは男性齋藤朋之「ソレア」の孤高的(ここうてき)な貫禄美に打たれた事です。

今年はラ・ウニオン招待枠を競う公演でもありました。ウニオン出演を狙う出演者はさすがに舞台慣れしており、一線を画する迫力がありました。もちろん、いずれも奨励賞受賞者。この姿が受賞した人たちの未来像です。では、以下に僕が奨励賞に推した方を紹介します。
バイレソロから。小島智子さん。カスタネットの音色をよくぞここまで練り上げました。確かな個性でしょう。また女性の中に凛とした男らしさが見えて、魅力を増しました。
牛田裕衣さん。〝フラメンコが上手い〟と感じました。その場で反応しているように見えたから。また、歌とサパテアードがバッティングせず、ギターもエスコビージャで盛り上げるときに高音弦側を中心に掻き鳴らすなど、全体的にスッキリと聴き心地が良かったです。
小西みとさんはアバニコが上手いと思いました。マントンにしてもそうですが、道具を持ったブラソからちゃんと綺麗だと見栄えが良いです。またライヴの場数を踏んでいるという雰囲気を受け取りました。
黒須信江さんは、リズムを自分から生み出せる人だと思いました。踊りがしっかり身についていて、それが余裕につながっているのかもしれません。
浅野直子さんもよく踊り慣れている感じで、舞台度胸の良さを感じました。一定の力量を備えているのではないでしょうか。
李成喜さんは満を持しての受賞でしょう。そろそろ抜け出てくるかなという頃合でした。舞台を前後左右に広く使い、ブエルタも綺麗に決まる。終盤に向かって徐々に熱を帯びてくる感じも良かったです。
柴崎沙里さんは、強かったです。目が覚めました。シンプルかつあふれ出る情感。ラストは激情が走りました。じっくり抑制を効かせた出だしからの大胆なクレッシェンドで、メリハリのある曲想の舞踊でした。
次点の大野環さんは、技術と情緒がしっかりかみ合っていると感じました。山﨑まさしさんの素晴らしいギターと相まって、いい世界観が出来上がっていました。
ウニオンには屋良有子さんを推しました。技術、内容ともに、圧倒的にプロフェッショナル!それに尽きます。今回、日本代表を背負えるのは屋良さんだと思います。
他、記憶に刻まれたのは、久保田晴菜さん、本田恵美さん、漆畑志乃ぶさん、藤本ゆかりさん、津田可奈さん、斎藤克己さん、松彩果さん。
群舞はGolondrinasに入れました。今年の群舞はレベルが至っていないという理由で奨励賞は見送られましたが、僕は面白かったです。基本の振付がありそれを展開させていくのが、主題と変奏のように見えたからです。
続いてカンテ。奨励賞に入れたのは奥本めぐみさん。元々ジャズシンガーとして活動されていた方で、歌がうまい。こういう人がフラメンコの発声を身につけ、ご本人の中のジャズ:フラメンコの比率が近似したとき(あるいは引っくり返ったとき)、面白いものになるんじゃないかと期待しました。準奨励賞に推したのは許有廷さん。前回の出演よりも良くなっていると思いました。声の内側に、なにやら渦巻くものが見えた気がします。
最後に、大好きなギター部門を。関根彰良さんのアレグリアスに入れました。アルペジオ、ラスゲアド、アルサプア、ピカードなど、各技術がバランスよく習得され、また曲の安定感、安心感もありました。僕はフラメンコをリズムの芸術だと思っているので、コンパスを大事にしているととても嬉しいです。一方で見せ所のピカードの音量が下がったのは、気になりました。ここに激情を込めて、ガツンとやってくれたら最高です。技術に感情を叩き込んだ演奏が見たいなあ!
